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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
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サナトリア事変3

 地球連邦国から来たと言う大型武装探査船が、突然旋回を始めたので、

ワーク将軍が制止をかけた。

「待て!どこへ行く気だ!」

呼び止められた船から、さよりが返信に出て

「とりあえず、お取り込み中のようなので、先に星系の調査をさせていただこうかな?って思いまして。てへっ」

少し場違いな声と内容の返信をしたので

「なんだと?ますます怪しい。貴様等、我祖国サナトリアの政変に乗じて、祖国を

征服する気であろう!」

「地球連邦国の使者の幸一殿。貴殿は、そのような輩なのであるか?」

 疑惑に駆られたワーク将軍と、王妃に質問された幸一は、ビシッと顔を二人に向け、自信満々の態度で

「いえ、違います。お二人のお言葉を聞き、我々の調査順位が変わっただけで。」

と言い切った。

「調査順位とな?」

「はい!王妃様。我々の調査対象は、訪れた星系の調査と、そこに住んでおられる方々との交流ですが、更に上位の最重要調査対象は、バーニニ星系への表敬訪問なのです。」

ときりだした。


「嘘を付くな!地球連邦国などと言うことも嘘だろ!ローレン連邦の廻しものであろう!」

「ワーク将軍!嘘ではありません!そもそも、ローレン連邦とはいかなる国なのか、我々は存じません!ましてやサナトリア国との関係なぞ、先ほどこの宙域に来た我々が知る由もありません。バーニニ星の方に進路を向けたのは、我母星地球が、地球連邦国に統一国家になる前、日本という地域国家が有り、その古い伝承に、

 遠きこと遥かなる悠久なるしらべ、気高きこと孤高の如し、天香久山けふこえて、美しの原薔薇の国よりの使者


 という、我国存亡の最大の危機の時に、幸をもたらしたと言われる、渡来人がおりました。

 それはそれは、当時からすると魔法のような高度な技術で、我国最大の存亡の

危機を、回避してくれたばかりでなく、当時マネのできる技術では無かった、

その技術の供与までしていただいたそうです。

 当初隣国から訪れた人達と思われていたのですが、近年研究が進み、隣国ではなく、異星人達が伝えた技術ではないか?と言う説が主流となり、薔薇の国と言うのは、赤色恒星の持つバーニニ星系のことでは

ないのか?となり、我々が今回探索調査の為に、この地に到着したのです。」

幸一は熱弁した

 艦橋にいるメンバーも、真摯な顔で頷いた。

 目に涙を溜めた明美が立ち上がり、

「宇宙は広く果てしない。こちらのバーニニ星系は、私達の古い伝承に出てくる

星系では無いかも知れません。でも、わずかな手がかりでもいいんです。

過去のお礼がしたいのもありますし、私たちがこのように成長を遂げてこの地に

来れましたという感謝の気持ちを伝えたいのです。ですから、誠に勝手なお願いと思いますが私達に調査させて下さい! お願いいたします。」

と言って頭を下げた。艦橋にいた全員が同じように頭を下げていた。


 ワーク将軍も、その姿を見ると、そこしはにかんだ声で

「お前達を疑った訳ではない。勝ってな行動を慎んで頂きたいだけである。

王妃も、疑いが晴れた訳ではない。バーニニ星系に行くならば、我々も、同行させていただこうか。疑いを晴らすためにも好都合であろう」

「よいのか!かたじけない。」

王妃はワーク将軍に頭を下げた

「王妃、頭を上げて下さい。王族足るも、軽々しく頭を忠臣に頭を下げるものではございません」

ワーク将軍は、スクリーン越しに困ったようにしていた


「全艦全速前進、遅れを取り戻すぞ!!」

サナトリア王国の艦隊が先頭にたち、進んでいく。その後ろに地球連邦国と名乗ったタートルエクスプレス、最後にサナトリア革命軍の艦隊が続いた。


「幸一さんをはじめ、皆さんの国にその様な物語があったなんて、是非ともその

古代の真実を聞かせてくだ・・」

「何言ってんの?かめちゃん。」

不思議な生き物を見るような目で、明美はかめちゃんを見ていた。

「えっ!だって地球文明に貢献した異星人達の話を聞いてですね。」

「どこに、そんな異星人達がいたの?」

「今、幸一さんが語ってたじゃないですか!」

「あの、口からでまかせを信じたんですか?」

美由紀が、可哀想な生き物を見るような目で話かけた。

「えっ!あれってウソなんですか!全員のバイタルデータが嘘を言ってるようには

反応してなかったのに」

「当たり前だろ。そもそも、地球連邦国って名乗った時点でウソが始まってるのに。」

やれやれ、と言った感じで正が肩をすくめた。

「じゃあ、サナトリアの人達も、騙されているということですか!」

「そうですね。かめちゃんが感動したぐらいだから。」

「明美さんも、涙を流しながら訴えていたじゃないですか!」

「あ、あれ。目にゴミが入って目が痛かったんだけど。それがなにかしら?」

「えっ~ぇ。」

「ほんと、偶然ってあるのねぇ」

その様子を見て笑いを堪えていた拓也が、がまんできず大声で笑いだした。

「なんですか!拓也さんまで。」

「いやいや、かめちゃん。詐欺には気を付けてね。すぐに引っかかりそうだから」

「もう!知りません!」

かめちゃんは、プイッと横を向いてしまった。

「でも、かめちゃんを騙せたってことは、あちらさんは、完璧に信じてる、って思っていいね。」

「アカデミー賞もんの演技力でしたからね。おまけに、内乱もあのどさくさで

一時停戦したようだし。」

「でも、あのワーク将軍?出来る人だね」

「何が?」

「一番後方について、少し距離を離して航行しているのは、こちらが、逃げる体勢を取ったら速攻で撃ってこれる位置に着けているし、もし王妃の言葉が本当だとした時、脅迫した犯人から、王妃の味方と思われないように、大型船を盾にして逃げる王妃の艦隊を追撃戦をしかけているように見える位置について航行している。」

幸一が、レーダーによる艦隊の位置関係で、現在の状況を推測した。


 混成艦体とも言える状態で、30分も航行した時

「前方に、約100艦影があるよ。エネルギーの分布をみたら、あちらさんの歓迎準備は整っているけど?皆さんに、お知らせしますぅ?」

さよりが、レーダーを見て報告してきた

「さより、あちらさんって、誰の事よ」

さよりは、レーダーからのデーターをメインスクリーンに映して

「これ。どうみても、こちらが近づいてくるのを待っている感じでしょう?」

そこには、高エネルギー反応をした艦隊の編成が、映っていた。

「どのぐらいで、接触しそう?」

「あと一時間ちょいかな?」

「少尉に連絡取れる?」

「ちょっと待っててね。よいしょっと」

さよりは、通信機をガチャガチャいじってつないだ。

「さよりさん、また、変な接続しましたねぇ。確かに、これなら革命軍側には洩れませんけど、」

「でしょう!さっき取説見てて、気づいてやってみたんだ(笑)」

笑顔で嬉しそうに頷くさよりを見ながら、幸一はかめちゃんに

「何したんだ?さよりは、」

「極指向性レーザー通信なんですけど、三点分散型なんですよ。」

「なんだ、それ?」

「絶対盗聴が出来ない通信なんですけど、メッチャめんどくさい通信なんですよ。

三点のレーザーが重なってはじめて、通信できると言うもので、そのために相手のアンテナに絶えずピンポイントに当てないと、音声すら通信できないので大変なんです。それをマニュアル調整でやってのけるって。」

かめちゃんが、呆れかえった顔で説明した。

「繋がったよぉ♪」

「幸一殿、いかがなされた?」

スクリーンに映ったノーマカ少尉

「そろそろ、誘拐犯人というか敵が現れる頃じゃないですか?」

「そうですね。現在アンテナの最大出力で警戒中です。今のところ異常はありませんけど、何かありましたか?」

「そうですか、それなら良いのですが。ちょっとはじめての土地で、私の気が立っているようです。」

「そうですか、すいませんね。調査航海の途中の貴殿達を、我国の内政のごたごたに巻き込んでしまったようで」

「いえいえ、私共としたら頼もしい軍隊に、エスコートされている気分ですよ。」

「そう言っていただけると、ありがたいです。ワーク将軍の革命軍も元々は、

サナトリア国の第一打撃艦隊なのです。同国の軍人同士、出来るなら争いたくはありませんので、あなた方のバーニニ星系のお話のおかげで、一時的にしろ休戦が出来て、助かっております。」


幸一と、ノーマド少尉の会話の後ろで、明美が

 「こちらは、ぜんぜん気づいてない。けど、むこうさんは、気づいているよね。これって結構ヤバいんじゃない?」

明美は、少尉の言葉を聞いて考えこんだ。

「かめちゃん。もしあちらさんが、攻撃をかけてきたとして速攻で反撃できる?」

「クックッ。速攻でなくても、大丈夫です。向こうの火力が最大でも、この私にかすり傷を付けることさえ、出来ませんよ。」

かめちゃんは、悪い顔で不敵に笑った。


 「こちらは、ワーク。なんだ、この忙しい時に呼び出しおって。さっさと用件を言え!」

イライラしながら別スクリーンに現れたのは、革命軍のワーク将軍だった。

「うんとねぇ~。ワーク将軍って、攻撃準備してる?」

さよりが別回線で、革命軍側に通信を繋いで話しかけていた。

「ハァ?敵もいないのに、なぜ攻撃準備しなきゃならんのだ?私は忙しいのだ、もう切るぞ。」

というと、スクリーンはブラックアウトした。

「こっちも知らないみたいだよぉ。」

美由紀は

「どうゆうこと?」

「たぶん、ワーちゃんの所も、まだ、レーダーに映ってないんだとおもよ」

と、さよりが、通信機器をごちゃごちゃ触りながら

「それなら、なんであちらさんはすでに臨戦態勢が取れるんだ?」

「あっちの方が、レーダーが高性能で感度が高いのか、その他の方法が有るのか?」

「たぶんね、こちらの動きを教えている人か、こちらを見ている物があるのよ。

あっ!見っけ!!たぶん、偵察衛星。スクリーンに出すね。」

スクリーンに映し出されたのは、大きなアンテナを目一杯広げた、衛星の姿があった。



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