王国(サファイヤ)の悩み
昨日も投稿してます(珍しく(^-^;d)
サファイア王女が留学先の地球政府から帰国後の働きは、目覚ましいものだった。
それまでは、他の王族に比べ、世間知らずの可愛いだけのお飾り姫だったのだが、留学から帰国後は、人が変わったように積極的に内政に参加して、溜まっていた案件を独自の手法で次々と片付けていき、特に戦後衰退していた経済については、瞬く間に王国史上最高と呼ばれる繁栄を築いた。
母親でもある女王マーガレット・クディオールは、王国をかっての輝いを再建させるにはサファイア王女しかあり得ない、とサファイア王女が留学から帰国後1年後に王位を譲り、国家の未来を託したのであった。
王位を譲り受け国家の全権を掌握したサファイア女王は、水を得た魚のように次々と国内の改革を推し進めていった。
それを支援したのが、姉であるマーベリスト・クディオール第一王女であった。もともと、次期女王として行政力に長けていたマーベリスト第一王女は、妹のサファイヤの足りない王室や貴族間での調整や根回しに説得と言った、裏方の仕事を喜んで引き受けて、妹の改革を後押しした。
しかし時には性急な改革の速度に付いていけない貴族達に反感を買い、数回クーデターを仕掛けられ、何回か命の危機に直面するものの
兄で国防大臣でもある、サナトリア王国軍総司令官ワーク・クディオールの働きによって、逆に国内の膿みの一掃になった。
サファイア女王の改革は、サナトリア王国だけに止まらず、先の大戦で敵国でもあったローレン、バニーニ連邦をも巻き込み、次々と改革を推し進めていた。
そのお陰か、サナトリア王国、ローレン連邦国、バニーニ星系連合国家群の3か国は先の大戦の傷も癒えて、ほぼ大戦前の賑わいを取り戻し、人々に明るい笑顔が戻って来ていた。
しかもサファイア女王として、3か国だけでなく周辺国家との外交も積極的行い、それと同時に推し進めていた『国境無き経済政策』が実を結び、統一貨幣、統一言語による大国3か国併合を成し遂げ、周辺国家をも巻き込み戦争による武力併合ではなく、各国対等での国家併合を成し遂げ、民意による初代総統にサファイア女王が就任することが、各国の議会にて承認されたのである。
サファイア女王が初代総統として最初の公務となる、新国家宣言の準備が国家総力挙げて進められて、1ヶ月後に迫った本番に向けて施設関係者は最終確認、警備関係者は今一度警備体勢の確認、行事に色を添えるオーケストラにパフォーマァは、入念なリハーサルに明け暮れていた。
そしてこの日、王族しか入港出来ない旧サナトリア王国第1埠頭に、見慣れない1隻の軍艦が静かに、だが港湾職員の全ての目が集中する中入港してきた。
カテゴリー5(港湾システムによるフルオート躁船接岸)による入港が一般的の中、今時カテゴリー1(手動躁船、港湾アシスト無し)での入港する艦艇は珍しいうえに、軍艦らしく艦首を港出口に向け後進入港してきたのである。
入港管制官達も入港躁船を見つめていた。
「あの艦を躁船してる奴はなかなかな腕前だな。ブレが無い。」
サナトリア王国軍上がりの管制官が、感心した様子で接岸作業を見ていた。
「課長。完璧で綺麗な接岸ですね。本当に手動躁船なのでしょうか?」
「流石と言うべきだな。サファイア女王様の御友人の乗船艦だけあるな。優秀なスタッフがいるのだろな。」
「接岸完了。」
政史は、そう言ってから躁船桿から手を離し
「ユーハブ・コントロール!」
かめちゃんが
「アイハブ・コントロール」
これにより、手動躁船から自動(?)躁船に切り替わった。
「相変わらず、凄い躁船技術ですねぇ。私が躁船するより的確なのが悔しいです。」
かめちゃんが政史に拗ねた顔で言うが幸一が
「そんな事ないだろう?かめちゃんって船体は、自分の身体でしょ?」
呆れた声を出すが
「そうですけど、なんか悔しいです。」
と、政史を睨んでいた。政史は、そんなかめちゃんに笑いかけ
「俺も、今回の入港は久しぶり気合いを入れたからな。サファイアちゃんの目の前で不様な姿を見せられないからね。サファイアちゃんも、自分の部下に俺達を誇りたいだろうしねぇ。でも、停船位置が少しズレたんだよなぁ。」
そう言って、船外モニターの画像をアップさせると、停船位置を示すマークから5センチズレていた。かめちゃんが、ちょっと胸を張り
「私なら、あと2センチは、寄せれましたね。」
「そう言うことだ。早く下船しないと、サファイア女王様が怒鳴り込んで来そうだぞ。」
と言って、迎えに来たであろうサファイアの顔をモニターに映した。
そこには、護衛以外の取り巻きも引き連れたサファイアちゃんが、待ちわびてソワソワしながらも、取り巻きには、女王としての威厳を出しながら体面を保とうしている姿があった。
「それじゃ、行くか。」
サファイアは、ギリギリ女王として体面を保ちながら、今や遅しと扉が開くのを待ちわびていた。
出迎えのデッキの扉が開き、サファイアにとって懐かしいメンバーが現れた。
先頭は、白のタキシードを着た幸一で、続いて明美と拓哉が軍服の第1種礼装に身をかため、その後ろに政史と正が黒の礼服で現れ、さよりがパステルカラーのピンクのドレス、美由紀がエメラルドブルーのドレスを着て、最後に黒を基調としたゴシックタイプのメイド服のかめちゃんが続き、サファイアに向かって笑顔で歩いてくる。
サファイヤは走って思いっきり抱きつきたい衝動を抑え、女王らしく悠然とした立ち姿で出迎えた。
幸一がサファイアの前まで来ると、
「この度は、お招きいただき、ありがとございます。」
と言って片膝をついて頭を垂れた。そして姿勢を正すと今度はサファイヤが
「来てくださいまして、ありがとうございます」
片膝をついて頭を垂れ、訪問の御礼を述べた。
さすがにこの姿には、護衛騎士以下取り巻きの人は、驚いて
「サファイヤ女王様!そのような格好をすべきでは・・・」
サファイヤは姿勢を戻すと、振り返り
「何を申すのですか!この国に繁栄をもたらす切っ掛けを与えて下さった、妾の師匠ですよ。」
と、後ろに並ぶ重鎮と思われる人たちに、小言を言いだした。その言葉を聞き、幸一達は顔を見合わせて苦笑するしかなかった。
「サファイヤちゃん、そのぐらいにしてあげたら?その人達にも立場ってものがあるのだからね。」
美由紀が、叱咤されている人達に助け舟を出した。
「すいません。美由紀さん。御見苦しいところをお見せしました。」
と頭を下げるサファイヤだったが幸一が
「サファイヤちゃん。女王になったんだから、そう簡単には頭を下げないの。教えたでしょ?」
サファイヤ女王はハッとした顔になり、
「皆様にお会いして、忘れておりました。肩書きってめんどうなものですね。」
と言って苦笑いの表情をした。
「で、サファイヤちゃん。これからの予定ってどうなってるの?」
さよりが声をかけると、サファイヤの女王の横に控えていた執事らしきおじさんが
「この後、皆様には王宮の迎賓室にご案内いたしまして、晩餐会までしばし長旅のお疲れを癒していただきます。」
と言ったので、
「晩餐会まではどのぐらいの時間?」
明美が質問すると
「約5時間ほどでしょうか?」
「ゆっくり休めるね。拓哉」
と言って拓哉を見つめる。その姿を見てサファイヤは
「御二人は結婚なされたのですか?」
「そうなんだよ。この二人やっと結婚したんだよ。サファイヤちゃんも好い人できた?」
さよりがそう答えると、少し暗い顔をして、
「いえまだ私は。母国を復興させないといけませんし。」
「あっ、なんかごめんねぇ」
さよりがぺこりと頭を下げると、サファイヤが首を横に振って
「さよりさん、いいんですよそんなことは。このあと少し私は公務が有りますので失礼しますが、それが終わった後、晩餐会までの時間、皆様と少しお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?」
「別にいいぞ。」
幸一が返答すると、
「それでは、後でお部屋にお伺いいたしますね。」
と言って、その場から立ち去って行った。
残ったのは、幸一達と案内係の侍女が2人
「何かあったのかな?」
迎賓室に案内された幸一達は、室内で思い思いに寛いでいた。
そこへ、公務を終えたサファイア女王が、侍女と護衛を連れて幸一達の元にやって来た。
室内に入り扉が閉まると、それまでの女王然していた態度をかなぐり捨て、女子高生のような口調で
「あぁ疲れたぁ。聞いてくださいよ、みなさん。」
と言って、近くにあったソファーに、どかっと沈み込むように座った。その態度にその場にいた侍女と護衛は、驚いて目を白黒したが、幸一達は
「お疲れ様。女王様」
と言って含み笑いするだけだった
「本当に、お疲れ様ですよ。やっと体勢が整って来たと言うのに、うちの重鎮の半分は使えないんですよ。」
サファイア女王が着席したので、部屋付きの侍女が良い香りの紅茶を淹れてテーブルに置くが
「ゴメン、濃い目の珈琲にしてくれる?マグカップで多めにお願い。ブラックでいいから。」
と言って、交換を頼むと侍女はお辞儀をしてカップを片付け奥へと戻って行った。しばらくすると、銀のお盆に大きめなマグカップを乗せて戻って来た。
侍女は、改めてサファイアの前に珈琲に満たされたマグカップを置きお辞儀をして部屋の奥に戻って行った。
サファイアは、マグカップを手にとって香りを楽しんで一口飲むと、大きなため息をついた。
「どうしたの?サファイアちゃん。ため息なんかついて、公務が忙しくてお疲れモードなの?」
「聞いてくださいよ。美由紀さん!どんだけ取り巻きがうるさいか!」
と言って、サファイアは愚痴を語り出した。これには幸一達も苦笑するしかなかった。
しばらく幸一達に愚痴を聞いてもらってスッキリしたのか、サファイアの顔から疲れた感じがなくなっていた。
そこには、年齢にふさわしい笑顔をした、女の子がいた。
しばらくお互いの近況を話したり、明美と拓哉の驚愕の新婚生活を聞いて、全員がドン引きになったりしてるうちに、晩餐会の時刻が近づいて来た。
それに気づいたサファイアが、ほんの一瞬、苦悶の表情をしたが、何事もなかったように皆と会話を楽しんでいたが、
「で、サファイアちゃん。まだ、困ってる事があるんじゃないの?」
と、さよりがポッキーをくわえながら聞いてきた。
「えっ!なに言ってるんですか、さよりさん。」
「だったらいいけど、女王様してたら言えないことも、二つぐらいあるよねぇ。」
と言って含み笑いをして、大福もちを口に入れた。
「はぁ~」
と大きなため息をついてサファイアは
「さよりさんには、隠し事できませんね。どうしてわかったのですか?」
「サファイアちゃん、わかりやすいもん。微表情や手先の動きに言葉選びで、丸わかりだよぉ。ね、みんな。」
と言ったが、幸一が首を横に振りながら
「いやいや、そんな事わかるのは、お前だけだよ。」
その言葉に皆うなずき、美由紀が
「さより、私達がわかるのは、さっきの一瞬見せた苦悶の表情だけだよ。もうすぐ晩餐会だから、こんなバカ話出来る時間が終わると思って、辛いのかな?って思ったぐらいだから。」
「そうそう」
全員にと頷かれ、自分の感情コントロールに自信のあったサファイアは、地味に傷付いていた。
「サファイアちゃん、なんか困ってる事があったら、言ってくれるかな?俺達で出来る事なら、喜んで手伝いするからさ。」
と幸一に言われて、
「ありがとございます。後でご相談しようと思っていたのですが、さよりさんの指摘通り大きく二つありまして、一つは新たに発見した星系国家との外交問題が起こりまして、少し大きな問題に成りそうなので、出来れば回避する方法がないのだろうか?と言った事と、もう一つは……」
と言いかけて、俯いてしまった。美由紀が
「どうしたの?」
とサファイアの肩に手を置いて訊ねると、サファイアは覚悟を決めた顔付きになり、幸一に向かい目をあわせて
「幸一さん!この私と、結婚してください!!」
と言い切った。
その場にいた全員、
「「「「「「「「えっ~!!!!!」」」」」」




