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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
129/144

終戦処理1

サヨリが、ねぇ(^^;


 アケミが連れてきた陸戦隊と、帝国近衛師団、憲兵隊が城内を制圧し、クロダ宰相率いる部隊が、

総合庁舎を制圧し、行政機関の主権を取り返し、乱れていた業務を正常化させていった。

その間玉座の間は、各方面への連絡の中核場所となっていた。

「アケミさん。どうして、ここを中核にしないといけないのですか?」

タケル・ヤマト第一皇太子が、サヨリに寄り添いながら不満そうに問うと

「すまん。城内と城外との連絡を取るのに、現時点でここが最適なんだ。もう少ししたら、連絡用テントを

立てて、そちらに移るので我慢してくれ。」

「それじゃ、サヨリさんを別の部屋に移せないですか?」

「それも、もう少し待ってくれ。各部屋を調べて、安全を確認させているから。それまで、

ここが1番安全なんだ。」

アケミは、城内の制圧とともに、城内に逗まっている反第一皇太子派の駆除を行わせていた。

一部屋一部屋、危険物等が無いかを、安全確認させているから、時間がかかってしまっていた。

「アケミさん。せめてサヨリさんをベッドに寝かしたいのですが。」

タケル・ヤマト第一皇太子が、レースのカーテンで包まれて、床に寝かされているサヨリを気遣い、

アケミにサヨリをベッドに運びたいと頼むと、物凄く嫌な顔をして

「そのままで、構わないと思いますよ。」

と、返答。その返答に驚きながらも

「私の、部屋があります。そこへ運ばさせてください。」

と言って、タケル・ヤマト第一皇太子は、サヨリをお姫様抱っこをして、歩きだそうとした。

それを見て

「ちょっとお待ち下さい。」

アケミは、ため息を一つついて

「貴方様にお手数おかけるわけには…」

と言ってサヨリに近づくと、拳を固め

「起きろ!」

と言ってサヨリの頭を殴った。

「何を「ふぎゃー」…えっ?」

抗議しようとしたタケル・ヤマト第一皇太子の声を遮る大きな叫び声がした。

アケミがサヨリの顔を覗き込むと、少し涙目のサヨリが薄目を開けて

あ〜ちゃん(アケミ)。痛い。」

呆れた顔をしたアケミが

「やっと起きたか!この寝坊助めが。で状況は、解っているんだろうな?」

と問うとサヨリは

「うぅ~ん?ここは?」

周りをキョロキョロ見渡し、タケル・ヤマト第一皇太子と目が合うと、ニヘラと笑って

「タケルさん、おはよー。で、あたし、何してたんだっけ?」

サヨリが、タケル・ヤマト第一皇太子の腕の中で考えていると

「サヨリさん!!目を覚ませたんですね!嬉しい!!」

と言って、あらん限りの力でサヨリを抱きしめた。

「タケルさん。そんなに強く抱きしめたら、痛いよぉ。」

そう言って、身をよじると、

「ごめん。つい嬉しくて。」

タケル・ヤマト第一皇太子の目には涙が光っていた。

タケル・ヤマト第一皇太子は、そっとサヨリを床に立たせると、もう一度抱きしめようとしたが、

それをスルッとかわして、レースのカーテンを脱ぎ捨てて

「ゴメン!ちょっと急ぐから。また後で!」

と言ってサヨリは、全裸のまま走って玉座の後ろに行くと、壁がスライドして通路が現れ、

サヨリは躊躇無くその通路へ駆け込んだ。

「えっ!サヨリさん!!」

後を追いかけたタケル・ヤマト第一皇太子だが、通路にたどり着く前に、扉が閉まり入れなかった。

「サヨリさん!開けてください!」

通路があった所の壁を叩き、サヨリを呼ぶが返事はなかった。

「オイ!ここは、どうしたら開く?それとこの先に何がある?」

アケミがタケル・ヤマト第一皇太子に聞くと

「ここは、王位継承権を持つものしか開かないのです。この奥に、『試練の間』があり、

そこで王位を継承されるのです。」

それを聞くとアケミは

「じゃなぜお前で、この扉が開かない?それと、なぜ、サヨリで開いた?」

と、返した。

「それは、第三皇太子が『覇者の勾玉』を持つ真の継承者しか開かないように、試練の間にいる女神に設定させているから…………まさか!」

ある事実に気づきタケル・ヤマト第一皇太子は、目を瞠った。

「どうした?」

「サヨリさんが、『覇者の勾玉』を持っている?いったい、どこに?」

一糸纏わぬ姿で通路の奥に消えたていったサヨリの姿を思い出して困惑するタケル・ヤマト第一皇太子。

「そういうことか!そこを退け!」

アケミはタケル・ヤマト第一皇太子を後ろに突き飛ばすと、手榴弾を扉が開いた所に投げた。

爆破するが、傷一つつかない。

「えらく頑丈じゃないか。」

「アケミさん、いきなり何を、」

タケル・ヤマト第一皇太子が、起き上がってアケミに、苦情を言うが

「アイツ、何する気だ?嫌な予感しかしない。」

悔しそうに扉を睨みつけるアケミ。同じようにタケル・ヤマト第一皇太子も扉を見ながら

「サヨリさん。『覇者の勾玉』をどこに持っていたのか?」

と呟くが

「プロテクターの中だろ。」

と事も無げにこたえるアケミだった。

「プロテクター?サヨリさんは、裸でしたよ。どこにプロテクターなんかを?」

タケル・ヤマト第一皇太子は、意味が解らないといった顔でアケミを見ると、アケミは、

頭を掻きながら呆れた顔で

「アイツが、丸腰で敵の本陣に乗り込むと思うのか?用意周到で行くに決まっているだろう。

アイツは、胸部に見た目じゃ解らない、肌そっくりに造られたプロテクターを着込んでいるんだ。

しかも、各種ギミックをしっかりと詰め込んだな。」

「えっ?嘘でしょう?」

信じられないといった顔で、先ほど抱きしめた感触を思い出して困惑した。

「驚くのも仕方がないが、本当のことだ。そこからこれも出したんだろう。」

と言って、アケミが一振のナイフを取り出した。

「これは?」

「玉座の下に落ちていた。たぶん第三皇太子が、サヨリの奴を刺したナイフだろう。」

と言って、玉座の肘掛けの一部を切って見せた。ナイフは切れ味鋭く、綺麗な切断面をしていた。

それを見て

「こんな鋭利なナイフで刺されたら、切り傷じゃ済まないですよ。」

「刺せたならな。」

アケミは、そのナイフを自らの手に勢い良く刺した。刺した所から赤い液体が滲み出てきた。

「な、何をするんですか!それより、手の治療を!」

驚くタケル・ヤマト第一皇太子だが、何事も無かったように手を見せるアケミ。

「ケガなんぞ、しておらんよ。」

と言って、ハンカチで手を拭き手をヒラヒラさせる。

「どういうことですか?」

わけがわからない様子のタケル・ヤマト第一皇太子に、アケミはナイフを見せながら

「これは、アイツの商売道具の一つだな。マジックで使う小道具だ。このナイフの刃は、

柄の近い所しか無いんだ。刃先は、ゴムで出来ていて、切りつけられて痛くも何ともない。

さらに突くと、ナイフの刀身部が柄に入る構造になっているんだ。これで、どうやって人を刺し殺す?」

と言って、もう一度手を刺して見せる。

「確かに。でも、これは普通に気付くでしょう。」

「血糊が出たうえに、興奮剤と幻覚剤を使われ、正常な意識が無い状態では?」

「えっ?いつそんなことが?」

「第三皇太子は、言ってただろう。タバコの煙をかけられた、って。」

「まさか?それで幻覚が見てしまうぐらいの薬だと、自分自身もその薬で……」

「耐性があったら、どうってことない。ついでに言うと、人工羊水の中の成分では、

アイツを覚醒させ続ける事は、無理だな。アイツは、使われた薬品全てに耐性があるぞ。」

「まさか!」

信じられないといった

「まっ、普通に驚くよな。私も、耐性のある方だが、アイツほどじゃない。アイツは

私以上に、ギリギリのラインで、勝負してきているからな。」

アケミはそうつぶやいた。

「じゃ、血みどろで近づいてきたというのは?」

「さっきも言ったが、このナイフのギミックで、血糊が出るんだ。何度も刺して

血みどろになった相手が近づいて来たら、恐怖だろう?」

「そうですけど、ただ近づくだけで?」

「アイツがそんな単純な事をするわけ無いだろう。アイツは、そこら辺の映画スターよりも

演技が上手いんだぞ。ホラー映画の恐怖シーン以上の演技を、したに決まっているじゃないか。」

「なぜ、そんなことを?」

「たぶん、『覇者の勾玉』の情報が知りたかったんだろう。第三皇太子の恐怖感を煽って、

引き出そうとしたのだろうけど、ただ、やり過ぎた。第三皇太子は、あまりにもの恐怖にかられ、

サヨリを『虚無の間』に落としたんだろうな。」

「しかし、第三皇太子の怯え方は異常だったが。」

「気にすんな。アイツを怒らせた連中は、いつもあぁ成る。もう、一般生活する事は無理だろうなぁ。

それより、もう一度聞くが『試練の間』に行く方法は、この通路しか無いのか?」

アケミは、サヨリが入って行った通路の話に切り替えた。タケル・ヤマト第一皇太子が

「私が知っている範囲では、ここ以外無い。」

と言うと、アケミが

「そうか、通路は、この城の何処かに繋がっているんだから、横の壁を破壊すれば行けるか?」

と言った言葉に不穏な気配を感じたタケル・ヤマト第一皇太子は

「まさか、壁を破壊したりしませんよね。」

と、聞いたらアケミは、ニヤッと笑って

「まさか、私はしないぞ。」

と言って、無線機に向かって

「マクレガー軍曹、聞こえるか?……私の位置がわかるか?…………

じゃ、それより右3メートルの所を殴ってくれ。」

アケミが、どこかへ指示をすると

「何を指示したのですか?」

「対した事じゃ無い。」

その瞬間、爆音がして何かが崩れる音がした。

「な、何をしたんですか!」

それに応えるよりも早く、アケミの横の壁が崩れ、巨大な金属製の手が現れた。

「アケミ元帥殿、これでよろしいでしょうか?」

壁が崩れきると、そこにはRX88が現れアケミに報告してきた。

「いい腕だ。」

と言い残して、崩れた壁を越えていった。その後を慌てタケル・ヤマト第一皇太子も続く

そこで見たものは、途中で途切れた金属のような物で出来た長さ10メートル、高さ3メートル、

奥行き2メートル程の塊が浮いていた。。

「これは、何だ?」

アケミはタケル・ヤマト第一皇太子に聞くが

「解らない。このようになっているとは、知らなかった。」

と唖然とした顔で返答してきた。

「この中が『試練の間』なのか?」

首を横に振って

「いや、通路はもっと長かった。」

「どういう事だ?」

宙に浮く塊を指さして、

「解らない。以前、王位継承権を登録するために中に入った時は、100メートル程歩いて、

階段を3フロア分は下った。これには、下る階段が無い。」

「これで、振り出しに戻った訳だ。クソ!サヨリの奴!どこに行った!」


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