サナトリア事変10
サナトリア王国とローレン連邦国の歴史的会見が始まろうとした。
ただ、どちらの国も望まない形での会見だったが
両国が交戦状態になってから、どちらも大国であったため、和平を進言できる国家がいなかった為、今日まで争いが続いていたわけだが、サナトリア王国は、誘拐され救助された王女の覚醒を行うからとの条件で、ローレン連邦国は、サナトリア王国派遣軍約5000隻 搭乗員約10万人の人質を盾に、ここ地球連邦国(?)のタートルエクスプレス号の大会議室に、会いまみえることとなった。
会見宙域に着いてみれば、サナトリア王国艦隊はタートルエクスプレス号越しに見えるローレン連邦国の大艦隊に圧倒され、戦火を開くなと言う王妃勅命により、おとなしく整列し主砲はもとより火器管制レーダーの発信もしないように、システムを落とした。
ローレン連邦国の艦隊からしてみれば、制御をすべて地球銀河連邦国の船に抑えられている為、今攻撃されたら動くこともできず、いい標的になるだけなので、サナトリア王国艦隊が、何もせずに停止していてくれるだけでありがたかった。
「さて、和平というか休戦に至る会議を始めたいと思います。」
幸一がどこから持ってきたのか、第一種礼装服を着て、議長となり会議の開始のあいさつを行った
「サナトリア王国とローレン連邦国、両国の戦いを終わらせればと思い、勝手ながら私、地球銀河連邦国第13独立遊撃情報収集部隊を預かります、津田幸一元帥が仕切らさせていただきます。よろしいでしょうか。」
と言って、会議場を見渡す。両国の首脳陣が頷く、地球側の乗組員は、
「幸一って元帥だったの?」「じゃ、私は何になろうかな?」
と小声で、話していた
「では、和平の条件の前に、整理する為にも私共が独自に調査した、両国がこの戦争に至った事柄について報告させてもらいます。訂正、質問、苦情、罵声、殴り合いは、それが終わってからにしていただきたい。よろしいですね。」
一同頷くのを見て、幸一は用意した資料を配り、プロジェクターに戦争の発端となった事件当日の、乗組員の証言内容はもとより、さよりとかめちゃんが競うように集めた両国の公文書、交戦記録、艦隊記録、国家予算、戦費によるGDP比較 税率の変化、インフレ率、貿易量、貿易の相手国、等多岐にわたるデータを発表した。
これには、両国とも驚きを禁じ得なかった。なぜここまで調べることができたのだろう?しかも、どちらが有利とか不利とか関係なく、客観的に情報が分析され時系列に並べられて行く。
その情報の時系列を見て両国は違和感を感じ始めた。なぜならお互いが相手が先に攻撃したという情報はあるが、その攻撃を受けた時間が両国とも同一時間だった点と、どの戦いでも、どちらかが優勢になって勝利しかけた時に限って、記録にない敵別動部隊から攻撃されて引き分けせざる終えない戦いが、多数あるということ、さらに、貿易相手は出先機関のようなことをされていて、物資の供給元をたどれば、同じところが出していたなど、今までは気づかなかった事柄が、次々と公開されていった。
ある日、宇宙空間に放たれた弾丸。そこから始まったこの戦争。そして、感情が憎悪しか無くなり、いつ終わるかわからない泥沼化した戦争。
「以上のことから、あなた達が何者かが仕掛けた戦争に、まんまと乗せられて、ダラダラ戦わされていることがわかりました。こんな不毛な戦争、もうやめませんか?」
全資料を説明を終えた幸一は、そう結んだ。
しばらく、どちらの陣営からも、声が出なかった
確かに、何者かが仕組んだこの戦争。だが、確たる証拠はない。しかし状況証拠はある。
それでもお互い失った物が大きくなりすぎて、国民に相手国に対する憎悪が溢れている。
理論的には、国も疲労して国の内政が滞り始めている。このままでは破綻してしまう。このあたりで戦闘を辞め、内政に力を入れ、国を立て直していかねばならない。
だが今から、良き隣人として迎え入れるには、感情が付いていかない。
しかし反論しようにも、数字が物語る公式データーが、それを拒否している。
それはわかる。だが我々は、どうすればいい?我々は騙されていた?誰に?いつの間に?
そもそも、最初の攻撃から全面戦争になるまでの時間が、なぜこうも短い?その間お互い意思疎通は行なったのか?その記録が無い。なぜ?
両陣営とも、データーの付き合わせ作業で、矛盾点が無いかを調べ出した
その時、緊急入電が会議室に鳴り響いた
「サナトリア王国艦隊群、ローレン連邦国艦隊群よりそれぞれ主砲クラスの発砲が多数認められた。これにより、両陣営に被害が出た模様。」
かめちゃんが、観測データーを発表。それを聞いた両陣営は、やり場のない苛立ちを吐き出した
「ローレン連邦国!数にモノを言わす攻撃を仕掛けてきたな!会見はこれで終わりだ!」
ワーク将軍が席を立って、罵倒すると
「何を言う!わが国の艦隊は、地球銀河連邦国の指揮下に入っており、誰も主砲どころか操船もできんのだぞ!そちらが仕組んだことでないのか!」
ローレン連邦国の国防大臣が吠える。
「我々は、貴様らと違い正々堂々と戦う!」
「何を言う!民間人しかと戦えない腰抜けどもが!」
お互いが、罵倒と攫み合って殴り合いをしかねない状態になった。その中幸一が、
「かめちゃん。砲撃を行った艦艇は割り出してる?」
「はい!ばっちりです。と言うか、マーキングしていた艦艇に、マーキングなしの艦艇が混じって、そいつが発砲しました。」
「そいつ等だけ、ここに引き出してこれる?」
「可能です。あと20分お待ちください。まとめて並べてみますから」
そう言うが早いか、ローレン連邦国の艦隊に変化が生まれ、同じようにサナトリア王国艦隊も動き出した。
どちらも味方のある1小隊を囲むように包囲して、その味方に対し砲撃を開始
砲撃された1小隊は、まさか味方から攻撃されるとは思っていなかったようで、たまらず反撃をするが、すぐに黙らされてしまった。
砲撃で追い込まれて、タートルエクスプレス号の前に並べられた。その数、軽巡2隻、駆逐艦8隻の計10隻
「そこの、不審艦に次ぐ。どこの所属か答えなさい!」
幸一が、無線にて呼びかけるものの、返答がない
「どうします?サナトリア王国艦隊ともローレン連邦国の艦隊とも言わないのですが、そちらで呼びかけてみますか?」
明美が、両陣営のトップに向かって尋ねてみたが、両陣営とも睨み合ったまま、返答がない
「ねえねえ、さより。ハッキングだったけ?してあの艦隊を言うこと聞かせられないの?」
美由紀が、さよりに話しかけてきたが
「ちょっと今のままでは無理なんだよねぇ。」
さよりは、並べて整列させられている艦艇を見て肩をすくめた。
「どうして?あんなにいるローレン連邦国艦隊や、サナトリア王国艦隊をハッキングして思いのまま動かしてるんでしょ?たったの10隻じゃない。かんたんでしょ?」
大艦隊を簡単に、手の内に収めたさよりを見て、不思議そうに美由紀が言った。
「さっきから、やってはいるんだけど。潜り込む所がなくて、どうしようもないんだよねぇ~。せめて通信でもしてくれたら、そこから潜り込むんだけど。だんまりを決めちゃってるから。」
腕を組んで見つめるさより。
「そうですよね。せめて有線で結ぼうと思いましたが、距離があってちょっと届かないんですよね。探査ポットを飛ばしても、撃墜されたしね」
かめちゃんも艦艇を見ながら考え込んだ。
「じゃ、近づいてみたら?」
美由紀が言うと、
「自爆されて、こっちまで被害被るのは嫌だから、これ以上近づけないんだよぉ。」
「じゃ、どうするの?」
「かめちゃん、どうしようか?」
「そうですよね。高出力に物を言わせて、強制通信介入して見るとか?」
「それじゃ、中の人が電子レンジの中に入り状態になっちゃうから、人道的にはどうかな?」
「では、ミサイルに通信ケーブルくくりつけて、打ち込んでみる?」
「でも、1隻を攻略してもねぇ」
「そもそも、自爆するのかな?」
「それよりも、データを消しているんじゃ?」
さよりとかめちゃんは、艦艇を見ながら、あぁでもないこうでもないと攻略方法を考えていた。
スクリーンに映された所属不明の10隻の艦隊を見ていた、両陣営のトップ達は、
「あの艦隊は、どこの所属だ?」ということを、確認し合っていた。
所属不明艦隊のカラーリングは、統一されていて、艶消しの黒に近いグレー。宇宙空間での簡単な迷彩色で、ステルスレス塗料を塗っているのか、レーダーの反応が抑えられていた。
同系艦らしくほぼ同じ造りをしていた。
どちらの陣営も、該当する部隊はおろか、艦名もわからない
「あれが、黒幕が持っている艦隊ってわけね。」
明美が、艦隊を見ながらつぶやくと
「そうゆうことだけど、どうやって、情報を得るかが問題だなぁ。うちの腕利きの魔術師二人が手を出さないで、話し合っているところを見ると、結構ヤバそうなんだろうなぁ。」
幸一が、さよりとかめちゃんが話し合っているところを見ながら、つぶやいた。
「幸一殿、すまんがこちらに来てくれぬか?」
サナトリア王国王妃が、手招きして会議のテーブルに、幸一を呼んだ。
幸一がテーブルに着くと、先ほどまでの罵声怒声は鳴りを潜めて、両陣営が話し合っていた。
「なにか、いい話が出ましたか?」
ローレン連邦国大統領が
「あの艦隊が、我々を騙していた艦隊なのか?」
「そうでしょうね。今までは、陰に隠れてこそこそしていたのが、表に引きずり出されてきたんですよ。」
「なぜ、この宙域に現れたんだ?」
「それは、ここで和平会議をしようとしていることが、わかったんで、邪魔をしに来たんでしょう。どちらの陣営から漏れたのかはわかりませんが、今まで通りの手はずで、乱戦にして会議を無効にして戦争を続けようとしたんでしょうね。」
スクリーンを見ながら幸一は現状を考えた。
「では、今まで勝ち戦を引き分けにさしてきたというのは、」
ローレン連邦国国防大臣が困惑した顔していた。
「あのような艦隊が来て、戦果を無きものにしてきたんでしょうね。ただ今回は相手が悪かっただけです。普通なら今頃両陣営が撃ち合って、ここは、業火の坩堝化していたでしょう。」
「確かに、被害は少なく済んでいるが、あの者たちをどうするのじゃ?」
王妃の質問に、頭をかきながら幸一は、
「それが困ったことに、手が出せないんですよ。」
「なぜだ?我々の艦隊を簡単に乗っ取りした技術を使えば、たった10隻の艦隊なんか簡単じゃないのか?」
別のローレン連邦国代表が幸一に言って来た
「う~んあっちもプロなんですよ。ガードを固くして、付け入るスキを見せないっていうか」
「では、秘密を守るために自爆とかするのではないか?」
「いや、今のところそれは可能性が低いですね。するなら、もうしているでしょうから。」
「では、なぜ黙秘を続けていると思うのじゃ?」
「たぶん、向こうがプロだからですよ。」
「プロだから?それはおかしいのではないか?失敗している時点で、プロならば自決するだろう?」
「本来なら、乱戦を起こしてその隙に逃げて姿を晦ます予定だったのが、敵味方判別信号が、いきなり周りが敵だらけになってしまって、逃げれなくなった。攻撃されて逃走不能になった。でも奴らはプロなんですよ。そうなった原因を知りたい。次につなげるために情報を少しでも多く持ち帰りたいって思っているんですよ、きっと。」
そういって、幸一は艦隊を見つめた。
「救援艦隊が来るということか?」
「来ないでしょう。その代り、データーを受け取りに来る何かが来ると思います。」
「それが来るまでは、自爆はしないってことか?」
「たぶん、」
「来たら?」
「即時自爆か、死ぬ覚悟をして総攻撃をかけてくると思われます。それまでに、こちらが、データーを収集しないと何もできなくなります。」
ある種の膠着状態になろうとしていた。
「しかたがないなぁ。この明美さんがこの状態を打破してあげようじゃない。」
と言って明美が、ストレッチを始めた。
「おい!明美、学校であった状況と違うんだぞ。」
「わかってるわよ。あの時みたいに単独で突入はしないわよ。バディとして、拓哉を連れて行くから。」
「俺?そんなぁ、どうせ無茶をしに行くんでしょ?」
拓哉が、メッチャ嫌そうな顔をした。
「拓哉、諦めろ。女王様のご指名だ。散ってこい!」
政史が笑いながら、拓哉の背中を押した。
「えぇ~~死ぬこと前提ですか?」
「それが嫌なら、生きて帰ってこい!」
「他人事だと思って、幸一は無責任なことを言うねぇ。」
「拓哉行くよ!」
「へいへい。わかりましたよ。」
会議室を出ていこうとする、二人をさよりが、
「二人して、特攻しに行くの?じゃ、ついでだからお願い聞いてくれる?」
「うわぁ~さらに悪魔に捕まっちゃたよ。」
拓哉は、げんなりとした顔をして俯いた。
明美は、さよりにふりむいて
「なに?さより。あんまり無茶なことはできないわよ。」
「大したことないって、ちょっとあの艦隊に有線ケーブルで繋いできてほしいだけだから。」
「それだけ?」
「余裕があったらでいいんだけど、有線繋いだ後に、このPCに繋いで、ここのアイコンにある、分捕り君3号を走らせてほしいんだけど、できるかな?」
さよりは、小首をかしげてお願いポーズ
「さより?私を誰だと思ってるの?そんなこと簡単じゃない。OK、OKそれはやったげる。ほかにある?」
かめちゃんが、挙手して
「私からもお願いできますか?」
「かめちゃん?いいよ。なに?」
「食堂の中にある食材をできるだけ取ってきて欲しいんですけど。」
「はぁ?なんで?まだ食料たっぷりあるでしょう?」
明美は、訳がわからないと思った
「地球では食べられない食材や、調味料、酒なんかがあるでしょう。それが欲しいんですよ。」
「私等が言うのならわかるけど、かめちゃん。AIだったよね?なんで食材が気になるかなぁ?」
「ダメですか?」
ため息一つついて
「OK OK それも何とかしてくるよ。カプセルのような戦時食しかなかったら、諦めてね。」
「それはそれで、楽しみですよ」
「ほんじゃ、行ってくるね」
と言い残して、明美は拓哉を引きずって会議室を出て行った。
「幸一殿、あの二人で何をなさる気ですか?」
出て行った二人を見送って、ワーク将軍が幸一に質問をしてきた。
「う~ん。私にもわからないんですけど、たぶん、あの艦隊に潜り込む気なんじゃないでしょうかなぇ。」
「えぇ!たった2人でですか!航行不能になっているとはいえ、まだ、主砲の一部や防空砲火は生きていますよ。それに艦内にはまだ多数の敵兵がいます。そこに乗り込んで何をしようと言うのですか!」
「第一は、敵のデータの収集と回収。出来れば、降伏勧告。ってところじゃないでしょうか?」
「無茶だ。死にに行くようなものですよ!すぐに引き止めないと。お仲間が死んでしまいます。それでもいいんですか!」
「良いわけないけど、あいつが言い出したらこっちが何を言っても聞かないもんで。好きにやらすしかないですよ。軍神マルスは。」
どこか、達観したような口調で、つぶやいた
「軍神?」
「あっ!やべ!あいつの前で軍神って言わないでくださいね。めっちゃ怒るから」
「どうゆうことですか?」
「聞かないでください」
と言って幸一は、頭を下げた
「そもそも、どうやってあそこに行くつもりなんですか?」
「それがわからないんですけど、戦闘機で行くのかな?」
すると
「探査ポットが発射します」
かめちゃんが報告した。
「かめちゃんが、探査ポットを発射したんじゃないの?」
「私はしてませんよ。マニュアルで発射されましたから、たぶん、あの二人が発射したんだと思いますけど。なぜ、探査ポットなんでしょう?瞬光を使えばいいのに。」
と、首を傾げた
「まさか、あの二人探査ポットにぶら下がって飛んでるわけ?」
「そうなんですよ。無茶するなぁって思いますが。止めなくてよかったのでしょうか?」
「ま、止めて止まるなら苦労はしないよ。」
「でも、探査ポットの射出速度が速すぎて、振り落とされて少し後ろを飛んでるようですけど、おや?敵艦、発砲!対空砲火のようですが、火器管制レーダーの類は感知できません。たぶん、光学標的で発砲しているようです。あっ!探査ポットに命中しました。」
探査ポットは、その攻撃にて爆散してしまった。
「あの二人は!」
「大丈夫みたいです。バイオシグナルグリーン。怪我もしてませんね。っていうか、なんでこの状況で落ち着いてるんですか!あの二人は!おかしいでしょ!偶然助かったようなのに、」
「かめちゃん、そういう二人だから、あの二人は。」
美由紀が疲れたように、かめちゃんに話した。
「で、あの二人は?」
「慣性の法則で、敵艦に近づいて行ってます。あと2分もすれば、敵艦に取り付くことができます。でも、どうやって慣性で飛んでるのを止めるんですか?今の二人の速度は、敵艦から見たら、相対速度で時速120kmですよ。当たったらただで済みませんけど。」
「生身の体で、その速度はきついけど、そろそろ減速するんじゃないかな?」
「どうやってです?」
「さぁ?」
「無責任ですね。」
「まぁね」
しばらくすると、二人の軌道が変わり速度も落ちてきた
「何をしたんですか?あの二人は!」
かめちゃんが必死に、その原因を探して見つけた。
「あの二人、ワイヤーのようなものを出して、敵艦の1隻に引っ掛けて減速したみたいですね。」
そのころ、抱き合った一組の男女
「いいかい?はじめるよ。」
泣きそうな顔で
「初めてなので、優しくお願いします。」
それを聞いて少し、意地悪そうな顔をして
「私も、初めてだから加減がわかんないよ。痛かったら、ごめんね。じゃ、行くよ」
「なんでこうなったんだろう?わかりました、はい、ぐへ!痛い痛い」
「我慢しなさい!」
「やめて!やめて!」
「これからが楽しいんじゃない!」
「これのどこが楽しいの!」
「うるさい!次行くよ!」
「げっ!振らないで!痛い痛い、もう嫌だ!」
「もうちょい、もうちょい」
「もういい加減にして!」
「もう終わるから、我慢しなさい!男でしょ!」
「そんなの、関係無い!そっちはフルアーマーだけど、こっちはほとんどノーマルの宇宙服なんだぞ!」
明美と拓哉は、敵艦に引っかけたワイヤーで減速した
「とまったぁ」
「もうちょっと遊びたかったなぁ」
「あほ!加速が付き過ぎだろう!」
「仕方ないでしょ!ワイヤーを引っ掛けて止まるしか方法なかったんだし。とりあえず止まったし、うまいこと曲がって7隻はワイヤに絡めることができたし、このまま、あと3隻をこのワイヤーで繋げるからね。」
「ほいほい」
「幸一殿、少し聞きたいのだが、あなた方の国では、この行為は普通なのですか?」
モニターを見ていた、ワーク将軍が控えめな声で尋ねてきた
「ローレン連邦国の兵でも、あのような荒事ができる者はいません。どうゆう訓練をなされているのでしょうか?」
司令官が感心した様子で訓練方法を知りたがった。
それに対し幸一は、
「あれが普通だと思いますか?」
モニターに映る二人を指さして憮然と言い放った。
「いや、無茶な行為だと思いますが、」
「その通りです!あれだけ無茶をするな!って言っておいたのに、」
幸一は、怒りをあらわにモニターを睨んでいた
「ほとんど、結果オーライだもんね。」
さよりが、ポッキーを咥えながらモニターを見ていた。
「でも、少しは考えておられたみたいですよ。明美さんはフルアーマーコンバットスーツで完全武装してますし、拓哉さんは、ライトスーツに機動ユニットに増槽をつけて行きましたから、」
かめちゃんは、二人が持ち出した装備を説明した
「何も考えていないよ。あの二人は。探査ポットを発射してそれに運んでもらおうって考えはよかったけど、初速を考えてないのは、明美ちゃんらしい発想だよ。あのコンバットスーツの握力じゃ、耐えられないもんね。でも振り落とされたおかげで、先行した探査ポットが囮になって、対空砲火の餌食にならなかったのは、運だけだよね」
「しかも、拓哉の機動ユニットは帰りに使うつもりか、ただ単に振り回されて忘れていたのか?使用してないぞ。あれ使った方が簡単だったと思うけど」
「ま、なんにしろあの二人が取り付いたってことは、こっちにとっていいことなんだし、あとはデーターが送られてくることを祈って待っていればいいかな?」
「政史の言う通りだけど、毎度毎度無茶をする二人を、こっちが寿命縮む。」
「これで、全部の船がワイヤーで繋がったわね。」
明美は、手持ちのワイヤーで10隻を括りつけることに成功した
「次は、潜入してどこぞの端末に頼まれた、分捕り君3号をインストールしたらいいわけだけど、どっから入る?」
「簡単じゃない。あそこに大きな穴が開いてるから、そこから入っていけば、どっかに端末かケーブルぐらい転がってるでしょ。」
「それもそうか。装甲をぶち抜かれてるから、敵さんもいないし、こちらから居住空間に入らなければ、ドンパチしなくてもいいしな。」
「行くよ。」「了解」
所属不明の艦隊の駆逐艦の艦橋で
「あの大型船のデーターは収集できたか?」
「それが、思ったほど出来てません。理由は、プログラム言語が違うようで、我々が通信に乗せて放ったウィルスが全く稼働していないことが原因です。」
「向こうも、こちらの情報が欲しいようだな。探査ポットらしき物をこちらに飛ばしてきたが、」
「それに関しては、撃破しました。」
「一体何者なのでしょうか?」
「第三者としかわからないが、この場から何とか脱出する方法を考えないと。幸いと言うか全艦を並べてくれたから、生存者を損害程度の軽い駆逐艦2隻に集合するできた。」
「エンジンの修理は、あと早くても5時間は掛かります」
「なんとか時間を稼げ。近づくものがあれば、生きている砲で近づけるな。」
「了解」




