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1−3、追伸

 どうでもいい事だとは思いますが、この手紙って魔法で書かれてるんですよ! 

 私とユーリさんの生まれた国は違うはずです。私は自分の母国の文字を書きました。でもこれはユーリさんにはユーリさんの母国の文字に見えているはずです。

 もしそうでなかったらごめんなさい。一応、魔女から簡単な魔法を習ってこういう事が出来るようになりました。

 もし読めなかったら、それは私の魔法が未熟だからです。ユーリさんのせいではないので、気にしないでください。

 そんなわけで、これが読めていると仮定して続きを書きます(読めますよね? 読めていてください!)。

 今書いた通り私は魔女から魔法を習っています。

 街の復興の様子を眺めていたバルヴェニア様と偶然お会いする事があって、その時に、魔法を使える方にお会いする機会なんてめったにないですから!と強引に話しかけてそれから無理やりお願いして魔女を紹介していただきました。(吸血鬼の御方に対してすごいことしちゃったもんだなぁと自分でもびっくりします。)

 フィディックさんというとてもすごい魔女です。

 教え方も上手く、魔法なんてものに全く触れた事がなかった私でも、今こうして手紙を書けています(ちゃんと読めてますよね? 自信はないのですが、信じる事こそが魔法の源であると師匠のフィディックさんから口を酸っぱくして言われているので、信じることにします。私は出来る! この手紙も大丈夫!)。

 街の復興がある程度終わり、魔法をちゃんと使えるようになったら、私は以前お話した通り、旅に出るつもりです。

 この世界を見て回ります。

 魔法を極めれば元の世界に帰ることも不可能ではないそうなのですが、私の心はこちらの世界を見たがっています。


「これまで散々怖い思いをしたのに、安全な自分の世界に帰らないでこっちを冒険するなんて……よくそんな気分になれますねぇ。大したものですよ」と呆れた声で言ったのは、私の夢を聞いていたアイン様ですけど、怖い思いをしたからこそ、それを素敵な思い出で塗り潰したいと思っているのです。


 この世界は怖いことばかりじゃないはずです。

 現に私は様々な種族の人と手を取り合って街を復興しています。

 悪い人も良い人も、今はひたすら力を合わせて元の生活を取り戻そうとしています。

 そういうことなんです。

 暴力の前には、私達は無力で、何も出来ないかもしれないけれど。

 それがこの世界の全てではないって、思っているのです。

 これが綺麗事だと言うことはわかっています。

 悪い人はどこにでもいて、これからも大変な出来事が私達を待っているかもしれません。

 それでも、私は信じたいです。

 そんな悪いことばかりじゃないでしょ、って。

 私はこの世界がこれから良くなっていくと信じています。

 日が昇った先に、一体どんな光景が待っているのか。

 これから待つ全ての出来事を楽しみしています。


 追伸なのに長くなってしまいました。

 これ以上書いてると、また更にどうでもいい事を書いちゃいそうなので、ここら辺で筆を置くことにします。


 最後に、一つ魔法を掛けておきました。

 いつかまた、どこかで、ユーリさんと会えるようにって。

 信じることが魔法の源ですから。そうなると信じています。


 だから、いつか。またお会いしましょう。


 ステラより。


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