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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
25/144

和平作戦開始

遅くなりましたm(__)m

 かめちゃんが、タブレットを操作するのを見た、女王、大統領、将軍は、それぞれの側近をよび、

かめちゃんから手渡された書類を側近に渡し、すぐに実行するように命じた。

 内容を見た側近達は、目をむいて驚き意見をしようとするが、3名はそれを認めず、即時実行に

移るように、命令を飛ばした。

 その命令が会議室にも届き、会議室で討論していた面々は、大慌てでその命令に沿った内容で、

終戦合意文章の作成を始めた。

その動きを見ていた、幸一は

「これって、さよりが噛んでるだろう」

と言って、頭を抱えた

艦橋から帰ってきた、美由紀がこの騒ぎを見て、

「さよりさんが、何かやったんですか?」

「そうとしか思えん。かめちゃん、なんか知ってるだろう。」

軽食の追加を持ってきた、かめちゃんを捕まえて、幸一が問い詰めた

「先ほど、不審艦からのデータを分析した結果、黒幕が判明して、そこから復興資金と物資を

もらおうってことになりまして。」

「それで、この騒ぎか?」

「はい!さよりさんが考えられた和平の方法が、とっても合理的で破たんが見受けられなかったので、女王様や大統領様に見せたところ、実行するというお返事をいただきましたので、行ったのですが、

ダメだったでしょうか?」

かめちゃんが、幸一に事後報告をした。それを聞き幸一は

「ダメと言うか、たぶん俺達が全力で対応しないと破たんするぞ、その計画。」

ため息をつき、明後日の方を見ながらつぶやいた。

「どうゆうことですか?私が見ても、完璧だったんですけど?」

困惑しているかめちゃんを見ながら、美由紀が

「完璧すぎるからこそ、破たんするのがさよりの計画なんだよねぇ。ドウスル?幸一?」

感情のこもっていない声で、幸一に振った

「俺に振るか?」

「だって、いつもさよりの暴走は、幸一と明美が何とかするのがお約束だったし」

美由紀が楽しそうに、笑った。

「わかったよ!まったく、もう!かめちゃん、そもそも、黒幕って誰だよ!」

幸一が、かめちゃんを見た。かめちゃんは

「敵艦のデータベースを解析したところ、バニーニ星系国家群内のニカロゴ国です。」

と意外な国の名前を挙げた。それを聞いて、美由紀が

「あれ?この戦争って、バニーニ星系の主導権を巡ってのサナトリア王国とローレン連邦国の戦いじゃなかたっけ?」

と言って首をかしげた。どこからともなく、タブレットを出してきたかめちゃんが、

「そう見えるのですけど、データーを解析してみると、戦争が起こるように仕向けたのは、バニーニ星系国家群の政府高官と財閥ですね。」

かめちゃんが、入手したデーターの内容から判明した、この戦争の仕組みを語った

「そのきっかけとなったのが、両国の大使館の存在です。

 もともと農業と水産物生産国家で工業の近代化が少し遅れているローレン連邦国が、国交のあるバニーニ星系国家群の工業国家セロデロス国より、国内の近代化を進めるために生産機器や生産技術の

導入を始めました。しかし、バニーニ星系国家群はローレン連邦国に提供した技術は、バニーニ星系国家群国内で扱うものより、2世代前の技術しか提供をしなかったのです。

理由は簡単ですよね。自分達の技術的優位を揺ぎ無いものとし、旧技術を最新技術として高価格で

売り付けられるんですから。ぼろもうけですよね。

当時のローレン連邦国の旧態然した技術力では、その2世代前の技術でさえ、真似さえ出来ない品質で、どうしても追いつかない技術力にローレン連邦国は、悔しい思いをしながらも、それを導入するしかなかったのです。

その頃、サナトリア王国は、バニーニ星系国家群よりも進んだ技術力を持っていたため、工業製品等の技術輸入はしていません。 しかし、人口の増加に伴い食糧の自給率が下降して、食料をバニーニ星系国家群の農業国アクレスより輸入せざる負えない状況になっていました。

理由は、多品種で大量の買い付けで、安定した品質で必要量を納期確約してもらえるので、他の星系から購入するより高い価格でしたが、その価格を飲まなければいけなかったのです。

この時点ではまだサナトリア王国とローレン連邦国は、お互いの主星まで距離がありましたし、政府の統治主義が王政国家と民主主義国家の違いで、お互い毛嫌いをして国交を持っていませんでした。

ところがバニーニ星系国家群の商業国家ニカロゴ国に、お互いの大使館を建てたことにより状況は変わりました。敷地が偶然隣同士だったこともあり、両国の大使が挨拶から始まり、そのうちお互い国自慢を始め、あることに気づくのです。


サナトリア王国は

バニーニ星系国家群の農業製品の卸価格って、高くないか?


 ローレン連邦国は

バニーニ星系国家群は、古い技術しか公開してないのではないか?


お互い本国に連絡して、資料を突き合わせ出た結論は、サナトリア王国とローレン連邦国が国交を持てば、お互いにバニーニ星系国家群に依存しなくてもいける。

しかも、今までよりも良い品を安く入手できる可能性が秘めているということが解ったんですね。

国家間の距離は離れていますけど、大型の輸送船を使えば、輸送コストを抑えるので、国交を持ち通商条約を結ぶことでお互いに発展することが出来るメリットの方が多く、準備を着々と進めて行く事になりました。

そのことに面白くない者がいました。バニーニ星系国家群です。当たり前ですよね。

今までのように、言い値で買ってくれるお得意様を2件、失うわけですから、損失は計り知れません。どうしようかと考えたとき、

仲が悪ければ、国交なんぞ結ぶわけがない。お互い疑心暗鬼なるように仕向けて喧嘩させてしまえばいい。戦争になれば、戦争特需も生まれるかも?と考えたバニーニ星系国家群の政府高官と商社が手を組み、偽装艦隊による同日に攻撃をかけるという方法がとられました。 

サナトリア王国とローレン連邦国の通商条約を結ぶ直前になって、同時刻に両国が国交を結ぼうとしている国から理不尽な攻撃を受けたのですから、条約締結の前に事実関係を明らかにするために話し合うにも、お互いに辻褄が合わないので、最後は水掛け論になり、結局国交の樹立と通商条約は結ばれなくなり、バニーニ星系国家群の思い通りの展開になりました。

しかもバニーニ星系国家群は、サナトリア王国とローレン連邦国のどちらかが、一方的に損害を受けさせると、そこから一気に戦局が動くことも考えられるので、

片方が圧勝しそうな時は、偽装艦隊を使って、引き分けにする調整して、長期戦になるように持っていき、必要物資を両国に卸し戦争特需で笑いが止まらない状態になっていたようです。」

話を聞き終わった、幸一は

「しゃぁない!かめちゃん!さよりが作った計画表すべて出して!対策を講じるから!」

気合を入れた声でかめちゃんに指示

「あ、はい!今すぐ」

と言って、かめちゃんは動き出した計画の詳細を、プリントアウトをしては間に合わないので、タブレットに表示させて幸一に見せた。

幸一は、しばらく無言で内容を確認していたが、おもむろにかめちゃんに

「かめちゃん。この艦の戦闘力は、この宙域の艦隊に対してどのぐらい戦える?」

と、タブレットから目を離さずに尋ねた。

「そうですね、サナトリア王国の艦隊のような砲艦重視の場合だと、4個大隊、ローレン連邦国のような機動艦隊重視ならば、2個大隊ならば、何とか無傷で勝てると思いますが、合同作戦を取られると、ちょっと苦しいですね。それが何か?」

幸一はしばらく考えて、

「結構チートな戦闘力だけど、サナトリア王国とローレン連邦国の戦力を、当てにしないで同程度の敵と戦うには戦力が足らん!」

幸一は、かめちゃんを見てそうつぶやいた

「どうゆうことですか?」

「たぶん敵は、6個大隊の砲艦と4個大隊の機動艦隊の連合艦隊で攻めてくると思われる。それと対抗するには、かめちゃんの戦力だけでは足りないって言ってる」

訳が分からない、かめちゃんは

「そんな敵って、どこから現れるんですか?」

おもむろに、タブレットの一か所を示した

「ここだ!バニーニ星系国家群に決まっているだろ?資金、物資を横からかっさわれて、黙ってみているわけないだろう!元凶の俺たちを叩けば、後はどうでもなる。

なんせ、バニーニ星系国家群3ヵ国の総合戦力は、サナトリア王国とローレン連邦国を合わせた戦力を上回るのだから。

しかも、両国が協力体制を整える暇もない速度で、攻撃してくるぞ。

俺達がこの戦いを終わらせるために、この第三の敵対勢力を根絶せなあかん。

しかも、両国には母国の防衛に徹してもらって、被害の拡大を抑えてもらうために、敵のほぼすべての戦力を、こちらで受け持たないと、この作戦は成功しない」

「そんなことが起こりうるでしょうか?」

懐疑的な顔をして首をかしげるかめちゃん

「疑ってる?かめちゃん?」

「そうじゃないですが、終戦宣言を出してしまえば、両国の戦争は終了しますし、第三国のバニーニ星系国家群が口をはさむことじゃないでしょ?」

「バニーニ星系国家群が口をはさむ事が、その後に出す宣言にあるよね。」

幸一がかめちゃんにふると、

「なにかありましたっけ?」

首をかしげた。

「この戦争は、戦勝国は地球銀河連邦国で、サナトリア王国もローレン連邦国も敗戦国家となり、地球銀河連邦国に無条件に所属するということになって、両国のわだかまりを地球銀河連邦国に向けさせて、両国が手を取りあって復興を目指し、地球銀河連邦国は両国の過去における負債を」

そこで、かめちゃんが思い出したように

「あ! バニーニ星系連合国家群に対する両国の無条件債権放棄の通達」

「と言うか、ニカロゴに対してというべきかな?それは、誰が出す?」

「私達です。」

かめちゃんが、つぶやいた

「そっ、バニーニ星系連合国家群に対して俺達が経済的に宣戦布告して、黙って承諾するわけ、ないよね。

このデーターを見る限り、貸し付けている金額が、はっきり言って天文学的金額だし。しかも、これからいくらでも搾取出来る美味しいお得意様なんだから。

それをどこの誰かわからない奴に掻っ攫われて、自分達には損失だけが残る。

そんな事とは、絶対に認めないからきっと無効を訴えて、よくて書面だけど、きっと実力行使に訴えてくると思う。

なんせこっちは相手にとって、戦力が解らない大型艦だけど、たった1隻だからね。今のうちに沈めてしまえば、俺達に降伏した両国は、そのまま手に入れる事が出来る。それによって両国はたぶん属国にさせられて、搾取だけされる国になってしまうだろうね。だから、勝たねばこのプランは、破滅だよ」

「でも、さよりさんは大丈夫って。」

「そっ、あいつはいつでも自信たっぷりに言い切るんだ。大丈夫って。」

幸一は、頭を抱え込んだ。その姿を見て美由紀が

「かめちゃん、さよりが自信たっぷりで言い切るときって、たいがい周りが必死で努力しないと無理な到達点なのよ。」

「そうなんですか!」

「あぁ、かめちゃん、今度からさよりが閃いた考えは、完璧であればあるほど周りの努力の賜物ってことを、覚えておいてくれればいい。この戦いに生き残れたらの話だけどね。あいつは、どんな状況になっても、のほほんとケーキを食べているだろうけど。」

美由紀が

「敵国の艦隊を乗っ取ることをすれば、この戦いもすんなり終わるんじゃないの?」

と言うが

「それは、無理。」

即座に幸一は否定する

「どうして?」

「同じ手は2度も使えない。相手は、万全な構えで挑んでくるんだよ。それでなくても、あの敵艦のデータベースに入り込むのにどれだけのことをした?」

「そういえば・・・・・・・・・・あっ!政見放送のリハーサル時間が近づいてきました。私どうしましょう。」

「かめちゃん、仕方がないから、さよりのプラン通り進めるしかないと思う。あいつのことだから、分、秒単位で、スケジュールを組んでる可能性が高い。出来るだけオンタイムで動かないと、どっかでえらい目にあうぞ!今回は、悪魔の方が勝ちやがったな、さよりのやつ!俺も着替えて、終戦宣言をする準備をするよ。」

と言って、会議室を出ていく幸一。

「かめちゃん、全力を尽くしましょ」

美由紀が真摯な顔をして、かめちゃんの手を取った。

「わかりました。私もできるだけのことをします」


 そんなことが、タートルエクスプレス内で行われてるころ

食糧を分捕って、帰還中の明美と拓哉は、

「行きと違って、帰りは遠いねぇ。」

「明美、そりゃそうだろう。この機動ユニットでも、これだけの荷物を曳航してると、速度が出ないよ。」

「かめちゃんが、迎えに来ないかなぁ」

「そんなに迎えが都合よく来るわけが・・・」

と言ってた二人の会話に

「来ましたよ。御二人を捕捉しましたので、あと3分で到着します。その前にちょこっとやることが」

割り込んできた通信は、かめちゃんだった。

「来ることもあるんだね」

「確かにな」

その時、エネルギー弾が切り裂き、2人が脱出した艦の隣に停泊していた艦に命中して、炎上した

「なにしたの、かめちゃん!」

驚く明美にかめちゃんが、

「いえ、逃げようとしたので、動力炉を撃ち抜いて動けなくしたまでです。御二人を無事に回収するまでは、危険を排除したかったので。あっ!自爆した」

後方で、攻撃を受けなかった敵艦が大きな火の玉になって爆発していた

それに引きずられたように、残りの艦も次々と誘爆炎上していった

「プロと言うか、情報の漏えいを防ぐ目的で自爆しましたね。」

かめちゃんが、しみじみと爆発していく艦隊を見て言った。


 かめちゃんの操縦する、連絡艇に乗り込んだ二人は

「いいタイミングだね。ありがとうさん!」

「いいえ、ちょっと急ぎの用事ができましたので、お二人にも早く帰ってきてほしかったので、お迎えにあがった次第です。」

その言葉を聞いて、二人が顔を見合わせ、

「ってことは、さよりがなんかした?」

「なんで、わかるんですか!」

驚いたようにかめちゃんが叫んだ。

「何年、俺たちはあのと付き合っていると思っているの?」

「今度は、星間戦争をおっぱじめようってわけじゃないでしょうね?」

「明美さん、残念ですが、その通りです」

「やってくれるねぇ」

「ま、さよりだしね。」

達観したようにうなずき合う2人

「なんか、納得されてますが?」

驚かない2人を見てかめちゃんが不思議そうな顔をした。そこに明美が

「どうせ、幸一が戦力足りないって言ってるでしょ?」

「それもどうしてわかるんですか!」

かめちゃんは、驚いた顔をして、二人を見つめた。その姿を見て明美が、肩をすくめて

「長年の付き合いでね。さよりの暴走は、幸一が手順を作って、私が力づくで止めるっていうのが、昔からだったからね。」

「確かになぁ、さよりの暴走は一見わかりにくいんだけど、気が付いた時はもう遅い事が多いからなぁ」

しみじみと語る拓哉

「そうだ!そうなると、かめちゃん!瞬光より、高速な戦闘機か強武装の戦闘機って造れる?」

思い出したように、明美がかめちゃんに聞いた。

「造れますが、どうしてですか?」

「いやぁ~あの機体良いんだけど、今一速度と武装が貧弱でさぁ。」

「最速が良いのですか?最強がよろしいですか?」

明美はしばし考えて、

「最速と最強は違うの?」

と、聞き直した。

「はい、全然違います。最速の戦闘機は、震電改と言いまして、」

震電改の3D映像を二人に見えるように投影して見せた。それを見て拓哉は

「これって、昔の帝国空軍の機体そのまんまの機体だな」

そこにはエンテ型の機体の映像が映し出されていた。

「強力なGキャンセラーを搭載して、ブースター無しで惑星地表から発進して、亜光速まで到達する局地戦闘機なんです。単座戦闘機としては帝国最速を誇っています。武装は、40mmレーザーバルカン4基を機首に搭載しています。」

と、機体の説明をした。

「めっちゃ早い!でも、そんな大加速をしてパイロットは大丈夫なの?」

明美は加速にかかるGでパイロットが無事なのか心配になった。

「はい、その為だけに単座戦闘機ですが駆逐艦並みのGキャンセラを搭載してますから」

「でも迎撃機だよね、それ。」

運用方法から拓哉は、迎撃機か局地戦闘機と思って確認をした。

「はい。非生命体NLEの攻撃から母星を守るために、前線に近い基地に配置された機種で、数々の素晴らしい戦果を挙げた機種なんですよ。でも、機動性が悪く、ベテラン搭乗員でなければ、扱いにくい機種だったので、順次閃光に置き換えられていきましたが。」

「そこまでのスクランブル発進をするために、機動性を捨てて速度に特化した迎撃機だろうから、使いにくい機体だろうなぁ」

呆れた感じで拓哉がこぼしたが、そのことに興味無さそうに、明美は

「ふ~ん。これじゃダメね。で、最強っていうのは?」

「それでしたら、帝国最強の名をほしいままにした機体、イーグル改マークⅡですね。」

空間に別の機体の3D映像を投影した。その機体は、北アメリカ合州国が最近まで生産していた機体に酷似していた

「急に、機体の名前が旧帝国方式から変わったのは何だ?」

「しかも、あのジェット戦闘機をそのままって感じ」

二人とも、投影された3D映像を見ての感想だった。

「この機体はNUMの対艦攻撃機として、開発されましたが、すでにベテラン搭乗員が少なく、活躍の場があまり無かったのですけど、単座攻撃機の枠を超えた強武装を備えた機体です。

その中でもイーグル改マークⅡタイプAと言う、更に武装強化発展型の機体は、最強、最凶、最狂のトリプルSと言われるものです。

公式交戦記録が1度しかないのですが、その戦闘記録は脅威で、なんと2時間の間に、戦艦20隻 重巡洋艦15隻 駆逐艦40隻撃沈、大破させた艦艇は戦艦、重巡洋艦合わせて73隻、軽巡洋艦53隻、駆逐艦137隻。それ以下の被害を出した艦艇は数えられてません。その間に航空機に至っては、185機撃墜と言う記録を持っています。」

「なに!その戦果は!何機編隊で行けば、2時間でそんな戦果を挙げることができるの!」

拓哉は、その尋常ではない戦果を叩きだした、機体運用はどんな編隊で、何機で行ったのか知りたく思った。しかし、かめちゃんからの答えは

「1機です」

と言う、常識外れの回答だった

「え゛ぇ 1機?」

「嘘!そんな戦果を、1機の機体が、たった2時間で出せるわけないじゃない!ゲームでの無双状態とは違うんだよ。相手は訓練用の船か何かだったの?」

それに対して、かめちゃんは冷静に

「いいえ、この記録と言うか戦果を出した宙域は、敵勢力に攻め込まれた植民惑星からの、民間人救出作戦と同時に行われた撤退戦でした。

敵の規模は、戦艦だけで50隻になる総数500隻を超える規模の艦隊に対して、味方の艦隊は戦艦1隻、重巡洋艦20隻、駆逐艦120隻の分隊規模で、

しかも惑星から脱出する民間人を乗せた大型輸送船80隻を護衛のために、重巡洋艦の半分と駆逐艦の全てを大型輸送船の護衛に回し、圧倒的に不利な戦いの中、殿を務めた戦艦から発進した1機です。

この戦いで重巡洋艦を7隻失い4隻が中破し、戦艦もこの戦いで中破炎上しましたが、その1機の働きで、その宙域から辛うじて脱出する事が出来、民間人を乗せた輸送船と駆逐艦は全艦無傷で脱出することが出来た有名な話です。」

2人は、耳を疑った。ありえない、だとしたらその1機は、最後はどうなったか、

「その搭乗員は、どうなったの?生きて帰ってきたの?傷だらけになったの」

「敵艦と刺し違えた?」

かめちゃんは、ゆっくりと首を横に振り、肩をすくめて

「いいえ。それが、奇跡的に機体に傷一つなく、搭乗員もかすり傷一つ無く、帰還したそうです。」

絶句するしかなかった。そんなことができるのか?思わず明美は

「はぁ?どんな天才搭乗員が乗っていたの?」

とあきれて見せた

「その搭乗員の名前は?」

「それが、記録にないんですよ。」

困った顔をして、答えるかめちゃん。

「記録にないわけないでしょ!そんな戦果を挙げているんだから、勲章の一つも貰えるでしょう!普通に考えて!それとも作り話なの?」

明美は、わけわからないといい

「それって、プロパガンダかなんかで、捏造した情報かなんかじゃないの?」

話自体を、捏造だと拓哉が言うと、かめちゃんが

「私も、そう思いたいですよ。どう考えても異常でしょ?

でも、その機体が発艦した旗艦 戦艦バラクーガーは実在の戦艦で、確かにその宙域での救助作戦に参加していますし、その戦艦から発進し、帰還する機体の映像が残っています。さらに機体のガンカメラが録画した交戦映像が残っていたので、戦果の確認が出来たんです。

戦艦バラクーガーにその機体が搭載されていたことは、公式記録に残っています。その機体がそのあと、ヤルデーファ星系の軍ドックで保守修理していたのも、記録に残っているんです。

しかし、どこの誰が乗っていた、と言った情報は一切無いんです。帝国空軍の謎の英雄として語られている有名な話でもあるんです。」

大戦果を挙げ、民間人をも守り切った英雄の名前がわからない、そんなことがあるのだろうか?

「でも、その発艦した戦艦に乗っていた人なら、わかるんじゃないの?」

「そうだな。他の搭乗員に聞くとか、整備兵に聞くとか、その船の艦長に聞くとかすればわかるんじゃないの?」

かめちゃんは、首を横に振り

「確かにその艦に乗っていた人達は、知っていると思います。でも、余程の箝口令がひかれたのか、

誰一人その搭乗員の名前を挙げることがなかったそうです。」

「なんで、名前を隠すの?乗っていたことを知られてはまずい人物だったとか?」

「どんな人物だよ、その天才は。でもそんな人物なら、軍の上層部が、無理やり聞き出してもおかしくないでしょ?」

「それが、軍の上層部もその搭乗員を、詮索した形跡が無いんです」

訳が解らなかった。戦果は発表するが功労者の名前は発表しない。

「私が造船される前の話ですから、私も記録で知る以外の話は、わからないです。」

しばしの沈黙が流れ

「かめちゃん、その機体造れる?その時発進していった装備も含めて」

と、明美が言った

「設計図に当時の資料もあるので、再現はできますが。明美さん、それで何をしようと?」

「実際に、その人が行ったことが本当にできるか、私が実証してみようじゃない!その機体がその戦果を生み出せるんだったら、幸一の言う戦力不足は、かなり解消できるはず。」

明美が3D映像の機体を睨みながら言ったが乗り気の無い声でかめちゃんが

「確かにそうですね。その時の戦った戦闘艦に比べて、この宙域の戦闘艦は小型ですし、戦力としてはかなりの物となりますが」

「大丈夫なのかなぁ?ちなみに、その機体の出撃したときの武装ってどんなだったの?」

かめちゃんは、空間スクリーンに発進前の機体の3D映像を投影した。

「なんじゃ!こりゃ!」

拓哉はその映像を見て、驚いた。明美はその機体を見て

「そうきたかぁ!」

とつぶやいた。

 そこに映っていたのは、積めるだけの重火器を、翼の下だけではなく、上にも固定している航空機だった

「これはイーグル改マークⅡ タイプA狂戦士ベルセルクルモードの武装です。と言っても交戦記録はこのタイプしか残っていませんので、これがデフォって言われても、納得するしかないんですけどね。」

と言って、機体の武装の説明を始めた。

「そもそも、この機体に内蔵されている搭載兵器は、胴体側面に左右に35センチテラ粒子砲1門計2門 翼内に片翼に60mmレーザーバルカン2門 左右で4門 後方自動防御用12.7mmレーザーパルス砲上下1基計2基と言う、馬鹿げた装備です。」

「あれ?かめちゃん。35センチテラ粒子砲って、確かかめちゃんの主砲じゃなかったけ?」

拓哉が搭載砲のことで質問すると、

「そうですよ。射程距離は私の方が長いですけど、有効射程距離内であれば、ほぼ同性能な砲です。」

「そんな物、航空機に積めるの?」

映像を見ながら拓哉は疑問点を聞いた。かめちゃんは即答で

「ふつうは無理です。」

と、即答

「ただこの機体のベースになった、イーグル改マーク2自体がもともと、飛ぶ砲門フライングキヤノンっていう機体で、12センチ加粒子砲1門と20mmレーザーバルカンを2門だったのを、タイプAでは、さらに機体をスケールアップして、35センチテラ粒子砲を積めるようにサイズ変更していますし、エンジンも惑星間用エンジンから恒星間用動力炉に積み替えています。」

2つの機体の映像を並べて、相違点を示す

それを見て、拓哉が

「何考えて作ったんだ、これ?」

「そんなことより、翼とかにてんこ盛りなのは、オプションとしての外装兵器なんでしょ?これ何なの?」

明美が、異常に多い外装兵器を指さして聞いた

「外装兵器のオプションの内容ですが、まずは片翼に25発マガジンユニット付き50センチ超電磁砲レールガンを翼の上に5門、翼の下に6門左右の翼合わせて、22門、その上に、61センチ粒子宙雷を片翼上下20基で左右合わせて40基、さらにその上に使い捨ての空対空ミサイル6連ポッドを片翼上下8基左右で16基を載せています。これらは全て使い捨てなので、弾がなくなり次第パージします。

最後に胴体下部に、対艦ミサイル『スペースハプーン』を6機搭載しています。この機体の翼は、ほとんど、武器を置く為だけにある物ですね。ま、宇宙空間なので揚力とかを考えなくてもいいと思えば、このような武装の配置を考えられますけど、そもそも宇宙空間に来て、翼がいるのか?って言うと、

それもこうゆう使い方をする為だけにある、って考え方かも?ですね」


説明を受けて、二人が感じたことは


「馬鹿だ。」

「あほとちゃう?」


その言葉を聞き、かめちゃんは

「そう思いますよ。何もこんなに積まなくても、十分な対艦戦闘力のある機体なのですから。」

かめちゃんも、機体の映像を見ながら何考えて作ったんだろうと言った顔をしていた

「この外装兵器の威力ってどのぐらい?」

明美が各砲門の威力の確認をすると

「どの砲も1発当たれば、重巡なら中破以上が期待できます。当たり所が良ければ、戦艦だって1発轟沈です。」

「そんな重火器を敵艦に肉薄して撃つんだから、間違いなく1発轟沈狙いの仕様だね、これは。」

呆れたように、拓哉がつぶやいた

「面白いじゃない。」

と明美が、凄みのある笑顔で笑った。

「かめちゃん、これを(明美)用に急いで造ってくれる?拓哉もこれにする?」

明美は、拓哉に聞いたが、拓哉は首を横に振って

「かめちゃん、ノーマルな護衛戦闘機ってない?」

「そうですね、超ロングセールスを記録した護衛戦闘機がありますよ。」

「どんな機体?」

「機体の名前は、JSATONAKAと言って、帝国の明黎期からNUMとの交戦まで約50年に亘ってモデルチェンジもなしに生産された機体です。」

そう言って、1機の機体の3D映像を映し出した。デルタ翼を持つ、どっかで見たような普通の機体だった。

「速度はイーグル改マークⅡ並で、メイン武装は20mmレーザーバルカン4門と言う機体なんですが、アクロバットチームが使用する機体として有名でした。」

「癖がなく、安定した頑丈な機体ってこと?」

「それもありますが、積んでいる動力ユニットの効率がよくて、航続距離が長く、銃器の携帯弾数が断トツでトップの機体なので、結構人気のある機体だったんですよ。閃光や瞬光に比べて、20mmレーザーバルカンの発射可能パルス数は20倍です。その代り防弾性は落ちますが。」

「じゃ、それでいいや。明美の背中を守るのなら、その機体で十分」

明美は、

「拓哉、いつも迷惑かけるわね。ありがとうね。」

「どういたしまして、」

見つめ合って笑う二人だった



 「で、明美の奴は、帰ってきた早々シミュレーションブースに籠ったってことか?」

幸一は、帰還した拓哉から、明美が化け物のような戦闘機で出撃することの、報告を受けた。

「そうみたいだ。なんか、燃えちゃって。名前のわからない英雄さんに対応意識を持っちゃてさ」

「明美の暴走は、拓哉、お前が止めろよ!」

「毎度のことだからね。何とかするって。」

肩をすくめて答える、拓哉

「それと、今回は今までと違って、状況がかなり厳しい。絶対に死ぬなよ!」

「フラグが立たないように、気を付けるよ」


 「幸一さん!サナトリア王国とローレン連邦国の終戦協定放送の原稿が上がりました。今、女王様と、大統領が読み合わせをしています。本放送は、95分後に行います。幸一さんの原稿はこちらに置いておきますので、目を通してください。」

かめちゃんが、艦橋に来て幸一に現状報告と、幸一が話す内容を書いた台本を持ってきた。


「結構量があるなぁ。」

「しかたないよ、両国の国民向けの内容と、この戦争を裏で仕掛けていた国に対しての、宣戦布告文章が入ってるんだもん。」

校正を手伝っていた美由紀は、疲れた顔をしてコーヒーを飲んでいた。その時

「さよりさんからの伝言がありますが、幸一さん聞きます?」

かめちゃんが、幸一のそばに来た。

「今度は、何をした?」

嫌そうな顔をして幸一が聞いた。かめちゃんは肩をすくめて、

「使用されている資材を除き、すべての財宝は、回収が終わったって言ってましたよ。」

と言って、タブレットに表示されたリストを見せた。そのリストをスクロールしていた幸一は

「よっしゃ!!。敵攻略の第一段階終了。しかし、毎度のことだが、どうやってやったんだ?口座内資金なら、銀行口座からオンラインで移せるけど、銀行行内の金庫に保管されている現金や貴金属に、工場プラントの倉庫内にある建築用資材、造船用資材なんかを、無人の輸送船に積み替えるってどうやったんだ?」

首をかしげる、幸一

「幸一さん、私に聞かないでください。さよりさんが唐揚げ定食を食べながら、片手間でやっていたことが、そんな大掛かりなことだったなんて、さっき知ったんですから。」


さよりがやったことは、バニーニ星系国家群にある国中の銀行の口座に入っている金額の全てを、ハッキングして別の口座に移し替え、金庫内にあった現金と貴金属の全て、資材倉庫にあるすべての資材を、公式な地球銀河連邦国政府発行の書類だけで移動させてしまったのである。

そのため、バニーニ星系国家群の各港では、地球銀河連邦国政府がチャーターした大量の無人輸送船が、積み荷を満載にして次から次へと出港していった。

行き先は、サナトリア王国とローレン連邦国の主星


 口座内の金額は、オンラインにより一瞬にして、ダミー口座を数十回巡って別の星系に開設された、さより個人の口座に振り込まれた。

「私って、今銀河一のお金持ちかも?」

と言って、にんまりとモニターに映る口座金額を眺めていたという


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