ツアー初日⑥
「レディたち、楽しんでますか?」
「きゃー!!!」
「後ろのジェントルマンたちも楽しでいますか?」
「おー!」
2回目のトークタイム。
ここから、見えないけど、メンズもいるんだな。
ふいに、奈良部くんが、アンプの上に置いてあったCDを手に取り、満面の笑顔で左右にアピールする。
それに合わせて、話し出すアガリくん。
「はい、ここでお知らせです。ご存知かもしれませんが、私たちスニップスは、先日、ミニアルバムを発売しました。買ってくれましたか?」
「購入した奴、挙手!」
女の子たちが、「買ったよー」「買いましたー」
「カッコよかったー」などど手を挙げて報告。
「良い子ですね。ありがとうございます。」
「あざーす!」
「…ッス」
アガリくんは、美麗な微笑みを浮かべ、
馬場くんは、元気よく買ってくれた人にグッドポーズを送る。
奈良部くんは、ペコリとお辞儀する。
「めっちゃ、こだわって作ったから、ジャケットともだけど、歌詞カードも見てほしいな」
「ジョーカー、写真こだわってましたね。カメラマンさんに何度も撮り直しお願いしてましたよね?ナルシストは大変ですね」
「ちげーし、ナルシストじゃねぇーし!」
「失礼しました。残念男子でしたね」
「残念男子でもねぇー!」
どうやら、馬場くんイジリは、定番のネタのようで、お客さんも笑ってる。
しかし、口悪いね、アガリくん。
「まぁ、ジョーカー(バカ)ネタは良いとして、物販にもCD置いてるので、少しでも私たちスニップスを気に入ってくださった方、ご購入お願いします!」
「お願いします!」
「…ッス」
「ツアーグッズも良ければ購入してくださいね」
「じゃー、次の曲行くかー」
「…bear」
メロデイがめっちゃカッコいいと思って、
この曲だけ、歌詞の和訳を読んでみたんだけど…
いつもそばにいた君
何も言わずに
悲しい時も
嬉しい時も
楽しい時も
眠れない夜は
君を抱きしめて
bear
君はクマのぬいぐるみ
一緒に笑ってくれないけど、
僕を支えてくれた
bear
君はクマのぬいぐるみ
わがままは聞いてくれないけど、
僕を見守ってくれた
季節は巡る
君はどんどん茶色くなって
深みを増していく
bear
大好きだよ
ありがとう
bear
大切な君に
この歌を捧ぐ
歌詞が残念すぎて、笑える。
作詞、joker な時点で気づくべきだった…
いい歌詞に見せかけて、内容薄いだろ。
他の曲の歌詞はまだ、ちゃんと見てないけど、巫山戯てる曲、まだありそうだな…
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「….これが、最後の曲です。本当に本当に、今日は来てくれてありがとうございました」
「えー!!」
「もっとー!!」
「ありがとうこざいます。」
深く深くメンバーが、お辞儀する。
「生きていれば、沢山、嫌なこともあると思う。うまく行かないこともあると思う」
馬場くんの言葉は、先ほどのトークとは違い重い。
「そうですね、エースが入院したりね」
「それ、マジ笑えないヤツだからな!まぁ、エースは頑張ってリハビリしてくれるでしょ」
「キングだって、いつまでもサポートしてくれるか分からないですしね」
アガリくんは、ちゃかすように首をすくめて両手を挙げる。
「クィーン、後ろ向きすぎ!つか、俺に話させろ!」
「はいはい、どうぞ」
俺からだとあんまり、よく見えないけど、馬場くんの雰囲気は、今まで一番真剣。
「俺はね、音楽で誰かを救おうなんて思ってないよ。
ただの自己満足の塊だもん。
でもさぁ、ライブハウスに来て、みんなで、歌って踊ってヘドバンしてたら、楽しくない?」
「楽しいよー!」
「良い大人が、馬鹿みたいはしゃげる空間をこれからもみんなと一緒に作っていきたい。
だから、今を全力で楽しもう!
お前らならできるよな!?」
「イェーイ!!!」
「BOX」
歌詞は適当です。
たまたま、クマのぬいぐるみが目に入ったので。