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ふんふんふーん…ふんふんふーん…
ポカポカお日様気持ち良い-!
デッカイモグラ的なのが出るアニメの歌が鼻歌になってしまう程です(笑)
雪羅は鼻歌に合わせて進みます。
ク……クゥ………
!!!!ヤダッ!お腹鳴った!!!!
「お嬢様、そろそろ昼食のお時間ですから……それに、あれだけ魔法を使われたのですからお腹が空くのも当たり前です。」
なぬ?魔法を使うとお腹が空くの?………?……
違うな、お腹が空くって事はカロリー消費した証か?これは検証だぁっ!
いや、とりあえずは聞かねば!
「ベルゥ、どちてちゅくにょ?ちゃまんちたらちょなゆの?」
(ベル、どうして空くの?我慢したらどうなるの?)
「……運動いたしましたら、お腹が空くでしょう。それと同じです。我慢をするのは駄目ですね、我慢し過ぎるとやせ衰え死に至る事もあります。ですから、魔法を使う者は良く食べますし携帯してますね。」
ちょっと間があったけど、やはりカロリー消費するのか……気を付けよう……
「あい……ちをちゅけまちゅ……」
(はい……気を付けます……)
邸が近づいて来ました、がっ!庭師を初めとする使用人達の視線が痛いです!
邸の玄関につきました……無言で扉が開かれました。
緊張漲ってます……扉の向こうには真っ黒い笑顔のポールとエヴァンスがいます。
「お嬢様はこのままで。」
すたっとベルが飛び降りると、雪羅の前に立ち止まりました。
「お嬢様がテイムした魔物です。名をセツラと付けられました。また、サイズ変更が出来るとの事でお嬢様の警護にも良いと判断致します。どうか許可を。」
ベルありがとう!でも、ベルってメイドだよね?
………おや?ポールが近寄ってきた。
「ふむ、お嬢様の警護を兼ねている特殊メイドであるお前が判断したならば良いだろう。さすがにその大きさでは邸に入れる事は出来ないが、小さくなるならば問題も無いだろう。後は汚れだが…!」
「汚れに関してもですが、お嬢様が既に洗っております。魔法で4回洗われたとか。」
「ならば大丈夫か……だが、魔法とは……一体いつの間に……」
「私も気がつきませんでしたが、お嬢様が飛び出した時追い付きませんでした。」
「……!本当か?お前はB級冒険者の資格を取っていただろう……」
「はい。B級の私より強いと思われます。セツラ殿はA級の魔物です、それを何の躊躇いも無く攻撃・弱体化しテイムへと繋げていきましたから。」
「……そうか……旦那様にご報告せねば………」
2人のやり取りで、とりあえず怒られなさそうだなぁ………と、降りようかな?
ぺちぺちと雪羅を叩いて注意喚起です。
「ちぇちゅら、おいゆ。」
(雪羅、降りる。)
雪羅は直ぐさま伏せると、ゆっくり体を斜めにしました。
何てことでしょう、降りやすい態勢になりました。
ヨッコイセと足を地面に向けて………
「お嬢様、お転婆が過ぎますよ。」
声を掛けられると同時に体がヒョイッと持ち上げられそっと地面に降ろされました。
「エヴァンスゥ、ありあと……」
(エヴァンス、ありがとう……)
トテトテと雪羅の前に行き手を伸ばすと、雪羅はソッと鼻先を付けてきます。
「ちぇちゅら、キュイーン。」
(雪羅、クリーン。)
目の前にさっきより少ない毛玉がファサッと落ちてきました。
「ちぇちゅら、ちぃったくなっちぇ。」
(雪羅、小さくなって。)
特に音も無くグングン小さくなってきます。
成猫サイズ……もう少し……仔猫サイズ!
「ちぇちゅら!」
(雪羅!)
雪羅の体がビクンとしました。
「主様、これ位でよろしいか?」
「ちゃいちょうよ!」
(最高よ!)
襟巻きフワフワの仔猫サイズの白虎!しかも真っ白の翼付きとか堪らんとです!
そらもう、直ぐさま抱きしめ撫でまくりですよ!
「ちょ………ある………ま……」
「お嬢様!セツラ殿が!」
ん?グッタリしてます、やり過ぎました。
「ちょめんにゃの……」
(ゴメンなの……)
「なる程、その大きさならばお嬢様の近くに居ても大丈夫でしょう。」
近くにいたエヴァンスを見ると、真っ黒い笑顔のままです。
なんでしょう?不機嫌を笑顔で隠してるのかしら?
「ベルゥ、おなちゃちゅいたの。」
(ベル、お腹すいたの。)
ベルはニッコリ笑うと、ポールに向かうと
「今日の昼食は少し早めにして頂けますか?」
ナイス!ベル!私のお腹はペコペコよ!
「厨房に伝えておきましょう。それと、奥様と坊ちゃまにも。」
ポール……ありがとう……でも、あれだね……
お昼早くするから、その時家族に説明せえよって事ですよね……ショボーン。