サヨリと女神1
サヨリが扉の向こうに入った直後からの、サヨリの行動です
個々の章は、サヨリの一人称になります
う〜。頭が痛い、
「あ~ちゃん。痛い。」
あ〜ちゃん、もっと優しく起こしてよ。
「やっと起きたか。で状況は、解っているんだろうな?」
「うぅ~ん?ここは?」
あたしがモゾモゾと起きて目を開けると、仏頂面のあ〜ちゃんと泣きそうなタケルさん。
「タケルさん、おはよー。で、あたし、何してたんだっけ?」
「サヨリさん!!目を覚ませたんですね!嬉しい!!」
ど、どうしたのタケルさん。しがみついて来ちゃって。で、ここはどこだ?
そっか!あそこから出ちゃったんだ。ゲッ!シーツみたいなもので包まれているけど、あたし、
すっぽんぽんじゃないの!うっ恥ずかしい
「タケルさん。そんなに強く抱きしめたら、痛いよぉ。」
そう言って、身をよじると、
「ごめん。つい嬉しくて。」
タケルさんが、床にあたしをそっと立たせてくれた。のであたしは、シーツみたいなものを脱いで
「ゴメン!ちょっと急ぐから。また後で!」
と言って試練の間へと続く扉へとダッシュ。
思った通り扉は開いて、あたしは扉をくぐり抜けた。
後ろで何かあ〜ちゃん達が何か叫んでいるけど、無視!とりあえず着替を探さないと。
薄暗い通路をしばらく歩くと、広間に出た。
「女神さん、来たよぉ〜。」
すると、祭壇の前にめっちゃ美人の女神さんが現れた。
「サヨリ、本当に出れ来るとは。では、我に覇者の勾玉を。」
「そうだね。」
あたしは、胸部プロテクターの内側から指輪を取り出すと、女神さんに見せた。
「確認した。我の全機能使用を許可する。」
「ありがとう。で、話の続きなんだけどね、この指輪、もっと作ってもいい?」
あたしは指輪を女神さんに見せながら聞くと
「かまわぬ。」
「えっ!いいの!じゃ作り方教えて!」
「これじゃ」
すると、目の前に図面と材料が映し出されたよ。
「ちょっと待っててね。」
あたしは、あたしの相棒の2in1PCとの接続を確認、ヨシ!回線状態良好、左目のコンタクトレンズに
仕込んだカメラ起動、目の前の画像を撮影、データ転送、これを添付画像にして、かめちゃんへ
[これ、メンバー分8個作って!]とメールしてっと、メール送信。
空間に浮かんだ画像を、見つめていたら女神さんが
「何をしておる?これを覚えようとしておるのか?」
「無理だよ。だから撮影して友だちに、作ってもらうように、頼みました。」
「そう言えば、我の管理外の端末へ、微弱電波が何やら通信しておったようだな。お主か?」
「女神さんの管理している端末って?」
「この国で生産された物全てだが?」
「ゲッ!どうやってそんな事が?」
「この国の端末のシステムは、全て我システムの下位互換にて稼働しており、我の管理下にある。
だが、我のシステムではない、お主の端末には我の影響力が及ばない。」
「そうなんだ。」
あたしは周りを見て、座る椅子が無いので立っていたけど、なんか足がだるくなって床に座るにしても裸だし
「女神さん。なんか着る物ない?寒くはないけど、女神さんの前で裸って失礼だし、
後、椅子か座布団みたいな物も欲しいんだけど。」
ダメ元で聞いてみたら
「両腕を横にひろげ、股を開け。」
えっ?どういうことかな?言われるまま『大』の字の格好をすると、見つめられ
「楽な姿勢で暫し待て。」
「はい」
見つめられたままで、無言の時間が過ぎていく。なんか空気が重い。
「女神さん、何をしたのですか?」
「………………」
返事ぐらいしてよ。
「………………………………………………………………………………これで良かろう。」
体感5分程して、女神さんが返事をしてくれたのと同時に、あたしの目の前に一人掛けの
本革製のソファと小学校にある生徒机みたいな木製机が現れ、机の上に衣類が乗っていた。
「それを羽織れば良かろう。」
机に置かれた衣類は、ちゃんと下着も有った!いそいそと下着を身に着け、アウターを身に着けると、
絹で織られた純白のこれって
「修道女着だ。」
「ここへ来る者は、皆そのような物を、身につけておった。」
「そうなんですね。普通の修道女着よりも立派だなぁ。もしかして、聖女様用の召し物かも。
でもサイズぴったり。」
「採寸シタ。」
そっか、だからあんなポーズさせたのか。
「女神さんは、何でもここに出せるの?」
「肯定。物質合成出来るものならば、可能。」
あれ?だったらここに篭って、脱水症状で死にかけて出てくるのはなぜかな?
「そうなんですね。じゃ、飲み水を下さい。」
すると、机の上に水が現れ、机を濡らした。おいおい、これじゃ飲めないよ。
「ナゼ人は、いつもそのような物を我に出させては、いつもそのような顔をするのだ?」
「えっ!ここに来た人、みんなしてるのですか?」
「肯定」
もしかして?
「じゃ、容器に入れた飲み水を下さい。」
「御」
そして出た物は
「ナゼ、そのような顔をする?」
いやいや、透明な立方体に入れた飲み水って、どうやって飲めばいいのかな?飲み口ぐらい付けてよ。
「もう一度!コップに飲み水を入れて出してください。」
「コップとは、ナンゾや。」
おいおい!コップを知らずにどうするんだよぉ!新たな嫌がらせ?
こうなったら!
「高さ20センチ、直径5センチの円筒の片方は底として液体が漏れないようにした容器の中に、
飲み水を入れて、机の上に出してください。」
「御」
「う〜ん。これじゃない。」
出た物は、確かに高さ20センチ、直径5センチの円筒容器だけど、内径1センチあるかなぁ?
しかも金属製で、めっちゃ重い。質問の仕方を変えようっと
「あの〜。ガラスってわかりますか?」」
「肯定」
「じゃ、ガラスで出来た長さ20センチ、幅17センチ、厚み1ミリの板を出してください。」
「御」
出てきた物は、透明度が高い以外は変哲も無いガラス板だった。
「これが出せるのね。じゃ、これを素材として、円筒にしてもらって、底として液体が漏れないようにして。」
「御、これでヨイカ。」
見た目はコップよね。あっ!口にする場所が、ガラスのエッジが立ってて唇を切りそう。
「あと、ここを丸み持たせることができますか?」
「御」
カンペキ!やっとコップが手に入った。
「それをコップと申すか?」
「そうだよ。飲み物をこれに入れてくれないと、飲めないよ。」
「我ハ、それをグラシスコと言う。」
「えっ?グラシスコ?」
「了」
「ちょっと待って!もしかして、言葉が合ってないだけで、お互い物が認識出来なかった?
女神さん!あたし達、人間が食事するために必要な器具、道具、機材全ての種類を
1つづつ出してください。それらのすべての、名前を教えてください。」
そこからは、大変だったよ。3000点を越える食器や調理器具一つ一つ名前を言い合って、あたしが使っている名前に変更していった。
「やっと、お水が飲めるよ。」
あたしは、水差しに入った水をコップに注いで、一息をついた。そうしたら
「お腹すいたなぁ。女神さん、なんか食事出来る物は出せるの?」
「御」
そうして机の上に出てきたのは、皿の上に、ジャーキーかな?長さ20センチぐらいの
干し肉2本、黒パン一欠片、手元の水
うん。どこぞの収容所のご飯かな?
「これ以外は?」
「知らぬ。」
「知らないって?どうして?」
「我、前にて、食事した者の、内容だ。それ以外、我、食事とやらの、種類を知らぬ。」
「あちゃ〜。そりゃそうかぁ。女神さんの御前で、食事する人って居ないわなぁ。
でも、誰だ?ここで食事した人って?」
「初代皇帝、織田新之丞上ノ介。」
答えてくれた。
「どうして、ここで食事したの?」
「我に、質問した。彼とのタノシキ、ジカンデアッタ。」
「帝国の基礎を造ったって人だよね。そっか。女神さんから、いろいろな情報を引き出して、
統治やインフラに活用したんだ。
その時持ち込んだ食料がこれかぁ。携行食と言えるのか。しかし、もっとマシな戦闘携行食を
持ち込んでおいて欲しかった。」
あたしは、干し肉を齧ってみた。ウッ!硬い。結構塩辛い。黒パンは、どうかな?これも、硬い。
どうにか水で流し込むと、思った。温かいご飯が食べたいなぁ。ダメ元で聞いてみよう。
「ねぇ、食材って出せるの?」
「食材とは?」
はぁ、期待薄い
「これらの、加工前の物なんだけど、解る?」
「了」
机の上に、皿に乗った生肉、ライ麦粉?、塩、香辛料類が、出てきた。
言い方を変えてみようと
「女神さんが知っている、これら以外の食材を、あたしの拳ぐらいの量で、知っているだけ出してみて。」
「了」
結果、あたしは後悔した。出るは出るは、その数、肉だけで1万点を越えた時点で、あたしは数えるのを拒否した。
女神さんが知っている全ての食材の素材を提示し終えたのは、6時間経過した後だった。
とりあえず、データとして全て登録しましたよ。後は、かめちゃんに丸投げするか、みゅうちゃんに丸投げしよう。