表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
30/144

トレード

「うまくいっているかしら?」

美由紀は、艦橋で外の星空を見ながら呟いた

「大丈夫だと思うよ。たぶん」

広域レーダーの操作をしているさよりが、ポッキーをくわえながら、答えた

「うまくいかなかったら大勢の人達が、亡くなるんだよ!そんな気楽に答えないでよ!」

「みゅう?なんか勘違いしてないかなぁ?」

まるで珍獣を見た顔で聞くさより

「私が、なにを勘違いしてるの?」

「この艦隊戦で出る殉職者数の、桁。トレード作戦が成功しようとしまいと、兵隊さん達は

大勢亡くなるんだよ?味方か敵かの違いはあるけどね」

「えっ!だって、この作戦が一番人的被害が少ないって言ってじゃない。そりゃ戦争なんだし、

私だって誰も死なないことは、あり得ないってわかっているわよ。」

「じゃ、どのくらいだと思う?」

「数百人ぐらいは出ると思うけど。」

さよりは、マイ湯飲み茶碗から紅茶を一口飲んで

「そう、この作戦がたぶん一番少ないよ、味方の人的被害は。それでも、両軍あわせて数十万以上は

戦死者が出るけどね。」

「どういうこと!!」



トレード作戦

それは、さよりが立案し、幸一と明美が検証してサナトリア王国とローレン連邦国の協力のもと、行われた作戦ネームであった。

簡単に言えば、お互いの艦隊に有る弱点を補い会う作戦内容だった。それは、

 サナトリア王国には、大口径の長距離砲撃が行える、艦載砲を積んだ砲艦はあるけど、敵攻撃機に対して、有機的に防空システムが運用できる防空艦がいなかった

 ローレン連邦国には、高性能な対空砲火を装備した防空巡洋艦はあるけど、大口径の長距離砲撃できる砲艦がなかった。

だったら、無いものを交換して補強したらいいんじゃん。

と、さよりが両軍の全艦艇のスペックを調べあげ、シャッフルして艦隊スペックが最大になるように艦隊編成を作成。

その艦隊運行に、幸一と正が手を入れて完成した、バニーニ国軍対応戦略艦隊だった。

拓哉が、その計画表見て

「一つの問題点さえ解決出来れば完璧だけど、それはどうするの?」

拓哉が、あげた問題点とは、

「艦隊は、人が動かしているんだよ。」

すなわち、さっきまで敵同士だった軍隊を、連携の取れる熟練度の高い艦隊行動をとらすとなると

簡単にいかないと言う基本的な問題点を指摘

幸一も、

「確かに、さっきまで殺しあっていた相手に、背中を預けるのは、勇気がいる、と言うより、怖くて出来るか!」

だったら、必要な軍艦だけ委譲して運行も考えたが、慣熟練習をしていなければ、その軍艦の100%の

性能を引き出せないし、そもそも操船が覚束ない。それでは、標的艦にしかならない。

新規に搭乗員を集めて慣熟練習をするだけの時間もない。

そのため、作戦が開始前に頓挫しそうになった。

「いい作戦なんだけど、机上の空論かぁ」

「この両国が、今まで仲が良かったら、問題にならないのになぁ」


それを打破したのは、さよりが、タートルエクスプレス艦内にいた二人を連れてきて、

「この二人に、艦隊の指揮を頼んだよ」

の、一声だった。



「敵、防空巡洋艦。8割沈黙。ローレン航空隊攻撃機、突入開始しました。」

「当艦隊は、続けて対空砲火をしている艦艇を攻撃せよ!」

「こちらの被害は?」

「はっ。プリンセス。当艦隊に敵戦艦より数弾砲撃を受けましたが、命中弾無く、被害はありません」

「よろしい。このまま攻撃機の援護を。」

「敵打撃艦隊、回頭終了した模様。こちら接近します。」

「いかがいたします?」

「敵打撃艦隊の有効射程距離までの時間は?」

「最短で、5分程度です」

「よろしい。回避行動を取りつつ、敵艦隊に接近。本当の艦対砲撃戦をバニーニ国艦隊に、教えてあげなさい。」

「イエス!プリンセス!」

「わかっているでしょうけど、ローレン連邦軍に恥ずかしい姿を、見せる訳にはいきません!」

「お任せあれ。プリンセス。サナトリア王国近衛兵団第一打撃艦隊の名に懸けて、葬ってやりますとも!」



「敵攻撃機残存数、15%」

「まずまずだな。」

「司令官。申し訳ありません。全滅を目標にしたのですが。」

「訓練通りには、いかないものだからな。」

「次こそ、確実に仕止めます」

「それより、こちらの被害は?」

「はっ、我が艦隊の被害は、あがってきておりません。」

「我々ではない!サナトリア王国艦隊だ。」

「申し訳ありません。現在、サナトリア王国艦隊の被害は、最前衛の護衛艦3隻が中破、4隻が小破した模様です」

「我々に付いていた、護衛艦か?」

「そのようです。」

「敵、第二次攻撃部隊接近。数、約2500機」

「よろしい。バニーニ国攻撃機部隊に、本当の防空砲火を教えてやろうじゃないか。一機たりとて

サナトリア王国艦隊に、近づけるんじゃない!!全艦前へ!」

「了解いたしました!これより、ローレン連邦艦隊防空戦隊、全力砲火を始めます!」



 さよりの連れてきた二人とは、ローレン連邦艦隊ビュフェ総司令官と、サナトリア王国サファイア姫だった。

「サファイアちゃんに、近衛兵団の艦隊の指揮をとってもらって、長距離からのローレン連邦艦隊の援護射撃

ビュフェ総司令官さんに、防空巡洋艦艦隊の指揮をとってもらって、サナトリア王国艦隊の防空してもらえば丸く治まるでしょう?」

さよりが、ニコニコとして説明する

「確かに敵だった者からの命令には素直に聞けないが、この二人が指揮をするのならば、大丈夫だろう。

でも、ご両人、いいのですか?」

二人は、しばし顔を見つめ、幸一に向き直し

「確かにわだかまり無く、艦隊を動かすには、こうするしかありませんわね。ましてや、近衛兵団艦隊最強の打撃戦艦隊は、王族の命令しか聞きませから。」

「本官も、同意見です。防空艦隊は、私が育て上げた精鋭部隊です。私が指揮を取れば、兵士の士気も下がること無く艦隊運用が可能でしょう」

「ありがとございます!」

幸一は、二人の手をとり、力強く握手し、膝を折り、二人の手の甲に額を付けた。

「そ、そこまで感謝されることではありませんわ。私は、国民の為に最善と思ったからですわ。」

顔を朱に染め、幸一から離れて横を向くサファイア姫

「幸一殿。お顔を挙げて下さい。あなたは我々に勝って、ローレン連邦国軍の指揮権は、あなたが握っているのですよ。

我々はあなたの配下です。一声、行け、と言ってくださればいいのですよ。」

総司令官は、微笑みながら幸一に声をかけた。


 こうして、サナトリア王国最強の近衛兵団艦隊所属 第一打撃戦艦艦隊が、ローレン連邦艦隊に、

ローレン連邦艦隊最強を誇る、防空巡洋艦戦隊が、サナトリア王国艦隊にトレードすることができ、

ここに、バニーニ国軍対応戦略艦隊が完成した。



「みゅう、どうしたの?顔色凄く悪いけど?」

俯いた美由紀に、心配そうにさよりが、声をかけると

「さよりは、平気なの?そんなに人が死ぬことに」

ちょこっと首をかしげたさよりが

「そうねぇ、平気かな?」

「どうして、平気でいられるの!!大勢死ぬんだよ!私たちが立てた作戦で!!」

大きな声を出して、さよりに問いただすが、さよりは

「だって、日本に居るときだって、他の国では、戦争、内乱、テロ、暴動が起こって、人が何人も死んでたわけでしょ?

今の気分は、それらをテレビで見ている感覚に近いなぁ。

そりゃあたしだって、拳銃やナイフで目の前の人を殺したら、恐怖や良心に苛まれるかもしれないけど

今はまだ(・・・・・)、当事者じゃないからね。平気なんだよ。」

と言って、ニコッと笑った

美由紀が絶句していると、かめちゃんが

「お客さんが大勢お越しになられましたよ。」

「ぼちぼち、歓迎会を始めますか。」

幸一が艦長席に座り、つぶやいた

「こちら、アタック1 アケミ。出ます!」

「こちら、アタック2 タクヤ、続けて出ます!」

明美と拓哉は、敵機迎撃の為発艦して行った。

「二人とも、無茶をするなよ!」

「大丈夫!ちょっとダンス(戦闘)して来るだけだから」

なんか楽しそうに、出て行ったアケミ。

「ちゃんとエスコート(護衛)して戻ってきます」

と、アキラメ感の拓哉の言葉

2機が並んで飛んでいく姿に、艦橋の全員が、

「「「「「「なんだ!あの巨大な機体は!!!!」」」」」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ