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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第3章
124/144

帝国内戦19

 第一艦隊所属強襲部隊餓狼隊は、大気圏を突破して地表に降り立った。

「これより、作戦通りに城を制圧する。ラズベリーチームは二城門へ、マスカットチームとアップルチームは大手門へ。行くぞ。」

帝国軍帝都守備隊の機甲部隊の戦車3両が前方に現れるが、先手を取ったのがRX-88無双。

120ミリライフル銃にて、戦車隊を沈黙させた。

「これより、城門を突破する。上空のヘリには気をつけろ。」

近くの駐機場から、スクランブル発進してきたであろう、攻撃ヘリコプターと戦闘機が

城の上空に集結しつつあった

城門に向けて120ミリライフル銃を乱射して、城門を破壊して城内へと突入して行く。

しかし、攻撃ヘリコプターからの攻撃を受けて、上空から身を隠す障害物がないため二の丸庭園から先に進めない。

しかも援護射撃なのか、城内に配置されていた守備隊陣地から、20ミリ対空機銃の水平射撃による応戦が始まり

このままでは、こちらに被害が出てしまう。

「対空陣地を黙らせる!誰か!ヘリを黙らせろ!」

そう言って対空砲陣地に向けて、120ミリライフル銃弾を叩き込む。

それに応じて別のRX-88が、攻撃ヘリコプターに対して60ミリ機関砲を乱射

旋回中の4機中2機が爆散し1機炎上し墜落

「よし!城内の制圧を行う。」

「まだ、戦闘機がいます!」

「大丈夫だ。我らの隊長様が降下中だ。行くぞ!」

大手門から突入した部隊は城内の制圧に向けて散開した。

上空にいた戦闘機隊が降下し機銃掃射してくる。

絶妙なステップで、ぎりぎり躱していく。機銃掃射をした戦闘機が上昇に移る瞬間、翼がへし折られ錐揉みをして墜落。

帝国航空隊が見たのは、見たことのない4機の戦闘機隊だった。

帝都航空守備隊隊長が

「新手か?二手に分かれ、アルファ隊はロボット兵器を、ベータ隊は敵戦闘機を落とせ!」

機首を反転させ新手の敵戦闘機ヘ向かう帝国航空隊4機。城へ取り付くのを阻止するために3機の戦闘機が追いすがる。

「遅い!」

アケミはトリガーの引くのに躊躇いはなかった。もちろん後続の3機も。

瞬く間に敵戦闘機を蹴散らし、RX−88に襲いかかろうとしていた3機の敵機も同じように片付けると

「私は、護衛する為に地表へ降りる。お前たちは、この城の上空を制圧!」

そう指示してアケミは、タケルヤマト第一皇太子が乗っている強襲揚陸艦と共に、降下していった。

強襲揚陸艦が天守閣近くの広場に強引に着陸すると、アケミが搭乗するFX−35ヒリュウは、

戦闘機タイプから陸戦タイプへと変形して、隣に着陸して周囲警戒をしながら、帝国近衛師団陸戦隊が城への突入を掩護した。

アケミは、二の丸庭園から突入して周囲を制圧してきたRX−88と合流すると、その場を

その部隊に任せると、機体から降りて、強襲揚陸艦に自ら連れてきた歩兵小隊を引き連れ、

城の中へ突入して行った。


 城内は、混乱状態だった。

 城内の守備隊と逃げ惑う事務職員が混在しており、タケルヤマト第一皇太子が率いる近衛歩兵師団が、玉座の間に通じる奥の通路へ行くために、通り抜けなければならない部屋で、

一般職員を盾にした守備隊の為、思うように動けない状態になっていた。

「城内の守備隊は数も少なく、武装もそう強力ではありませんので強攻突破は可能ですが。どうしますか?」

「このままでは、非戦闘員に被害が出てしまいます。」

「人質に取られたようなものか。」

その膠着状態の場所に、アケミが歩兵小隊を連れてきた。

「どうした?」

「アケミさん!なぜここへ!」

アケミの登場で驚くタケルヤマト第一皇太子だが

「お前の護衛だが?」

「いやいや。元帥閣下がこんな前線に来ないでしょう!普通は。」

「それを言ったら、このような場所で、皇太子自ら銃を持っていること自体おかしいのでは?」

「私には、この国を守る義務がある。貴方には…」

「私には、貴君の命を守る責任がある。それと、あのバカ(サヨリ)の身柄確保する使命があるからな。

で、あの奥の通路へ行かなきゃならないのか?」

アケミが、物陰から様子を見ながらたずねると、

「そうだ。あの通路が玉座の間に通じる唯一のルートだ。そこに第三皇太子がいる。」

「どうしてわかる?」

「玉座の間からでないと、試練の間には行くことができない。奴は、俺が斃れた報告を受けてすぐさま試練の間に赴き、皇帝になるための手続きを始める為に、玉座で連絡を待っているはずだ。」

「そうか。一利あるな。他にルートは存在しないのか?」

そう言ってアケミは、小型端末機を取り出すと、しばし小型端末機のモニターを見ていたあと、

「無いようだな。アイツもそっち側に居るようだしな。」

と言うと、タケルヤマト第一皇太子が

「サヨリさんが居ると、どうしてわかるのですか?」

アケミに聞くと

「アイツ本人が居るとは限らないが、アイツが肌身はなさず持っている、端末の発信信号をキャッチしたからな。」

と言って持っている小型端末の画面を見せた。

そこには、城内の詳細な地図画像が表示されて、目の前の通路の途中に右に入る通路の奥の部屋らしき所に点滅する灯りがあった。

「なんですか!これは!私も知らない、こんな地図をどこで入手したのですか!」

それは、タケルヤマト第一皇太子が驚くほど詳細な地図だった。

「サヨリの奴が送ってきたんだが。」

アケミは事なげに言うと、タケルヤマト第一皇太子は強い口調で

「それは、おかしい。こんな地図を送れるはずがない。」

と言い切った。

「どうしてだ?このぐらいの画面データなら、普通にメールでも送れるじゃないか。」

アケミは不思議そうに問うと

「テキストならわかるが、いくらサヨリさんが優秀なハッカーだとしても、送信データの上限を越えて送れないはず。

それにバイナリーデータは全て検閲システムを通るので、同星系内なら問題はないが、機密漏洩防止の為、

他星系へはこのような添付データーは、弾かれて送信できないようになっているのです。

それをどうして?

そもそも、我が国とサナトリアでは通信のプロトコルタイプが違ったはず。

その時点で、このようなデータは、復調ができないので壊れてしまいまともに送れないと聞いていたんだが。」

と言った。それに対してアケミは、

「私も、この手のものは疎いのだが、これは、テキストで送られてきてたぞ。」

「テキストデータ?」

「あぁ。よくは知らないが、かなり古いソフトを使った方法だそうだ。

なんでも、通信にバイナリーデータが送ることが出来なかった時代に、画像データを送るために、

画像を一旦テキストにコンバートする方法だそうだ。」

「いつの時代のソフトですか?」

「さぁ。我国でインターネットって呼ばれるネットワークができる以前の、パソコン通信時代らしく、

これを復調したかめちゃん曰く、数百年前にアナログモデムで通信していた頃のものらしい。」

「今でも使えるのですか?」

「基本的に使えないらしい。あまりにも古いソフトで、対応出来るOSがもうこの世にないらしい。」

「じゃこれは?」

「うちのかめちゃんが優秀でな、シミュレータを作った。」

「しかし、サヨリさんはあらゆる手を使ってきますね。」

「だからこそ、甚大な影響が周りに与えないうちに早く確保しないといけないんだ。

さっさと突入するとしようか。」

そう言ってアケミは部下に指示を出すと、自動小銃を構えて突撃体勢をとった

「何をする気だ?」

近衛師団長が声をかけると

「抵抗する者を黙らすだけだが?」

「一般職員に被害を出すわけにはいかん!それができたら、既に我々がしておる。」

「出来るだけ危害は加えない。目と耳を保護しておけよ。行くぞ。」

と言うと、暴動鎮圧用閃光弾を数個カウンタの向こう側に投げ入れた。

その瞬間、猛烈な光と爆音が部屋を支配した。

アケミ配下の部隊は素早く部屋に突入すると、瞬く間に武装した兵士たちを拘束。人質になっていた事務員たちを救出した。

「救護班!人質たちの様態を頼む。タケルヤマト第一皇太子。突入するぞ。」

アケミは、同行させていた軍医と従軍看護士に救出した事務員たちの看護を任せ、玉座へ続く通路に横に陣取った。

「ちょっと待ってくれ。」

タケルヤマトは、少し目の奥が痛む身体を起こして通路まで来た。

「だから、目と耳を守れって言ったのに。大丈夫か?」

「なんとかな。」

アケミは、通路の奥を見て

「で、あの歓迎体制はなんだ?」

と言って指を指した。そこには、天井よりアームにて吊り下げられた銃器が、こちらに向いていた。

その数、20。

「タケルヤマト第一皇太子殿下。自動防御システムが作動しているようです。」

近衛隊長が報告すると、

「これでどうだ?」

と言ってアケミが、手榴弾を投げ入れる。

その瞬間、反応した銃器が手榴弾が爆破する前に叩き落とし、床にて爆発する。

さらに大型の手榴弾を、転がすように奥に投げ込むと、爆発前にアームが回避し損害は無し。

「なかなかいいじゃないか。」

アケミは、嬉しそうに笑った。

タケルヤマト第一皇太子と近衛隊長は

「しかし、これでは進めません。」 

「確かに。」


 通路の自動防御システムは、通路に入らない限り攻撃してくることはない。

だが、少しでも通路に入れば、即座に攻撃してくる。


 しかも部屋の造りが巧妙で、壁と通路までの距離がさほどなく、無反動砲やハンディミサイルの類は、爆破の範囲を考えると、通路に向かって打ち込めば巻き込まれるため事実上使えない。


「おい!やってみるか?」

アケミは、控えていた部下の一人に声をかけた。

「私ですか?」

と返事した兵士は、驚いたように返答した。

「安全の為シールド越しだが、あれを落とせるか?」

しばし考えて

「やれます。」

「よし!シールドを用意しろ!」


通路の前に立て掛けたシールドの後ろで、兵士が腹這いになりビームライフル型の狙撃銃を構えた。

呼吸を整え、第一弾

天井から吊り下がっているアームを狙ったエネルギー弾は、通路に入った瞬間、鋭角に曲がり壁に着弾した。

続けて5発打ち込んだが、全て壁か床に反らされた。

「アケミ元帥殿。通路に強力な力場を発生させて有るようです。これでは命中させることはかなり難しいと思われます。」

「対光学兵器対策済か。」

アケミが少し考え込んだ。すると近衛隊長が

「ヤマト第一皇太子殿下!我々にお任せください。」

「どうする気だ?」

「こちらのビームライフル銃が使えないということは、向こうからも撃てないと言うことです。

ならば、こちらから乱射しながら突入して、こいつで使用不能にいたします。」

と言って見せたのは、大型の戦斧だった。

それを見てアケミは

「止めたほうがいい。それでは、突破出来ない。」

と言った。

「ふん!してみせるさ。総員、構え!撃て!!」

部下達に通路へ向かって射撃を命じると、フェースガードを降ろし戦斧を構えて、通路へ向かって突入していった。

「あのバカが!」

近衛兵団が乱射するビームライフル銃は、全て壁か床へと着弾していく。

近衛隊長があと少しで自動防御システムの銃器にたどり着くというときに、アームが動き、

ゼロ距離射撃のように、近衛隊長に銃口を密着させる集中攻撃を受けて倒れてしまった。


 アケミは、鉤手の付いたロープを投げ、近衛隊長のベルトに引っ掛け、ロープを引き近衛隊長の身体をたぐり寄せた。

近衛隊長はシールドとプロテクターのおかげか、致命傷を受けておらず、まだ息があった。

「医療班!こいつを頼む!」

医療班が担架に乗せて後ろへ連れて行く。

「光学兵器は駄目なら、こいつはどうだ?」

と言ってアケミは、ホルスターから愛用の拳銃をデザートイーグルを抜くと、両手持ちにて狙いを定めた。

銃爪を引く。銃音を響かせ放たれた12.5mm弾は、真っ直ぐ一番奥にあったアームに命中。

しかし命中音の割に、アームが少し揺れただけに収まった。

「こいつが通用しないとは。素材もそうだか、アームが衝撃を緩和させたな。しかし、アームには当たった。となると?」

と言ってしばらく考えると

「おい!誰か私の長物を、持ってきてくれ。揚陸艦に積んであったはずだ。弾は青箱の物を持って来てくれ。」

「わかりました!」

と言って2人の兵士が揚陸艦へと走って行った。

しばらくして2つのバックを担いで帰って来た。

それを受け取ると中身を出して組み立てをするアケミ。十分程で組み立てられたのは、

対物ライフルXM109だった。

「さて、この子が通用するかな?」

アケミは腹這いになり、スコープを覗き込みゆっくり狙いを付ける。

一呼吸すると、銃爪を引いた。

轟く銃音と共に25ミリの貫通特化した、特製タングステン製の銃弾は真っ直ぐ一番奥にあったアームを撃ち抜いた。

床に転がる残骸。

アケミは、ニヤリと

「使えるな。」


拳銃や通常の小銃では破壊できない強度を持つアームが、いとも簡単に破壊されたため、自動防御システムは混乱していた。

力場をMAXまで上げるが、飛来する弾丸は物ともせずアームへと到達する。

25mm弾の威力は凄まじく、いとも簡単にアームをへし折っていった。


自動防御システムは、飛来してくる弾が想定より小さいため、銃によって叩き落とすことが出来無かった。

しかも、通路への侵入者に対してだけ攻撃するようにプログラムされていたため、通路に入って来ずに、対物ライフルを撃ってくる人物に対しては、攻撃が出来なかった。

その為、どう回避していいのかわからず、止まってしまって、唯の的になってしまった。


アケミは全てのアームを破壊し、通路が通れるようになった。


「じゃ、行こうか。」



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