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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
34/144

停戦

 明美が絶叫するが、拓哉からの返事がしない。その瞬間、明美の頭が真っ白になった。

明美は、無意識のうちに操縦稈を倒し機体をひるがえすと、マックススピードで敵艦隊に突っ込んで行った。

敵艦隊に肉薄すると、内蔵の35センチ砲を連続発砲。敵艦隊に容赦ない攻撃を開始しだした。

敵艦隊も黙ってやられる訳もなく、全砲門を以て対応し、敵護衛機も囲い混むように集結し、明美機の行方を塞ぎ集中砲火。

神憑り的な回避行動で、射線を避けながら敵艦隊に肉薄し、攻撃を加える明美。

だが突然35センチ砲が沈黙、

「どうしてよ!」

発砲ボタンを押し続ける、明美

35センチ砲が沈黙した理由は、無理な連続砲撃によるジェネレータ異常加熱によりエラーが発生し、

ジェネレーター強制冷却の為シャットダウンした

エラーメッセージの内容を確認した明美は、得物を60mmレーザーバルカンに変更し攻撃を再開


「おい!誰か!明美を止めろ!!あのままだと相打ちで死んでしまうぞ!」

幸一が、明美の無茶な攻撃行動を危惧して叫んだ。

「無理!!あの状態の明美を止める事の出来るのは、拓哉さんだけです!!」

美由紀が、叫ぶ。あとのメンバーは事を見守るしかなかった。


「どうして拓哉が、死ななければいけないの!!」

明美が絶叫しながら敵艦隊からの砲撃を、かすめながらに突っ込んで行く。

「落ち付け!明美!」

「帰って来て!明美さん!」

「明美!聞いて!拓哉君が亡くなって悲しいのは、わかるけど、明美のしていることは、………。」

「関係ないわ!拓哉を返してよ!!」

火を吹く60mmレーザーバルカン、それに対して敵艦隊より12.7mm対空パルスレーザー砲が明美機に着弾する。

その時ノイズ混じりの中、聞こえた声

「…………ば……あ………勝手にこ……な。」

「えっ?誰?」

「・・・・・・・お前等・・・・・・・・・・すな!」

格納庫に救援に向かったかめちゃんずから入電

「皆さん!拓哉さん、生きてますよ」

「痛てぇ。お前ら、勝手に俺を殺すな!生きとるわい!明美も暴れんとさっさと帰って来い!」


その言葉を聞いた明美は、涙を浮かべ

「拓哉!!生きているなら!!さっさと返事しろ!!」

明美が涙を拭きながら照れ隠しの為か、大声で返信してきた。急反転し、明美が帰艦の路についた。

バニーニ国軍の戦闘機隊は、明美機を深追いすることなく翼をひるがえし、こちらも帰投始めた。

バニーニ国軍は、空母部隊と生き残りの打撃艦隊を合流させつつ艦隊の再編成をしているようだが、

発砲せず、小型艦や補助艦数十隻が、破損した艦を廻って救助活動を始めていた。

中型の艦がその活動を護衛するかのように、主砲をタートルエクスプレスの方に向けて待機していた。


拓哉が簡単な治療を受けて、

「いや~、さすがに死んだって思ったけど、コックピットが何ともなかったから助かったよ。」

頭をかきながら、拓哉が艦橋に上がってきた。

「よっ!おかえりぃ~!」

ニコニコ顔で迎えるさより

「あの状態でよく生きてたなぁ」

「心配したのよ」

「ごめん、ごめん。まさかあのタイミングで当たるって思わなかったから、ちょっと油断してた」

「おや?お姫様も帰ってきたようだよ?」

さよりが、みんなに伝えると、

「お姫様?違うだろう夜叉じゃないのか?」

幸一がおどけた

「今それを言わない方が・・・・・・・」

と、美由紀。その瞬間

「どうした?   ぐへっ!」

幸一が、背中にドロップキックをくらって、艦長席で仰け反っていた

「拓哉!!」

と言って幸一にドロップキックを食らわせた本人(明美)が拓哉にしがみついた。

「だから言ったのに。艦橋に着いたって。」

幸一は、涙目になりながら

「普通は、帰艦したと、思うだろう?」

「それよりも、熱烈な抱擁だねぇ。拓哉、照れちゃって、顔赤いよ?」

とニタニタ笑うさより


 明美の抱擁は、渾身の力が入りほぼサバ折りというかベアバックになっており、拓哉が、息が出来ず顔が赤くなってきていた

「明美!ギブ!!ギブ!!死ぬ!死ぬから!!」

拓哉が、バチバチと明美の背中を叩いて、やっとのことで解放してもらっていた

「もう、勝手に死なない事!いつも言ってるでしょ!今後気を付けてよね!!」

「ハァハァハァハァ……わ、わ、わかりました。」

そう言い残し崩れ落ちる拓哉

「拓哉、大丈夫?戦闘でどっか怪我したんじゃないの?」

明美は拓哉の顔を覗き込み声をかけていた


「戦闘と言うより、今の抱擁でじゃないのか?」

政史の言葉は、1人を除く全員が納得するものだった


 明美のドロップキックから復活した幸一は、腰をさすりながら、スクリーンを見ながら、考えていた

「幸一君、どうしたの?」

美由紀が考え込んでいる、幸一を見て声をかけた

「うん?相手さんが、この後どう出るのかな?って思ってね。かめちゃん、こっちの修復状況は?」

「とりあえず、外装の装甲板の修理を急いでやっていますが、まだ時間がかかりますね。」

「さより、まだどちらかも連絡ないか?」

「どっちからも、まだないのよねぇ。苦戦してるのかなぁ。」

ヘッドフォンをしながら、敵の通信も傍受しているさよりが、

「ついでに言うと、あちらさんも大慌てで編成中だよ。しかも、追加の補給が来ないから手持ちの物資でどうするか悩んでいるみたいだけど。」

と伝えてポテチをつまむ。

「さより、敵さんの補給部隊が来ないの?私達は、そんな部隊を見なかったから、私達のせいじゃないよね?」

明美が、無抵抗な敵を攻撃してしまった事が無いことを、さよりに確認した

あぁちゃん(明 美)、それは大丈夫だよぉ。そもそも後続の補給部隊が本国を出てないから。」

その言葉を聞いて、正が

「おいおい、俺たちと違って、あっちは正規艦隊だろう?補給部隊を連れてきて来るだろう。」

確かに普通ならば、バニーニ国家連合艦隊も後方支援部隊を連れ、戦場から離れた場所で待機し、戦局に応じて物資を補給したり負傷者を後方に避難させたりしているのだが、今回の戦いには、連れてきていなかった。

否、連れてこれなかったのである。理由は、


「来れる訳ないじゃん。本国に物資も船も無いんだから」

とさより

「本国に物資が無い?どうして?」

政史と正が不思議そうな顔をする。それを見てさよりが

「忘れたの?この戦いが起きる前に、あたしがなにしてたか?」

それを聞いて、幸一と明美が顔を見合わせて

「「そうだった!!」」


 バニーニ星系軍の補給部隊は、元々全軍出撃することを想定していなかった。

今回の全軍出撃に対応する為に、仕方なく部隊を二つに分けてサナトリア王国方面部隊とローレン連邦方面部隊に分けて対応した。

その為、地球組を相手にする攻撃部隊には、補給部隊が随伴してなかったのである。

 その代わり、空母機動部隊の随伴艦なら最前線ではなく、空母と同じように後方に下がっておれば安全と考えられていたので、小型艦や補助艦に補給物資を詰めたコンテナーを積載して出撃したのである。

 その為、随伴艦内の通路、格納庫をはじめ乗務員室、艦橋に至るまで隙間なく補給物資に溢れていた。

これは、相手が1隻であり、そんなに被害も無く長引く事も無く、帰還する際の補給分と計算されたからであった。

最悪、民間の輸送船を徴収して補給船団を作ればいいと思っていたのも事実である。

 だが実際は、打撃艦隊が数回にわたり全力攻撃を行なった為、まさかの損失35%を超える被害を出す事態に発展

この為、各艦の推進剤、ミサイル、医薬品等の不足が顕著になり、危険を覚悟で交戦宙域で、空母機動部隊に随伴している艦からの補給を受ける為に、敵艦(地球側)と対峙する位置に、終結をしていたのであった。

その時間を利用しての、救助作業も行われたのであった。

各部隊から補給、救援要請を受けた本国でも、深刻な事態になっていた。

 それは、この戦いが始まる前にバニーニ国の全商社に、さよりがでっち上げた商社から、食糧をはじめ鋼材等の物資を言い値で買うから出来るだけ多く売ってくれ!と、注文がきたことから始まっていた。

最初は面識の無い客の大量の注文でもあり、バニーニ国の各商社は詐欺を警戒して無視をしていたが、在庫を抱え負債が嵩んで倒産間近のある商社が、騙さられるか、断られるか値切られる事を前提で、特急料金を含みますからと言って、相場の3倍の値段を吹っかけたところ、

「結構安いのね。それでかまわないわ。前金でお渡しします」

と言ってきて、正式な売買契約書類が送られてきた。

社長は半信半疑で契約書にサインし返信したら、代金がオンライン・・・・・・・・・・・・にて、即入金されてきた。

 間違いない上客(カモ)が、きた!と、ありったけの手持ちの在庫を売り払ったのであった。

そのおかげで在庫整理もでき、入金されたお金で負債を全て返済、倒産から救われたのであった。

その商売を見て、我も我もと他の商社が相場の3~5倍の価格で物資の売買契約を結び、売りまくった。

 それはバニーニ国中の民間倉庫に有った期限切れ商品、デッドストック等の不良在庫、さらに軍の横流しの闇商品まで売り払ったのであった。

その購入した全ての物資を、これまた言い値でチャーターしたありったけの大型、小型問わず輸送船に積み込み、サナトリア王国とローレン連邦に送り届けていたので、バニーニ国には、物資がなにも残っていなかったのである。

 その為、軍部の主計局が倉庫に在庫確認して見ると、帳簿上と実在庫が合わない。足らない物資を調達しようにも、商社からは在庫無しの返答で手配が出来ずにいたのである。

 この事態に軍部主計局は、あらゆる方法、手段を使い、なんとか必要最小限の補給物資を揃えることが出来たのだが、今度はそれらを送るすべがない事に、愕然としたのであった。

輸送船が1隻も港に居なかったのであった。

遠方に居る輸送船を廻航させて積み込んで出港させるには、かなりの時間が必要な為、輸送手段を求めて走り回っていたのであった。


 その連絡を受けた、マセラ司令官は作戦参謀達と頭を抱えていた。

「マセラ司令官殿、どういたします?敵艦も、中破の様子。あと一押しすれば、敵艦を粉砕することが可能と思いますが、」

「しかし、こちらの被害状況と補給状況からして、相打ちになるのではないか?」

「艦載機の内、攻撃機の損耗が激しく、予備のミサイルも底を尽きています。」

「残っている戦艦と巡洋艦については、推進剤の消耗が激しく、回避行動が緩慢になる恐れがあります。」

「ミサイル艦、駆逐艦に関しては、補給が無い為、攻撃方法が有りません。」

「このまま睨み合いをして、我が方に補給が来るまで時間稼ぎを行いますか?」

「とりあえず、随伴艦が持っていた補給物資でどのくらいの回復が望める?」

「被害程度の軽い物から順次補給をさせておりますが、全て補給し終わったとして、全力で3掃射が限界かと」

「話にならんな。救助の方はどうなっておる?」

「は、現在、敵艦に最も近い所に有りました、第38突撃隊の捜索が終了し、ほぼ全ての救助者、遺体回収が終わりました。」

「今回の戦死者数は、数えたくありませんな。」

「敵艦が、我が艦隊のなれの果てのデブリに囲まれて、動けなくなっている今のうちに、出来る限りの修理、補給をするように。」

敵艦を観測していた、見張り要員が慌てて、作戦会議室に走り込んできた。

「マセラ司令官!敵艦に動きが有ります!」

「どうした!」

「敵艦の外装が次々と修理されているようです。このままだと、後10時間ほどで元の状態に戻ると思われます!」

「なんだと!敵艦は自己修復機能も備えているのか!」

「そのようです。」

見張り要員は持ち込んだ、観測データーと写真が、破損した外装を修復したことを裏付けていた。

「しかし、あれだけの大型艦の外装のパーツを艦内にストックしているとは思えないが?」

ある参謀が疑問点を示唆した。それに対して

「我が艦隊の破壊された艦を再利用しているのではないかと思われます。」

と言って、数枚の写真を映し出した。そこには、、破壊された艦の外郭を艦内に搬入している敵艦が写っていた。

「まさか!」

言葉を失った。

「時間をかけると、有利になるのは我々ではなく、奴らだと言うのか?」

「マセラ司令官!サナトリア王国方面攻撃部隊より入電。・・・・・・・」

入電内容に沈黙する通信官

「どうした?」

沈黙した通信官が、言葉を発しないことに不信に思ったマセラ司令官が、声をかけると

「申し訳ありません。報告します。サナトリア王国方面攻撃部隊、ジョーダ司令官より、

当艦隊は、損傷が激しく交戦継続が不可能と成り、補給もままならず帰国を断念し、サナトリア王国に降伏致します。

宇宙暦1065年13月14日0345発令」

「あちらも補給が来ないだと?なぜ、補給が来ない?」

参謀の一人がつぶやいた。

「ローレン連邦国方面軍より、入電。ローレン連邦国派遣部隊 アロクダー副次官より、当艦隊は、敵機動部隊による損傷が激しく、しかも補給部隊が壊滅の為交戦継続が出来ず、帰路の燃料も無く、帰国を断念し、ローレン連邦国に降伏致します。

宇宙暦1065年13月14日0410発令」

「両方面の派遣艦隊が、相次いで降伏しただと!」

重い空気が艦橋を支配した。

マセラ司令官が、

「我が艦隊が、残っている物資を全てかけてあの船と交戦した場合、帰国できるかね?」

参謀達に質問した。

「推進剤の残りから言って、出来るのはあと1回。それで勝つ事が出来て、本国からの追加補給部隊が来たのなら、帰国は出来ますが、もし、引き分け以下の場合ですと、推進剤の不足から行動不能になり、敵艦が時間と共に回復するとなると、かなり望みがうすいかと。」

「あの船は、なにで機動しているんだ?推進剤を消耗していないというのか?それとも推進剤を使用していないというのか?」

それを聞いてマセラ司令官が、

「我々の知らないテクノロジーが有るのだろう。さもなければ、単艦で長距離航海をする事が出来ないだろう。」

そこで目をつぶり、

「本国に打電せよ。当艦隊は兵站不足により、交戦継続不可となり、これ以上被害を出さない為に、敵艦と停戦すると。」

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