9.テクノロジーの無駄遣い
女の子の家についた。山小屋風の小さな家で扉は自動で開いた。古い家みたいだけど、木の扉が自動で開くなんて結構最新なのね。
建物の中は結構広く、またもや自動で暖炉の火がついたり、自動で明かりがついたりした。うちもあるけど、AI家電ってやっぱ便利ね。最新型は赤外線で人の気配を感知してくれるのかしら?声で指示しなくても良いのね。後で通販で買おうかしら。
翔太は最新型の家電を見た事が無かったのか、驚いてキョロキョロしている。
まぁ、ショウタの事は放っておきましょう。
「そこに腰掛けると良い」
暖炉の前にあるテーブルと椅子に座るように促される。座ろうと椅子を引こうと手を出すと、椅子が勝手に動いた。自分で引かなくても良いって、無駄な所まで最新なのね。あいにく家の外観は趣味が合わないわ。それにしたって、この最新テクノロジーの無駄使い。
なんて!!なんて!!
なんて素敵なのかしらっ!!
こういう細部までごだわってる家って、科学者としてロマンがあるわよね。
「さて、まずは自己紹介をしておこう。私の名はメルナじゃ。」
「私はソフィア。こっちの男はショウタよ。ところでどうやってショウタを黙らせてるの?その木の棒みたいなのって実は最新の防犯グッズかしら?」
「何を言うのじゃ?魔法じゃよ。お主も使えるであろう?」
「魔法??アニメやおとぎ話じゃないんだから」
「あにめ??おとぎ話とな??可笑しな奴じゃ」
私が変なの?魔法なんておとぎ話でしか聞いた事ないけど。
それにしてもこんな広い家に一人暮らしな訳はないわよね?
パパとママはどこなの??
あの恐竜たちはどこで手に入れたの?
最新の家電や家具はどこで買ったの??
良かったら、ぜひ買ったメーカーを教えて。
なぜ言語が私達だけ違うのかしら?
ここはどこかしら?
まだまだ、沢山聞きたいことがあるけど、もう疲れてヘトヘト。
目眩がしてきたから、早く休みたい。
「あの、本当に申し訳ないんだけど、一泊泊めていただいても良いかしら。お金なら払うから。それか、無理なら近くにホテルがあれば教えてほしいわ。私、色々あって疲れてるの」
「ふっふっふ。客とは何百年ぶりじゃわい。思う存分、我が屋敷で泊まっていくが良い。」
女の子は変な事を言いながら鼻歌を歌って余っている部屋まで案内してくれた。
余程、嬉しかったのか軽くスキップをしている。
余っている部屋へ案内されると、また扉が自動で開いた。
「食事が用意できたら使いを出そう。お主らはここで寝ているが良いのじゃ。」
「ありがとう。」
メルナに感謝して、案内された部屋に入る。