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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
99/144

帝国内戦2

昨日もアップしています。


ここからしばらく、機動戦士ガンダム哀戦士編のような感じになります


めぐり合い宇宙そらへんになれるのだろうか?

惑星トレーダー

サナトリア統一連邦共和国の艦隊は2日間の休息と補給を終えて、出港の準備に追われていた。

「サヨリは、彼等と一緒に帰らないのか?」

見送りに来ていた第一皇太子のタケルヤマトは、横にいるサヨリに声をかけたが

「うん?帰らないわよ?なんで?」

「一緒に帰った方が、安全だろう?」

「安全は、どこに居ても同じようなもの。あなたがここにいるのに、離れたくないじゃない。」

「サヨリさん。」

タケルヤマトは、その言葉に嬉しくなったがさよりの

「それに、あっちに行くとみゅうちゃん(美由紀)に、溜まっている仕事させられそうで。」

と続く言葉に少し苦笑いした。

「とりあえず、クスノマサツグ司令官と第一連合艦隊の茶番劇で、最低2日の時間が取れる。その間に、サナトリア統一連邦共和国の方で受け入れ体制を作ってもらって、反抗戦を開始しないとね。」

「そうだな。」

「忙がしくなるなぁ。」

出港準備が終わったようで、サナトリア統一連邦共和国の艦隊が、トレーダーの港湾管理局との通信をして、その時旗艦から発光シグナルが10秒ほどしたあと、出港していった。

「お節介め」

顔が少し、上気したように赤くなっているサヨリを見て

「どうした?サヨリさん。」

「なんでもないわ。行っちゃったね。」

踵を返し、サヨリは歩き出した

(孝ちゃんめ!モールス信号で、お幸せに、あと自重しろ!って、まったく)

サヨリは少し照れながら展望デッキを後にした。


 2日後、アードリアン宙域から第一打撃艦隊及び第一機動艦隊の主力艦を中心とした連合艦隊が、惑星トレーダー沖に到着した。

惑星トレーダー駐在の第七辺境艦隊が出動して、睨み合いが始まった。


帝国首都

「まだ、第七辺境艦隊とは、連絡がつかんのか!」

アシヤは、イラつていた。

惑星トレーダーで、一触即発状態のまま睨みあっている第一連合艦隊と第七辺境艦隊は、まだ動きはないものの、こちらからの問い合わせには返答がなく、司令官のクスノマサツグを呼び出しするものの、本人が出ずに代理の者が対応。現状が掴めないでいた。

しかも、当のクスノマサツグ司令官が、

「派遣された救援部隊が、第一連合艦隊に刺激を与えて戦火が広がりをみせるのは、商都を預かる者として避けたい。」

との事で、救援部隊を断って帰還させてしまっている。


 ますます、惑星トレーダーの情報が入りにくくなり、対応しづらい状態だった。

それに加え定期的に飛んでくる偵察目的と思われる首都圏防衛艦隊からの探査波。

しかも戦力確認のためか、時折警備艦隊に向けて、数発の訓練用ミサイルを発射する事もあり、軽微ではあるが損害が発生していた。

 第一皇太子派の偵察部隊は、用意周到に船舶航路をランダムにジャンプアウトしたあと、

しばらくその場に留まり、来た航跡が逆追跡できないようにしてから、偵察して逃げる時も欺瞞ジャンプを繰り返し、小惑星を盾にしたりして、追跡されないように細心の注意を払っていた。


 哨戒艇が、敵艦隊が隠れていると思われる、小惑星をしらみ潰しに調査するが、手掛かりが掴めないでいた。

そのため、作戦を指揮しているアシヤの手元に来る報告書は、毎回同じような文書が書かれたものが来るようになる。

首都に潜伏していると思われる第一皇太子を捜索するものの、こちらもまったく手掛かりが掴めない。時折第一皇太子の識別信号が観測され急行してみても、空振りばかり。


「くっそ!このワシが、まるで遊ばれているみたいではないか!」

詳細な情報が集まらないため、アシヤ参謀長官は、作戦の全貌を決めかねていた。


 ゲッペル情報中将は、そんなアシヤの補佐をするべく、手持ちの手札をすべて切って、情報収集と情報の精査に勤しんでいた。



惑星トレーダー


 惑星トレーダーで行われている、タケルヤマト皇太子の反抗戦の会議は、クロダ宰相、クスノマサツグ司令官、第一打撃艦隊司令長官、第一機動艦隊司令長官、近衛艦隊司令長官、首都圏防衛艦隊総司令官と言った、添うそうたるメンバーが集まり行われた。

「首都を奪回しないことには、タケルヤマト皇太子殿を皇帝の座につけることは出来ない。」

これが、会議の総結論だった。

 そのため、第三皇太子が占拠している、帝都奪還が必須となる。


 こちらの戦力は、帝国最大の第一打撃艦隊及び第一機動艦隊をはじめ、辺境艦隊最強第七辺境艦隊が付き、近衛艦隊に首都圏防衛艦隊が周りを固める。

対する第三皇太子側の戦力は、第三打撃艦隊及び第二機動艦隊が中心となり、第三機動艦隊と第二打撃艦隊が補佐をする形を取っていた。

戦力的には互角、このままぶつかれば、どちらが勝つかわからない。普通は、ここから先は、勝利の女神がどちらに微笑むか?どうかなのだが、作戦会議では、活発な意見が出ない。

 原因は3つあった。

 その一つが、第三皇太子の側近で作戦参謀長官のアシヤドウチン、その副官を勤めるゲッペル情報中将。

 この二人が作戦指揮する戦いは、海賊討伐戦、内紛制圧作戦、全てにおいて過去に負け無し全勝。

しかも損失は軽微。ほぼ圧勝している。

 さらに、第一打撃艦隊及び第一機動艦隊の連合艦隊と第三打撃艦隊との、過去の軍事演習において、数で勝る第一連合艦隊が、一度も第三打撃艦隊に勝てないのであった。

その回数20戦全敗。

 心理的策謀を持って立てられるアシヤドウチンの作戦を、あらゆる情報を一瞬にて把握し、最適解に導く能力に長けている、ゲッペル情報中将がサポートするコンビの最強布陣。

さらに、作戦が破綻しかけても、天才的な用兵術をもって、あらゆる状況から逆転勝利に導くミツシサキリシア第三皇太子の天才的な用兵術。

おかげで第三打撃艦隊は、帝国最強艦隊との名を欲しいままにしていた。

そんな相手に、どう立ち向かうのか?作戦会議が息詰まる物になるのは当たり前だった。

 それともう一つの理由は、クスノマサツグトレーダー宙域司令官の存在

この会議に集まっているメンバーの中で、彼だけが第一皇太子派ではなく、第三皇太子派の重鎮と言っても過言ではない人物。

タケルヤマト第一皇太子殿下が、我々の味方と言っても信用が置けない。

 最後に、もっとも困惑させている原因は、タケルヤマト皇太子の横で絶えず、携帯端末をいじっている女性、サヨリだった。

なぜ、この場にいる?クスノマサツグ司令官とタケルヤマト皇太子以外は、不信な目でサヨリを見ていた。

皇太子の婚約者と言うことで、表立って非難する事に躊躇いがあるが、自重してほしいとクスノマサツグ司令官以外は思っていた。


 しかし現時点においてサヨリが、タケルヤマト皇太子を通じて指揮した撹乱作戦により、第三打撃艦隊が帝都に張り付いて、動けない状況を作り出すことに成功していることに、タケルヤマト皇太子とクスノマサツグ司令官以外は、気付いていなかった。

しかし、クスノマサツグ司令官もタケルヤマト皇太子も、この茶番劇が早々にバレると考えていた。

その事より気になるのは、第一連合艦隊がトレーダーに来る前に

「あたしに最低7日間の時間をちょうだい。とびっきりの首都奪還作戦考えるから。とりあえず、第一連合艦隊と第七辺境艦隊が睨みあって、一触即発状態を演出してちょうだい。首都にいる奴らが、クスノマサツグ司令官の身を心配するぐらいに。

 でも、ある程度はクッスン(クスノマサツグ司令官)がごまかしてくれても、このやり方だと、もって4日。最悪2日しかもたないと思うの。だからそれに加えて首都圏防衛艦隊と、近衛艦隊の足の速い船で、帝都上空をランダムに偵察もどきをしてもらえれば、プラス1日。第一連合艦隊が4日後撹乱ジャンプして、行き先をわからなくしてもらえればさらに1日は稼げる。これでも、1日足りないかぁ。」

と、伝えていてサヨリは、愛用の2In1PCに何かを計算させていて、その結果を待っているようだった。

「はぁ。この子(愛機)は高速なんだけど、こんな計算なんてもっと大型のスパコンにさせた方が早いんだけどなぁ。」

と言ったサヨリの言葉だった。



 緊迫の戦火を交えない、攻防戦を演じて、3日目。

 攻略会議は膠着状態のまま、何ら進展が無かったが、この日サヨリ宛に、サナトリア統一連邦共和国から待っていた連絡が入った。

『こちらの受け入れ準備、整いました。』

「やっとキター! クッスん(クスノマサツグ)第二フレーズに移行して!」

沈黙が支配していた会議室に響くサヨリの声。それに対し恭しく

「了解しました。サヨリ様。会議にお集まりの将校達に、これより首都奪還作戦の第二段階目をお知らせいたします。」

と、クスノマサツグ司令官が停滞していた会議の主導権を握って、今後の作戦の説明を始めた。

1つ 第一打撃艦隊及び第一機動艦隊の連合艦隊は、速やかに撹乱航法を用いて、友好国サナトリア統一連邦共和国に移動

サナトリア統一連邦共和国にて補給後、指示が有るまで待機

2つ 近衛艦隊は、追って指示する座標へ移動し、補給を受けたのち、速やかにタケルヤマト皇太子の領地へ移動。

領地にて防衛態勢の布陣を敷き、絶対防衛圏を形成し、第三打撃艦隊の攻撃に備える。

3つ 首都圏防衛艦隊は、現在も行っている撹乱作戦を継続しつつ、首星近郊のアステロイド地帯に移動し小隊規模にて、首都圏撹乱作戦を開始

ダミーで、首星に向かって上陸する振りをして、タケルヤマト皇太子が首都にいるように見せかけよ。

4つ タケルヤマト皇太子は、当面惑星トレーダーにて指揮を行う


 これらの計画を聞き、第一打撃艦隊の司令長官に第一機動艦隊の司令長官等が質問を始めた。

「我々の艦隊が、なぜ敵国のサナトリア統一連邦共和国に行かねばならない?」

「ここから、サナトリア統一連邦共和国迄は、どのくらい離れている?」

それに対しクスノマサツグ司令官が尊大な態度で

「移動する理由は、情報の撹乱及び、物資の補給と乗組員の休暇だ。移動距離は、最大戦速をもって片道10日ほど。」

それを聞き第一打撃艦隊コウシュ・ウガタ司令官が

「遠いな。補給ならば、アードリアンでも出来た。それをせず、ここトレーダー迄来たのには、タケルヤマト皇太子がここから、反攻の狼煙を上げ、卑劣な行いをした第三皇太子に正義の鉄鎚を……」

「はい、そこまで。会議では碌に話さないのに、鉄鎚ですか?ではお聞きします。それは、どうやって行うのですか?」

その言葉を遮り、サヨリが問うと

「お前!タケルヤマト皇太子の婚約者かも知れないが、戦いの何がわかると言う!素人は黙っとれ!」

「第一打撃艦隊司令長官!サヨリ様に、なんて無礼な!」

「何がサヨリ様だ!そもそもお前は、第三皇太子の配下だろうが!お前のいる前で、作戦会議したものなら、第三皇太子に筒抜けになるだろうが!この場で言えるものか!」

「彼は、我々の味方だと説明したはずだが?」

「タケルヤマト皇太子殿下。お言葉ですが、私は信用出来ません。クスノマサツグ司令官と言えば、第三皇太子の片腕とも称された人物です。その者が、タケルヤマト皇太子の味方にそう簡単になるものでしょうか?」

「ふん!この私が、タケルヤマト皇太子の軍門にいつ下ったと言った?仕方なしに、面倒を見てやってるだけよ。お言葉が無かったら、今すぐにでも、お前らの首を跳ねてやるわ!」

クスノマサツグ司令官は、敵意を隠そうともせず周りを睨み付けた。

「タケルヤマト皇太子殿下。やはり信用なりません。第三皇太子に作戦を漏らすつもりだったのだろうが!」

「ふん!そんなことをしてなんになる?」

「主君の第三皇太子に、媚を売るつもりだろうが。」

クスノマサツグは、冷たく

「勘違いしているようだな。我が主君は、ミツシサキリシア第三皇太子に非ず。」

言い放った。

「なんだと!ではタケルヤマト皇太子殿下か!」

「呆れて物も言えんな。このような男。消えてしまえば良い。」

タケルヤマト皇太子に、毒虫を見るかのような目で見て、周りの将校達が色めき立つが、気にもせずクスノマサツグは、

「我が主君は、サヨリ様ただ御一人。」

「えっ?」

周りが理解出来ない顔をするが、意に介せず

「そこの皇太子なんぞ、サヨリ様に頼まれなければ、主星プロキメテウスの炎で燃やしてやったわ。」

「クッスん、ちょっと静かにしようか?」

「いえ、サヨリ様。良い機会なので言わさせてもらいます。第七辺境艦隊とは、仮の名。正式には、サヨリ親衛艦隊だ。良く覚えておけ!」

クスノマサツグ司令官は、勝ち誇った顔をして良い放った。

サヨリは(いやいや、逆だよね?)と心の中で思っていたが

周りの将校達は、驚愕した。

サヨリは、あらぬ方を見て頬を掻いていた。

タケルヤマト皇太子は

「サヨリさん?貴女はここで何をしたのですか?」

と言ったが、若干心当たりがあった。

 最初にこの惑星トレーダーにて、行政官や各界のギルドの長達が、頭を垂れてサヨリを出迎えた事を思い出して、幸一が言った『彼女のダークサイドを見て引くなよ。』の言葉が、ここに来て現実味を帯びてくることに。


「ま、それはいいじゃない。」

サヨリは笑ってごまかした。(ごまかし切れてはいなかったが)

会議室の注目の的となったサヨリは、諦めて

「もう!クッスんがそんなこと言うから、あたしが説明しなきゃいけないじゃない。」

「申し訳ありません。」

クスノマサツグは、ものすごく恐縮して俯いてしまった。その姿を見て、再び会議に集まった各人の顔が驚きに染まった。

サヨリは、1回息を吐くと顔をあげ、会議室を見渡し、会議室のスクリーンに、これから行う作戦概要を映し出すと

「ま、いいか。ザクッと説明するね。とりあえず、第一連合艦隊の面々は、サナトリア統一連邦共和国に行ってちょうだい。向こうでは、あ~ちゃんと孝ちゃんがセッティングしてくれているから。そこで、補給と乗組員の休暇をしてちょうだい。レジャー施設のある場所に停泊予定だから、乗組員の英気養っておいてね。」

第一機動艦隊ガジョウ・イガラシ司令長官が

「ちょっと、質問してもいいか?」

「なに?」

「その、あ~ちゃんと孝ちゃんとは、どういう人物なのだ?」

それに対しタケルヤマト皇太子が

「私からその二人の説明をしよう。彼女の言うあ~ちゃんとは、サナトリア統一連邦共和国軍最高司令長官である、井上明美総合元帥で、孝ちゃんとは、サナトリア統一連邦共和国初代大統領サファイア女王の夫だ。」

それを聞き、一同驚愕した。隣国に、緊急時に救援要請できるようにしていたことに、タケルヤマト皇太子の先見性を感動していた。

「あの二人ならば、我々を無下にすることはないと、私が断言しよう。」

将校達は、安堵の表情をして、頷いていた。

「わかった?じゃ、次ね。近衛艦隊は皇太子の領地に行き、防衛衛星と共に鉄壁な防衛態勢をとって欲しいの。皇太子を断固として守っているぞ!って感じでね。相手が、皇太子が領地にいると確信してしまうような、振りをして欲しいの、わかった?」

「了解した。いかにも、領地内で反攻態勢を整えているかを、強調して見せよう。」

「それと、手持ちの駆逐艦隊に時々フランシスまで、食料や生活物資を買いに行って欲しいの。物は、こっちで手配しておくから。」

その言葉に

「なぜ、駆逐艦隊で物資の運搬を?輸送船を、使えば良いのでは?」

と聞いてさよりが、電子ペンを手で回しながら

「う~ん。それじゃ当たり前すぎて、悲壮感が出ないのよ。ここは演出が大事なのよねぇ。」

「悲壮感?・・・・・・ははぁん。そうですか!不足する食料を領民達に供給するために、敵陣を突破をして、強行輸送していると思わすのですな。」

「当たり!とりあえず、1年間は大丈夫なだけ食料品関係は、星系内の貯蔵庫に保管して有るからね。実際には食糧問題はないと思っていて。相手に対してパフォーマンスだから。この騒ぎは、あたしが遅くとも、1年以内に終わらすからね。ついでに、これ、持って行って。」

サヨリは、複数のデータチップを近衛艦隊司令長官に渡した。

「これは?」

「タケルが、演説している動画が、いろいろ入っているの。流すタイミングは指示するから、その画像データを領地から帝国中に配信してちょうだい。」

「ほう!まさに、タケルヤマト皇太子殿下が、領地から反攻態勢する事を裏付けできますな。なんでしたら、当方と地表とで暗号のやり取りでもしますかな?その方が、信憑性が高まるでしょうし。」

「話が早くて助かる。それもして!お願いいたします。出来たら、普通の日常会話も入れてくれたら最高なんだけど?」

「簡単なことですな。艦隊勤務とは言え、近衛艦隊は宮廷に巣食う魑魅魍魎と、相対しなければなりませんのでな。これしきの事なぞ、なんでもない。」

サヨリは親指を立てて

「見かけ通りのいい人ね!」

「褒め言葉と、とっておこうかのぉ」

好好爺然した近衛艦隊司令長官は、微笑んだ。

「首都圏防衛艦隊の方々は、今まで通りの行動をお願いします。ついでに回線25番で、タケルを呼び掛けてくれる?」

「どのような内容で?」

「何でもいいわ。天気の話でも、近況報告でも。」

「相手が勝手に暗号と思って解釈し、迷わさせるってことですね。面白そうだ。やりましょう!」

「たまに、地表から返信があるから、それにも適当に答えてね。」

「今まで辛酸を舐めさせられた、あの古狸と女狐にひと泡ふかせれそうで、面白そうですな。」

「あと、足りない物が有ったら、教えて。出来る限りの事はしてあげるから。補給は大丈夫?」

「補給の方は大丈夫です。まさか、民間の輸送船から貰うとは思いませんでしたが、十分な量を頂いています。特に酒保が充実して、乗組員には好評です。」

「良かった。あたしが動かせれるのは、民間の輸送会社だけだから。軍用品が良くわからなくて。希望する物が有ったら、伝えておくよ?」

しばらく考えて、少し顔を朱に染めて

「もし、許されるのならば、サヨリさんの写真をお願いできますでしょうか?」

「いいけど、何に使うの?オカズだったらいやだけど。」

その言葉に、クスノマサツグ司令官が殺意を込めた視線を向けると、慌てて

「そんなことはしません!ただ部下達に、どのような方が、我々を応援してくださってるかを、知らせてやりたいのです。」

「だったらいいよ!後でクッスんに厳選させたものを贈るね。」

「ありがとうございます!」

司令官の中では、最年少の首都圏防衛艦隊司令長官が嬉しそうに笑った。クスノマサツグ司令官は任せろと言わんばかりに、大きく頷いていた。

先ほどまで、行き詰まって停滞していた会議とは違い、活発な意見にスムーズに進む会議を見ていたタケルヤマト皇太子は、隣に座るクロダ宰相に

「クロダ。」

「なんだ?」

「俺の存在感が無いのだが。」

「だったら、もっと頑張れ。このままじゃ、女帝が誕生するぞ。」

クロダ宰相は、含み笑いを隠そうともせず、幼馴染みの皇太子を眺めた。

「タケル、お前見たことがあるか?あの宮廷内でシルバーフォックスと呼ばれている、曲者の近衛艦隊司令長官が楽しそうに笑う顔を。あの生真面目な首都圏防衛艦隊司令長官が、ハイティーンのように照れる姿とか」

「無いな。」

「言っちゃ悪いが、お前よりサヨリさんの方が1枚上手だ。軍事の事なぞ詳しくも無いはずだが、的確な指示をしている。」

「確かにな。」

「まっ、そう落ち込むな。これ程頼もしい内助の功はないぞ。」


「サヨリ殿、我々第一連合艦隊だけが蚊帳の外になって、休暇をもらうのは……」

「休暇じゃないよぉ。第一連合艦隊の皆さんは、どこに行ったかわからなくなって欲しいの。だから、こちらから連絡が有るまで待機してて。なんなら、暇潰しにサナトリア統一連邦共和国相手に、訓練でも演習でもいいから、やっといて。もちろん無線封鎖で。

だいたい帝国に居座っている奴らは、こちらの主力艦隊が見えなくなったら、どう思うかなぁ?」

いたずらっ子のような顔をして、サヨリが笑った。

「確かに、ミツシサキリシア第三皇太子の手持ちの艦隊で、帝国中を探し回るのは難しい。」

「だったら、天才軍師さんはどうするかなぁ?」

「我々の行方を探すために、あらゆる情報を分析して、我々の居場所を探すでしょう。それまでは迂闊に動かず、首都の守りに徹すると思われます。言ってはなんだが、我が帝国の首都圏は、難攻不落の天然の城壁で囲まれている。それでも奴らは、我々が攻めに行くしかないのもわかっている。」

「そうだね。どこに行ったかわからない主力艦隊、領地で鉄壁の守りを固めている近衛艦隊。帝国国内に潜伏している皇太子を救出するが如く、通信を行い近くの衛星ミズホステーションに、度々接近する首都圏防衛艦隊。反攻に備えて守りを固めると思うよねぇ。」

「守りを固めてしまわれると、帝都攻略は難しいですな。帝都は前面からしか進攻できませんから。」

「そうだな。帝都も守りに入ると鉄壁だからな」

「でも、あたしの予想は、動く。なぜなら彼らは、最新情報を欲している。どれが欺瞞でどれが正しい情報かを。でも、それを悟られないように本体の艦隊は、首都圏防衛態勢にシフトして、警戒レベルは最高に引き上げられる。だから艦隊本体ではなく、補助艦もしくは輸送船団で偵察部隊を編成して、首都圏防衛艦隊の真意を探り、そのまま、ここ、トレーダー迄来るね。きっと。もちろん、クスノマサツグ司令官を疑って探りを入れられるよ。ボロを出さないでね。」

「そうでしょうか?」

「アスランカ運送、セイウス貨物、クラフト急送。この3社の運送会社が来たら要注意。全て、ゲッペルの息がかかっているからね。すでにアスランカ運送の船が、トレーダに向かって出港したようだし、他の社も慌ただしく動くようよ。」

「サヨリ殿は、なぜわかるのですか?」

「猟師は、獲物より頭がよくなくちゃ、古狸と女狐は捕まえられないのよ。」

と言ってサヨリはニッコッと笑った。


 内容を熟知し情報共有した作戦会議が終わり、慌ただしく会議室から出て行く将校達。

それを眺め、氷の解けたソーダ水を飲み干してサヨリは、タケルヤマト第一皇太子を見て

「手札を撒いたし、こちらの計算結果も出たし、一発逆転の切札の用意でもしましょうか。」

と言ってニコッと笑った。


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