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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
74/144

それぞれ

 小包の中から出てきた招待状を、しげしげ見ていた幸一は手紙を確認した。

「しかし、この小包どうやってここまで届いたんだ?」

恒星間郵便網に、この時代の地球は組み込まれていない。

「どうしたのかなぁ?サファイアちゃんから招待状が届くなんて。」

さよりは、かめちゃんから渡された、招待状と同封されていた手紙には、達筆な日本語で


『皆さん、お元気ですか?

私は王族の一員として、毎日忙しくさせていただいています。

 私は、皆さんからお教え頂いた事を活用させて頂き、我が国だけでなくローレン連邦、バニーニ共和国共々順調に復興しております。

 私が帰国後、まだありました戦後の混乱も終わりを告げ、瓦礫だらけだった町が徐々にですが、戦前のような美しい町並みが戻ってまいりました。

三ヵ国共に経済的にも安定して、各国の失業率も年々低下してきて、食料自給率も向上し、

各国とも人々にゆとりが芽生え、出生率も伸びてきております。

このままいけば、戦前の人口水準に戻ることも、そう遠くないと思えます。

 各国間の貿易が戦前よりも盛んになり、既知宙域だけではなく外宙域へ資源及び販路を求め、

探査商船団が毎年のように出港し、成果を上げて帰港します。

 最近のビックニュースとしては、我が国と同じく恒星間航行を獲得している星系国家と、

探査商船団が邂逅に成功して、現在外交通商条約の締結の準備を進めております

 将来を見据えこの度、各国共通標準語と貨幣単位を統一し、政治編成を改変することにより、サナトリア王国、ローレン連邦、バニーニ共和国の3ヵ国と周辺13諸国を統一することになり、

選挙の結果、恥ずかしながら、(わたくし)サファイヤが、サナトリア統一連邦共和国初代大統領に就任することが決まりました。

 つきましては、来たる統一歴853年13月1日に国家挙げての、統一国家初代大統領就任祝賀パーティー及び戦後復興祝賀パーティーを開催いたします。

皆さんに参加していただきたく、招待状を贈らさせて頂きました。

是非とも参加お願いします。


追伸

3年待ちました。なぜ来てくれないのですか?私頑張ったんですよ。 ご褒美ください!待ってます(^-^)


追伸プラスα

この小包は、星図座標指定チャーター便で発送しました。

これでちゃんと届くようになりました(^^)v』


と、書かれていた。


「星図座標指定チャーター便でって。これって無人配送機の事だろう?星図座標を入力したら、自動的にその座標に飛んで行き、到着したら荷物を放出するシステムだろう。この住所までよくたどり着けたなぁ」

正が感心したようにつぶやいた。

美由紀が、消印を見て

「消印からすると アメリカ、カリフォルニア州の郵便局から届いているから、地球に着陸したチャーター便がよくわからないから、着陸した現地の郵便局に丸投げした?」

「だとしても、凄いね。一方通行だけど、5000万光年以上離れた場所から荷物が届くんだよ!」

ある意味、サナトリア王国のインフラが整い、配送位なら未知の場所でも、座標さえわかれば物を送ることは問題がない事がわかった。


「かめちゃん。これってパーティーの招待状だよね?」

さよりは、開封して入っていたカードを取り出して、かめちゃんに聞くと、

「そうでしょうね。王家の紋章入りです。正式な招待状ですよ。」

さよりの持っていた手紙を幸一が取り内容を確認すると、頭をかきながら

「そういや約束を忘れてたなぁ。行かなあかんやろうなぁ。」

「確かに、忘れてたわねぇ。戦後の片付けが終わったら遊びに行くって事を」

二人の言葉を聞きさよりが悲しそうな顔をして

「えっ、幸一に美由紀。忘れてたの!ひどくない?サファイアちゃん泣いちゃうよ。」

言ったが、正に

「そう言うさよりは、覚えてたのか?」

と指摘されたさよりは、正の視線を外しながら

「あ、あたし?あ、当たり前じゃない。忘れてなんかいないわよ。ちょっと今まで思い出さなかったけど。」

さよりは、胸を張って答えたが、

「それって、忘れてたってこと同じゃない。呆れた。」

美由紀が呆れた顔をするが、自分も忘れてたので強く言えず肩をすくめただけだった。


「かめちゃん。この招待状の日程って、地球時間にしたらいつになるのかな?」

幸一が尋ねると、

「そうですねぇ。約2年後ですかね?」

「ずいぶん早目に送ってきたもんだ。」

「私達のスケジュールに配慮してくれたんじゃないかな。2年前に案内しておけば、来てもらえるって」

「そういう配慮だろうなぁ。うん?これって、暦の表示変わってないか?」

幸一が招待状に書かれている日時に違和感を感じて、かめちゃんに聞くと

「確かに、サナトリア歴から統一歴に代わってますね。確かもう一度暦が変わるはずですよ。」

と解説した。

「なんで、そうころころ変えるんだ?」

「確か、サナトリア歴はサナトリア王国の創立から続いた歴で、統一歴になったのは、3ヵ国合併の折に出来た暦で、統一歴は歴史のあるサナトリア歴を引き継いでいて、後にこの国はさらに版図を拡大したのち、国名を変えて国名にふさわしい暦の呼び名に変えます。」

かめちゃんは、歴史のデータベースから引き出した資料を基に答えた。

「国名もまた変わるんだ。」

「そうです。次の国名は・・・・・あれ?表示ロックされてますね。どうしてでしょう?」

かめちゃんは首を傾げてしまった。

「どうしてって言われても、かめちゃんのデーターベースって艦本体のメモリーでしょ?

私達に聞かれてもわかるわけないでしょ?」

美由紀が困ったように言うと、さよりが

「かめちゃん、デフラグでもしたら?」

「断片化してないと思うんですけどね。」

考え込んだかめちゃんを見ながら幸一は、

「しかし、この手紙の内容からだと、サファイヤはこの数年で3ヵ国を統一して、その頂点に立ったんだな。」

「そうね、初代大統領に就任したって書いてるしねぇ。」

美由紀が感心したように言うと、政史が怖いものを見た様に

「政治形態の変革を成し遂げて、統一国家を作って通貨貨幣を統一する?しかも国内の標準言語統一。すごい強権を発令してるとしか思えない。」

幸一が

「独裁政権ではなく、ちゃんと民主的に選挙で選ばれているというところがすごいよなぁ。」

正が遠い目で

「サファイヤちゃん。何したんだろうねぇ」

とつぶやいた。


「で、かめちゃん。サファイアのところまで行くのには、日程的にどのくらいかかる?」

幸一の質問にかめちゃんが

「そうですね、招待状に表示されている座標ならば寄り道無しで、ツインワープを利用すれば最短2週間ってとこじゃないでしょうか?」

と即答すると

「じゃ、現地に1ヶ月前に着くように出れば余裕かな?これほど大規模なパーティーで当日に行くのも、慌ただしいし失礼にあたる気がするしな。

 承認式とかもあるだろうし、ゆっくり話が出来る時間も欲しいしね。それに、ご褒美くださいって書いてあるぐらいだから、祭典までになんかしてあげないとね。プレゼントも用意して持って行かないと。」

政史が

「そうだね。式までに色々聞きたいこともあるし。それまでに、今抱えているプロジェクトの引き継ぎが、全て終わってればいいけど。」

「だよねぇ。たぶんあたし達が居なくても大丈夫なようにしておかないと、空中分解しちゃいそうだからね。」

「さより、二期の工程がそろそろスタートするだろ。そこまで行ってしまえば、なんとかなるんじゃないか?」

「政史、ロケットブースターの仕上がり具合は、どんな感じだ?」

「鹿児島の施設に持ち込んでした地上テストでは、ほぼ問題点は消し込んだかな?」

「じゃ、後は実際に打ち上げ実験するだけ?」

「そうなんだけど、国内じゃあの大きさのロケットブースターを付けたロケットが、打ち上げ実験が出来る場所が無くて、最終組み立てしてサウジアラビアに送り出したよ。」

鹿児島県内之浦町にある、日本のロケット打ち上げ施設では小さすぎて、このロケットを組み立てて、打ち上げる事が出来ないでいた。

「それじゃ、最終実験は現地ですることになるの?」

「それがさぁ、さより。スケジュール的に厳しくて、現地でのぶっつけ本番になりそうなんだ。」

「大丈夫なのぉ?」

「日本国内でのシミレーション結果は問題ないんだけどね。現物を上げてないから、100%大丈夫とは言えないから、現地のスタッフ次第なんだけど。」

「美由紀、サウジアラビアの宇宙港の仕上がり具合は?」

美由紀が資料を見ながら

「外装は完成して、内装工事にかかっているわ。動力炉の進捗率は90%。燃料を投入しての稼働できる段階まできたようね。ただ、ロケットブースター組み立ても同時進行で行う予定になっているけど、」

そこで言葉を切って、しかめ面をした。

「どうした?」

「人種の違いかな?国内の製作に人員が必要で、現地でのロケット組み立てに、日本のメインメンバーを連れていけなかったから、足らない人員を現地採用で賄っているんだけど、結構ルーズな仕上がりが有ったらしくて、全面的にやり直させた箇所が数十箇所あって、少し工期が遅れぎみになっているのよ。」

美由紀が持っていた工程管理表を、幸一が見ると、ブースターの接合部の修復や通信システムのエラーが多く、その都度修復修正に時間がとられていた。

「これって、日本で加工した部品の修正か?」

正が

「幸一、いいや違う。現地での加工部分と組立部分だから、現地の技術者のミスがほとんどだ。

日本での工作部分については、問題が一つも起きてはいない。」

と、国内の精度のよさを説明したが

「それほど腕の悪い技術者や未経験者は、採用してないんだけどなぁ」

と首を傾げていた。

「美由紀、その遅れは、なんとかなりそうか?」

「多分大丈夫・・・・・・・・かな?」

「工程管理してきた美由紀にしては、なんか自信無さげだなぁ」

幸一が聞くと、さよりが

「なんかなるんじゃないの?明美が今、現地に行っているから。」

「どう言うこと?」

美由紀が、レポートを見ながら

「明美が直属の部下(狂信者)をどこに投入するかで、どうなるかわからないからねぇ。」

「そういえば、明美が最悪『プロミス』の主力を連れて行くって言ってたなぁ。それでスケジュールは大丈夫か?」

幸一がレポートを見て、ロケット打ち上げ進捗率の遅れを確認すると、さよりが

「大丈夫なんじゃない?後であたしが、現地の野村さんに電話して聞いてみるよ。当事者にも話を聞きたいし」

美由紀も

「さより、それで何かが変わるなら、お願いするわ。これ以上遅れが出ると、当初の予定通りには打ち上がらなくなるから」

「うん。任された」



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