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異きのこる  作者: 紅天狗
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四十五日目

妖精イリとの共生が始まってから十日ほど経過。お互い協力関係という事もあり、冗談を交えつつ会話を楽しむ。珍しい魔物などを土産として持って来てくれるのでありがたい。ただ珍しい魔物は個体数が少ないらしく、技能獲得には至っていない。

蜜を作るには魔力と生命力が必要。魔力は妖精イリのアレを頂くのが今のところ一番効率がいい。


生命力の回復はアレだけでは圧倒的に足りず不足してしまう。

生命力は他の生物を食べる事で回復および強化する事が出来る。今の所、持って来てくれる魔物などの分で十分に賄えるので問題ない。


もちろん無理して珍しい物を持ってくる必要は無い事を伝えてある。イリの安全を第一に考えて欲しいと伝えると、なにか感激したのか俺の傘の上に乗って来た。しっとりとしてムニムニとした感触らしい。意外と好評の様である。

ちなみに見た目は松茸に似ている様だが、傘は開いていない状態で少し大き目、全体的に肉質で艶があるらしい。松茸じゃないよな、それ。


話を戻すと、どうも妖精の里では疎まれていた様で、自分の身を心配してくれるような仲間が居なかったとの事だ。


そう、ボッチである。


言葉に出ていたようでぶん殴られた。イリは小さいのにすごく力が強い。自分の十倍はある魔物を持ったまま軽々と飛べる。

これは魔力による強化との事。妖精は強い魔力を持つので見た目を遥かに超える力が出せるらしい。異世界万歳。


とりあえず殴られ続けると死んでしまうので、謝って許してもらう。ただこういった掛け合いも楽しい物だ。一人だったら発狂しているだろうが、イリのお蔭で日々の生活が楽しい。


そんな事を考えていると、お客さんがご来場。どうもここによくイリが入り浸るようになった結果、人間に目を付けらたらしい。以前来た魔術師とマッチョ親父のパーティのご様子。ただ、今のイリは十分な精気を得る事で、里の長をも超える魔力を持った化け物となっている。


ギロリ


・・・いや、可愛い妖精だ。そう、とてもかわいい。出す液も日々美味しくなっている。ごめんなさい、殴らないでくださいお願いします!

何故かここ最近、イリは俺の口内で致す頻度が上がっている。舌によるマッサージがとても宜しい様で癖になっている模様。ただ、そのまますると服ごとベトベトになってしまうので最近はもっぱらマッパである。慣れって怖いね。

マッサージによって出したブツがイリの体にリバースするんじゃないのかと聞いてみたが、どうやら出すと即座に吸われるとの事。このキノコボディも大概である。


まあ魔力が強い方が美味しい蜜を作れるし、精気酵母も活発に働いて高品質な精気となる。俺が考えるに、精気酵母は変質した魔素の変換を担っているんじゃないかと考えている。その変換に糖分を使う感じだろうか。あと老廃物を俺が一旦吸収分解しているのでは?

と言うのも関係している気がする。俺は魔物とは言っても菌類の一種だ。菌類といば主な活動は酵素による分解吸収。自然の掃除屋だ。

まあ俺と共生している精気酵母が特殊なだけな気もしないでもない。


ぶっちゃけると、よくわかっていない。


そんな事を考えていると、ニヤニヤしながら近付いてくる人間たち。イリは飛び上がると素早く魔法を行使する。一瞬にして丸焦げになる三下一名。人間達に激震が走っている。魔術師のニーチャンの顔色がヤバイ。ありえん、話が違う、と言った表情だ。

あれは逃げる算段を必死に考えている顔だな。


まぁ、以前にイリを捕まえようとした手前、逃がすはずも無く。上手に焼けましたぁ!×17


多いわ!


イリ曰く、逃げて来た当日はこれの倍以上居たらしい。それだけイリに反撃を食らってもなお捕まえようとするとか、こいつらバカなんだろうか?

そんな事を話すと、どうもイリから得られる老廃物が高級な回復薬の原料になるとの事で、妖精いっぴ・・・いえ、一人で邸宅が立つとの事。そら狙うわな。

あと予想外デスといった表情を見せていた理由は、イリの魔力が回復しているとは思っていなかったのだろう、との事だ。妖精は高い魔力を保持するが、回復するのに長い時間がかかる。花から得られる精気はとても少なく、結果として回復できる魔力も微量となるのが原因の様だな。


まだあまり日が経って居ないので、余裕で捕まえられると判断していたのでは?

とイリは言う。変なキノコ型精気増殖炉が発見されてるとは思わんわな。



で、焼けた肉をどうするか。元人間の俺としては同族を食らうのは抵抗がある。でもまあ、虫とか魔物とか食らってる時点でもう魔物として染まり切ってる訳で。あとほっとくと異世界の定番、動く死体化するらしい。アンデッドは生きる物を襲う。俺も対象になる可能性が高いご様子。


そりゃ放置できんね。と言うわけでお亡くなりになった人々は俺の糧となってもらう事にした。イリにお願いし、ひとまず冷温保存してもらう。食べれる分だけ切り出して、チマチマと頂くことに。グロイです。うん、さすが幾多の戦闘を経て鍛えて来ただけあるようで、かなり良い経験値奪取が発生している。


マッチョメンおよび魔術師は格上の様だ。まあ俺キノコだしな。


ステータス

─────────────

技能:魔素吸収(壱) 傘口舌食 粘性(壱) 毒薬生成(壱) 精母共生 剛体(零)


なんかマッチョメンが持っていたであろう技能を得る事ができた。全体的に硬くなれる模様。あのマッチョメン、微妙じゃね?

剛体を極めると神スキルとなるのだろうか。あと魔法は全く得る事が出来なかった。まあ声帯が無い訳で、精霊云々に伝える方法が無いしな。とりあえず魔法はイリが使えるし、かなり強力だ。問題なかろう。


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