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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
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出発前のあいさつ回り 2

雲ひとつない、澄み切った青い空、



「暑いなぁ」

幸一はうつぶせになったまま、つぶやいた

「日焼けがすごいんてすけど。」

明美が同じくうつぶせで、言葉に怒りがこもっていた

「さよりちやん、がんばれる?」

拓哉がさよりを気遣い、さなえは、声を出すのもつらそうに頷く

「あと少しだから、」

幸一は、目的地を目指していた

「かめちゃんも、付き合う相手を選べ!!」

「せめて、私達を巻き込むのは、やめて欲しい」

7人は砂漠のど真ん中にいた


時間をさかのぼること2日前

アラビア空港で、やたら感動しているアルフレッドを見送り、このまま太平洋で待機させている、艦を地中海に回航させて乗り込もうって話を、空港のカフェに話をしていると

軍服をきっちり着た男性が、かめちゃんの肩をがっちり掴み

「ホシミ カメヤマだな。」

と言って睨み付けてきた。


「かめちゃん、誰!この人!!」

美由紀がおびえて声を出した。かめちゃんは、その軍人をみて

「あら!モハメッドさん。お元気でした?」

と、にこやかに笑って、肩を握り締めた手を、ゴミを払うように軽く払いのけた。

「相変わらずだな。まぁいい。今日も付き合ってもらうぞ。」

モハメッドは、手首を摩りながら言った

「いや、今は急ぐのでまた今度………」

かめちゃんが困ったように、断ろうとしたら明らかに空港警備員じゃない、軍服を着た数人が8人を取り囲んでいた。

「大人しく付いて来ればなにもしない。が、抵抗すると補償はしない。」

あとは、無言の圧力で空港の外れにあるビルに連れていかれ、そこで7人はかめちゃんと引き離され、軍人の監視の下、軍服に着替えさせられ、いくばくかの食料と水、それに地図を手渡され、うむを言わせず大型ヘリに乗せられて、軍人たちは、しばらく飛行したのち7人にパラシュートを付けて砂漠上空で落とした。


 その頃、かめちゃんはモハメッドにレストランで、豪華なランチに招待されていた

「これは、どうゆうことかしら?」

かめちゃんは、不機嫌を隠そうもせず、モハメッドを睨み付けた。

「貴女が、当空港にいると報告を受けて、どうしても話がしたかったのだ。」

「やり方があるでしょ!あと、私と一緒にいた子供達はどこに連れて行ったの!」

「なに、ちょっとしたサプライズだ。」

モハメッドは、にやりと笑って

「あの者達は、貴女の教え子だろう。ちょっと実力を見たくて、砂漠に置いてきた。」

「な、な、なにしてくれるの!!」

かめちゃんは、真っ青になって訴えた

「一日分の水と食料に、地図を渡しているので訓練には軽いもんだろう。」

なに焦っている?と言った顔をして答えた。

「あの子達は、普通の日本の高校生よ!なんの訓練も受けてない人間が装備も無しに、砂漠の中で生きていける訳無いでしょう!!」

「嘘だろう?」

とモハメッドは疑うように聞いた

「貴女が引率している生徒と言う情報は、得ている。貴女に対する態度からエリートな将校に育てているみたいだな。」

ワインを片手に騙すなよといった顔で、話を続けた

「それに君は、情報部関係の将校だからそう言って、素性を隠しているんだろう」

かめちゃんは、この男があの飲み屋の話まま、間違って認識しているということがわかって、頭を抱えた。

「嘘なものですか!早く救出させなさい!普通の民間人よ!もし、彼等が見つからなかったり、死亡した場合、この国を消滅させるからね!」

かめちゃんが激怒すると

「ほ、本当なのか!彼等が普通の民間人と言うのは!」

怒髪天のごときかめちゃんの形相を見て、この時点で、モハメッドは早とちりをしていたことに気がついた。

「あたり前です!日本から普通に旅行していただけです!見たらわかるでしょう。民間人を軍隊が連れ去っていいと思っているの!国際問題になっていいの!!」

「すまない!早急に救助隊を出す!」

ことの重大性に気付き、顔色を変えるモハメッド

「あたり前でしょう!あなたは、前にも言ったけど、思い込みで判断する悪い癖があるって言ったでしょ!!」

モハメッドは、部下達とあわててレストランから飛び出して行った。

「みんな、生きていてね」




 かめちゃんとモハメッドの出会いは、料理の味を覚える旅の中で、砂漠の民の生活に興味を覚えたかめちゃんが、アラビアン王国に来て名物料理が食べれる店を探すため声をかけたのが、たまたま非番で街に遊びに来ていたモハメッドだった。

モハメッドは、かめちゃんを見て一目で気に入り

「それならいい店を知っている。案内してあげよう!」

と、評判の良い店を案内して、かめちゃんも一緒に食べませんか?と誘って二人で料理に舌鼓を打って、他愛ない会話からいつの間にかモハメッドが軍人でしかも、高級将校と言う話題から、各国の軍隊の話題になって行った。

かめちゃんも、もともと重巡洋艦のAIなので、戦力分析から戦術、戦略と、話が弾み店を変えて、酒を酌み交わし朝まで語り明かした。

その間しっかりと、出てきた酒で美味しいと感じた酒は、すぐにネットを通じ発注し支払いも終えていたが、すっかり出来上がっていた、モハメッドは

「今宵は、美人で聡明な貴女と巡りあえて、有意義な一時を過ごせました。また、会いたいものです。」

モハメッドは本心で、又会いたい、出来れば妻に迎えてもと思っていた。

「私も、有意義なお話聞けて、楽しかったです。近々連れを伴って旅行に出ますので、もし会えたら良いですね。」

社交辞令でグラスを傾けながら、答えるかめちゃん

「ほう、連れを伴ってですか?視察されるのですな?貴女ほどの聡明な士官ならば良い部下であろう、あぁ~皆まで言わなくても良い。その時は、私の権限で出来るだけ大いにもてなしてあげよう!」

「何か勘違いしてない?私は、軍隊に所属していませんよ。普通に民間人ですから」

「所属を話すのは軍規に触れることなのですね。情報部か何かの任務に着くとそうなりますね。わかりました。普通に貴女を民間人として接することにしましょう!」

目をトロンとさせて、しきりに頷くモハメッド

こりゃ、酔っ払っているなぁ、どうしようかなぁとかめちゃんは、困って店内を見渡したところ、ちょうど店の入口から二人組の兵士が入って来たので、

「すいません!この人の知り合いですか?」

こいつ、高級将校って言っていたから一般兵士が、この上官の顔を知っていたらいいなぁ、ぐらいの気持ちで声をかけた。

こちらを見た兵士が、駆け寄って来て

「モハメッド少将、こちらにいらっしゃったのですか!探しましたよ!」

眠ってしまったモハメッドを、起こそうと肩をゆりうごかす。

もう1人は、かめちゃんが旅行中の外国人と確認すると

「お嬢さん、昨夜は少将とこちらでお付き合いさせてしまい、申し訳ありません」

深々と頭を下げた。

「何か失礼はありませんでしたか?」

「特には、私も楽しく語らいましたから。ただ、眠ってしまったので、私1人で、帰るのもどうかなぁと思っていたところだったので、あなた方がこられて、本当に助かりました。」

かめちゃんは、天使の笑顔で兵士と話した。

「そう言って頂けると、助かります。ここの支払いは我々がしますので」

兵士たちは明らかにほっとした表情で、モハメッドを担ぎ上げ、店に二人分の支払いを済ませ連れ出す。

「その人が、起きたら伝えてください。スパイ小説の飲み過ぎですと。上官たる者が、思い込みで作戦行動したら大きな失敗が待っていますよと。それと何を勘違いしたかわかりませんが私は、普通の民間人ですよ、と伝えて下さい」

「わかりました。伝えておきます。」




かめちゃんは、モハメッドの部下に案内されて高級ホテルの一室にいた。7人と別れてすでに6時間、外はすっかり夜の帷が降りていた。

いまだに発見の連絡がこない。

モハメッドが、かめちゃんのところにやって来た。

「見つかりまして?」

「すまない!まだ発見できない。明日、日の出と共に捜索を再開する。なんとしてでも見つけ出すから、もう少し時間をいただきたい」

頭を下げた

「私は、あなたに伝えてほしいとあの時の部下の方に言っておいたはずです。上官たる者が、思い込みで作戦行動したら大きな失敗が待っていますよと。7人を生きて私の下に連れて下さるのなら、待ちましょう。

 私が言えるのは、それだけです。さっさと出て行ってください!」

モハメッドは、静かに退室した。



時間を少し戻して、炎天下の砂漠の上

砂漠に落とされた7人は、ひとつのパラシュートの布の下に集合していた

「無事全員集合できたね。」

「えらいめにあったなぁ」

「とりあえず、日中は暑くて行動できないから、日暮れを待って涼しくなってから、このもらった地図の場所に行って見るしかないね。」

「この場所はなんだろう?」

「オアシスか基地か、なんにしろ、ゴールと言われたから、そこまで行けば助かるんじゃない?」

「現在地ってわかる?」

「スマホのGPSでは、ここになるから、ここから距離にして30キロちょっとってとこかなぁ?」

「とりあえず、夜の行動に備えて体力を温存しましょう」


夕陽が、砂漠を赤く染め上げて沈む雄大な景色を見ながら、

「くそ軍人が!なめんなよ。大阪自由学園 実地サバイバル研究部を」

テント代わりのパラシュートをたたみ、7人は与えられた水と食料で腹ごしらえをして、最初の目的地は、ゴールの手間に書かれている印の場所で、スマホアプリのGPSを頼りに歩き出した。


夜の砂漠は暗闇が支配する世界。音が無く、耳が痛くなるような静けさ


「星空がすごいんですけど!!」

周りに明かりが無いため、天の川の星ひとつひとつが判別できるような星空

「日本じゃ見られない星空だよなぁ」

「手を伸ばしたら、届きそう!」

「写真撮っとくか」

7人はGPSを頼りに、砂漠の星空を楽しみながら目的地を目指して、行進をしていた


砂に足を取られながら、休み休み歩いて8時間、東の空が明るくなり気温もぐんぐん上がり、さすがに7人もしゃべる元気がなくなっていた。

それでも最初の目的地、ゴールの手前の印がある場所までやって来た。

そこは、小さな泉が湧いているオアシスだった。

「助かった!」

7人は、泉の中に飛び込んだ

「冷たい!」

「はぁ~生き返る!!」

「しあわせ!」

全員ずぶ濡れになって、水のありがたみを感じていた。

「とりあえず、テントを張ってから休憩。後、5キロ弱ってところまでやって来たから今夜中にゴールしてしまうぞ。」

パラシュートで簡易テントを張って砂漠の強い日差しを遮ると、そのまま雑魚寝で就寝


上空を探索中のヘリが通過したが、砂漠迷彩のパラシュートのせいで、その下で休んでいる7人を発見することができなかった。


夕陽を横目に7人は、次の目的地に向かって歩き出した。 2時間歩き続けて、小休止中

「あと、どのくらいの距離なの?」

スマホと地図を見比べて、

「2キロ弱ってところかな?」

「じゃ、目の前にある丘を越えたらすぐなのね」

月明かりで、巨大なシルエットを見せる砂丘

「この砂山を越えるのは、体力的に辛いなぁ~。」

「しかし、行かんとどうしようもないね」

やれやれといった感じの返答

「ほんじゃ、いきますか!」

7人は、砂丘を黙々と登りはじめて1時間、砂丘の頂上に到着。そこから下を見ると、遠くに建物の明かりが見えて、その建物の外灯に照らされて、大型ヘリが停まっているのが確認できた。

「あれが、ゴールかな?」

「そうじゃない?どう見ても軍事施設としか見えないけどね」

「とりあえず、近くまで行ってどうするか、考えよう」

砂丘を下り、徐々に建物が近づいてきた時

「あれ?ここは、電波があるよ!」

スマホの地図を見ていたさよりが、みんなに叫んだ。

砂漠を歩いていた時は、圏外だったスマホが、ここではしっかり圏内表示になっていた

「あの基地には、携帯のアンテナが設置しているってことだな。」

「ってことは、繋がるのかな?」

と言って拓哉がダイヤルした。



7人が砂漠に連れ去られて、2回目の夜がきていた。

かめちゃんは、部屋の角で立っているモハメッドに対して、何度目かわからない

同じ質問をした。

「ねぇ。連絡は?」

「まだない。」

モハメッドも苦しそうに、同じ答をした。

「質問を変えるわ。普通の人間が水を持たず砂漠で2日間、生きている確率は?」

「………………」

返答が出来なかった。

この数時間前、事態を重く受け止めたこの国の政府が、かめちゃんをこの国から強制退去させることにより、事態を収拾させようとしたところ、小柄な女性の姿をしていてもそこは、地球外アンドロイド。人間業とは思えない動きで警官、兵士あわせて35人の重軽傷者を出し圧勝。その映像がコメント付きで、ネットに流出して、国内外から真相の説明を求める声が大きくなってきていた。

国王の耳にもこの騒ぎが入り、内容を確認したのち、国の威信を賭けてでも助け出せと、命令が下っていた


「仕方ない。国連か他国の救助隊に連絡するわ。」

かめちゃんが、スマホを手にして、ダイヤルしようとすると

「それだけは、もう少し待ってもらえないだろうか。」

モハメッドの横に、疲れた顔をしているが、精悍な顔立ちの男性が懇願するようにかめちゃんに声をかけた。

「いつまで?あの子達の骸を発見するまで?この世の終わりが訪れるまで?」

かめちゃんの冷徹な一言

「明日の正午まで、待ってもらえないだろうか?それ以降は、貴女の好きになさって結構です。だから、もう少し待ってもらえないだろうか。頼む。」

と言って、頭を下げた。

「国のメンツ?国防大臣って大変ね。私を消そうとして返り討ちにあって、今は不本意な人質?で、何か手掛かりでも…………」

国防大臣を罵倒していた、かめちゃんのスマホから着信のメロディーが流れ、かめちゃんが着信相手を見ると急に黙り込み、急いで応答に出て一言話すと、目を潤ませたと思うと号泣しはじめた。

驚いたように見つめる二人に、しばらくして、涙を拭いて二人に向き直って

「あなた方の首が繋がったわ。良かったわねぇ。」

と言った



「おっ!繋がった。あっ、かめちゃん?拓哉だけど、ちょっと迎えを寄越して欲しいんだけど?え!なになに、 みんな?居るよ。 疲れているけど大きな怪我も無いし うんうん。今、どっかの基地の正面門の前に居るよ。 勝手に入って怒られるのが嫌だから    わかった。待っているから」

拓哉が、通話を切ると

「かめちゃんが、すぐに門を開けさすってさ」



ほどなく、門が開き7人は丁重に招き入れられた。

次の日、王宮に招かれ国王自ら、謝罪し今後このようなことが起きないよう軍隊の再教育を行うことを宣言した。

 それと8人は、今後、この国を訪れることがあれば、国賓扱いを行うと宣言された。

8人から金品での償いは拒否されているので、それぐらいしか、お詫びが思い付かないとも言われた。

モハメッド少将は、8人の嘆願で死刑を免除してもらい、その代わり兵士が思い込みや早とちりですぐに行動を起こさないようにするため、自分のしたことを例に挙げさせた、新兵の教育係として、頑張ってもらうことにした。

国王主宰の宴が催され8人が解放されたのは、次の日の夕刻だった

翌朝、チャーター機で8人はアラブラビア王国をあとにし

次の目的地(?)フランスに向かったのであった。


まだ、宇宙そらに上がれません(^^; 

次は、9月15日までにはアップしたいと思います


次の回には・・・・

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