表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
95/144

帝国にて7

 第三皇太子のミツシサキリシアは、自分の邸宅で苛立ちを当たり散らしていた。

「あれだけ完璧に包囲しておきながら、逃げられましただと!いったい、どうやって脱出したんだ?」


 タケルヤマト皇太子の身柄を確保するために、部隊を館に強行突入させたが、皇太子及び近衛兵達を発見することが出来出来なかった。

 家屋を捜査したところ、会見の間の食器棚に血痕が有り、詳しく調べてみると食器棚上段扉の奥で、銃撃で負傷して逃げるのに力尽きて死亡したと思われる近衛兵を発見し、不審に思い トラップを警戒しながら死体を退けて見ると、逃走に使ったと思われる抜け穴を発見。


 すぐさま抜け穴らしき通路伝って屋根に上がり、隣の建屋に逃げれるルートを見つけ、隣の建屋に踏み込んで家宅捜査を入念に行ったにも拘らず、使用人と役人が数名居ただけで、皇太子はおろか近衛兵の1人も見付からなかった。


 敷地には、包囲部隊で完全に埋め尽くされて、姿を見られず逃走することは出来ない。この二つの建物には地下室が無く、抜け穴が隠されていた食器棚を破壊して調べても、屋根に通じる穴以外発見できなかった。


第三皇太子ミツシサキリシアがそれより怒りを爆発させていたのは、

「それより、どうして未だに居場所が特定出来ないんだ!生体チップを割り出せば、すぐに見つかるはずだろ!なぜ、見つからない!」


公安局自慢の帝国国民全てに施してある、生体チップによる個人識別システムによる追跡システムが、特定の人物、第一皇太子タケルヤマト及びクロダ宰相に対し全く機能してなかったのである。


「はっ!現在、公安局が総力を挙げて原因究明にあたっております。」

「公安局のサボタージュではないだろうな!」

「それに関して我々も疑いましたが、それはさすがに無さそうです。彼らも原因が解らずパニックになっておりました。タケルヤマト皇太子はまだ宇宙(そら)に上がっていないのであれば、原理的あり得ないと頭を抱えておりました。」

ミツシサキリシアは、別の部下に

「港の状況は!」

「我々が行動を起こしてから、発着した船は有りません。現在、全ての港に出港禁止令を出して閉鎖しております。港への道路も通行止めにしております。公共機関での乗り入れも禁止いたしました。」

「そのため、港湾ギルドと商業ギルドから、苦情が入っております。」

「無視しろ。」

「ミツシサキリシア皇太子殿下。サナトリア統一連邦共和国の弔問大使が、本国帰還の為に出国許可を申請してきておりますが、いかがいたしましょう?」

「却下しろ!説明を求められたら、皇帝殺しの重犯罪者の逃亡防止の為とでも言っておけ!」

「はっ!そう伝えます!」

「皇太子。そう焦らぬとも大丈夫ですじゃ。」

怒りを爆発させている皇太子に怯える側近達に対し、悠然とした態度で声をかける初老の男性

「アシヤか。そうは言え、気にならぬ方がおかしいであろう?」

この男、第三皇太子ミツシサキリシアの右腕とも言われる、アシヤドウザンだった。

「多少の計画の誤差に過ぎません。タケルヤマト皇太子は、この星からは出ることが出来ないのでありますからな。」

「確かにそうなのだが、何か見落としが有るのではないか?と思えてならんのだ」

「わたくしめの計画に、なんの見落としが?」

「それが、わからん。ただ、苦戦させられた過去の戦場で感じた、嫌な感じに近いものがな、拭い去れないのだ。」

「ふむぅ。大義を成し遂げる前の武者震いでは?」

「そうだと良いのだが。」

アシヤは、

「そう言えば、タケル殿が好意を示していた女性がおりましたな。確か、サヨリとかもうしたか?その者を捕らえて見てはいかがでしょう?お優しいタケル殿は、その女性の為に現れるやもしれません。」

「それはそうだな。おい!誰か、サヨリをここに連れてこい!」

第三皇太子ミツシサキリシアの命令で、何人かが部屋から駆け出して行った。


 しばらくすると、困惑した部下が帰って来てとんでもない報告をもたらした。


 タケルヤマト皇太子が好意に接していた、カキモトサヨリと言う女性が、3ヶ月以上自宅に戻らず行方不明になっていた。

 しかもタケルヤマト皇太子捜索とは違い、対象人物が3,000人を越え1人に特定出来ないとのこと。


「どういうことか!片や居場所が見つからず、片や同時に多数の反応とは!」

第三皇太子ミツシサキリシアは、激怒した。するとアシヤが

「ミツシサキリシア皇太子殿下、もしかしたら、サヨリとか申す女性に、第一皇太子ならびに近衛兵共がなりすましをしているのではないでしょうか?」

しばし考えて、

「それはあり得るな。表示することを消せたり、同一人物を多数表示することができるのであれば、なりすましは簡単なことだろ。サヨリの反応をしている者を全て捕らえよ!なりすましならば、すでに国の法を犯している。即刻捕縛せよ!」

第三皇太子の私兵と公安局職員総出で、サヨリカキモトを表示する人物を捕まえる為、主星全土に散った。 


「しかし、このサヨリとか申す女。どんな女なのだ?あの堅物のタケルを陥落させたのであろう?よほど良い女なのだろうなぁ。」

「それが良く解らないのです。」

ゲレッペリン情報中将が、困惑気味に電子ファイルをミツシサキリシアに渡して答えた。


 そこには、カキモトサヨリの顔写真と細かい経歴が表示されていた。

しかし、スリーサイズの表記どころか、身長体重の表記も無く、年齢の欄には推定の文字が。

「なんだこれは?」

「カキモトサヨリに関するデータを集めましても、訳が解らない事が多く、現在精査中です。特に現在の職業につきましては、3ヶ月前から休職中になっておりまして、先ほど連絡に有った行方不明時期と重なっております。」

「どう言うことだ?」

「休職中の職場に問い合わせても、急に休職届けを出して休んでいるそうです。申請期間は半年だそうです。」

「サヨリがいた職場は?」

「帝国歴史研究室と言う、室長と職員はサヨリ1人の公安局の閑職の部署です。そこでサヨリは、2年半前から臨時職員をしていたらしいです。」

「公安局で臨時職員?おかしくないか?」

「どうも、公安局が監視をする目的で、カキモトサヨリを雇っていた経緯があるようです。」

収入の欄を見て

「たいした給料じゃないな。」

「帝国の最低労働賃金ですから。住んでる住宅も公団住宅の一室で、1DK月三万圓の部屋で暮らしていたようです。」

「貧乏臭い女なのだろうなぁ。」

「近所の評判は良いです。職場でも評価は高いですけど、彼女は、移民者なので厚待遇の職場には付けないでいたようです。」

「そんな女が、どうやってタケルと知り合った?」

「彼女は過去に、所有している上級侍女の資格で、宮中晩餐会での臨時雇いの侍女をしておりますので、その時かと。」

「貴族階級の誰かに取り入って、贅沢したかったのだろう?たまたま、タケルの奴が引っかかったと言うわけか。そう美人ではないな。身体か?サイズが解らないが。」

顔写真だけのサヨリを見て、ミツシサキリシアそう考えたが

「あの堅物は、身体で近づく女は毛嫌いしておったな。情に訴えたか?しかしもう、この女、この世に居ないかもな。」

「どうして、そう思われます?」

ゲレッペリン情報中将が質問をすると

「あの完璧主義のクロダ宰相なら、こんな移民者の女が、タケルのそばに居ることを許さないだろう?密かに処分したところで、誰が困る?それに、今回は、ダミーとして活用できたのだから、万々歳だろう。」

「では、サヨリを捕まえるのは?」

「サヨリのなりすましは捕まえろ。ついでに、今回の暗殺の共犯者にしておけ。サヨリに関しては、残虐な殺され方をされた死体が見つかったとしろ。」

「わかりました。報道機関にそう流させます。」

第三皇太子は、ゲレッペリン情報中将に指示を出すと、作戦参謀の1人、モウリタカヨシに声をかけた。

「モウリ、お前に任せてあった、軍の掌握はどのくらい進んでいる?」

「申し訳ありません。全部隊で、現在掌握率40%を越えたところです。」

「予定より遅れておるな。どうしてだ?」

「はい!理由は、近衛艦隊を中心に40%ほどが反抗をしておりまして、タケルヤマト皇太子を確認できるまでは、現在の態度を変える気はないと言ってきております。」

「残りの20%は?」

「のらりくらりと返答をかわしておりまして、大勢が見極めるまで日和見するようです。」

「アシヤ、報道関係の制圧は終わったのであろう?」

「終わっております。すでにこの度のことは、第一皇太子と第二皇太子の謀略にて、皇帝閣下が亡くなったことをニュースにて大々的に放送しております。」

「これで世論を私に好意を持たせれば・・」

「ミツシサキリシア皇太子。そう上手くはいかないようです。」

「ゲレッペリン、どうしてだ?」

ゲレッペリン情報中将が、薄笑いをしながら

「アシヤ様の手腕を高く評価いたしますが、民衆の扇動はうまくないようですね。」

「なんだと!小娘が何を言いたい!」

アシヤは自分の娘ほどの歳のゲレッペリン情報中将の言葉が癪に障った

「報道でミツシサキリシア皇太子様の正当性を強く押し出しておりますが、世論は懐疑的です。こちらのデーターをご覧ください。」


空間スクリーンに、最新の世論調査の報告がグラフで表されていた。


「第三皇太子ミツシサキリシアを支持すると答えたのが、20%ほどしかありません。それに対しミツシサキリシア皇太子の暴走と思うと答えたのが、59%にも上ります。ネットワーク上の情報を精査したところ、一連の騒ぎはミツシサキリシア皇太子の謀略と信じられていて、国民はミツシサキリシア皇太子様をまったく信用しておりません。」 

データーを見せられた皇太子は、憤怒の表情をして

「これだから愚民は!」

皇太子は、執務机にあったグラスを手に取り壁に叩き付け粉々にした。

「ネットワーク上の情報管制をしなければ」

「何をおっしゃるアシヤ殿。そのような事をすれば、ますます国民は、皇太子の事を疑い、第一皇太子の味方に成りましょう。」

「ならば、貴殿はどうすれば良かったと?」

「さっさと、第一皇太子を殺害してでも、あの場で身柄の確保するべきだったと。」

「何を言うかと思えば、それこそ悪手ではないか!たとえ、逃走出来たとして、我が国の犯罪者追跡システムを使えば居場所の特定なぞ…」

アシヤが言いかけた言葉をゲレッペリンが遮り

「それこそ何をおっしゃる。現に追跡システムがマトモに作動しておりません。私も、このような事態に成るとは思いませんでしたが、これからどうされるのでありましょうか?時間が経てば経つほど第一皇太子に有利になるのでは?」

「第一皇太子が現れれば、その場で取り押さえればよいだけの事。」

「そもそもなぜ、あの場ですぐに突入しなかったのですか?」

ゲレッペリン情報中将が咎めるように問うと、アシヤが

「第一皇太子があそこで会っていた相手との、条約を締結を完了させるためだ。」

「あの場で国際条約が締結されていたと言うのですか?」

「そうだ。最近確認された、星間国家のサナトリア連邦共和国と言う、僻地の小国だがな。」

「そのような小国との条約が何か?」

「お前も知っておろう。鉱物資源の宝庫の宇宙の壁の事を。サナトリア統一連邦共和国は、そのすぐ近くにある国家なのだよ。何度か小競り合いがあったが、開発は我々よりも進んでいて、その国家から鉱物資源を安く購入する条約の締結だった。」

アシヤはそう言ったが

「そのような小国、我が国が侵略して全てを物にした方がいいのでは?」

とゲレッペリン情報中将が、まどろっこしいことをしている風に見ていた。


「短絡的な。そのような僻地の小国を侵略してどうする?本国から遠く、最寄りの駐屯地からでも片道2週間もかかる、戦線の維持のコストが考えたら、鉱物資源を安く買い叩いた方がいいに決まっておろうが。第一皇太子が結んだ条約とはいえ、国家間条約なのだから、我々が活用してもかまわないだろう。それにだ、友好国ならば、我が国の軍が寄港しても、おかしくはあるまい?サナトリア統一連邦共和国から補給を受けて、さらなる奥地に帝国の覇道を知らすための、都合の良い補給ポイントが出来たようなものだ。」

アシヤは、友好条約を盾に軍を無傷で常駐させる考えを持っていた。


 この時点で、アシヤもゲレッペリン情報中将、さらには第三皇太子のミツシサキリシアさえも、サナトリア統一連邦共和国が、辺境にある小国と思っていた。

通常ならば相手国の規模の情報が、この3人にも知られているはずだったが、タケルヤマト第一皇太子が陣頭指揮していたことと、彼らの情報収集組織の一部が、故意に歪めた情報しか流さなかったことが原因で、本来のサナトリア統一連邦共和国の規模が矮小されて届いていた。

 その為、3人にとってサナトリア統一連邦共和国は取るに足りないと思われていた。


「ま、確かにそうですね。第一皇太子は、そのような条約を締結してどうするつもりだったのでしょう?外交は第二皇太子ミコトスサノでしたよね。」

「皇帝になった時に、鉱物資源の安定供給したと発表し、皇帝の基盤を確実にするつもりだったのであろう。」

「それで、秘密裏に葬儀の弔問客に紛れて行ったと」

「ふん、我が情報網に掛かれば、そのような小細工、どうってことはない。条約に関わった大臣達が条約書類を持って退出したタイミングで、身柄拘束する段取りだった。」

「それが、逃げられた。」

「あのような抜け穴が隠されていたとは!」

「それと、追跡システムのトラブルと言うより、妨害できるとはね。」

「サヨリになりすましている連中を捕まえて、尋問すれば全て解決するだろう。」


しかし、サヨリを表示している人物が何処にもいない事に、呆然とする。


「どういうことか!サヨリを偽っている人物が存在しないとは!」

なりすましと思われる人物の逮捕に向かった捜査班が、なりすましをしている人物を捕まえる事が出来なかった。

理由は、システム上表示されている人物が、存在しないという事だった。

ある捜査班が踏み込んだ部屋に、男4人がいて確認してみると、四人ともなりすましではなく身分証明書通りの表示をしていて、再度調べて見ると、もう1人居なければいけない反応が有り、部屋を探しても見つからず、4人に尋問しても埒が明かず、部屋から全員退出しても、部屋に1人だけの反応が出たときは、幽霊が出た!と大騒ぎになった。

また別の捜査班が踏み込んだ場所は、誰もいないマンションの屋上だった。他には、高速道路の中央分離帯とか川の上、交番の中等多種多様な場所に反応があるが、その場所にはほぼ人の気配が無かった。

「凄腕のハッカーがいますね。」

ゲレッペリンが呟くと

「公安局のサーバーが、外部からコントロールされていると?」

「多分、サーバーに疑似情報を表示させているのでしょう。」

「早急に、サーバーメンテナンスと不審な痕跡がないか調べろ!」

「少し待って下さい。」

ゲレッペリンの制止を無視して、アシヤの命令で、公安局のサーバーが緊急メンテナンスに入った。

「これで、何か証拠のような物が出て来るといいのだが。」

アシヤがモニターを睨み付ける顔にため息を付きながら、ゲレッペリンが

「期待は薄いですね。ここまで用意周到な犯人が、証拠のような物を残すとは思えません。しかも、このタイミングでメンテナンスに入るとは、愚の骨頂。彼等に貴重な時間を与えることになると考えないのですか?このサーバーメンテナンスの終了予定時刻は?」

「5時間後を目安にしております。」

「アシヤ殿。最低5時間は全ての追跡システムが使えません。どうするおつもりですか?」

「ふん、知れたこと。サーバーログの解析をして、不審なアクセスの追跡。なりすましの…」

「何言っているのですか?」

ゲレッペリンはアシヤの対策方法を聞いて呆れ果てた。

「三下のハッカーならば、それで十分とは言えませんが、なんとかなるかもしれません。しかし、相手は、凄腕のハッカーです。そのような物を残すとは思えません。もし、残っていたとしたら…」

「不審なアクセスルートを見つけました!」

「よし!調べろ!」

「はっ!」

「調べてはダメ!」

ゲレッペリンが叫ぶが、すでに遅くオペレーターがキーを押していた。

その瞬間。サーバーがダウンした。

「何が起きた!報告しろ!」

焦ったアシヤが、状況を把握しようとするが、オペレーターからの連絡が来ない。

「だから言ったのに!凄腕のハッカーならば、わざとらしく不審な物を残して、トラップに誘導するに決まっています!今回のがいい例でしょう。誘導して自らの手でサーバーダウンさせるやり方です。その方がダメージが大きいですから。」

「何だと!」

「奴等は逃げるためには、何だってします。」

そこに、駆け足で何かを持って入室してきた私兵の1人が

「ご報告致します。ダミーのサヨリカキモトの原因が解りました。こちらになります。」

と、縦横10cm、厚み5cmほどの黒い箱を見せた。

「これは何か?」

アシヤが問うと

「発信器であります。」

と言って、箱の黒い蓋を外すと中かには、雑に組まれた電気回路の基板があった。

「位置情報があった場所を捜索したところ、この発信器を発見しまして、解析いたしましたら、サヨリカキモトの個人位置情報のみ発信しておりました。これにより、情報を攪乱させられたと思われます。」

「何だと!ソフト的にアタックされたのではなく、ハード的にだと!」

アシヤは糸が切れたように、椅子に崩れ落ちた。ゲレッペリンも目を見開きワナワナ震えていた。

「すでに、267個回収しております。現在、表示された場所全てに赴き撤去作業をしております。」

報告をし終えた私兵は、緊張感が異様に高まった室内の空気を読んで

「捜索に戻ります。」

と言って退出するのと入れ替わり別の私兵が入ってきて

「ご報告致します。帝都中央病院に銃創の近衛兵3名が、入院しており身柄を確保いたしました。」

「なに!どうやって脱出したか不明だった、近衛兵達か。」

「はい!脱出経路については尋問したところ、屋外にある下水道へ通じる通路を利用して、下水道本管から川に抜けて脱出したと供述認め、現場で捜索中の部隊に確認させたところ、カムフラージュされたマンホールを発見し、調べたところ供述通り敷地内から現在使用されてない下水道本管に抜けれまして、近くを流れる地竜川に出れる事が判明。川から侵入防止の金柵の鍵が破壊されていました。薬莢が落ちていましたので、銃にて破壊したようです。」

「第一皇太子は!」

「居りません。途中で別れたと。」

「クソ!地竜川周辺の警備態勢は!」

「基幹路線は、検問を実施中です。脇道はパトロールを実施しております。」

「アシヤにゲレッペリン。」

第三皇太子から声をかけられた二人は、膝を付き顔を伏せ

「はっ。」

「お前達の計画が、かなりおかしくなって来ておるようだが、大丈夫なのであろうな。」

「大丈夫であります。」

ゲレッペリン情報中将が、顔を上げ答えた。

「ほう。何が大丈夫か、教えてもらおう。」

「はい。現在、警察機関を緊急配備をして皇太子捜索をしております。まもなく皇太子の確保に繋がると思われます。」

「追跡システムが使えないこの状況でか?」

「はい。第一皇太子は、現況の打破を計るためには、城に戻るか近衛艦隊に連絡をとるより他には手段がありません。第一皇太子は城に戻るにしても防犯監視システムの為、街中では現在堂々と歩く事が出来ません。変装し追跡システムが使用出来ずとも、公共機関を使用する場合、確実に個人認証システムを使用しなければなりません。個人認証システムは現在監視中で、反応が有り次第最寄りの部隊が急行致します。」

「車で移動したらどうなる?」

「公用車は、すでに我々が押さえております。車の確保にレンタカーを使用すれば、個人認証システムに反応しますし、代わりの者に手配させたとして、検問を通過しなければなりません。」

「徒歩で逃げているとしたらどうなる?」

「徒歩の場合は、確かに検問所を越えることが出来るやもしれませんが、直線距離にして15km。護衛の近衛兵団を付けての行進は目立つ物となるでしょう。」

「タケルが、単独行動する事は?」

「近衛兵団長コンドウが、それを許すはずはありません。最低四人は護衛に付けます。着替える時間も無かった事でしょうし、近衛兵の軍服は目立ちます。」

「確かにな。艦隊との交信は?」

「大型通信機を備えている施設は、全て監視中です。公衆回線による呼び出しにつきましては、現在、惑星内のみ通話可能で、艦隊等の宇宙そらへの通話は止めております。」

しばらく第三皇太子は思案していたが

「城に上がるぞ」

と言い立ち上がった。

「なぜ、城に上がられるのですか?」

「勘だ。当初とはかなり状況が変化している。それもかなり悪い方にだ。ゲレッペリン、『覇者の勾玉』の確保は出来ているのか?」

「はい。現在宮廷仕官等に、宝物庫を開けさせております。まもなく見つかるものと思われます。」

「私も、宝物庫に向かう。『覇者の勾玉』が見つかり次第、皇帝になる即位の儀が行えるように手配しておけ。」

「はっ!かしこまりました。」

ゲレッペリン情報中将は、伝令を伝えるため、全速力で走り出した。

「アシヤ。最悪トレーダーまで下がる。手持ちの部隊で第一連合艦隊に勝てる戦略を考えておけ。わかったな。」

「仰せのとおり。」

第三皇太子は、堂々足る態度で自らの屋敷を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ