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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第1章
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サナトリア事変2

スクリーンに映し出された二人に対して開口一番、幸一が呼びかけた。

「我々は、学術調査の為に航海をしております。先程のこちらからの発砲は、そちらからの

ビーム攻撃に対し艦内AIによる、自動報復攻撃をかけてしまいました。止めようがなく申し訳ありません。

自己防衛システムの為に、我々の手では止めることが出来ませんので、くれぐれも我々に

攻撃を仕掛けることの無いようにお願い致します」

つまり、お前等が撃ってきたから、撃ち返しただけで我々は悪くないし、又攻撃してきたら

同じ目にあわしますよ。

と慇懃無礼を絵でかいたら、こうなるお手本のようなセリフと態度で幸一がにこやかに伝えた。


「ねぇねぇ、自動報復システムって、この船にあったっけ?」

「あるよ。」

と言って、幸一がかめちゃんを指さした。

「かめちゃん?」

「そう、たとえ郵送艦って言われてムカついた、かめちゃんが発砲したのだって、かめちゃん自体が艦内AIだから、ウソじゃないし」

「あっ!そうかぁ!」

「確かにそうですね」

頷く一同

「そもそも、こちらの対空機銃で大破する艦艇ってどうよ?」


この会話は通信にのってないはずなのに、

青年将校のワーク将軍は、怒りの表情を見せたが言葉は発しなかった。

厳つい顔をしたノーマカ少尉艦長代理は、苦笑していた。

「さて、私達はこの宙域をしばらく滞在してから、次の探査宙域に向かいます。それまで

私達は、この宙域で探査を行います。」

「少し待ちたまえ。この宙域は我々サナトリア革命国家の領域である。なにを勝ってな事を。

領空侵犯で、攻撃されたくなかったら、速やかにこの宙域を立ち去れ!」

ワーク将軍は、スクリーン越しではあるが、見る者を竦み上がらせる凄みで、睨みつけてきた

その眼力をさらりと流して

「いえいえ、立ち去れと言われましても、はい、わかりました。とは、言えません。

なぜなら、他民族との交流も私達に課せられた、任務の1つだからです。

それに、攻撃はもう受けましたし」

幸一が、にこやかに返すと

「ふん!知ったことか!蜂の巣に成りたくなかったら、この場から、立ち去れ!

先程は油断したが、今度は全方位からの全力攻撃をしてやる。」


 革命軍の艦隊は、タートルエクスプレス(かめちゃん)に対し、お互い砲撃の射軸に

重ならないように、タートルエクスプレスを囲いこむ布陣を展開していた。

「ほう、なかなか良い艦隊ですね。乱れず最短の時間でこの展開させるとは。」

かめちゃんは、相手の艦隊指揮と熟練度と士気の高さに感心した

「他民族との力の交流は、あまりしたくは無いのですけど、降りかかる火の粉は払うまでですけど。」

幸一が、不敵に笑うと

「ほっほう、おもしろい。この体制でどうあがいてくれるか、見せてもらおうか!」

とワーク将軍が吠えた


 まさに一触即発状態の緊張感の中

「ワーク将軍。お辞めなさい!」

突然、凛々しい女性の声が艦橋に響いた。

「王妃!いけません!」

「マーガレット王妃、やはりこの艦隊に逐わしたか。」

「マーガレット王妃?」

幸一は、モニタに映し出された、淡いエメラルドグリーンのシンプルなデザインの

ドレスを着た美しい女性を注視した。


 「遥かなる星の海を乗り越えて、この地まで来られた勇敢なる方々に対し、貴方は礼節と言うものを知らないのですか!貴方も、元はサナトリア王国の騎士団の一員だったのであれば、恥を知りなさい!」

凛とした声でワーク将軍を叱咤するマーガレット王妃。

 一瞬たじろぐワーク将軍だったが、

「何を言う!祖国サナトリア国民を謀り、我等兵団を裏切った王族の言うことなぞ、聞く耳を持たんわ!」

「それは違う!ワーク将軍。聞いてくれ!王族は、国民を謀ったことはない。

貴殿は、ビートナズ首相に騙されていることが、わからないのが?」

「違うものか!ノーマカ少尉。貴様こそ目を覚ませ!あの数々の証拠に証言がある上に、王族に対し説明を求めたにも関わらす、今回の逃避行。自ら罪を認めた結果の事であろう。」

「違うのです。これには重要な理由があるのです。」

「王妃!言い訳か!!重要な理由ならば、国民に説明をしてから出掛ければ良いではないか!説明報告会当日に、こっそり逃げ出すように宇宙港から出ていく必要性は、どこにある!」

「それには人に言えぬ重要な理由が。」

「どうせ、命乞いの理由であろう!王族として恥を知れ!」

ワーク将軍が、吐き捨てるように罵倒した。

「妾の命なぞ、国民の為になるなら、いつでも捧げる覚悟は出来ておる」

「信じれるもんか!あの不正に隠された虐待の数々」

「違うのだ!ワーク将軍。マーガレット王妃は今から、」

「ノーマカ少尉!その先は言ってはならぬ!」

マーガレット王妃は、ノーマカ少尉に詰め寄るが

「いえ、マーガレット王妃。今こそ本当の事を伝えるべきです。」

「でも、その様なことをすれば、あの娘の命が。」

「マーガレット王妃。もう時間がありません。ワーク将軍に理由を説明して、先に進まないことには助けることも出来ません。」

マーガレット王妃に、何かを懸命に説得するノーマカ少尉


「何を、ごちゃごちゃ話している!」

「ワーク将軍、聞いてくれ!サファイヤ姫が、城から連れ去られて、あと3時間以内にバーニニ星に行かねば、姫の命が亡くなるのだ!」

ノーマカ少尉が懇願した。

「この期に至ってもまだ、偽って逃げようとするのか!その船か、その艦隊のどこかに姫もいるのではないか?」

「嘘ではない!!」

「信じられるものか!あの厳重な警備の中、どうやったら姫が、人知れず城から連れ去ることが出来ると言うのだ!」

「それは解らぬが、現に連れ去られて脅迫状が届いておる。このような通信も相手に聞かれたら、姫の命 が どうなることか。」


「なんか、大変そうな所に来ちゃったね」

さよりは、どこからもってきたのか、ポテトチップスの袋に手を入れながら、スクリーンを見ていた

拓哉が、さよりのポテチの袋からチップスを摘まみながら、

「確かになぁ。ちょっとしたお家騒動だなぁ。どうするこれ?」

「うん?さっき、バーニニ星系って言った?」

幸一が反応すると

「そう聞こえましたねぇ。」

かめちゃんが答えた。

「そこって確か、非生命体が最初に襲ってきた星系じゃないか!」

「今どうなっているか、興味あるなぁ~。」

「ここから遠いの?」

「そんな遠くはないでしょう、だって3時間以内に行かなきゃいけない人達がそこにいるんだから。」

明美は、スクリーンに指をさした。

「どうせ、ジャンプするのにあと20時間は、エネルギーのチャージにかかるんだから、行ってみても時間のロスにはならないでしょう。」

かめちゃんも行く事に賛同した。

「みんな!バーニニ星系に行ってみよう!」

「そうですね。どれだけ復興したか、私も見てみたいです。」

「じゃあ、行ってみよう!バーニニ星系ってどこだ?」

明美は、星図を眺めて現在地とバーニニ星系までの所要時間を計算した。

「近いわよ。最大戦速で向かえば1時間ちょいですね」

「ほんじや、行きます!」

船体をバーニニ星系方面に旋回させ、発進しようとした時、

「ちょっと待て!どこへ行く気だ?」

行くのを引き止める言葉が、スピーカーから流れた。


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