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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
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航海中の会話

最初の長距離ジャンプを無事に終えて、現在、機関チェックと亜空間航行用エネルギーチャージのため、通常空間航行中の重巡洋艦タートルエクスプレス

格納庫から4機の艦載機「瞬光」が引き出され宇宙空間に飛び出した。

瞬光の独特なフォルムを醸し出すX尾翼、主翼の先端に有る盾のような翼は、そのまま搭乗員の生存性を高める為だけに存在する装甲翼。

 テスト飛行のため武装はオプション無しの翼内パルスレーザー砲のみ

4機は最初のうちはフラフラとした安定感のない飛行をしていたが、徐々に安定感のある飛行に変わっていった。

しばらく各機は、自由に機体の感触を確かめるようにバラバラで飛行していたが、艦載機として重要な訓練の着艦と発艦訓練を開始した。

通常発艦して、艦体を右周りに1周して着艦、エンジンを一度切ってからの再起動、計器を読み上げチェック、カタパルトによる緊急発艦、艦体に対して操縦捍を引いての艦体をスパイラル飛行して着艦、また、エンジンを切ってからの再起動、通常発艦して左回りに1周して着艦、エンジン再起動してカタパルト緊急発艦、艦体に対して操縦捍を倒してのスパイラル飛行して着艦。

という訓練を4機は、三時間休み無くぶっ続けてから格納庫に帰ってきた。

「単純な訓練でしたから、疲れましたか?」

かめちゃんが、艦橋から帰ってきた4人に声をかけた。

「けっこう楽しかったよ。」

「タイムをもう少し縮めたいなぁ」

「も~、しんどい、疲れた!」

「………」

「明美に美由紀、2人共汗だくだろう。チャージが終わるまでまだ30分あるから、シャワーを浴びて着替えて来たら?」

幸一が艦長席から声をかけた

「そうさせてもらうわ。行こう、みゅう」

「ふぁ~い」

と言って2人は艦橋から自室へ向かった

「俺達も、着替えてくるわ。」

拓也と正も着替えに自室へ向かう

「でもみなさん。筋が良いですよ。最初はアシストしないと思っていましたけど、本当にどっかで訓練を受けていませんでしたか?シミュレーション機で練習したとはいえ、とても初めて乗ったと思えませんけど。」

かめちゃんが、幸一に感想を言った。

「まっ、あの4人はうちのメンバーの中で、体力と運動神経と反射神経が特にいいメンバーだからなぁ」

「そういう問題じゃないんでしょうけど、新兵なら二時間で根をあげる訓練ですよ。基礎訓練をしてない民間人が三時間、普通にこなされると本職がかわいそうと言うか、訓練量を上げないと駄目と言うか、」

「うちのクラブは、学校内ではハードな方ではないんだけど、体力勝負な方だからそこそこタフなメンバーが集まっているかもね。」

「実地サバイバルクラブでしたっけ?どういうクラブ活動していたんですか?」

「大したことしてないですよぉ。」

さよりがこたえた。

「山に登って山頂からパラグライダーで降りて来たり、島で魚釣りや木の実を食べて遊んだり、雪の中でキャンプしたり、別のクラブの人たちと、森の中で遊んだぐらいですよねぇ~。」

「普通のアウトドアのクラブですね。」

「さよりが言うと、うちは平和なクラブだよね。」

政史は苦笑いした

「えぇ~。私なにか間違って、かめちゃんに言った?」

「いや、間違ったことは伝えてないが、正しいことを伝えたわけでもないだろうが」

「正しいことって?なんですか?」

「いろいろあるけど、重要なのは、それはいつ、どこで?というところだなぁ。」

「山は、キリマンジャロの山頂から5人が持参したパラグライダーで下山して、2人がフライングスーツで下山したから、登山管理の人からめっちや怒られたし、かってに無人島に上陸して自給自足して1週間暮らして遊んだけど、雪の中でキャンプはしてない。あれは、冬の立山縦走途中で半分遭難仕掛かってただけ 。

 1つ間違えたら、大変な事になっていたんだけどね。吹雪の中丸一日さまよって、なんとか山小屋にたどり着いて、雪がひどくて苦労しましたけど、遭難なんかしていませんよって顔で山小屋に入って行って、山小屋の主人と笑い話にしていたけど。本当は、もうちょっとで遭難になるとこで救援を呼ぶかどうかで、みんなで相談していたはずなんだが、さよりは覚えてないのか?

他のクラブとの交流って、あれは学園名物クラブ予算争奪戦をしていただけだから」

「なんですか?予算争奪戦って」

「どのクラブも貰える年間予算金額は決まっているんだけど、学校側が特別に増額のお金を出してくれる企画?なんだけどなぁ、幸一」

「ルールが有って、1位から5位までのクラブに対して順位に応じた予算UPが認められるんだけど、今回は校舎全域を使ったバトルロイヤル方式による生き残りゲームで、200以上あるクラブに対して3日間戦い勝利せよ!、

って言う、学校は何考えてんだか」

「ま、うちらのクラブは、3位で10万円の予算がついたからよかったよな」

「なんかそう聞くと、スゴく危ないクラブにしか、思えませんね。」

「でも、うちの学校ではまだまだ上がいるから、うちのクラブはまだまだ、おとなしい方ですよ。」

幸一が手をパタパタ振りながら、かめちゃんに言った。

「砂漠での行動といい、なんか、普通の高校生に思えませんけど。」

「それを言われちゃうと、そもそもうちの学校自体、今の日本の学校制度から逸脱してるからなぁ。」

「学校が?」

「そうですねぇ、ちょっと変わったと言うかユニークな学校なんだ。」

「自前のスペースコロニーを持っているしねぇ~。」

「そういえば、ありましたね。」

地球の衛星軌道上で、火星に行く準備をしている時に、さらに上位軌道に数十基のスペースコロニーがあったことを記録していた。

「だからですか?地球を軌道上で見ても大騒ぎしなかったのは?」

「43年前に建設が始まって、現在33基のコロニーが運用中で、その内の1基が大阪自由学園 宇宙校なんだ。」

「なんか、スゴく巨大な学園ですねぇ。」

「ギネス記録に載ったぐらいだから、地球最大の学校なんだ。」

「私達は、大阪にある本校に在籍しているけど、年数回はクラブ活動や文化祭なんかで、宇宙校に行くから、地球を軌道上で見ることは慣れていたけど、さすがにまだ人類が火星に住んでいないので、火星の姿や外惑星を見たら、感動するわけよ。」

「月1ぐらいで、上にあがってたから地球は少し見慣れたんだけど、さすがに火星は初めて見たから、みんな、テンションが上がって大騒ぎしてしまったんだよねぇ。」

「さっき話していた予算争奪戦の舞台って、もしかしてその宇宙校でやったんですか?」

「そ、広すぎて対戦相手と遭遇できなかったチームもいたぐらいだから」


 7人の通う大阪自由学園は、地球の宇宙時代の幕開けを象徴するような学校であった。

大阪自由学園は太正二年開校した歴史のある私立学園で、その時代の最先端を切り開いてきた歴史を持ち、各方面の最先端を担う人材の育成に力を入れ、優秀な科学者、物理学者を多く輩出している学校としても有名であった。


 校風は自由を敬い権力を拒否する極端なことでも有名な学園である

「要するに、規格外な人間を大量に育て上げた学校ってことでいいのかしら?」

そう、かめちゃんは結論付けた。

「そう決めつけられても、反論できない自分がいる。」

幸一は苦笑いした。

着替えた4人が艦橋に戻ってきて、明美が

「なに、話してたの?」

「我が母校の素晴らしさについて」

と政史が答えた

「うちの学校が、おかしいのは今さらじゃない。開校以来の筋金入りなんだから。」

明美が、肩をすくめて言った

「それより、チャージ終わった?」

「終わっているよ。いつでもいけるぜ」

「次のジャンプ先の座標を入力終了。私の最長距離ジャンプを行います。各人シートに着席、亜空間突入のショックに備えてください。」

「動力システム異常無し。」

「航法システム異常無しよ。」

「えっと、レーダーと通信システム異常ありません。」

全ての機器異常がいない事の確認を聞いて、かめちゃん自身もセルフチェックして

「ジャンプします!」

少しの加速Gを感じて船は亜空間に突入していった。


「亜空間突入、各部門確認報告」

「主動力系、規定数値で推移。異常無し。」

「操船系統、異常無し。操舵は任して。」

「周辺走査結果、空間歪み、空間干渉は、共に計測されず。異常無し」

「艦の外装及び内装に、異常なし」

「亜空間安定航行開始、亜空間アウトまで48時間」

「ほんじゃ、飯にしようか?」

幸一がそう言って艦長席から離れた。それが合図だったように、

「そうね、艦載機で遊んだから、お腹すいちゃった。」

「かめちゃん、ご飯に行ってくるから、操船お願いね」

「はい、わかりました。」

かめちゃんもまた、食堂へ移動。8人は、食堂へ向かいだした拓哉が、明美とかめちゃんを見ながら

「しかし、操船を頼んだ人が頼まれた人と一緒に、食事をとるって何か不思議な感じだな」

「そうかもしれませんが、私はこの船の中枢AIで、この身体で操船する訳じゃないですから」

かめちゃんは、自分の体を指さして、にっこり笑いながら答えた


食堂では、各人好きな物を選んで、食べながらこれからの予定の打合せ。

日程的には、地球でのドタバタが響いて、かなりタイトなスケジュールになってはいるが、戦闘中での行動でも無い分、オンスケジュールで進めることが見込まれているので、ギリギリ始業式には間に合う予定な事がわかり、全員ホッとした。

「でさぁ、かめちゃん。ここに搭載されている艦載機『瞬光』なんだけど、あれって、初心者用?」

拓哉が、食後のコーヒーを飲みながら、かめちゃんに質問した。

「今はわかりませんが、私が眠りにつくまでは、最新鋭機でしたよ。どうしてそう思います?」

「なんだろ?無難な造りをしている感じで、特にパイロットの人命優先設計が、ありありとしている戦闘機ってどうなんだろう?」

「そうよねぇ。そもそもあの装甲翼って何?視界が狭くて邪魔なんですけど」

「上下左右のステップを踏むような操縦は小気味よいんだけど、ターンやループでは緩慢と言うか、動作が鈍い」

「みなさん、本当に初心者ですか?」

かめちゃんは、苦笑いした。

(この子達どんな教育を受けてきたのかしら?あの短時間で機体の特徴を言い当てるなんて)

「確かに、あの機体は人命優先で、ひたすら頑丈に作られています。

理由は、私が造られた時代、敵対していた非生命体との戦いで、優秀な乗員の消耗を防ぐためと言われています。

 非生命体との初戦のころは、艦艇や艦載機の乗員の90%以上が中堅、ベテランと言われる乗員が活躍して、さまざまな戦果を挙げて、敵を圧倒していましたが、敵もどんどん強化改良されてきて、開戦から7年目には、ベテランと言われる乗員は全体の2%ぐらいで、中堅乗員まで含めても全体の15%に過ぎなかったと思います。

 作戦総統本部は、戦いが長期戦の模様を帯びてきてベテラン乗員の消耗が多くなると、特に中堅以上の戦闘機や機動兵器の乗員急遽、各基地の要請を無視して、その人達を前線から引き揚げさせて、教官として新人の養成に充てて、乗員の数を増やしたのですが、所詮新人なので前線に送ると連敗し続け、乗員も生き残れない悲惨な状態が続き、機体に生存性能を求めたのが、この『瞬光』の一つ前の機体の『閃光』と言う機体です。

 生き残りさえできれば、逃げ方も覚え敵に攻撃もできる。という設計思考の元、作成された機体です。そのおかげか、人員消耗率が劇的に減り、反撃に移ることができ、敵に対して同等か若干優位に戦闘ができるようになり、そこで満を持して作製されたのが

『瞬光』と言う機体なのです。『瞬光』は機体の強度をさらに上げ、武装も強化、オプション兵器の充実と相まって、私が参戦した、たぶん最後の大規模大戦時では、乗員の熟練度も上がりほぼ無敵状態の機体でした」

かめちゃんは淡々と、戦闘の歴史を語った

「どのぐらいの人が戦争の犠牲になったの?」

「軍人関係で約183億人 民間人で約5203億人の命が無くなったと言われています」

非生命体の敵は、軍人、民間人と言う区別なく生命をもった者に対して、徹底的に殲滅する、という相手だったため、話し合いが持てず和平の方法がなく、生か死かの選択しかない戦場は熾烈で過酷なものとなり、総力を挙げて戦わなければ生き残れない戦争へとなっていったという

「幸いなことは、政府が戦場になりそうな星系から、いち早く民間人を他星系に疎開させたおかげで、まだこの人数でおさまっているんですよ。疎開させてなかったら、この数の数百倍の民間人の命が無くなっていると言われました」

「その非生命体って、機械か何かなの?」

「いえ違います。機械も機械生命体と言いますから、非生命体とは、生命反応がなくエネルギー摂取を行わずに破壊活動をする物の総称です。」

「エネルギー摂取しないってことは、どうやって動いているの?」

「それも、わからないです。撃破する事は出来るのですが、撃破すると四散して消滅してしまい、サンプルも取れないので、どうゆう構造かもわからずじまいで。

 多くの犠牲を払ってわかった事は、コア有りとコア無しの2種類がいて、コア有りからコア無しに指令が送られている事がわかったことです。

 それから、コア有りを撃破すると、そのコア有りから指令を受けていたコア無しも四散する事です。その事から、コア有りがコア無しを生産していることもわかり、コア無しをどれだけ撃破しても

意味がなく、さらにコア有りも上位のコア有りから、分裂して増えていることもわかり、

最上位のマザーコアを撃破しない事には、戦いが終わらない事に気づき、やっとの思いで私が見つけたマザーコアを、銀河民主共和帝国軍総力を挙げて撃破して平和を勝ち取ったのです!

・・・・たぶん」

「「「「「たぶん??」」」」」

「はい、私が旗艦だった艦隊が、マザーコアを発見したので最終戦の口火を切ったのは間違いないのですけど、私の艦隊の損傷が激しく、本隊が到着して総力戦が始まる時には、帰還命令が出ていて戦線離脱する時に事故に遭って眠りについたので、結果がわからないのですよ。

まぁ、1万年後も人類がいるようなので、成功したのかな?って、思いますが」

テヘぺろ、って舌を出して微笑む かめちゃんでした。

「はぁ~最後が気になるなぁ」

幸一がため息と共に

「続きは帝星でってか!」

拓哉がうなった

「でも気になることが一つあるわ。どうして戦闘機の名前が日本語の漢字なの?」

明美が指摘すると

「確かに閃光、瞬光、まるで大東亜戦争時代の旧日本帝国空軍の機体の名前みたいだな」

正の言葉に

「えっ!日本語ってなんですか?」

とかめちゃんが驚いたような声を上げる

「日本語って、今しゃべっている言葉や、この文字の事だよ。かめちゃん使ってて気付かなかったの?」

「いえいえ、私が使っている言葉やこの文字は、銀河共通言語ですけど?

だから、皆さんが銀河民主共和帝国の末裔と思ったのですけど?違うのですか?」

「「「「なんで!!」」」」」

「いやいや、地球で国が変わったら言葉が違ったでしょ?」

「あれは、後から入植した人達がまだ言葉になれてなくて、簡易言語しか話せないので、隔離されていると思っていましたが」

7人は絶句した

「銀河共通言語にも地球で使われている、26文字や最大組合せで11172文字の言語が有りますけど、日常では使用はされていません。デザインや名残で文字コードに残っているぐらいですよ」

なにも言えない6人

「でもぉ~。ラッキーだったね、みんな。」

さよりが、にこにことしていた。

「さより、何がラッキーなんだ?」

幸一が聞くと、

「だって、宇宙語を覚えなくても、日本語がそのまま通じるってことでしょ?」

「確かにそうだな。銀河共通語イコール日本語ならば言葉の壁も無いからな」

「かめちゃんの国に行っても、通じるってことはお買い物に苦労はしないから、お土産が買えるね。」

「まさか通貨は、円じゃないだろうね」

「よくわかりましたね。その通りです。」

と言ってかめちゃんは、帝国で使用されている通貨を見せてくれた。

1円,5円,10円,50円,100円までが硬貨状で、

1,000円、5,000円、10,000円、50,000円、100,000円が紙幣状だった

当たり前だが、日本のとはかなりデザインが違っていて、カラフルだった。

素材は、硬貨も紙幣も同じ素材、ヒロロ樹脂という物質で出来ており、全ての硬貨紙幣には認証チップが入っており、偽物を作成することができないようになっているらしい。

「もう笑うしかないなぁ」

幸一があきらめ顔で

「銀河の謎の歴史を探る旅になりそう」

明美が遠い眼をした

「広い銀河で、偶然の一致なのか。」

正が頭を抱え

「それとも、かめちゃんが未来から来たとか?」

政史が首をひねる

「なんか、銀河が広いのか?未来は明るいのか?過去はすごかったのか?わかんなくなったわ。」

美由紀がうずくまった

「それでも行くしかないか」

拓哉がつぶやき

「たのしみだね!」

さよりがニコニコした

なんか、いろいろ伏線ポイですが、忘れて行きましょう!!

次は、2週間後にアップできたらうれしいなってことで

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