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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
33/144

交戦

拓哉が、機内のエネルギーゲージが4分の1を切ったのを見て

「明美、そろそろ燃料がヤバそうなんだけど。」

「そう?私はまだ大丈夫だけど、船を狙えさせてもらえないようになったし、いったん帰艦する?」

「そうだなぁ。でも、帰艦するって言っても、かめちゃんがあの様子だからなぁ」

明美と拓哉は、敵戦闘機に執拗に囲まれ、敵艦隊への攻撃が出来ず、敵戦闘機とのドッグファイトを

繰り広げていた。

かめちゃんこと、タートルエクスプレス巡洋艦も敵艦隊と、反航戦に突入し接近戦を繰り広げている。

火力で勝るかめちゃんの主砲や副砲が火を吹く度に、消し飛ぶバニーニ国軍艦。

しかし、数で勝るバニーニ国軍艦隊が、わずかに残った戦艦を中心に軽巡洋艦で構成された艦隊で、

取り囲み、持てる火力を全力で叩きつける。

かめちゃん自慢の外装装甲で敵弾は弾き返していたが、確かに威力的には弱い1発だがなんども同じような場所に撃ちこまれ徐々に削られ、各箇所で火災も発生している。

 主砲、副砲こそまだ稼働しているが、対空砲の稼働率は30%以下になり、外から見た感じは、満身創痍だった。

 人的被害はまだ出てないと言うか、乗員は全て艦橋に居るので、それ以外の居住区に弾丸が飛びこもうと、人的被害は発生しない。

かめちゃんは、1番主砲以外の火器と、ダメージコントロールに全リソースを振り分け、これ以上の

被害を抑えるよう攻撃と修復に全力を上げていた。

美由紀のレーダー監視による報告を基に、幸一が判断し、正の操船により、弾幕の少しでも薄い空間へ艦を導き政史が、進路を塞ぐ敵艦を1番主砲にて蹴散らして行く。

 通信席に座りヘッドフォンをしながら、ポテトチップス(大袋)を抱えて外部モニターを、見つめる、さより。


「あと少しで、敵艦隊を抜けます!」

美由紀の声が飛ぶ。

「どうする、幸一。このままトンズラする?それとも、再戦する?」

正が、操舵稈を持ったまま振り返ったこと

「敵艦隊反転して来ます!」

レーダーを見ていた美由紀から報告があがる。

「敵さん、まだやる気かよ。損害を考えると、ここで撤退だろうが。」

幸一が苦々しくつぶやくと、かめちゃんが現状を報告

「現在、私の損害は、対空砲稼働率28%、第3主砲小破修復中、第2副砲中破修復中、外装装甲板52%破損。動力炉正常運転中、通信、索敵機能32%ダウン、よって中破レベルです。

 現在、ダメージコントロール中、外装装甲板修復まで26時間、あと一戦は、出来ると思いますけど、大破覚悟です。」

「こっちの予想以上に被害を被ったなぁ」

幸一が、交戦継続するかどうかを迷っていた。それは、サナトリア王国と、ローレン連邦の戦いが気になったからである。

 あの2国が、順調に勝ち進んでくれれば、ここで踏ん張る必要性はないが、もしもの時には、ここにいる敵艦隊を少しでも減らさないと、今後の展開に左右してしまう。

「明美達が、帰艦許可を求めているけど?今なら、格納扉を開けていいかな?」

通信席から、さよりが声をかけた。それを聞いた美由紀が

「明美達は、無事だったの!ケガしてない?」

「とりあえず、拓哉が、何発か当たったみたいだけど、ケガはしてないらしいよ?」

「ちょっと声を聞かせて!」

と、言ってさよりからヘッドフォンを奪い取る美由紀。

「今は、ダメ!!」

と、さよりが美由紀から取り返そうとするが、すでに耳にあてて

「明美、拓哉、聞こえる!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きゃーっ!!」

と、言ってヘッドフォンをほり投げ、顔を真っ青にしてワナワナと、震えだした。

美由紀の耳に聞こえてきたのは、明美、拓哉二人の声ではなく、他人の断末魔だった。

さよりは、ため息一つついて

「だからぁ、言ったじゃない。今は、ダメだって。」

床に転がったヘッドフォンを拾い上げ、何事も無かったように自分の耳に装着するさより。

「さより、今の聞こえてきた叫び声って?」

「敵さんの、今にも死んでいこうとしている人達の、悲鳴に呪詛の声だよ」

「もしかして、開戦直後から聞いているの?」

「そうだよ。」

「どうして?私は、ちょっと聞いただけで恐ろしくなったのに。がまんできるの?」

「作戦を考えた責任かな?1人だけ怖い思いをしないのは嫌なので。」

と、言ってモニターを見つめるさより。

「それより、二人を回収するよ。かめちゃん、お願いするね。」

「わかりました。左のハッチを開けます。」

敵艦隊を抜け、少し敵からの攻撃が手薄になったタイミングをはかり明美達の2機を格納する準備に入った。

まずは、エネルギー切れになりかけの拓哉機から、アプローチに入った。

「ほんじや、お先に」

着艦態勢に入り、格納庫への誘導路に進入した時、敵艦からの砲撃が格納上部に着弾

一瞬強い光で被われる。光が消えたあと、誘導路の奥に翼を破壊され機体が二つに折れ曲がり火を

吹いてひっくり返った拓哉機の姿があった。

「拓哉!!」

明美が絶叫するが、拓哉からの返事がしない。その時、明美の頭が真っ白になった。


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