帝国内戦15
遅くなりましたm(__)m
しかも少し短いかも?
次も、急いで誠意努力中です
第一連合艦隊と第七辺境艦隊の合同艦隊が、帝国星系へに出征するのと入れ違いに、惑星トレーダーに入港していたのは、サナトリア統一連邦共和国軍第一艦隊だった。
トレーダー守護隊に先導され、ほとんどの艦艇は沖桟橋に停泊し、旗艦ミカサのみ第一波止場に入港した。
ここで、数百名の乗員を乗せ、軽く補給を行うと
「さて、我々も出撃するとしょう。」
アケミ元帥の言葉で、サナトリア統一連邦共和国軍第一艦隊が、惑星トレーダーから動き出した。
サナトリア統一連邦共和国軍第一艦隊は、戦艦ミカサを旗艦とし戦艦10隻、正規空母20隻、
装甲空母30隻、強襲降下部隊と補給艦隊を含め総数573隻からなる、アケミ自ら手塩にかけて育てた精鋭部隊だった。
アケミは、旗艦戦艦ミカサの司令所にて、猛禽類のような目つきをして
「さて、第一連合艦隊と第七辺境艦隊を追い抜くとしようか!全艦隊!目標帝国主星!全速前進!」
と号令をかけた。
全艦隊は、機関を臨界状態して次々に一糸乱れず亜空間へジャンプしていく。
「見事な物ですな。」
亜空間に突入して戦艦ミカサの司令所で関心したように、タケルヤマト第一皇太子が呟いた。それを聞き
「それ程ではありませんよ。こんな広い宙域で艦隊行動で隊列を崩すような者はいませんから。」
アケミが、何でもない事のように答えると、
「これから行く回廊で、私の艦隊の実力をお見せしますよ。」
と薄く笑いながら言い切ると、通信機に向って
「全艦隊に告ぐ。回廊通過の最短記録を作れ。なぁに、一度通ったルートだ。短縮出来るよな。」
と指示を伝えるとすぐさま
「了解!!」
と返信が飛んでくる。中には
「前が遅けりゃ、抜いてよろしいですか?」
と返信する者までいた。それを聞き
「構わん。お前達が私よりも先に回廊を抜ける事が出来たら、1週間の休暇とボーナスをやろう。
後、補給部隊より遅かった部隊は、私と演習を付き合ってもらう。集合ポイントは、回廊を抜けた先の第一補給ポイントとする。
もちろん、作戦行動中であるから、艦艇に破損等していたらペナルティーが有るものと思え。
勝負は、次のジャンプからとする。以上。」
後に、小型船舶による回廊アタックとしてレースの原型となる、サナトリア統一連邦共和国軍による高速行軍が始まった。
各艦は、エネルギー効率と消費を天秤に掛け補給ポイントの設定を、この最初のジャンプ内に終わらしていた。
商用回廊入口
ジャンプアウトして艦隊の隊列にすぐさま整え、各艦、各部異常事態が無いことを確認すると、
「レディーゴー!」
とアケミの掛け声と共に、各艦が主機を唸らせ次へとジャンプしていく。全ての艦艇がジャンプし終えると、残っているのは、アケミが乗船している戦艦ミカサと補給艦部隊だった。
「彼奴等、よほど休暇とボーナスが欲しいらしいなぁ。」
アケミは笑いながら言うと、タケルヤマト第一皇太子が
「アケミさんは、優しいですね。部下に先行させるなんて。」
と言ったが
「まさか。ハンディですよ。」
と言って
「ハリマ輸送隊長。聞こえるか?」
同じく残っている補給部隊に通信をすると
「アケミ司令官、感度良好です。」
「ほんじゃ、かねてからの実験をするぞ。」
「了解です。」
「私が跳んだら続いて来いよ。」
「わかりました。楽しみですね。」
ハリマ輸送隊長は含み笑いをしながら、返答した。
アケミはそこで通信を切り、艦内放送に切替え
「機関部長、聞こえるか?全リミッター解除だ。」
と機関部に伝えると、
「司令官殿、本当にやるんですね。」
「もちろん!こんな楽しい事、やらない理由が見つからないんだけど?」
楽しそうなアケミとは裏腹に苦渋の決断をしたような
「……わかりました。野郎ども!全リミッター解除しろ!全流体エネルギー弁解放!」
機関長の声。
それを聞き、アケミはマイクをオフにすると、タケルヤマト第一皇太子に向き直り
「これから行うことは、貴殿の軍にはご内密にお願いしますね。」
と笑いかけ、正面に向き直ると
「ポイントSI0682に向け、ノンリミットジャンプせよ!」
と指令した。司令所では、いたるところで復唱され、主機の唸り音が聞こえてきた。
「機関出力 80% 92% 100% 125% 183% 200%!」
機関長が出力を読み上げる、航海長が
「戦艦ミカサ、発進します!」
と言って操作卓を前方へ押し出すと、船体が一際に眩い虹色の光に包まれて、戦艦ミカサが異空間へとジャンプした。その様子を見ていた補給部隊も、
「我々も行くぞ。実働部隊の奴らの度肝を抜いてやれ!」
補給部隊全体に眩い虹色に包まれて、異空間へとジャンプしていく。
戦艦ミカサ 司令所
「よし。ジャンプは成功したな。各個所、状況を報告せよ!」
アケミが、ジャンプ後に艦に異常が無いか、各セクションに確認させた。全て異常無しとの返答。
「これで、先行出来るな。」
通常通りの司令所を見渡して、満足げに前方を見つめるアケミ。
「アケミ元帥。一体何をしたのですか?むやみに機関出力を上げていたようですが?」
タケルヤマト第一皇太子が、たずねると
「この艦の真の姿をお見せしたかっただけですよ。このジャンプで1000万光年跳びますから。」
と嬉しそうに答えた。
「えっ!なんですか!その距離は!」
タケルヤマト第一皇太子は、驚愕した。使い捨ての長距離無人探査機でさえ、500万光年がやっとなのに、その倍の距離をこの戦艦が飛ぶというのか!すぐには、信じることが出来なかった。
「驚かれるのも無理はないですね。この戦艦ミカサの主機は最新型でして、今まで、艦隊行動する為に、あえて出力を落としていただけでして、現在、フルスペックにて航行中と成っております。」
「他の艦艇もですか?」
「いいえ。同系統の主機はこの部隊では、補給部隊が積んでいるだけです。」
「えっ?補給部隊?」
「そうです。まぁ、実働部隊の連中に気付かれずここまで来ましたから、ここで、おどかすのも一興かと。」
と言って、嬉しそうに答えた。
第一補給ポイント宙域
サナトリア統一連邦共和国軍所属 高速戦艦ミストアイランドが、異空間から転移してきた。
「現在地座標の確認を急げ!」
トドロキ艦長が指示を飛ばす。
「座標確認完了。目標座標に対して、X軸プラス3 Y軸マイナス12 Z軸プラス6。誤差内です。」
「よし!我が艦が一番乗りのようだな。観測員、他に艦艇は!」
「我が艦以外に……えっ!まさか!」
「どうした?」
「我が艦前方に、戦艦ミカサ、及び補給部隊確認。」
「なんだと!我々よりも後に跳んだんじゃないのか!」
「艦長。戦艦ミカサより入電。繋ぎます。」
高速戦艦ミストアイランドのメインスクリーンに、笑顔のアケミが映し出された。
「トドロキ艦長。貴君の船が一番乗りだ。おめでとう。往路よりもタイムが5時間ほど短縮出来たようだな。素晴らしい。補給を受けておけ。」
と話すアケミ元帥に対して、トドロキ艦長は、
「アケミ元帥。今度は何しました?」
と尋問するように返答
「うん?何もしてはおらんが?」
アケミはとぼける様に返答したが
「隠してもわかりますよ。貴女が負ける勝負をしないことは知ってしましたが、また新型動力炉のテストをしましたね。」
「よくわかったな。」
トドロキ艦長は、眉間を揉みながら
「これで、3度目ですよ。私が元帥の下について、これをやられたのは。」
そうしているうちに、次々と異空間から艦隊が転移してきた。
戦艦ミカサがいることを知ると、全艦が
「やっぱり、いたかぁ~」
と、半分納得した感じのあきらめ感が漂っていた。
「皆すまんな。新型の動力炉のテストがしたくてな。ついつい、大人気の無いことをしてしまった。ゆるせ。」
とアケミが全艦に詫びを入れると、
「もしかして、輸送船団にも、その新型動力炉を装備したのですか?」
「あぁ。そうだ。一緒に連れて行かないと、我々が燃料切れした時に困るからな。」
アケミが悪びれもせず答えると、
「じゃ、この賭けはどうなるのですか?」
「そうだな、補給部隊よりも遅く来た貴様等には、私との演習を付き合ってもらおうか。」
全艦から起こるブーイング
「そちらが、使用した新型動力炉のハンディを下さい。」
「しかたがない。ボーナスはないが1週間の休暇をやろう。その間に、各艦の動力炉の換装を行う。休暇明けに、私との演習を付き合うように。以上だ」
「やっぱり、演習付きですか。」
「でも、新型動力炉の慣熟航海をせねばならないから、仕方がないんじゃないか?」
艦隊のあちらこちらで、諦めと納得の声がしばらく続いたが、
「全艦、補給が済み次第、回廊通過形態になり、凱旋回廊に突入する。そこを抜けると、敵陣の真っ只中だ。
各員、気を引き締めて事に当たる様に。以上!」
とアケミが指示を飛ばすと、全艦隊の雰囲気が変わり、乗員全ての目つきまで変わって行った。
その様子を見ていた、帝国近衛陸戦隊隊長は
「空気が変わりましたな。」
と呟いた。
「当たり前でしょう。これからが本番。私の部下がどれだけ優秀かお見せいたしますよ。」
アケミが、不敵な笑顔で答えた。