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4ー2、一刀。そして……。

「はぁ……っ! はぁ……っ!」

 

 森の中を、走っている。

 服を汚しそうな枝や草を斬り落とす以外は、無茶苦茶に。法則性も無く、真っ直ぐに、ジグザグに、それを入り混じらせて駆けている。

 息が荒い。

 呼吸が整わない。

 頭が吹き飛んでも死にはしないのだから、息が止まったって死ぬ事はない。

 けれど、呼吸の乱れは精神の乱れだ。


「どうしたぁ? 仕掛けてこないのか?」


「——っ!」


 隣にルーレスが現れた。

 いや、今更驚いてどうする。僕を追ってきているのは知っていた。けれど、疾い。

 僕と並走している。体に当たる木々を薙ぎ倒して。

 パワーは岩の如き見た目のままだが、速度がこれ程だなんて思ってもいなかった。

 だけども、よくよく考えれば巨獣の目にも止まらない速さで拳を振るっているのだから、スピードが遅いなんて事は決してなかったわけだ。

 想定が甘かった。

 少しの後悔。

 すぐに、切り替える。


「ふっ——!」


 一旦距離を取ると見せかけて、手近な木を蹴り、走る速度を殺さずに急激に方向転換。ルーレスに向けて突っ込みつつ、隙だらけな腹に斬撃を放つ。


「む」


 ガギィ。という鈍い金属音。嫌になるくらい重たい手応え。

 内臓は愚か、肉にも骨にも全く届いていない。外部装甲のみだ。それも、装甲の上辺を斬ったというか、撫でたというか、ほんの少し傷つけただけに過ぎない。

 硬い。


「ま、今のお前ならこんなところだろうなぁ」


 ボリボリとルーレスが無造作に腹を掻いた。それで、今しがた僕の付けた傷とも呼べない浅い痕は消えた。

 驚く事でも、落ち込む事でもない。吸血鬼は不死身だ。肉体の傷はすぐに癒える。ルーレスのあの装甲は血なのだから、それ以上の速度で瞬く間に修復されるのは当然だ。

 吸血鬼を、特に、ルーレスのような相手を倒すには、防御力を上回る攻撃を再生力を超える速度で叩き込み続けるしかない。

 暴力に頼り切った方法だが、この世界は暴力によって支配されているのだし、より強い暴力で蹂躙するのはある意味では正攻法であると言えなくもない。

 少し前なら、頭を切り落とせばいい。と思っていたが……頭が無くなった僕は暴れまわった。他の吸血鬼もそうなるとは限らないが、思考力を奪われても力を発揮出来るとすると、手痛い反撃を食らう恐れがある。なので、頭をどうこうするのは避けた方がいいのかもしれない。

 とはいえ……。


「……」


 どうする?

 無駄だとは思うが、セオリー通り、関節部を狙うか?

 頭が無かった時の僕は、ルーレスの腕を斬り落としたというし、いけなくはないと思うが……しかし、僕は一体どうやってこの吸血鬼の片腕を斬り落としたのか?

 今の手応え、まるで斬れる気がしなかったが……。


「ほれほれ。もっと打ち込んでこい」


 ルーレスが両手を広げた。


「言われなくてもっ!」


 一撃で駄目なら、連撃だ。

 両手に刀を持ち、目にも止まらぬ速度で、五撃。

 右腕肘関節部、左脚膝、返す刀で左脇腹、喉に突き、渾身の力を込めて、左の肩口に一撃。

 しかし——


「ちっ……」


 様々な部分を攻撃したが、これもノーダメージ。

 装甲は僅かに凹んだが、僕が一旦距離を取る頃には元の形に戻っていた。


「これがお前の弱点その一だ」


「これ? どれですか?」


「殺気があまりにも鋭すぎる。これでは攻撃してくる部分を自ら告げているようなものだ。俺様くらいになると今のように容易く防御できる」

 

 こちらが攻撃する場所を察知して、その部分の装甲の硬度を上げたのか……。

 殺気が強い。とは言われた事がある。

 ミナレットにはそれで攻撃を見透かされたりもした覚えがある。

 だから、そんな事は言われずともわかっている。


「これではだめだ」


「……」


「何故、何度も剣を振るう?」


「何故って……確実に……」


 前もそう言った。


「今のが確実か?」


「……」


 確実……のはずだった。実際は、そうはならなかったけれど。


「それではだめだ。一撃という気概を持て」


「気概と言われましても……」


 また根性論か。僕は辟易した。が、


「真に強い剣は無闇に振るわれないものだ。全てを一振りで決する。アルザギールの剣であるならば、一振りで敵を屠る。というくらいの気概を持っていなくてどうする?」


「そ、それは……」


 アルザギール様のお名前を出されると、考えざるを得ない。

 今の自分の在り方について。

 ものである自分について。

 剣である自分について。


「お前は最強を目指す必要はない。と言ったな?」


「……はい」


 最強でなくともいい。ただ、アルザギール様がお進みになられる道を切り開けるだけの力があればいい。

 それが僕の素直な気持ち。


「今はまだ、最強でなくともいい。しかし、常に高みを目指せ」


「高み、ですか……」


「剣は磨かなければ切れ味が落ちる。お前が握っているそれは血だから、手入れをせずとも大丈夫だろうが……とにかく、俺様が言いたいのは……自らを剣であるとするなら、己を磨き続けろ。という事だ」


「……」


 己を、磨く……。

 その言葉は、僕が思っていた以上に、僕の心の深い部分で反響した。

 僕はアルザギール様のものであり、剣である。

 この世界の神をも超える存在によって振るわれる力である。

 これまでは効率的に、確実に敵を始末する事を第一としていた。

 それが、アルザギール様の為である。と、そのように考えていた。

 しかし、実際のところはどうだろうか?

 アルザギール様の名声を地に落とさぬよう。確実に勝利を収める。という思考が間違っているとは断じて思わないが、戦い方は他にあったはず。

 なのに、確実性を求めるあまり、消極的な戦い方をしていた覚えがある。

 敵の攻撃を受けてからの一撃。

 吸血鬼の不死性に頼った戦い方。

 そういう戦法を選択していた……。

 それで勝てるのだから、良しとしていた。満足してしまっていた……。

 ああ、しかし、果たしてこれが、アルザギール様の剣として相応しい行いと言えるだろうか?

 ……言えない。言えるはずがないではないか。

 僕はこれまでの己の行いを恥じた。

 僕はきっと、これまで自分の事ばかり考えていたに違いない。

 確実に勝つ。という大義名分を利用して、最も安易な方法を選択していたに過ぎない。

 己を磨いていなかった。

 触れるもの全てを斬り裂く程に、磨き抜いていなかった。

 真にアルザギール様の事を考えるのならば、まず何よりも、敵を斬る。という、ただそれだけを追求していかなければならなかったのだ。

 僕は瞬時にそこまで思考して、反省した。


「そして、これが弱点その二だ」


「——!」


 反省を終える間際、指を二本立ててピースサインのようなものを作り出したかと思った次の瞬間、ドンッ! という地が砕ける程の踏み込みがあって、ルーレスが目の前にいた。

 既に拳を引いている。

 下から上に。地を抉って天にぶつけるような。

 アッパーを放つような態勢だ。

 一秒未満の後に、それが放たれる。

 狙いは——僕の腹部。

 胴体部。

 直感——ルーレスの言うところの鋭い殺気——で、それを察知した僕は、横に大きく飛んだ。

 血を操る能力が洗練されたとはいえ、あの拳は受け止められない。当たれば防げない。肉が弾け飛ぶ。服も無くなる。これも直感だが、間違いなく事実だ。

 だから、回避に専念する。


「ふんっ」


 狙っていた僕だけでなく、打ち出された拳の遥か彼方にある月さえも貫くのではないか。

 そう感じる程の圧力。

 風が荒れた。

 木々が戦慄いた。

 こちらに近寄ってきている巨獣ですら咄嗟に方向転換を決め込んでもおかしくない。実際、気配が遠ざかっていく雰囲気がある。

 凄まじい。の一言に尽きる。

 だが、しかし、それが放たれたその時には、そこにはもう僕の姿はない。

 完全なる安全圏への移動は成功している。

 全くの無傷だ。

 服も無事である。


「いい動きだ」


「どうも」


「だが、それこそが弱点その二だ」


「これが、ですか?」


 完璧に躱した。

 それを褒めたのに弱点とはどういう事なのか。


「お前は首から下に気を遣い過ぎている」


「え?」


「最初に会った時、頭への攻撃は避けずに受け止めようとしたのに、今は大きく身を躱したのがその証拠だ」


「……」


 少し、考えた。

 結果、納得出来た。

 確かに僕は生身を晒している部分への攻撃は肉体を用いてでも受け止める。そういう戦法を選んでいる。


「吸血鬼はほぼ不死身だというのに、何故そこまで回避に専念する? 不必要な動きは隙を生む。それは弱みだぞ?」


 正論である。

 だが、


「受ける事は出来ません」


「何故だ?」


「理由があるからです」


「理由? 何だそれは?」


「この服が、アルザギール様から頂いたものであるからです」


「何? ……そうか……そういう理由とは……くくっ……アルザギール……あいつは……」


 僕の答えに、ルーレスはほんの少し驚いたような間があったが、声は穏やかだった。

 彼の闘気が萎えていくのを感じる。

 心ここにあらずとでもいうのか。どこか、遠くに旅に出たみたいな。

 僕は悩んだ。

 攻撃するべきか、否か。

 仕掛けても、不意打ちだなどと文句は言われないはずだ。現在は戦闘中だ。気を抜く方が悪い。

 けれど、そういう不意打ちが成功するとは思えない。

 ルーレスは強いし、硬い。

 頭の無い時は腕を落とせたというが、その力を発揮する事が今の僕に可能なのか? という疑念がある。

 けれど、出来るはずだ……。

 僕は剣なのだから……。

 強い力を持つ、剣なのだから……。

 斬れる……はず……。


「……」


 心の底から浮かんでくるいくつもの疑念の泡。

 それが、弾けた。

 その中から、アルザギール様の微笑みが現れた。

 愚かな僕の姿を見てお笑いなさっているアルザギール様のお姿が見えた。

 アルザギール様……。

 

 ふふっ。ユーリ。あなたは本当に物事を深く考える癖がありますね。

 

 はい。そうなのです。どうしても、つい、考えてしまうのです。ああしよう。こうしよう、と考えてしまうのです。

 

 不安なのですね。

 

 ……そうかもしれません。

 

 私には素直になってくれてもいいのではないですか?

 

 不安です。

 

 やはりそうでしたか。しかし、そうすると、少しばかり困りますね……。

 

 アルザギール様がお困りになられるような事は、何も……。

 

 あるのです。

 

 まさか、そんな事は……。

 

 あるのです。ああ、ユーリ。あなたが不安を抱くという事は、私があなたに道を示せていない証拠なのです。

 

 そんな馬鹿な! あ、いえ、声を荒げてしまい、申し訳ありません。しかし、アルザギール様。そのような事は有り得ません。僕はアルザギール様のお陰で、この世界で生きる意味を、自らの居場所を見付けたのです。

 

 それは何ですか? それは何処ですか?

 

 僕の全ては、あなた様に捧げる為にある。という事です。そして、僕の居場所とは、あなた様のお傍です。

 

 そうですか。あなたがそのように思っていてくれて、私は嬉しく思います。

 

 あなた様がお喜びなられているところを見る事が出来て、僕も嬉しい限りです。

 

 でしたら、ユーリ。

 

 はい。

 

 迷う必要はありませんね?

 

 はい。

 

 不安になる必要もありませんね?

 

 はい。

 

 あなたは私のものなのです。ユーリ。

 

 はい。僕はあなた様のものです。アルザギール様。


「アルザギール様……」


 時間にして一秒あったかどうか。

 アルザギール様との会話を想像する事で、覚悟は決まった。


「ルーレス様」


「む……何だ?」


「これからあなたを攻撃します」


「そうか」


「言われた通り、一撃です」


「面白い」


 小さい笑い声の後に愉快な空気が漂った。ほんの一瞬だけ。

 次の瞬間には、闘争の空気が場に満ちていた。

 ピリピリとした空気が肌を刺す。

 ギチギチと肉を引き締める。

 ゴキゴキと指を鳴らす。

 ゾクゾクと背中に寒気が奔る。

 高まっていく感情。

 難しい事は考えない。

 ああしよう、こうしようなどは、やめた。

 そういうのはそういうのが通用する相手にやればいい。

 ルーレスの相手は、そういうのでは務まらない。

 臨機応変だ。

 そしてこの場合は、

 一撃だ。

 斬る。

 左手の刀を体内に戻した。その分をそのまま右手の刀に回す。

 見た目は差して変化しない。少々厚みが増したくらい。特に意味は無い。

 だが、一振りにて決する。という覚悟は出来た。


「行きます」


 腰を浅く落とした。


「おう」


 ルーレスも拳を構えた。

 迎撃するつもりか。

 さっきは無防備だったのに、流石にここでただで一撃を入れさせてくれる程甘くはないか。


「……」


 集中する。

 一刀に。

 鋭すぎると言われた殺意。

 わかりやすすぎると言われた攻撃。

 それがどうした。

 僕はそれが弱点だとは思わない。

 それはそれでいいではないか。

 わかっていても、鋭すぎて防げない。というところまで持っていけばいいだけの話しだ。

 一撃。とは、そういう事だ。


「——っ!」


 ルーレスの間合いに踏み込む。

 同時に、拳が放たれる——より前に。


「——っああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」


 変な声が出たものだな。と自分でも思った。

 しかし、それも仕方がない。

 必死なのだ。

 全力なのだ。

 子供の時に、近所にいたいじめっ子と喧嘩をした時の事が思い浮かんだ。

 僕は別に正義感の強い子供では無かった。

 それなのに、つい、手が出ていた。

 僕が助けたあの子はどんな子だっただろう。

 今となっては、もう顔すら思い出せない。

 黒く塗りつぶされた誰かの顔。

 夕日。

 殴った拳。腫れた拳。

 殴られた顔。蹴られた腹。

 血。

 打撃の威力ではなく、単に転んで擦り剥いて流れた血。

 赤かった。

 いや、黒かったか?

 いや、鮮やかなオレンジだったか?

 夕日を浴びて、見た事も無い色になってたっけ。

 それを見て、手で拭って、伸びたそれを目の当たりにして——ああ、やっぱり赤だった——不意に、冷静になった。

 僕もいじめっ子も、何かとんでもない事をしてしまったのではないかと思い込んで、なあなあで喧嘩は終わった。

 覚えてろよ。とか何とか。

 覚えていない。

 いじめっ子とは、それから何度か喧嘩をしたような、していないような。

 覚えていない。

 もはやどうでもいい記憶だ。今となっては。

 しかし、どうして急にこんな事を思い出したのだろうか?

 わからない。

 どうでもいい。

 わかっているのは、一つ。

 たぶん、僕は初めて、何もかもをかなぐり捨てて、一撃を放ったという事。


「見事な一撃だったぞ」


 硬い手応えは無かった。

 振り抜いた、という感触だけが、手に残っている。


「ルーレス様程ではありませんでしたが」


 心臓の鼓動が早い。痛いくらいに。胸部を突き破って出てくるのではと思ってしまうくらいに。

 極限の集中から、一気に気が抜けたせいか。


「謙遜するな」


 くくっ……と、小さい笑い声。ドカリとその場に腰を下ろした大きな音。

 同時に、ルーレスの左腕が重々しい音を伴って地面に着いた。

 手の甲が下。掌が上。ダラリと下げられ、力の抜けている腕。


「やはり、吸血鬼は吸血鬼、か」


 左の肩口から、胴体部まで、真っ直ぐに、ばっくりと、裂けていた。

 切断面は暗い。黒い。

 割れた装甲で。流れる血で。

 斬れたのだ。

 僕は。

 ルーレスの装甲を。

 一撃で。


「今の一撃を、決して忘れるんじゃないぞ」


「はい」


 忘れない。これは。

 アルザギール様の剣を名乗るに相応しい一撃だったという自負。

 それが、心に強く刻まれた。


「はぁ……」


 大きく息を吐きだして、暗い空を仰いだ。

 余韻……。

 鐘を打った時のような残響……。

 浸っている。

 自らの力に。


「はは……」


 つい、笑ってしまった。


「くく……」


 何がおかしいのか、ルーレスも笑っていた。

 視線を今しがた斬り伏せた相手に戻した。

 その時には、傷は塞がり、装甲も元の形に戻っていた。

 流石は吸血鬼だ。

 やはり血を吸い尽くさなければ死なないのだ。

 仮に本気で殺し合いをしたとして、見た目の割には俊敏なルーレス相手に、そこまで出来るかどうか……。


「お前は、やっぱり、吸血鬼だ」


「まあ、吸血鬼ですから」


 当たり前の僕の返答に、ルーレスは笑った。

 僕は首を傾げた。


「吸血鬼は、血が好きだ」


「そうですね」


 当たり前の事に、当たり前の返事を返す。


「血を飲むのも、見るのも、好きだ」


「それは、人それぞれだと思いますけど」


「俺様は好きだ。そして、お前も好きだ」


「え? 僕もですか?」


「お前、俺様を斬った後、笑っただろう?」


「それは……」


 笑っていた。確かに。


「自らの力を全力で振るえる喜び……お前は、それで喜べるやつだ」


「……」


「俺様と同じだ」


「いえ、僕は……」


 違うと思います。

 そう言おうとして、言えなかった。

 本当に違うのか? という迷いがあったし、地鳴りが聞こえたからだ。

 巨獣の足音だった。

 血の匂いに惹かれてやってきたのだ。


「もう来たのか……やれやれ……もう一働きしとくとするかぁ」


「ルーレス様は休んでいてください。ここからは、僕がやります」


 戦いを喜んでいる。それを否定しようとしたのに、一人でやろうとするとは、やはり僕は戦いに喜びを見出しているのかもしれない……などと、どうでもいい事は考えるのをやめて。

僕はルーレスに背を向け、巨獣の気配がする方向に目をやった。


「……そうか。ならば任せるとしよう」


「はい」


 この余韻が残っているうちに、試したい。


「目標は一撃一殺だ」


「それでいこうと思います」


 僕は頷いて、地を蹴った。



 それから、僕たちは狩り続け、進み続け。

 血の匂いが周囲に満ちて。

 死骸が地を埋めて。

 その死骸が、森に潜む者達の手によってどこかへと消えて。

 トランキノの短い眠りを、何度か目にして。

 より一層深さを増した森の深奥とまで思える場所に到達したところで。


「ここまでの巨獣の排除、ご苦労様でした。ユーリ」


「お役に立てたようで何よりです。アルザギール様」


 僕は遂に、アルザギール様と合流したのだった。


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