大阪街並み見学とうどんを食べるには?
早朝、午前3時に波音を立てず河口の岸辺に上陸した強襲揚陸艇は、9人を降ろすとまた静かに川へ戻って行った。
9人は、岸辺から土手を越え細い道に出て歩きだした。
「うーん暗いねぇ」
さよりがまわりを見ながら思ったことを口に出した。
「当たり前だろう。こんなところに防犯灯もないだろうし、そもそも、電柱がないだろ?」
「って、ここどこ?」
「中之島の西の端?かな?俺達のいた時代で言うと、中央卸市場の辺りかな?」
「大阪の市内でしょう?こんなに暗いなんて。」
「とりあえず、大きなお屋敷があるのはわかった。で、どこまで歩くの?」
「目的地は北浜あたり。今も昔も大阪の金融機関の中心だったから。だからその辺に両替商があるはず。そこで一旦この銀貨を、この時代の日本の通貨に換金してもらわないとな」
幸一は、さよりがバニーニから持ってきた、金貨銀貨の硬貨を海外の硬貨だと言って、両替商に持ち込んで、日本の通貨に替えて当面の生活費や活動資金にしようと考えてのことだった。
「大丈夫かな?地球上にこの硬貨を使用している国はないけどなぁ」
「大丈夫だと思うよ。だって日本国外の硬貨には変わりないんだから。」
さよりは気にしない、気にしないと言って正に手を振っていた。
「日本国内じゃないことは外国も星系外も同じか」
「そうそう、品質は間違いないんだからね。」
どの硬貨も、混じりけのない純金に純銀の硬貨だった。それらを数十枚づつカバンに入れて持って来たのである。
「しかし、歩きにくいんですけど」
さよりが、履きなれない下駄に苦戦していた。
「仕方ないだろう。時代考証した結果こうなったんだから。」
この時の服装は、男子は書生スタイルといった感じのはかま姿に革靴で統一していたが、女子は、明美が大照モダンのはかま姿に編上げブーツの女学生スタイル、さよりと美由紀は、庶民感出しまくりの
木綿かすりの着物姿で、下駄ばき、サファイヤは外国のお嬢様という設定で、かめちゃんはその侍女役として
サファイヤはシックな白いワンピース姿につば広の帽子、かめちゃんはゴシック調のメイド姿になっていた。
「幸一君。で、なんでこんな朝早くにしたの?お店開いてないと思うんだけど。」
「美由紀、闇にまぎれて上陸したって、道案内がいるわけでもないから、宿屋を探すのは難しいだろうし、と言って深夜に上陸して夜通し歩くのも意味がないし、この時代の人って朝早いだろう?日が昇ってからだと、見つかってしまって上陸できないと思ったんだよ。だったら、夜明け前に上陸して両替商を探して歩いていけば、ちょうどいい時間になるんじゃないかな?っ俺は思ったからだけど?出発前に説明したはずだけどなぁ?」
「えへっ。ごめんね。着物の着付けに気を取られてたから」
9人は、うっすら夜が明けた早朝の大阪の町並みを眺めて、歩いていた。
彼らのいた時代ならば、高層ビルや高速道路があった大阪のビジネス街の中央部ともいえる中之島。
そこには、高層ビルも高速道路もない大阪の町だった。
「ねぇねぇ、こんなに朝早く着いても、お店は開いてないんだし、少し観光しようよ」
さよりは、昔の大阪の街を観光したいと言い出した。
「確かに、朝のドタバタしている時間帯よりは、少し店だ落ち着く時間のほうがいいか。で、どこに行きたい?」
幸一が聞くと、さよりが
「四ツ橋!!だって、本当に交差点みたいな堀があって、四つの橋が架かっているところが見たい」
いうと口々に行きたい場所を言い出して、結局みんなが見たい場所に行ってみることに。
西横堀をほとりを歩きまずは、四ツ橋へ。
明るくなってきて、道を歩く人の姿も多くなってきた頃、長堀とクロスする四ツ橋に到着
大阪の奇景とも言われた、橋でできた川の交差点
「着いたねぇ。」
と言ってさよりは、着物の袂からスマートフォンを取り出して写真モードで記念写真
「さより、それはいいのかな?」
美由紀は、スマホを指さしてため息をついた。
「いいんじゃない?周りの人は何をしているかわかんないだろうしね」
「しかし、それはこの時代から見たらオーパーツだよな」
と言いつつ、全員が記念撮影をして、御堂筋を目指します
「えっと、ここが御堂筋だよね」
「そうだと思うけど、本当にここ?」
美由紀と明美が、御堂筋を見て違和感を覚えて、みんなに確認した。
「道狭いね」
さよりが違和感となっている原因を口にした。そう、この時代の御堂筋は彼らのいた平政の時代の道幅44mとは異なり、6mほどの大通りだった。正和12年に梅田から難波までの地下鉄が完成するまでは、道幅はこのぐらいだった。
長さも、平政の彼らの知っている梅田からなんばではなく、もともと北御堂と南御堂を結ぶ道としてできたため、道の距離も2kmほどだった。もちろん銀杏並木もない、普通の通りだった。
「これもありでしょ」と、記念撮影
「しかし、この道をあの大きさにする。って言った当時の市長さん。すごいねぇ。どれだけの人を立ち退きさたんだろう?」
「それだけ、先見の明があったんだろうね。」
「この辺が、戎橋かな?」
「あたりまえだけど、グルコの看板が無いね。」
「今も昔も歓楽街と言うのはわかった。」
平政の時代では、大勢の観光客で賑わう、ひっかけ橋の名を持つ戎橋も、午前中な為か人通りは少なく、堀に沿って建ち並ぶ建物は、飲み屋と言うより、芝居小屋や遊郭のような造りになっていた。
「幸一、今度夜に来てみないか?」
「そうだな。」
こそこそと小声で正と幸一が話していると、女性陣の冷たい視線に気付き
「誤解だ!俺達は、芝居を見に来ようって言ってただけだぞ。」
「どうだか。」
「あれ?大阪城がない!」
大阪城の内堀から石垣は見えるが、その奥にある天守閣が見えなかった
「さより、まだ天守閣は再建されてないんだよ。」
「えっ、でも豊臣さんだっけ?が建てたんでしょ。戦国時代に」
「それは江戸時代に焼け落ちている。この大阪城の石垣も江戸時代徳川が築いたもので豊臣時代のものとは違うし、徳川が築城したお城も、慶応4年1月に焼失しているからね」
正が歴史のおさらいをさよりにしていた。
「ちぇ、木造のお城が見れると思ったのに」
「残念。もうあと20年時を遡ってたら、見れたかもね。」
「そこまで昔にさかのぼってたら、暮らしていけないよ。私たち」
「そうかもしれないね」
キョロキョロしながら、スマホで記念写真を撮ったり、道行く人々のファッションを観察したりして
のんびり観光気分で歩いていると、北浜に着く頃にはすっかり日も登り昼前になっていた。
金銀を換金してくれる両替商を探して。たどり着いたのは、国立銀行大阪支店
サファイアとかめちゃん、幸一の三人が代表して換金してくることに。
他のメンバーは町の探索にという名目の昼食を食べるための食堂を探しに出かけて行った。
窓口で幸一が女子行員に声をかけて、とりあえず銀貨十枚金貨五枚を見せ他にも、持ってきてはいないが金塊を換金したいことを頼むと、女子行員が驚いたように
「少々お待ち下さい」
と言って奥の部屋に行ってしまった。しばらくすると、
「支店長がお会いしますので、こちらへどうぞ」
と言って、三人を奥の応接室へ案内した。
洋風のシックな応接セットのある部屋に通されしばし待っていると、貫録のある男性が入ってきて支店長と名乗った。三人は立ち上がって会釈をすると
「ようこそいらっしゃいました。どうぞお座りください。」
笑顔を見せながら席を勧めた。
「では遠慮なく。」
と幸一が言って、ドイツ語でサファイアとかめちゃんに向かって声をかけた。
二人はそれでソファーに腰をかけた。
三人が座ったのを見て支店長も座り、口を開いた。
「この度は当銀行にお越しになられてありがとうございます。なんでも金塊を換金されたいとか。いかほどの量でありましょうか?」
幸一が、
「はい。こちらにある金貨銀貨と合わせて、とりあえず銀が5kg金を1kgほどでお願いできますでしょうか?」
と言って、かめちゃんがおもむろに取り出した宝石箱を開けると、銀貨30枚、金貨10枚入っていた。
金貨銀貨を一通り検分した支店長は、それらを全て箱に戻し
「よろしいですが、その金塊はやましいことは、ございませんでしょうな。なんせこのご時世いろいろありますもので。」
支店長は、慇懃無礼な態度で、尋ねてきた。幸一は、顔色一つ変えることなく
「盗品とか偽物とお考えでしょうか?」
「いえいえ、滅相もありまへん。ただね、皆様がお若いので、少し考えることがありまして。」
支店長も表情を変えず、手を振りながら答えた
「確かに、ご心配はごもっともです。これらの金貨銀貨は、私のような若輩者が所持して出せる量ではありませんからね。これらの出どころは、こちらにいらっしゃるサナトリア王国第三姫、サファイヤ姫様が祖国を出奔される時に持って来た品です。盗品や紛い物ではありません。ご安心ください。」
と言って幸一がサファイヤを紹介した。
「それはそれは、勉強不足ですいませんが、サナトリア王国とは、どちらにございますお国でありましょうか?ヨーロッパでは聞いた事がないお国名なもんで。」
支店長は、疑惑の目付きを隠そうともせず尋ねてきた。幸一は、内心、この支店長ヨーロッパの国名に詳しいのか?と苦笑しながら努めて真摯な態度で、質問に答えた。
「ご存知ないのは、もっともです。ドイツとフランスに挟まれた山間に有った欧州の小国で、この前の戦争でドイツに併合されてしまい、現在は国として存在しておりません。しかし、占領された国土に留まっておりますと姫の身柄が危険に晒されるため、欧州の影響が少ない、ここ日本まで逃げ延びて来たのです。」
と、幸一がサファイヤ姫がなぜ欧州から、逃れここ日本に来た経緯や、なぜ自分が日本での世話役をしているかを、滔々と語った。
その話に初めは胡散臭そうに聞いていた支店長が、だんだん身を乗り出して話を聞き入って、最後には少し目を赤くし潤ましたことで、幸一は勝った、と内心ほくそえんでいた。
横で幸一の聞いてたサファイヤ姫とかめちゃんは、よく在りもしない国の愛憎冒険談をアドリブで作り上げるなぁ、とあきれていたが。
結果として、持ち込んだ金貨銀貨は相場通りの買い取り金額にて換金してもらい、後程持ってくる延べ棒も適正価格にて換金してもらえることとなった。
「支店長さん、このあたりで姫様が滞在できるような、そこそこな家が売りに出ていませんか?」
金策が一段落したタイミングで、幸一がそう切り出した
「家ですか?どうしてまた。」
「いえね。しばらくは、姫様をここ日本に滞在しますので、落ち着いて寛げる環境をと思いまして。姫様をいつまでも根無し草のように旅籠で暮らさす訳にもいかず、と言いましても東京や神戸ではドイツの目を盗んで出奔した姫様が、ドイツの密偵に見つかって追っ手の手が伸びるかもしれません。さりとて私も大阪の不動産に詳しい訳でもないので、銀行の支店長さんなら、そのあたりにお知り合いがいらっしゃらないかな?って思いまして。」
すっかり姫様の生い立ちに感化された支店長は、しばし思考して
「そうですね。お姫様が安心してこの日本で過ごすには、その方がよろしいでしょうな。よろしおます、明日で良ければ二、三心当たりが有りますので、ご案内させましょうか?」
「ありがとうございます。では明日のお昼過ぎにでも、またこちらいお伺いすることにします。その時に、先ほどの銀をお持ちに上がることにします。」
その頃、幸一ら三人と別れたメンバー6人は、ぶらぶらと街並みを見ながら、お昼ご飯を食べれそうな店を物色していた
客の入りもよく、店先に出汁のいい香りをさせているうどん屋に目星を立てたのはいいが、なかなか幸一達が銀行から出てこない。
「ねぇねぇ。先に食べてもいいんじゃない?」
さよりが、店先でもう店に入って注文したがっていた。
「だめよ。さより、私達には今、お金が無いの。幸一君が換金してくるまで待ちなさい。」
美由紀がさよりに我慢させていると、さよりが
「お金が無いなら、おごってもらえばいい。最悪稼げばいい。」
と言って、うどん屋の店内にとととっと入って行ってしまった
「こら!さより!!」
さよりは店内に入ると、食べ終わって寛いでいる男3人組に近づき、
「おにぃちゃん達、あたしにうどんおごって。」
と言った。3人はそんなさよりを胡散臭そうに見ると、厳つい顔をした1人が
「嬢ちゃん、物乞いなら、店の外でしな!入ってくるんじゃねぇ!」
と言って追い払おうとしたが、さよりは3人の中で兄貴分と思われる男性に対して
「その代わりにね。テーブルマジックを見せるから、気に入ったらでいいんで、おごってよ」
と言ってウィンクした。すると、兄貴分の男性が、
「なんや、テーブルマジックって」
「若頭、こんな女、気に掛けることないですよ」
もう一人の男性が、兄貴分の男性をたしなめるが、さよりは無視して
「テーブルマジックって?そっか、ごめん。ここで簡単な奇術を披露するから、それ見て気に入ったら、うどんおごって」
「辰、ええがな。奇術かいな。ちょっとやってみぃ。おもろかったら、うどんぐらいおごってやる。」
「おおきに。」
というと、店の奥にいる店主に向かって
「おっちゃん、この湯飲み茶わん、借りるね!割らないように気を付けるから」
と言って、返事も待たず置いてあった湯飲み茶わんを左手に持つと、3人に向かって、
「小銭、1個貸して。」
と言って、右手を出した。そこに美由紀が来て
「さより!恥ずかしいことしないでよ。もう、幸一君たちを待ってれば、ちゃんと食べれるから。皆さん、すいません、この子が変なことを言いまして。」
と、さよりを叱って、そこにいた3人にも謝って、店から連れ出そうとした。
すると、兄貴分の男性が
「まぁ、ちょっと待てや。あんたは、この子のお姉ちゃんか?この子の、奇術をちょっと見とうなったんや。まぁやらしたりぃや。おもろかったら、あんたにもうどんおごったるさかいに」
といって、1銭銅貨をさよりに渡して、美由紀を押しとどめた。美由紀は仕方なく変なことしないでよと言って、連れ出すのをやめた。にたぁ~っと、笑ったさよりが
「じゃ、やるね。」
といって、左手に湯飲み茶碗の底が、周りの人に見えるように持つと、
「中には何も入っていないよね。それにこれは、このお店の茶碗だから種も仕掛けもないよね。」
と言ってゆっくり店内を見渡した。店内にいた客は、何が始まるんだ?といった面持ちで、さよりの元に集まって来た。
そのまま、さっき預かった1銭銅貨を右手の親指と人差し指でつまんで、
「このお金も、そこのお兄さんのだから、仕掛けはないよね」
と言ってまた店内を見渡し、最後に若頭と呼ばれた男性に目を合わすと、その男性が頷いた。
それを確認したさよりは、1銭銅貨を握り湯飲み茶わんをひっくり返して食卓の上に置き、
「この銅貨が茶碗を無事すり抜けたら、拍手お願いします。行くよぉ~。えい!!」
と言って茶碗の底を握った右手で叩き、その右手を開いて上にあげると、先ほどまであった1銭銅貨が手のひらから無くなっていた。
「お兄さん、茶碗を上げてみて」
言われた、厳つい顔をした男性が、茶碗を持ち上げると、そこには1銭銅貨が鎮座していた。
「なんだ!どうなってんだ!」
周りにいた客も覗き込むように、それを見ると拍手喝采
「もう一回やってみろ!」
「いいよ。」
同じしぐさを繰り返すさより
またもや、茶碗をすり抜けた1銭銅貨が湯飲み茶碗の中から出てきた。
「わからん!もう一回。」
厳つい顔の男性が唸るように催促してきた。
「えー。何回もやるとタネがバレるんだけど」
さよりがしぶると、目付きを険しくして
「もう、一回だけ、やって見ぃ。」
と、凄んできた。
「もう、一回だけだよ。」
と、言って同じ動作をして、さよりが茶碗を叩く前に男性が
「手のひら見せてみぃ」
と、言ってさよりの右手首を掴んだ。
「痛い!!」
さよりが叫んで手を開く。そこには1銭銅貨は無かった。
「そんな事だろうと思ったわ。茶碗を叩く前にコソッと茶碗の中にいれたんやろ!」
と言って茶碗を取ると、そこには何もなかった。
「あれ?金がない」
男はキョロキョロと卓の上を探すが1銭銅貨は見つからない。
「痛いじゃない!!離してよ!!」
さよりは、男の手を振り払い、右手首を擦った。
「もう、痣になったらどうしてくれるのよ!!」
と言って、握られたところを痣になっていないか、見て赤くなったところを手でこすっていた
「それより、お前。金をどこに隠した!」
さよりの手をつかんだ男が、怒鳴ってくるが
「お金なら、おっさんが変なタイミングで邪魔したから、別のところに行ったわよ!」
「別のところ?どこや!」
「おっさんの食べ終わった、うどん鉢の下にあるわよ。」
と言ってさよりは、厳つい顔の男性の食べ終わっておいてあるうどん鉢を指さした。
「えっ!そんなことないやろ」
と言ってうどん鉢を上げると、その下から1銭銅貨が出てきた。周りにいたお客は、盛大な拍手をし、
おおひねりが飛んできた。それを見た若頭と呼ばれていた男性が声を上げて笑いだし
「ねぇちゃん。ええもん見せてもろた。約束通りうどん、おごったる。おねちゃんも食べていき。
おやじ!きつねうどん2杯、この子らにやってや!金は俺が払うし」
といって、うどんを注文してくれた。
「すいません。さよりが迷惑をかけたうえに、うどんまでいただいて。」
美由紀が申し訳なさそうに、お礼を言うと
「いいって、いいって。他にもなんかできるんか?」
「大ネタは仕込がないとできへんけど、簡単のなら、」
と言ってさよりが、先ほどの銅貨を右手のてのひらに乗せて握って開くと、銅貨が消えた。
「「「えっ!」」」
左手をひらひらと、振ると左の人差し指と中指に挟まれて、銅貨が出てきた。
「どうなってんだ?お前の手は!」
不思議そうに、さよりの手を見つめていた
「これも奇術といやそうなんだけどね。指の体操みたいなもんだよ」
数回同じことをやって見せていると、うどんが運ばれてきたので中断して、うどんをおいしそうに食べるさよりを見て、若頭と呼ばれていた男性が
「さよりって言ったな。俺は、勝山組の銀二っていうもんや。なんかあったら、訪ねてこいや。それとこれは、おひねりや。じゃぁな」
と言って、1円札をさよりに握らして、一緒にいた二人を連れて店を出て行った。
「わかった!。またどっかであったら、よろしくねぇ!」
と、さよりが後ろ姿に、大きく手を振って見送った。
そのあと、店内で3回ほど、残っていたうどん屋のお客にさよりが手品をして、おひねりをさらにもらい、残りの4人もうどんを食べることができた。
銀行を出た幸一ら三人は
「結構時間がかかってしまいましたね。お昼ごはんを食べにいきましょうか?」
「すいません。俺のせいで」
「前にも思ったんですけど、幸一さんってよくあんな信憑性の高いでたらめ話、よく思い付きますねぇ。」
かめちゃんが、先ほどの幸一と支店長との話を思い出して、感心していた。
「ま、俺の主な役割は交渉だからね。あのぐらい出来ないとクラブの予算交渉出来ないよ。」
幸一が頭を掻きながら、サファイアとかめちゃんに謝って残りのメンバーを探すことに。
「私達は、良いですけど、他のメンバーにはちゃんと謝りましょう。だってもう、二時間も経っていますから。」
「さよりさんあたりが、お腹空いた!って怒っていますよ。」
「だよね。早く探してごはん食べないと。」
しばらく歩くと、1件のうどん屋がなにやら人だかりが
なんだろう?と思って近づいてみると、どうも中心にさよりがいるようだ。
幸一達に気付いた明美は、さよりの肩をたたくと、さよりが華麗に周りにお辞儀をしショーの終わりを告げた。周りの人々は拍手喝采で、おひねりが投げ込まれ、さよりがニコニコして拾い集めていた。
「遅かったなぁ。換金に手こずったのか?」
いつの間にか幸一の横に表れた政史が声をかけてきた。
「ま、そんなところだ。で、何してたんだ?さよりは?」
「いや~。ひまだし、さよりが空腹で、うどん屋にいたお客相手にテーブルマジックを披露して、うどんを食べただけや」
「お前らは、大道芸人か?」
幸一は、あきれかえってた
「私達お昼ご飯はもうこのうどん屋さんで食べたから、三人で食べてきてね」
美由紀が幸一に伝えると、
「おひねりで十分食べったってことか。サファイヤさん、かめちゃん、俺らもうどん食べに行こう」
といって、ため息をつきつつ、うどん屋の奥に入っていき三人分のうどんを注文する幸一だった。
しばらく地球編です。だってまだ誰も帰還してませんから、




