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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
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サナトリア事変9

 「さて、明日の会見の場所は大会議室を使うとして、テーブルはコの字型に組んでおけば宜しいですね」

「それでお願いするわ。かめちゃん後はやっておいてくれる?」

「それじゃ、それらしい飾り付けをしておきますね。」


 明日のセッティングをかめちゃんに任して、7人は艦橋を出て各自の部屋に向かう途中、ノーマカ少尉に出会った。ノーマカ少尉が近づいてきて、

「幸一殿、会えてよかった。少し頼みごとがあるのだが、良いだろうか?」

「いいですけど、先ほどは少し手荒な真似をして、船室にお連れしたみたいですいません。」

「いいですよ。」

ノーマカ少尉は笑いながら

「我々も、少し頭に血が上っていたみたいです。頭を冷やす時間と空間をいただけて、助かりました。今、こちらに連れてきている文官が、明日行われる会議の書類を、まとめているところです。」

「そう言っていただけると、助かります。でも、王妃様は怒っていませんでしたか?」

「王妃は怒っていませんが、それで幸一殿にお願いがあってここまで来たのです。」

「なんでしょうか?」

「すいませんが、食事をさせていただきたいのですが、この船で王妃の食事が作れるかという相談なのです。もし出来なければ、一旦艦に戻らしてもらって、王妃の食事を作ってこなければいけませんので。」

少し恥ずかしそうにノーマカ少尉が話した。

「なんか、特別な材料がいるのですか?」

「そうじゃないです。食事は大丈夫と思うのですが、食後のデザートが数種類選べるようにしておかないと。」

「機嫌が悪くなるんですか?」

「機嫌とかじゃないんですが、悲しそうなお顔をされるので。」

「子供じゃないですか」

明美はあきれて、肩をすくめた

「でも、デザートは大事だよぉ。あると無いとでは食後の幸せ感が段違いだもん!」

とさより

「この船は軍艦ですから、デザートと言ってもそれほどでもないと思いますので、デザートの手配をしに、少し艦に戻りたいのですが・・」

「なめられたものですね!」

ノーマカ少尉の会話をさえぎり、かめちゃんが話に割り込んできた。

「この、艦内食堂のメニューを見ずに、そのようなお言葉が出るなんて。要するに、王妃を満足させればいいだけの話ですよね。」

「それはそうですが。」

「王妃を連れて、食堂に来てください。なんでしたら、側近の方々もすべて連れてきてください。必ずや、満足させて見せましょう!」

かめちゃんは、挑戦的な目でノーマカ少尉を見上げた。その姿を見て

「すごい自信ですね。わかりました。では、食堂へはどうやって行けばよろしいでしょうか?」

「私が、案内するよ。私もお腹すいたしね」

さよりが、手を挙げてニコニコして言った。

「そうだな、さより、みなさんを連れてきて。俺たちも、食堂に行こう。」


幸一達6人が先に食堂に着いたとき、先客がいた

ローレン連邦国のビュフェ司令官とラッツ艦長が、何か軽食を食べながら、話をしていた。

「ビュフェ司令官、お食事ですか?」

幸一が声をかけると、立ち上がって

「先ほどは、部下が恥ずかしいところを見せてしまい、申し訳ありませんでした。サナトリア王国の方々を怒らしてしまい、あなた方に迷惑をかけたみたいで。」

と、お詫びの言葉

「いえいえ、こちらこそなんか手荒な方法で船室へお連れしましたから、申し訳ありません。どうぞ、座って食事を続けてください」

「ありがとうございます。」

椅子に腰を掛けると、

「ところで、幸一艦長。このお菓子ですかな?美味しいものですな。先ほどから手が止まりません。」

「何を食べているのですか?」

幸一が見ると、ポテトチップス  カレー味 がボールに入れられていた

「確かに、それ、癖になりますからねぇ」


 しばらくして、さよりを筆頭にサナトリア王国の方々が、食堂にやってきた。

「ここで、妾も食事をせねばなるぬのか?」

嫌々来たことがわかる顔で、王妃が食堂に現れ

「そうだよ、王妃様。それ以外のところだと、医務室しか食事がとれない規則だから、ごめんね。でも、ここの食堂の食事は、とっても美味しいから、そんな嫌な顔をしないで、食べてみてから話を聞かせてくださいね」

と、さよりがいつものニコニコ顔で、王妃の手を引いて皆から少し離れた厨房の近くの二人用テーブルに座らせた。

その前にさよりが座り、メニューのタブレットを見せて、料理の説明を始めた。

 その様子を見ていた、サナトリア王国の側近達は、唖然としていた。普段から警戒心の強く、側近にしか会話をしない王妃が、女性とは言え初めての面識もない人物が前に座り、話しかけてその会話が成立するなどと、思いもしなかったからである。

そうこうしているうちに、メニューが決まったらしくタブレットの操作をしていた、さよりの手が止まって、王妃との会話を始めた

さよりが、一方的に話しているように思えるが、時折王妃が頷いたり、声を出して笑ったりしているので、コミニケーションは取れていると思われ、王妃の相手はさよりに任すことに。

サナトリア王国の方々も、初めての異星の料理には興味があるらしく、メニューを見て質問が盛んに出て、色々相談した結果サナトリア王国の方々は、全員なぜかカツカレーを注文した。

 しばらくして、20人前のカツカレーが運ばれてきて、サナトリア王国の方々の前に置かれた。

王妃とさよりは何を頼んだか、わからないがまだ来ていない。

側近たちは、主人より先に食べるわけにもいかず、食べずに待っていると、

「カツカレーは、熱いうちに食べたほうがいいよぉ。」

さなえが、待っている側近たちに声をかけて

「王妃様も熱いものは熱いうちに食べたほうがいいと思うよね」

と、王妃に言うと、王妃もうなずいて

「皆の者、妾に気にせず食べるがよい。美味しいものは、美味しいうちに食べてこそじゃ」

王妃から食事の許しを出したので、執事長が

「ありがたくいただきます。」

と言って食べだした。


最初は全員が、怖々スプーンで少しずつ、カレーとご飯を食べていたが、一気に食べる速度が速くなった。

その光景を見ていた幸一は、明美に

「なぁ、こっちの人って、カレーが大好きなんじゃないか?ローレン連邦国の人も、カレーが好きそうだし、サナトリア王国の方々もカレーを、あんなに喜んで食べているんだし」

「そもそも、カレーに近い料理ってこの辺の星系にあるのかなぁ?」

「どうだろう?聞いてみる?」

と言って、幸一が執事長の所に行って、聞いてみた

「この艦の食事はどうですか?」

「いや~素晴らしいです。このような、スパイスをふんだんに使った料理は見たことがありません。」

「そうなのですか?」

「はい。わが王国は山岳地帯が多く、スパイスのとれる耕作地が限られているため、スパイスは輸入でしか手に入らず、高価な作物なのです。このような贅沢な使い方はできません。宮廷では、せいぜい晩餐会に出される肉料理に使うぐらいです。その肉も、動物たんぱく質として飼育されているのは、主にヤギで、次に羊で、羊は羊毛も取れる優秀な畜産物なのですが、どちらも食肉としては2級品で、わが国では豚肉が最高級の肉なのですが、生産数が少ないのです。ましてやこの料理に使われておるような、脂の乗った美味しい豚は、年一回の建国祭の、宮廷晩餐会にしか出されることがない上質なものなのです。」

熱く語る執事長を見て、

「そうなのですね。」

と感心している、美由紀と政史

「そうなのですよ!このような厚い脂の乗った豚肉だけでも、贅沢な料理にも関わらず、スパイスの塊のようなこのソースにつけて食べるというのは、この世の至福を凝縮したような、素晴らしい料理であり至高の味なのです!」


 それを横で聞いている、明美と幸一が小声で

「DOCOICHIカレーの厚切りロースカツカレーが、こんなに絶賛されるって。」

「だよなぁ。宇宙って、香辛料を持って交易したら、結構稼げるのかもしれないなぁ。」


王妃とさよりのテーブルにも、料理が運ばれてきて、さよりが王妃に食べ方を教えている。

王妃は、出された料理を躊躇していたが、さよりが美味しそうに食べる姿を見て、意を決して一口料理を口に運んだ。

すると、目を見開き咀嚼するにつれ、目がとろんとしてきて、幸せそうな顔になってきた。出された料理を手で食べだし、瞬く間に平らげてお代わりを所望した姿を見て、側近たちが驚いた。

 ある意味、偏食傾向が強い王妃が、素直に見知らぬ料理を食べた上に、出された料理を瞬く間に平らげ、まだ足りないような顔をしているのだ。いつもはすぐにデザートを求めるのにどういう料理を王妃は食べたのであろうか?


「さより、何食べてるの?」

美由紀が、さなえのテーブルに近づき何を食べているのか、確認しに来たというよりは、さよりのことだから、王妃にジャンクフードを平気で食べさす恐れがあったから、心配で見に来たといった方が正しかった。

「うん?お寿司だよ。王妃様だから特上の盛合わせを頼んだけど?」

「どうして、お寿司?」

「うん、私が食べたかったから、王妃様もどうですか?っと言って勧めてみたんだけど、あと、手でも食べれるから、食べ方のマナーを気にしなくてもいいですよって言ったんだけど、お寿司を気に入ってもらえたみたいで、よかった~」

「妾は、初めてこのような美味なる魚を食べたぞえ。魚とはこのように美味なるものだったとは。」

王妃は、追加注文したお寿司が来るのを待ち遠しくて仕方ない様子で、厨房の奥を覗いていた。

「ネタは何なの?」

「えっとね、」

さよりが、メニューをみて

「大間のマグロの赤身、中トロ、大トロと、氷見産鰤、下関のトラフグの身と白子の軍艦、利尻産の紫ウニの軍艦、明石の鯛にタコ、天然車海老、活ヤリイカ、と書いてあるよ。」

かめちゃんずが持ってきた、お代わりのすし桶には、さよりが言ったネタが、宝石箱のように輝いていた。

「すごいネタ。これってお寿司屋さんで食べたらいくらぐらいなの?」

「美由紀さん、そうですね場所にもよりますが、銀座や北新地で食べたら、一人前1万ぐらいですかね」

「高い!あ、でもこれって季節が冬が旬の物が多くない?おいしいの?」

「ふふん、美由紀さん、私をナメテもらっては困りますね。ちゃんと旬の物を用意してますよ。」

「でも、地球を出たのが夏だったじゃない。フグは冬でしょ。」

「水温を下げて飼育したら、冬と勘違いしていい感じになるんですよ。」

「そうなんだ。・・・・うん?飼育?もしかしてこの船には、生簀でもあるの?」

「ありますよ。そんなに多品種大量なことはできませんが、飼育環境を限りなく天然に近づけて、その地域で食べれる味を出せるようにしてます。ですから、この高級寿司はあと5人前ぐらいで売り切れですけどね。後は、冷凍にしてある物で作りますが。」

「かめちゃん、この船ってすごいのね。」

「今更何言ってるんですか、伊達に自立支援型じゃないですよ。食料もある程度生産できるようになってますよ。穀物がメインですけどね。野菜も作っていますよ。みなさん、サラダ食べてるでしょ?あれは、艦内の水耕栽培の畑で作られたものですよ。」

「じゃ、お肉も?」

「それは、冷凍品です。さすがに畜産の動物を飼育できるほど、余裕がないので。」

「でも、すごいよ!それでここの料理は美味しいのかぁ。」

「そういっていただけると、うれしいです。」


 さよりと、王妃は結局二人で6人前の高級寿司を食べ、満足していた

「王妃さま、魚って珍しいのですかぁ。」

「そうじゃ、我が母星は山がちで大きな川がなく、水産資源というものがほとんどないのじゃ。魚というものは、一部の湖で獲れる魚があるぐらいで、ほとんど食事には出ることのないものでな。しかも、干し物か、燻製になっており、固く煙くさいものなのじゃ。このように生の魚というものは、見たことも食べたことがない。」

「よかったねぇ。美味しい魚を食べれて。」

「さより殿、礼を申す。妾にこのような食事でもてなしてくれて。」

「いえいえ、王妃様。この後のデザートをなんにします?私的には、和食だったからわらびもちか、宇治茶アイスがいいと思うんだけど?」

「さより殿に任す。妾は、よくわからないので、さより殿が良いと思うものを選んでくれたらよい。」

「どっちも食べたいんだけどなぁ」

「妾は、二つも食べれんぞ。でも、悩むぞなぁ」

「だったら、半分コしませんか?わらびもちと宇治茶パフェを二人で分けて食べましょうよ。いいでしょ?」


王妃はこの日初めて、食べ物を半分コして、シェアする体験をしたのであった



 「かめちゃん、俺たちは明日に備えて、もう寝るけど、問題が起きないように確認しててくれる?」

幸一が、食堂を出て自室に戻るときに、かめちゃんに声をかけていった

「了解しました。とりあえず両国の皆さんは、問題なさそうなので、緩めの監視をしておきますね」

「おやすみ」



 一夜明け指定した、座標に到着すると、少し遅れてローレン連邦国の元首が乗った大型艦も、ジャンプアウトしてきた。

ローレン連邦国の船から小型艇が発進して、タートルエクスプレス号に接近、ドッキング要請をしてきた。

かめちゃんは、素早くドッキング許可を出し、船体上部に誘導しドッキングブリッジを出し小型艇を固定し、かめちゃんがお出迎えに行った。


ほどなくして、ローレン連邦国の首脳陣が、タートルエクスプレス号の会議室に入ってきた。

会議室に入ってきて、勧められた席に着席すると、正面に座っているのは、サナトリア王国の王妃が座り、その左横を近衛兵兵団長、右横に将軍が座っていた。


「さて、和平会議を始めようと思います」


なんか食べてばかり(^^; 会議は次に始まります

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