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代弁者

作者: 水綴

すべてを捧げた相手に裏切られる。身近で起こりそうな話ではないけれど、だからこそもう一度考えてください。あの人を、傷つけてはいませんか?



生を育む者の声。

生を満たす者の声。

二つの声が、体の中で鬩ぎあう。

どちらの側でもあり、どちらの側でもない私は、ただの仲介役としてその座にいた。

育みを使命とする彼らは、不都合なことがあるとすぐに私に縋った。

そんな彼らを満たす供給者は、私以外を愛そうとはしなかった。

互いが互いの存在を無視し、仲介者である私にすべての責務を押し付けたのだ。

私は己のできる限り、彼らに尽くした。実現不可能な要求以外は、ほぼすべて彼らの言いなりに、従順に生きた。不満になど、思わない。それくらいしか、私に与えられたものはないのだから、私に供物を捧げて生かしてくれる彼らに報わねばとそう信じていた。

嗚呼、でも。そんな努力は彼らに伝わらなかった。最初こそ、私の意見に渋々ながらも賛成してくれた彼らは、少しずつ、私に対する不信感を積み上げていったのだろう。いつしか私の周りには誰もいなくなっていた。

『我らが共生できなくなったのは、お前が役目を果たせなかったからだ』

私を愛した供給者でさえ、そうやって私を見捨てた。

何を、間違えてしまったのだろう。

腹を刺され、背を刺され。崇拝も愛情も指の隙間から零れ落ちていった。

私が、そこに、立った意味。

私、普通に、生きたかった、だけ。


神と人間を取り持つ巫女の視点で書きましたが、これはこの立場に限った話ではないです。どちらの立場にも立たせてもらえない、見えない犠牲者が現実にも必ずいることを、どうか知ってほしい。

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