1−2、簡単な自己紹介からの殺し合い。
意外だな。
というのが、第一印象だった。
何故なら、そこにいた三人が、全員女だったからだ。
僕から見て右は、ショートカットの黒耳長の女だ。傭兵と聞いているが、まさにその通りで、同じ種族であるフォエニカル隊長は暗殺者寄りの忍者みたいな出で立ちだが、この女は身軽な戦士風の格好をしている。
厚手の革製の胸当て、下は布製の短パン。足下はブーツ。腰には左右に一本ずつ剣を差しているので、双剣使いだろう。
その隣が、真上にピンと伸びた長く毛深い耳が特徴的な、獣人の狩人の女だ。手に持っている弓と、右肩に掛けている矢籠、腰に差された一本のナイフに近い形状の短剣が、森で暮らす狩人である事を雄弁に物語っている。
それにしても、獣人なのに、地面に垂れている尻尾と耳、手足にうっすらと生えている獣毛以外は、顔や体つきが人間に近いので驚きだ。これまで見たどの獣人よりも獣人らしい。獣と人がきちんと半々で混ぜ合わされている風である。
しかし、人型だが、服装は裸同然だ。如何にも山奥から来ました。というような、伝統的っぽい柄が刺繍された布を一枚、体に、胸から太もも辺りに掛けて、ぐるりと一周巻きつけているだけに見える。
……たぶん、下着は付けていない。
素足だし、尻尾があったらパンツとか履きづらそうだし……目つきも鋭く、野蛮な感じがするので、そう直感した。
アルザギール様の下で雇って欲しいというくらいだし、狩人という、きちんとした身分を持った獣人のはずなのだが……服が羽織りものだけというのは……やはり獣人は獣人という事なのだろうか? よくわからない。
そして、最後は……白耳長の商人の娘だ。
アルザギール様から商人の娘と聞かされた時は、一瞬僕の聞き間違えを疑ったが(アルザギール様が言い間違う事など有り得ない。故に、間違えたのは必然、僕の方である。と思っていたが)そこにいたのは、確かに商人の娘としか言いようの無い人物だった。
きちんと手入れされている白銀の長い髪。体つきは、痩せてもなく、太ってもいない。健康的な肉体、と言えば聞こえはいいが、筋肉が付いているようには見えない。苛烈な訓練で鍛えているわけではなさそうである。
身に纏っているのは、白を基調とした、おろし立てとしか思えない、シワひとつ無いワンピースタイプの服。履いているのは足首までを覆う編み込みが目立つサンダルに似た形状の靴。ヒールはないので、服装の中で足元だけに、かろうじて戦士らしさとでも言えるものがあるように思えなくもないが……これもまたとても白く、汚れは一切無い。戦闘時に着用しているものではないように思える。
その上、武器も持っていないように見える。
「……?」
何らかの手違いで商人の娘が紛れ込んでしまったのでは? 何か、商談でもしに来た者が、間違ってここに来てしまったのでは? と、つい思ってしまった。
それくらいに、どこからどう見ても、この女は戦士では無い。
戦う者ではない。
そういう空気を、発していない。
「……」
そんな女がここにいるという事に、僕は困惑した。
困惑したまま、視線を隣の隊長に向けてみたが、隊長はいつも通りだった。
「あたしはフォエニカル。ここの警備隊長をやってる者だ。お前らが、アルザギール様がお雇いになったやつらだな?」
動揺など無い、いつもと同じ、軽い調子での問いかけ。
これに対して、
「はい! そうです! 自分は、アネモネ・コロナリアという者です! 今日は、よろしくお願いしまぁすっ!」
黒耳長の傭兵は、ハキハキと返事をした。
「……如何にも。我が名は、エリエア・トランキノ」
獣人の狩人は、短く肯定した。
「はい。その通りです。私は、ミナレット・ルル・ルピナシウスと申します。よろしくお願いしますね」
白耳長の商人の娘は、にこやかに微笑んだ。
何故ここで微笑んだのか?
戦いを待ちわびているのか。それともただの愛想笑いの類なのか。
この女の感情がわからず、何故そんな顔をしたのかが気に掛かったが、隊長は僕ほど気にしていないのか、そのまま話しを続けた。
「自己紹介どーも。お前らの事はある程度はアルザギール様から聞いてるが……えー、とりあえず、警備隊長として、お前らが使えるかどうか知りたいんでな。これからお前らにはこいつと一対一で殺し合いをして貰うけど、いいか?」
流石は隊長である。自然に話しの流れを殺し合いに持っていった。……とは、もちろん思わなかった。正直に言えば、これは少し強引過ぎでは? と思った。
だが、僕の素直な反応に気付いていないのか(隊長の洞察力からして、まず間違いなく気付いているだろうが、無視したのか)隊長は次に僕を紹介した。
「こいつはユーリ。アルザギール様にお仕えしている吸血鬼だ。吸血鬼については、お前らも知っているとは思う。そう簡単には死なない。これまで十二人の吸血鬼の中で死んだのは、二人だけだしな。……だから、殺し合いとは言っても、腕試しみたいなもんだと思ってくれればいい。こいつと戦って生き残ったら、合格。死んだら、不合格。ここでは働けない。って感じだな。どうだ? わかりやすくていいだろう?」
いきなり投げかけられた、殺し合いをしろとの言葉。
普通の者だったのならば、取り乱す。
冗談はやめろ、とか、ふざけた事を言うな、とか。
ありきたりな台詞を吐いて、結果、そういう事を口にしたやつが真っ先に死ぬ。
僕の世界での漫画とか小説なら、これから繰り広げられるのは、そういうデスゲーム的なものでよくある光景だっただろう。
けれども、ここは魔界だ。
魔界の、それも戦いに生きる者の反応は、僕のかつての普通とはまるで異なっていた。
「つまり、死ぬ気でやれってことっすねっ! 確かにわかりやすいですっ! ……でも、一対一かぁ……うーん……わたしは何番目でもいいんだけど……どっちか、一番にやってみたいとかあったりする?」
アネモネと名乗った傭兵が、他の二人に問い掛けた。
隊長と話す時は敬語に近いが、二人に対しては砕けた風な言葉遣いだ。
体育会系っぽいというか、何というか……。
調子の良さそうなやつであるような気がしないでもないが……それはそれとして、自分は死にたくないから、一番に殺し合いたくありません。という風な喋り方ではなかった。
ただただ純粋な、確認の為の発言だった。
もちろん、殺し合いというやり方に戸惑っている様子もない。
雰囲気は、少しも変わらない。
こういう場で心に乱れが無いという事は、こういう場に慣れているという事の証明である。
こういう場とは、無論、殺し合いの場だ。
傭兵、アネモネ・コロナリア。こいつは、手練れだ。暗殺者かもしれない。
「……」
隣の狩人。エリエア・トランキノは、黙っている。黙っているが、しかし、アネモネの問いかけを無視しているわけではない。彼女は、僕を見ていた。
じとっとした、体に纏わりつくような、粘度の高い視線だ。
恐らくは、推し量っているのだろう。僕の、力量を。
どこが弱いか?
どこが強いか?
どう戦うか?
どうやって殺すか?
戦いの流れを組み立てているというより、効率的に殺す方法を探っているという感じがする。
狩人という職業柄、そういう事を考える癖が付いていそうだが……暗殺者であっても、そういう癖は付いているに違いない。
まあ、暗殺を生業としている者にしては、態度が露骨過ぎるような気がしないでもない。
それでも、可能性という点では、高い。と設定しておく必要があるだろう。
「殺し合いですか……」
そんな二人とは対照的に、商人の娘、ミナレット・ルル・ルピナシウスは、困ったような表情を浮かべた。
おろおろと、アネモネとエリエアの顔を交互に見ている。
これから殺し合いをすると聞かされて、怖気づいてしまったのだ。と僕は思った。
やはり、手違いでこの場にいたのだ、と。
しかし、その想像は、次の瞬間にあっさりと覆された。
「あの、一対一なら、私からやらせていただいてもよろしいでしょうか?」
すっと、彼女がまっすぐ、手を挙げたからである。
「え?」
つい、僕は疑問の声を上げてしまった。
当然、それは視線の先にいる者の耳に入る。発言をした当の本人は、気恥ずかしそうに、小さく笑った。
「駄目でしょうか?」
「えっと……それは……」
やるのは僕だ。だから、了承してもいいが……一応、お伺いを立てなければと、隊長を見た。
隊長は、僕の視線を受けてから、残りの二人に眼をやった。
アネモネとエリエアの二人は、反射的に、互いに顔を見合わせて、
「いいっすよ〜」
「……構わない」
阿吽の呼吸で結論を下した。
一番目を辞退したのは、僕の手の内を見ておきたい。とか、一戦やった後の、疲れた僕と戦えば有利だから。とか、そういう打算的な理由からでは無いのは明白だった。
どうでもいい。という雰囲気を醸し出しつつの返事だった。
順番など関係無い。自分の番がきたらやるだけだ。とでも思っているようである。
自信があるのだ。
己の、実力に。
そうでなければ、これだけ余裕たっぷりに返事は出来まい。
「お二人とも、この度は、順番を譲っていただきまして、どうもありがとうございました」
一方で、ミナレットは、一番目が余程嬉しいのか、顔を輝かせて、快活な笑みを浮かべて、折り目正しく二人に一礼した。
対して、僕は、何とも言えない変な表情をしている自覚があった。
何故なら、未だに彼女から闘争の気配を感じていないからだ。
こちらに対して、何も思うところは無いのか。
これから始まる事に、何の気負いも無いのか。
闘気は一切なく、殺気もまた、漂ってこない。
「……」
アギレウスと戦った時には、肌を刺すような緊張感があった。
互いの発する殺意と殺意とが、激しくぶつかる感覚。
強い意志の籠められた闘気が固体となり、重さを持ち、全身を打つ。そういう感触があった。
お互いの心にあるものが、外に出て、勝手にぶつかりあい、これから始まるのは殺し合いであると、再認識させてくれていた。
けれど、今この場に、そんな空気はない。
彼女からは、何も感じない。
「……」
本当に、彼女はこれから僕と殺し合いをするのだろうか? 出来るのだろうか? これから始まるのは、舞踏会だと勘違いしているのではないか? などと、柄では無いが、予想していなかった事態のせいか、心配している自分がいる。
「……」
ただ逆に、もしかすると、こいつが暗殺者なのか? と疑念を抱き始めた自分もいる。
無邪気なのは、擬態。
こうしてのほほんとした人畜無害な様子を見せておいて、実は、強烈な毒を、人を殺せる凄まじい武力を隠し持っているとすれば、納得出来るが……いや、しかし、仮にそうだとしても、それならば、わざわざここで手の内を晒すような真似はしないか……?
暗殺者がターゲット以外を、嬉々として殺そうとするわけがない。無駄な殺しは本命を警戒させるだけだ。
商人の娘なのだから、商人としてアルザギール様にお近づきになった方が、暗殺の機会はあると思われる。が、商人の娘というちゃんとした立場のある者が暗殺を企てるとは考えられない……そこから考えると、そもそも、商人の娘という、戦いには全く縁が無さそうな部類の者がここにいる事こそおかしな事だ。ありえない事だ。
ならば、一体、この女は何なのか?
「よし。それじゃあ、ミナレット。お前からだ。他のやつらは下がってろ」
色々と、思うところはある。
あるが、隊長は、思いを巡らせる僕を残して、白線の外に出た。
僕が困惑しているのはわかっているだろうに、始めるつもりだ。悩むより、とりあえずやってみろ。という事か。
「そんじゃあ、わたしたちも見物するとしますかぁ〜」
「……ああ」
隊長を見習って、二人も同じく下がり、白線の外側に出ようとしたところ、
「あの、アネモネさんっ。一つ、お願いをしてもよろしいでしょうか?」
不意に、ミナレットがアネモネの後を追い、話しかけた。
「ん〜? なに? あ、もしかして、やっぱり一番はいやだった? 順番代わって欲しかったりする?」
「いえいえ。違います」
「んじゃ、なに?」
「剣を一本。貸していただけないでしょうか?」
「え? ……わたしの剣を?」
「はい。お恥ずかしいお話しですが、私、自分の武器を持っておりませんので」
困惑する者が、また一人増えた。
アネモネは、首を傾げている。
僕も、眉を顰めた。
背後の隊長も同じ表情のはずだ。
エリエアには、何の変わりも無いが……心中では、どう思っているのやら。
「ミナレットさんって、自分の武器……持ってないの?」
「はい。持っていないのです」
「へ、へぇ〜……そうなんだぁ〜。そんなも人いるんだねぇ〜」
「はい。いるのです。ここに。それから、どうぞ私のことは、ミナ、と呼んでください」
空気が読めないのか、ニコニコと微笑んでいる、お嬢様。
武器を持っていないとは、どういう事なのか?
アルザギール様のお力に成りたいと、志願しておきながら、武器も持たずに、一体全体何をしに来たというのか?
甚だ疑問である。
訓練場に呼び出された。という事は、当然このような、戦闘行為で実力をテストされるのを予想し、自前の武器を用意しておくべきなのではないのか?
と言うか、自分の愛用の武器が無い。なんていう、戦士がいるのか?
あまりにも意味がわからなすぎて、僕なら、どういう事なんですか? と、質問攻めにしていただろう。
しかし、アネモネは違った。
彼女は、思考を停止させた。
「……うん。わかった。そういうことなら、貸すよ、ミナ」
何もかも尋ねるのは面倒だ。と思ったのは確実だ。だが、そんな態度はおくびにも出さずに、腰から下げていた剣を鞘毎取り外し、一本、ミナレットに手渡した。
「どうもありがとうございます。アネモネさん」
「見ての通りの片手剣だけど……一本でいい? 必要なら、どっちも貸すけど……」
「一本で十分です」
答えて、彼女は恭しくそれを受け取ると、革製の鞘から、すらりと一息に剣を抜いた。
磨き抜かれた、両刃の刀身が、月明かりを受けて冷たい輝きを放った。
「良い剣ですね。磨き抜かれていて、とても綺麗です」
うっとりと、ではなく、淡々とした、下手くそなお世辞染みた口調で、ミナレットは言った。
「でしょ〜? 毎日手入れしてるのよこれ〜。ほら、鞘もね、キレーにしててね〜」
それでも褒められた方としては嬉しいらしく、傭兵はニカッと気持ち良さげに笑った。が、またすぐその顔は歪む事になった。
「そうですね。でも鞘はいらないので、お返ししますね」
「あ、うん……」
同じく手入れしている鞘には何も言ってくれないのか……という、残念さが半分。まあ、その服には鞘を付けるところないしね。という納得半分の様子である。
別に、戦闘に於いて鞘が絶対に必要である。とは思わないので、武器だけを受け取るのは不思議ではないが……。
無造作に片手で剣を掴み、切っ先を下に向けて、ぷらぷらと揺らしながら、白線に囲まれた訓練場の、その中央に向かおうとしているところを見ると……とても剣の扱いに長けているようには見えない。
「素振りとかしなくていいの?」
僕と同じで、気になったのか、アネモネはミナレットの背に声をかけた。
剣。と一口に言っても、種類は様々だ。
大剣とか、片手剣とか、刀とか。ぱっと思いつくだけでも、形状はもちろん、長さや重さは大きく異なっている。
これから戦うこいつが普段どんなものを使っているかは知らないが、借りた剣が普段のそれと一緒とは思えない。
けれど、返事は、不思議そうなものだった。
「素振り? それは、した方がいいのでしょうか?」
「え? ……いや、まあ、別にしなくてもいいけど……ほら、剣の使い勝手とか、確かめなくていいのかなぁ。って思って……」
どうやらアネモネはお節介な性格らしい。自分の剣を貸したりした事からも、面倒見の良さがわかる。けれども、心配された方は、そんな事どこ吹く風だった。
「剣は剣、ですよね?」
「そりゃあ、剣は剣だけど……あー、うん。そうだね。いや、しないなら、いいよ。全然問題無いから。どうぞ、ご自由に〜」
何か言いたそうだったが、アネモネはまた、速やかに思考を停止させて頷いた。
顔に張り付いている愛想笑いがもの悲しげだ。
話しが通じなさそうだから、もうこの話題は終わり! というのが見え見えである。
まあ、これに関しては、彼女を責める者など誰もいないだろう。
たぶん、ここにいる全員、このミナレットとは話しが合わないと思われる。
変わっている……のだろうか?
これまでの言動を観察した限りでは、天然な性格の、世間知らずのお嬢様……と思えなくもないが……本当のところは、わからない。
その人の本当のところなど、そう簡単にわかるはずないとは思うが、それでも、少しはこれまでの会話や、立ち振る舞いからわかるところがあっても良さそうだったのに……わからなかった。
掴みどころが無い。
読めない。
けれど、それでも、このままやるしかない。
きっと、殺し合えばわかる……だろう。たぶん。……いや、逆に、あっさりと殺してしまって、何もわからないままになる可能性もあるが……。
「準備が出来たら始めていいぞ〜」
のんびりとした隊長の声が、背後から聞こえた。
僕は色々と考えながらも、両手の手袋を外して、ベストのポケットにしまった。そして、右の掌から血の刀を伸ばし、殺し合いをする相手に向けた。
「……」
いつでもどうぞ。とは、声に出して言わなかった。
これから行うのは殺し合いだ。
わざわざ、礼儀正しく挨拶を交わしてから斬り合う事もない。
なので、所作で伝えた。
準備は出来た。
かかって来い。
これは、そういう合図だ。
それを、理解しているのか、いないのか、
「深い紅色……そちらも、綺麗な剣ですね」
正面に立つミナレットの呟きが、耳に入った。
この刀に対しての感想か。
これを見て、この敵を殺す為だけの武器を目にして、綺麗という言葉が出てくるなんて……。
やはり、こいつは、変だ。
どこがどうなのか、よくわからないが、何か、奇妙だ。
感覚的に、そう思った。
そう思った、瞬間、だった。
「えいっ」
剣が、刺さっていた。僕の体に。
胸部から、背中にかけて。
肋骨の隙間を抜けて。
心臓を貫いて。
真っ直ぐに。
一本の剣が、突き立っていた。
すぐ目の前には、彼女の顔があった。
そこには、何の感情を浮かんでいなかった。
怒りとか、哀しみとか、喜びとか、そういう心の動きが、一切表面に出ていなかった。
真顔に近かった。
人を刺す。という行為に、何も思うところはないようだった。
事後報告として「刺しましたよ」とでも言いそうだった。
でも、彼女は言わなかった。
静かだった。
「——」
僕も、声が出なかった。
驚きとか、疑問とか、そういう感情すら湧かなかった。
ちょっとした衝撃。
それに続いて、宙を舞った微量の血液。
僕は、それを目にして、
ごぼっ……と、せり上がった血が、口から溢れた音を聞いて、
そこでようやく、理解したのだ。
心臓を、貫かれた。という事を。




