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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
140/144

サヨリを探せ!4

ミユキとかめちゃんの2人が城に着いて、受付でアポイントを取ってあると伝えると、

関係各所に確認の連絡を取られ、2人は近衛兵に連れられて、城の横にある建物内へと案内された。

建物内のロビーラウンジにて待つこと無しに、近衛兵からスーツを着た2人の男性に案内を引き継がれ地下3階に移動

案内された部屋の中に2人の男性が立って待っていた。

「お忙しいところ、時間を割いて頂きありがとうございます。私が、サナトリア連邦共和国移民センターの局長を勤めさせていただいています、矢野美由紀と申します。こちらは、私のアシスタントの亀田と申します。」

「亀田です。」

ミユキとかめちゃんは、挨拶をした。

「私は、帝国公安調査局局長のコンドウイサオです。」

と挨拶を返され右手を出され握手を求められたので、ミユキは握手をした。

「私は、帝国歴史資料館館長のコンドゥラです。」

とお辞儀された。


「どうぞ、お座りください。」

とコンドウ局長が勧めて、二人に席を勧めて、着席すると、おもむろに

「こちらに来られたのは、いかがなご要件でしょうか?」

と話を切り出すと、ミユキは、突然立ち上がると深々と頭下げて

「この度は、私どもの柿本さよりが、皆様に大変ご迷惑おかけして、誠に申し訳ありませんでした!」

と謝罪した。

この突然の行動に、かめちゃんをはじめ3人とも、声が出なかった。

コンドウ局長が、

「ど、どうなさったのですか?」

と慌てて声をかけ

「ミユキさん、まだ、サヨリさんが迷惑かけたとは決まってませんよ!」

かめちゃんがミユキの肩に手をかけた。頭をあげたミユキは、椅子に座り直して

「コンドゥラさん。もしかしてサヨリの直属の上司にあたりませんか?」

「確かにそうですね。どうしてわかりました?」

落ち着いた口調で話すが

「目元を見れば解りますよ。サヨリに無茶振りされて疲れた方独特の目元をされていますから。」

しみじみとミユキが答えると、ため息一つしてコンドゥラは、

「平静を保ったつもりですが、解りますか?」

「解りますよ。何千人、何万人とあの娘«こ»の被害者を見てきましたから、特にコンドゥラ館長さんのように日頃から表情を偽る事が出来る方は、良く解りますよ。」

「そうですか。参考までに、表情を偽る事が出来ない人は、どういう表情に?」

「酷い方になると、サヨリって聞いただけで、恐慌に陥り話が出来なくなります。そこまでじゃなくても顔が引き攣りますね。」

「あの人は、何なんですか?」

そう質問されて、ミユキが出した返答は

「サヨリって言うしかないですね。」

その言葉で、この場に居る全員が納得してしまった。


「コホン。今日は、サヨリさんに対する謝罪だけで来られた訳では無いですよね。」

コンドウ局長が場の空気を変えるように、話を切り出すとミユキが

「そうですね。まぁ、サヨリに関する事なのですが、最近こちらに顔を見せましたか?」

「最近ですか?」

「はい、出来れば1週間以内で見かけたかどうかなのですが。」

「う〜ん。私の所には来てないがコンドゥラは、どうだ?」

「ちょっと待ってください。」

と言ってどこかへ内線電話を掛けて。一言二言話すと

「サヨリさんと親しい人物を呼び出しましたので、その者に聞いてみましょう。」

2、3分した頃、慌ただしく走って来る足音がすると、ドアの前で止まり一拍おいてドアを

ノックされた。

コンドウ庁長とコンドゥラ館長は頭を抱えたそうになって、がコンドゥラ館長が

「どうぞ。入っていいぞ。」

と声をかけると、静かにドアを開いて1人の女性が部屋へと入って来た。

「コンドゥラ館長。お呼びでしょうか?」

「もう少し、静かに来れないのか?まぁそれより、イレーナは、サヨリちゃんと最近会ったと言っていなかったか?」

コンドゥラ館長がたずねると

「はい、会いましたが。こちらの方々は?」

イレーナは、呼ばれた理由もそうだが、見慣れぬ2人の女性が気になった。

それを察知したミユキは立ち上がると名刺を差し出して

「サナトリア連邦共和国移民センターの矢野美由紀と申します。本日は、サヨリ・カキモトをほか…ではなく捜査協力を依頼するためにうかがいました。」

イレーナは、心の中で

(いま、捕獲って言いかけたよね。)

とつぶやいた。

「サヨリさんが、そちらの移民センターでなにか問題が有ったのでしょうか?」

ミユキの横にいた、かめちゃんがイレーナに

「いえ、そうではなく、早急に見つけないといけなくなった事案が発生いたしまして。探しております。」

「イレーナ。大丈夫だ。どこで会ったか教えてやってくれ。」

「でも、」 

なぜかためらうイレーナを見てミユキが

「ここって公安調査庁ですよね。これから私が話す内容は、国家機密ですが、漏らしませんよね。」

と、3人に向かってたずねた。コンドウ庁長が頷き

「私が、責任を持とう。」

その言葉を聞いてコンドゥラ館長が部屋の防諜システムを作動させた。かめちゃんがそれを確認をして、問題ないことをミユキに伝えると、ミユキは口調を変えて

「先程も申しましたが、国家機密情報を少し開示させていただいます。この度、サヨリ・カキモトとタケル・ヤマト皇帝閣下との婚姻の儀が行われます。」

一旦話を止める。それを聞き3人は、緊張気味に。うなずき続けてミユキが

「婚姻の儀の発表は、タケル・ヤマト皇帝陛下の戴冠式の日に行われる事が決まりました。」

「すごい!サヨリさんついに国母になるの!」

「確かに目出度い。が…」

「タケル・ヤマト皇帝陛下、大丈夫なんでしょうか。」

3人は、思い思いの感想を口にした。それを見たミユキが砕けた口調になり

「タケル・ヤマト皇帝陛下はサヨリにベタ惚れで、大丈夫なんじゃないでしょうか?それよりも

困った事が起こりまして、実はサヨリがどこに居るのか全く解らなくて、皆様にお願いにあがったわけです。はい。」

「えっ!」

「行方不明!」

「……」

3人はしばし、絶句。

3人の顔を見渡しミユキは、

「イレーナさん。最近サヨリとどこで会ったか教えていただけませんでしょうか?」

イレーナは、頷くと

「4日前です。」

「場所は?」

「帝都グランドキャッスルモールの、『杜の囁き』というケーキ屋のイートインで、お茶をしました。」

「ミユキさん。チラシが有ったお店です。」

「イレーナさん。そこでサヨリは、ファーストフレッシュティーと、ブッシュドノエルを頼みませんでしたか?」

「た、頼みました!どうしてそれを?」

イレーナは、驚き声をあげた横で、上司だろう2人が頭を抱えていた。

「イレーナ、お前、少しは公安局員らしくしろ。」

「すいません。でも、なんで的確に注文した物がわかるのですか?」

「簡単ですよ。サヨリの部屋に有ったチラシに丸が書き込まれてましたから。これ、絶対注文するやつだ、と思っていましたから。」

と言って持参してきたチラシを見せた。

「既にお二方は、サヨリさんの住居を調べられているのですね。」

「はい。そこにはヒントは数多く存在しましたが、決め手になるようなものが無くて、

仕方なくサヨリが行きそうなところを虱潰しにしていくしか現在のところ、手段がなくて。

助かることは、サヨリは、他に行きたいお店がある時は、一度行ったお店には、しばらく立ち寄らないので

イレーナさんの話から候補が減って絞れて行くので助かります。その後、食事はしませんでしたか?例えば、ラーメン屋かハンバーグのお店とかに?」

少し驚き

「確かに、ハンバーグのお店に行きました。そのお店で別れました。」

「かめちゃん、洋食白銀は訪問済。」

「ですね。あと4件のお店に絞れて来ました。」

「ここからは時間との勝負になるわね。」

「はい!」

「本日は、お忙しいところお付き合いしていただき、ありがとうございました。今後とも、こちらとは良い関係が続く事をお願いいたします。」

ミユキが3人に対してお礼を述べ、席を立とうとすると真剣な口調で

「すいません。ご迷惑で無ければ、同行させていただけませんか?」

イレーナは、サヨリ捜索の同行を希望した。それを不思議そうにミユキが

「どうして?」

「今後の、私の捜査官としてのキャリアアップの為、じゃダメですか?」

しばらくミユキがイレーナの顔を見て考えていたが、座っているコンドウに向かって

「かまわないのですか?」

と聞いた。コンドウは、

「同行させてもらえるのでしたら。」

それを聞き、チラッと時計を見たミユキは、

「じゃ、2分で準備して。集合はこの建屋の1階ロビーで。遅れたら置いていくから。」

「わかりました!では、のちほど。」

と言って部屋を飛び出して行った。その後ろ姿を見てコンドウが

「彼女は、本来は腕のイイ捜査官なのです。お二方の足を引っ張る事はないと思います。

ただ、最近捜査に悩んでおりまして、あなた方の捜査に同行することで…………」

ミユキは、手を上げコンドウの言葉を遮ると

「かまわないですよ。私どもも人手は多い程助かりますので。それに、ある意味あの()もサヨリの被害者の1人なのでしょうから。」


2分後1階ロビーで合流した3人は、そのまま夕暮れせまる繁華街へと向かった。


飲食店が明かりを灯し始めた中をぶらぶらするようにミユキが歩いていくと

「お店に聞き込みとかしないのですか?」

とイレーナに質問されたミユキは、

「う〜ん。する必要は、無いかな?」

「えっ!どうしてですか?」

「イレーナさんは、なぜ聞き込みとかしないといけないと思った?」

「サヨリちゃんが来たかわからないのでは?」

「そんなムダな事しなくてもいいの。あの娘«サヨリ»に関してだけはね。行く店が絞られているから。」

「そうなんですか?」

「そうよ。ただ最後の決め手が掴めないのよ。だから、歩いているんだけど。」

と言って3人は、飲食店街をひやかしながら歩いていたが、ミユキが立ち止まって

「イレーナさん、今から夕飯食べようと思うんだけど、貴女ならオムライスと刺し身、どっちが食べたい気分?」

「捜索は終わりですか?」

「そうじゃないけど、そろそろご飯時じゃない?貴女ならオムライスと刺し身、どっちが食べたいのかな?って思って。」

「そうですね。どちらかって聞かれると、刺し身ですかね。」

「どうして?」

「どうして、ですか?う〜ん。」

イレーナはしばし考えて

「それはですね、今日は暖かったですし、オムライスよりも刺し身と冷えたお酒がいいかなぁって思っただけなんですけど。」

それを聞いてミユキは

「そっか!じゃ、行きましょう!」

「えっ!」

「安心して、私が出すから。」

「そうじゃなくて、サヨリちゃんの捜索は?」

「大丈夫!貴女が決め手をくれたから!行こ行こ!」

ミユキの行動がわからず困惑するイレーナの腕を引っ張り1軒の居酒屋へ

そこは、人気店らしく店内は満員に近く賑わっていた。


「すいません!3人なんですけど、いけますか?」

ミユキが店員に声をかけると

「すいません、今、満席で。しばらくお待ちいただけますか?」

「いいですよ。」

と返事をしたミユキは、店内を見渡して一つのテーブル席に注目した

「居た!行くよ。」

そして、店内へ入って行った。

「あ!お客様。」

店員が静止をかけようとしたとき、奥のテーブル席で数人の男性と陽気に話していた一人の女性がミユキを見ると

「あれ〜、みゅうちゃん«ミユキ»!かめちゃんも!久しぶり!!こっちにおいでよ!あっ!      ちゃんも。おいでおいで。」

と、手招きした。

「サヨリ。ご機嫌ね。こちらの方々は?」

「さっき知り合ったカマタさん達!」

そこにいたのは、サヨリ本人だった。

かめちゃんもイレーナも

「あっさり見つかった。」

と、驚いていたが、ミユキは呆れ顔で

「あいかわらずねぇ。」

と、一言。サヨリは、嬉しそうに

「みゅうちゃん達、一緒に飲もう!」

と、席を空けようとしていた。それを見てミユキが

「皆さん、ご一緒させていただいてよろしいですか?」

と、断りをいれると

「美人さんなら、大歓迎ですよ~!さ、さ、こちらに。お姉さん!こっちにグラス3つ!」

赤ら顔のおじさんと言ってもよい年齢の男性が、3人の座る場所を作ってくれた。

ミユキ達3人は、その宴会グループと合流して、ミユキのおじさん達の会話に素直に驚いてみせたり感心したりする仕草に、それとは別にイレーナの、会話スキルを駆使した盛り上げも功を奏し、嬉しくなったのか、おじさん達の会話が盛り上がる。

あと的確な相槌と、追加注文するかめちゃん、ひたすらご機嫌で笑顔を振り撒いているサヨリ。

気づけば閉店時間となっていた。

「サヨリちゃん達、今日は楽しかったよ。」

「こちらこそ、押しかけちゃいまして、」

「また、今度、また飲もうね!」

と、居酒屋を後にした

「さァてと、これから、どうする?もう一軒行く?」

男性グループと別れてサヨリが聞くと、ミユキがサヨリの手首を持ち

「とりあえず、確保。サヨリ、チョット来てもらうわよ」

「えっ!どういうこと?」

「サヨリさん、貴女は指名手配されていますから、大人しくついてきてもらえますか?」

かめちゃんがそう告げると

「そんなぁ〜。嘘でしょう?あたしの情報網には引っ掛かってないもの。」

「当たり前じゃない。私達だけで決めて、他に流してないもの。」

「罪状は?」

「住居侵入罪及び国家騒乱罪。」

「あたしは、無実だ!イレーナちゃん、信じて!あたしは、まだ何もしていない!」

涙を流しながらイレーナに訴えるサヨリ。その姿を見てイレーは、

「えっ!えっ?」

理解が追いつかずオロオロしていた。

「それと、結婚詐欺容疑もあるからね。ハイハイ、行きましょう。」

ミユキは、サヨリの手を引き歩き出した。

「そんなぁ〜。タケルさんとは、ちゃんと結婚するよぉ。だから、それは罪状にはなりませぇ〜ん。

またね!」

サヨリがそう言うと、ミユキの手を振り払い消えた。唖然とする3人。



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