さより帰国 サファイヤ帰還
今回は、ここまで(^-^)
次回の予定は、さよりが帰って来るまでの話を閑話として2,3話書いて、やっと宇宙に戻る予定です
照和9年9月中旬
「久々の日本。なんか懐かしいなぁ。」
大きなトランクを持って横浜の港に降り立った少女
「さて、大阪に帰るかな」
「勘介!なにわ汽船への書類は、出来てるの!」
「はい!こちらにございます。仲野部長」
「貸して、チェックするから。久子!電話!」
「こちら、銀河社でございます。・・・・・はい、いつもお世話になっております。村山はただいま出張しておりまして、帰社予定は明日の夕方になっております。」
慌ただしい、銀河社の社内
4人の社員を取りまとめて指示を出している、美由紀。
今社内には5人で、各所から上がってくる案件の対応に全力で当たっている。
そんな慌ただしい銀河社も、19時を回るころには、問い合わせも無くなり、書類は粗方片付き、
会社の奥に住んでいる、美由紀を除く4人は退社の用意を始める。
「今日も忙しかったわね。みんな、残業、ご苦労様でした。」
美由紀は、退社準備を始めた社員に一声掛けた。
「仲野部長はこれから、夕飯の準備ですか?」
机周りを片付けていた沢井京子が聞くと、金庫に書類を仕舞いながら
「そうね、今日は金曜日だし、誰も帰ってこないから、外食しようかな?誰か付き合ってくれる?」
美由紀がたずねると
「私、お供します。」
「私も!」
「僕も、行きます!」
「俺もお供します」
「じゃ、全員で行くか!ちょっと着替えてくるから、みんなも後片づけ終わったら、玄関で待っててくれる?」
そう言い残し、事務所の奥にある自分の部屋へ着替えをしに行く
「「「「わかりました!お待ちしています」」」」
片づけ終わり事、仕事着から私服に着替え会社の玄関で、美由紀が来るのを待つ4人
その前を、1人の少女が大きなトランクを持って通り過ぎ銀河社の社屋に入って行こうとしている。
「ちょっと、お嬢ちゃん。どこいくの?ここはお嬢ちゃんの来るところじゃないよ。」
それを見て、4人の中では一番年長の山田久子が少女を呼び止めた。
声を掛けられた少女は、久子の顔を見て、不思議そうな顔をして首を傾げ、
「Ты кто? Что Вы здесь делаете?」
と聞いてきた。
「えっ、何語?」
「Bạn là ai? Anh làm gì ở đây vậy?」
「何言ってるの?」
「당신은 누구?여기서 뭐하니?」
「なんか言葉が変わった?」
「Who are you?What are you doing here?」
「何言ってるのこの子。勘介、何言ってるかわからない?」
「久子さん、無理!早口すぎて聞き取れない。」
「日本人じゃないのか?この子」
「部長たちの知合い?」
「三郎、そんなことより仲野部長を呼んで来い!あの方なら外国語は何でもしゃべれるから、きっとわかるはずだ。」
その言葉を聞いて、少女はうんざりした顔になり
「Jsi hlupák? Tyto」
とつぶやいた。
「わかった!すぐに行ってくる!」
と三郎が、駆け出そうとしたとき、
「騒がしいわねぇ。何かあったの?」
美由紀が着替えて出てきた。
「仲野部長、この女の子が勝手に会社に入ろうとしてきたんですが、言葉が通じなくて困ってたんです。おねがいします。」
久子が少女に指をさし、美由紀に助けを求めた。
美由紀が少女を見ると、ニッコッと笑ってVサインをしてきた。
「ただいま!みゅう!」
美由紀は左手で顔を押さえて、右手で拳を作り少女の頭に思いっきり落とした。
その時の顔は、4人が見ているいつもの朗らかな笑顔の仲野部長ではなく、初めてみる般若のような美由紀の本気で怒った顔だった。
「痛ぁい。久々に会ったらなんで拳骨なの?」
と言って少女は、頭を押さえていた。
「何が、ただいま!よ。今の今までどこをほつき歩いてたの!心配してたんだから!」
と言って泣きながら美由紀はさよりを抱きしめた。
「あはは、ごめんね。心配かけちゃって。でも、手紙は送ってたでしょ?」
さよりは、美由紀の背中をポンポンと叩きながら泣き止むのを待っていた。
5分ほどしてから、泣き止んだ美由紀が
「ほんとに無事に帰ってきたわねぇ。今までどこで」
と美由紀が話しかけてくるのを、さよりが手で制して
「話せば長いんだけど、それより、この人たち、誰?」
と言われ美由紀が部下の前だったということに気が付き、顔を朱に染めながら
「さよりがいない間に雇った、銀河社の社員よ。」
「そうなんだ。」
「あのう、仲野部長。この方は?」
久子が困惑した顔で美由紀に訊ねると
「銀河社の社員よ。一応。あなたたちが入社する以前からのね。ほら、例の荷物の持ち主の。今まで外国にいて今帰ってきたの。」
さよりは品定めをするように、4人を見て
「ふ~ん。あたしの後輩ってこと?」
「あんた!日本人で日本語しゃべれるんだったら、ちゃんと喋ってくれれば。」
勘介が指をさして騒ぐが
「はぁ?なんで見知らぬ人に日本語をしゃべらないといけないの?あたしの勝手でしょ?」
「えっ!」
「さより、何語でしゃべったの?」
首を傾げ、人差し指を頤に当てて
「ロシア語と韓国語と英語と、あとなんだっけ?チェコ語でも言った気がするなぁ。」
「ハァ~あんた達、さよりはこんな子だけど、私と同じ年であなた達より年上だから、敬えとまでは言わないけどね。仲よくしてあげてね。」
その言葉に4人には驚愕が走った。
「えっ!ウソ!この子と仲野部長は、同じ年なんですか?」
「「どうゆう意味かな?」」
さよりと美由紀に睨まれて、勘介は地雷を踏んだと思った。
「えっと、今晩はもう帰ろうかな?私。」
沢井京子はそろりと帰ろうとしたが、さよりに腕をつかまれて
「みんなでご飯食べに行きましょう!あたしまだ夕飯食べてないから、お腹ペコペコなんだ。みゅう、どっかお店連れて行きなさい。」
ため息一つついて、美由紀と4人の社員はさよりと共に、行きつけの洋食店で食事をすることに。
そこで、さよりの6年間にも亘る武勇伝のダイジェストを聞き、目を輝かせる4人と頭を抱える美由紀だった。
そして、時間が過ぎ 歴史的戦争の始まりが告げられる
1937年7月
満洲国を創立し陸軍の駐屯部隊の暴走ともいえる進出により、中華民国との緊張が高まり、ついには軍事衝突が起こり日華事変が勃発
1939年9月
ドイツのポーランド侵攻開始
照和20年9月10日アメリカとの停戦講和まで続く、長い戦争が始まったのであった。
夏の日差しが猛威を振るう昼下がり、一応扇風機を回して風で涼しんでいる風に見せている、銀河社の空調の効いた会議室兼居間で
「ついに始まったかぁ。」
幸一が新聞を見て、何とも言えない顔をした。
「そう、始まっちゃタネ。」
その横でさよりが、せんべいを食べながら、ほぼ同じ内容の別の新聞を読んでいた。
「戦需特需で儲かるけど、どうしたものかなぁ。」
「あたし達の力じゃ、戦争は防げなかったってことだよね。」
この部屋にはサファイヤを除く全員がいたので幸一が
「正、サファイヤに伝えることってある?」
「物流の変革による経済効果は、わかってもらったと思う。」
「そうか、政史は?」
「情報の伝達の重要性、インフラ変革による経済モデルの変革は理解したのとちゃうかな?」
「拓哉は?」
「護身術はマスターしてたよ。」
「明美は?」
「軍の予算の振り方のレクチャーはしたよ」
「美由紀は?」
「家事の一通りは、教えました。」
「さより、サファイヤに教えることってまだあるのか?」
「恐慌もうまく乗り切ったから、特にもうないよ。」
「そうか」
蝉しぐれをBGMに、しばし幸一は新聞読んでいた。
「ただいま帰りました。」
「暑い、あぁみんなズルい、冷房の入った部屋で冷たい物を飲んでるなんて!。」
かめちゃんとサファイヤが外から帰ってきた。
「暑かったでしょ?冷えた麦茶もあるから、こっちに早くおいで」
とさよりが二人を居間に呼んだ。
この銀河社の家屋、今更ながらにこの時代においては、オーバーテクノロジーの塊だった。
見た目はいかにも時代に合わせた普通な感じを演出してはいるが、瓦に塗布した触媒による太陽光発電による自家発電で、オール電化の家屋となっており、各部屋の空調はもちろんのこと、家電製品もそろっていた。
電気冷蔵庫から出した、冷えた麦茶に氷を浮かべて飲んでいるサファイヤに対し幸一が
「サファイヤ、そろそろ国に帰った方がいい。出来るだけ早くに。」
と言った。
「どうしてですか?」
サファイヤは困惑した顔で尋ねると、さよりが
「もうすぐ世界的な戦争が始まるんだ、この国を含めて世界中で。サファイヤちゃんの髪の毛と目の色が、ここの国にいたら、迫害とまでは言えないけど、たぶん嫌な思いをすることになるのねぇ。だから、一旦実家に帰って欲しいんだ。安全のためにね。」
と、サファイヤを見ながら言ったが、サファイヤは
「だったら、皆さんと一緒に行きましょうよ。ここに居るのは皆さんだって、戦争に巻き込まれるってことでしょ?だったら、私の母星に来ていただければ、生活の保障はさせていただきますから。」
と言ったが、幸一は苦笑して
「ごめんな。俺達は後片付けが残ってるんだよ。サファイヤの勉強の為といろんな企業にちょっかい掛けてしまって、ほっておくことが出来なくてな。ほら、銀河社にも6人社員がいるからね。その社員達を守ってこの戦争をやり過ごそうと思っているんだ。」
「では、私も社長として責任があります。私だけがここを離れることは出来ません。」
サファイヤは幸一の話を遮り言葉を発したが、
「そう言うと思った。でもね、おねがい。サファイヤちゃん。帰ってちょうだい。」
とさよりが拝むように手を合わせてウインクした
「だって、もう教えることが無いし。ここから先はここでなくても実践できるしね。」
とさよりが言ってきた。
「えっ?教わることが無く、ここから先のことはここじゃなくても実践できるって?どうゆうことですか?」
さよりの言葉に、ちょっと困惑して聞き直して
「だって、この先に起こるイベントとしたら、戦時特需と戦時下の統制経済、戦後復興経済の3つだけど、それは、実家に帰ってもできるでしょ?違う?」
「それは、・・・・」
「サファイヤの国 サナトリア王国にローレン連邦国、バニーニ星系国家群の3ヵ国はもう戦後復興したのかな?地球時間では、かなりたったけど?」
と幸一が聞くと、沈痛な顔をして
「まだ道半ばです。定期報告で国内のことや周りの国のことも聞き及んでいますが、あまりにも3ヵ国とも国家として疲弊しすぎました。国の中心部がやっと持ち直してきた感じだそうです。」
サファイヤは答えるとさよりが
「だろうねぇ。復興するためのお金もないしね。」
「さより、それはお前がパクッてきたからだろうが!」
幸一はさよりの頭にチョップを入れた。
「痛い!」
さよりは頭をさすりながら
「でも、そのせいでどの国も貧しく協力しないと国が崩壊する状態になっているから、争いは起きようがないのだけどね。だから、サファイヤちゃんが学んだ手腕で、ちゃっちゃと立て直してあげてきて。あたし達もここが片付いたら、遊びに行くから。」
と言って、さよりはサファイヤにニッコッと笑いかけた。幸一が
「そうゆうことだ。どうせこの戦争も8年もしたら片付く。戦後の復興に1年ほど付き合ったら遊びに行くから、サファイヤの国の年換算で2年ちょっと待っててくれれば、行くからさ。それまでにお前の国を綺麗にしておいてくれや。せめて観光が出来るぐらいにな。」
と微笑んだ。サファイヤは全員の顔を見て
「わかりました。皆さんがお越しになって、びっくりするような国にしておきますね。」
と、サファイヤは微笑みながら言った。
「かめちゃん、そういうことだから、サファイヤを実家まで送って行ってあげて。」
「幸一さん、了解しました。でも、ちょっとだけ時間を下さい。今日は誰も出張せずに全員いる日でなので、
サファイヤ妃送別大パーティーを開きますね。ちょっと足りない物を買い物に行ってきます。」
この日から三日後
サファイヤは、地球を離れてサナトリア王国へ帰って行った




