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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第2章
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思わぬ波及効果?

九州にあるとある工場にて

「社長、流石にドイツ製の工作機械は違いますね。精度が段違いですよ。」

「確かにな。これなら、姉御の言うエンジンが出来るぞ。」

「そうですね!これで夢のエンジンの完成に近づきましたね!」

工作中のエンジンブロックを見ながら、社長と従業員たちは目を輝かせていた。

「この工場の工作機械が前世紀的に古い機械だからって、全てドイツ製の最新機器に入れ替えさすとは思わなかったなぁ」

社長はしみじみ最新の工作機械を見ながらつぶやいた。

「ですよね。普通はそんなことしませんよね。社長、誰なんですか?あの姉御(少女)は?」

「詳しくは知らん!しかし最高の機械と巨額の資金を渡されて、出来ませんでした、なんてことは、

冗談でも俺はもちろん、お前らにも言わさんぞ。いいな!」

「わかってますよ。絶対に完成させて見せます!」

渡部社長以下全社員は少女の熱意に応えようと心ひとつにしていた。


「しかし、この工作機械。工具も全てドイツからもって来ないと動かないから、消耗品が無くなったり

修理となると再稼働まで時間がかかってしまうのが、難点だなぁ。」

「仕方ないんじゃないですか?部品を全てドイツ本国に発注しないといけないし、」

「ある程度は、消耗品と交換部品を用意してもらってはいるんだが。日本の工作機械がこのぐらい

とまでは言わんが、もう少し工作精度が良ければなぁ」

姉御(少女)に相談して見ますか?」

「しかし、今の日本でこの工作機並みの機械を作れるところ、あるのかな?一応相談しておこう」



大阪の部品工場にて

「だから、そんなもん出来るわけないだろう!何べん言わすんや!」

「なんで、でけへんねん!」

「そんな精度の部品。ドイツ製の工作機械でもでけへんわい!公差が最低でも100分の1台って

なめとんか!」

工場主がそう大声で言うと、負けずに部品の製作を依頼してきた男が

「そうせんと、高速回転時に軸がぶれて軸受に焼き付くやんか!」

と大きな声で言い返した。その言葉を聞いて、工場主はしばらく考えて

「そこまで言うなら、こうしよ。お前さんがその部品を加工できる工作機械持ってきたら、相場の

半額でこしらえたる。」

「えぇ~。俺、工作機メーカの知合いおらへんねん。オッチャン誰か知ってるか?」

「しゃあないなぁ。ほれ、この名刺のところに行ってみぃ。うちと付き合いのある会社や」

「林精機と大熊工業?おおきに、ほないってみるわ。」



工作機メーカーにて

「これが作れる工作機械が欲しいだと?」

図面を見ながら考え込む技術者の3人

「社長もなんで、こんな無理難題の物持ち込むんですか?」

「仕方がないだろう。土下座せんばかりの頼み方だったんだぞ。しかも開発費はずべて持つって

言ってきたしな」

「何に使う部品なんですか?これ。」

「発動機に使う重要な部品らしい。この部品があれば、日本の発動機は一躍世界トップになれる可能性があるって言ってたな。」

「ドイツの工作機械じゃできないんですか?」

「工作機の修理とかの面で日本製にしたいんだと。それにな、この部品で出来る発動機が世界で

一番ってことになるなら、それを作れる工作機械は世界一番性能がいいってことだよな?

俺等の工作機械が世界一って考えたら、楽しくないか?」

と言って、にやりと笑う社長。その顔を見て社員達も

「社長!面白そうですね。一丁やりましょうか。世界一性能の良い工作機械を作って見せましょう」




とあるエンジン製作現場で

「いい感じに仕上がってきましたね。」

「だめだ。この素材じゃ弱い。」

「どこがですか?」

「耐熱だ。このままじゃ、全力運転を長時間したら、潤滑油が吹き出すぞ。ほら、ここに潤滑油が

滲みが出てきている。なんかもっと耐熱性良いパッキンってないもんかな?」

「姉御に紹介してもらった、材料屋に聞いてみますか?」

「そうしてくれ」



とある資材屋にて

「おいおい、そんな材料ないって。他に変わりの材料じゃだめなのか?」

「有るようなら、ここに頼みに来てないって。どこを探しても無いから、この仕様に合う素材を

探してくれって頼みに来てるんだが?」

「そうそう都合いいもんが、あるわけないだろう。」

数枚の仕様書に書かれた特性を満足させる素材に一つも心当たりがなかった

「だから、お前さんのコネで作ってもらえないかって頼んでるんだよ。」

「あそこにか?」

「お前が言ってるあそこは、治金や錬金の研究もしてるんだろ?いろいろな素材の研究もしてるってきいたぞ。」

「確かにしてるらしいけどなぁ。こんな素材作れるのか?」

「ダメ元でいいから、頼んでもらえないか?」

「頼むのはいいが、もしかしたら開発費を要求されるぞ。」

「開発費は、ある程度持つ。金策には心当たりがあるから、大丈夫だ。」



とある金属研究所にて

「アルミ並みに軽く鉄より強い金属が欲しい?」

「そんな金属ってできるかって依頼が来たんだが?」

「住金さんが開発中の、ドイツの戦闘機が使用している新金属のことじゃないか?」

「あちらは、結構試作段階に来ているっていう噂だよなぁ」

「我が社もアルミは素材として作ってるから、売るほどあるんだがそんな合金の開発できるかな?」

「ま、一般構造用鋼材と船舶用鋼材の開発に一段落が入った今だから、今度は軽金属の開発に力を入れてみようと思う。軽くて固い金属。さしずめ高張力アルミ合金ってとこかな?」

「部長。面白そうですね。変わった金属もやって見たいと思っていたところなんですよ。」

「ほんじゃ、やるぞ!」



ある研究所内で

「なんですか、これ!こんな仕様を満たす素材あるんですか?」

「いやないだろう。」

「と言うと、作るんですね。我々が。」

「成分調整が大変そうだなぁ。金喰いますよ」

「社長や重役達には、このことは?」

「大丈夫だ。重役会議で許可が下りた。一番試作炉を好きに使っていいという許可も貰ってきた。」

「本当ですか?」

「研究資金はどこから?」

「わからんが、出してくれる処があるらしい。今までの研究実績を活用して、お客様の要望に応えようじゃないか!」

「よっしゃ!!」

「しばらく泊まり込みかぁ」



とある合成化学会社

「はぁ?高温でも気密を保てるゴム素材?」

「そうだ。長時間高温に曝されても、歪まない、硬化しない、ひび割れない素材が欲しいだとよ。」

「何に使うんだ?」

「発動機のパッキンだそうだ。今のパッキンは質が悪すぎるそうだ。」

「はぁ?そりゃそうだが、もう一つの穴が開いてもすぐに塞がる素材って何だ?」

「それもゴム素材で、飛行機の燃料タンクに被いたいらしい。銃弾を受けた時に、燃料の漏洩を少なくすると同時に、機体火災を防止するためだそうだ。」

「何でうちの会社がそれらを開発することに成るかな?」

「なんか社長の偉い知り合いが頭を下げて来たらしい。社長も無下に断れなかったらしいぞ。」

「それにしても、結構難問ですよ。」

「そうだろうなぁ。でもなんか後ろに三菱さんや中島さんとかがいるらしいことも言ってたから、

政府関係が動いているのかも?」

「まっ、お国の為と思って研究してみますか」

「しばらく家に帰えれんなぁ」



工具屋にて

「この素材を削れるものが欲しい?今までのバイトじゃ切れないのか?」

「あぁ。軽い素材だが、固く変に粘りがある素材でな。すぐに刃先が使えなくなる。なんかいい刃先のバイトはないかと思ってな。」

「その素材はあるか?」

「そう言うと思って、持ってきた。お前のところの刃先で切れんかったら、他に話を持っていくけど?」

「作ったる。この素材がスパッと切れる刃先の素材を創ったる。その代わり、他に話を持っていくな。

いいな。こんな面白素材を他に回すことは出来ん。ちょっと時間はかかるけど、必ず創ったる。

なぁに1ヶ月ぐらいで目途つけて、持っていくから安心してろ。」

「じゃ、頼むぞ」



電装屋にて

「はぁ?この大きさで、この出力のモーターが欲しいって?」

「いい物が無いかなって思ってな。」

「おいおい、寝ぼけてるのと違うか?ま、お前さんと事の取引が長いけど、とんでもない物を要求して来るなぁ。」

「お前のところでも扱ってないか?」

「扱うも何も、存在してないと思うぞ。こんなモーター。」

「作ってもらうってことは出来ないだろうか?」

「こんなモーター何に使うんで?」

「うちの工作機械に内蔵しようっと思ってな。」

「工作機械に内蔵って。またどうして。」

「高速回転で切削するのに今まで通りのベルトじゃダメなんだよ。モーターの回転数をギアで変速させるしか方法が無くて、その為にはその大きさと出力のあるモーターが必要って計算されてな。」

しばし考え込む男性

「ちょっとメーカーに当たってみますよ。」

「ありがたい。多少高くてもいいから、お願いする」


モーター製造メーカ

「この仕様書はなんですか、これ?」

「注文のあったモーターだ」

「いやいや無理でしょう。この出力でこの大きさは。」

「コイルの巻き数や巻き方を工夫したら?」

「そもそも、今までの磁石じゃこの大きさにしたって出力は出ませんって。」

「じゃ、磁場を強化できる物と、コイルの巻き数の増加で対応できるのか?」

「実験してみましょう。」



とあるエンジン製作現場で

「いい感じに仕上がってきましたね。」

「だめだ。これじゃ焼付く。」

「どこがですか?」

「潤滑油の質なのかな?高温での性能が落ちている」

「今度は潤滑油探しですか?」

「そうだな」



油問屋にて

「えぇ?高温でも使える潤滑油?」

「そうなんだ。発動機の軸にかける潤滑油で、高温になっても気化しにくく発火しない潤滑油が欲しいのだが。有るかな?」

「アメリカ製の高級発動機油ならありますぜ。少し値が張りますけどね。」

「それでもいいんだが、できたら国内産の潤滑油で欲しいんだよ。依頼者の御意向でね。」

「めんどくさいですね。国産じゃ良いものがありませんよ。」

「やっぱりそうかぁ」

「ちょっと待てよ。お客さん、國光商店には声を掛けましたか?」

「いや、まだだが。」

「いっぺん、声をかけ見たらどうですか?あそこは自前で原油から精油もしてますから、お客さんに合う油が手に入ると思いますよ」

「そうか!いい情報をありがとう。早速行ってみることにするよ。」



精油研究部にて

「潤滑油の開発?」

「そうだ。」

「なぜ?」

「シベリアの極寒でも凍らなかった潤滑油を開発した我々に頼みたいんだと。」

と言って一人の研究者が、もう一人の研究者に仕様の書かれた紙を見せた

「どれどれ、なんだこの仕様は!発動機内の高速回転軸および軸受、シリンダー部に塗布もしくは

循環環境において、潤滑油の粘度は水並みに低く、高温時に油膜切れをせず気化及び発火しない潤滑油?

無茶苦茶な仕様じゃないか!」

「だろう?でも面白そうじゃないか。アメリカでは似たようなものがあるらしいぞ。」

「アメリカに有って我が国にないのはおかしいよな。よし!アメリカ製を超える物を作ってみようじゃないか!」






「なぁ。さより。最近俺たちの会社以外でも各社が新技術研究資金の投資が増えてるんだが、なんか知らないか?」

幸一が経済新聞を見ながらさよりに聞いた。

「うぅ~ん。なんだろうね。いいんじゃないの。政治が言ってたよ、日本の技術革新に弾みがついたって。」

「そうだけど。俺等が意図してないところから、この国全体に新規の技術開発が促進された気がするんだよなぁ」

「そういや、前に明美が大手以外の航空機メーカ知らないか?ってあたしに聞いてきたけど、それって関係あるのかな?」

「どうなんだろうな」


ここまですすめました。

渡辺銀行?って思った方53話を追加しています。(^-^;


早く宇宙に戻したいなぁ

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