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異きのこる  作者: 紅天狗
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三十五日目(後半)

なぜか傷だらけでズタボロになっている妖精が近付いて来たので引き込んだ。なにこの子。甘くておいしいんですけど。

虫なんかと違い、明確な知性を持っているであろうこの子を食う気にはなれない。とりあえず傷の治療をする事にした。

毒薬生成の技能を利用し、治療液を傘口内に染み出させる。口内の肉を絞り、彼女に密着させる。顔を肉に埋めてしまうと窒息してしまうので、頭を上手く残す感じに。


傘口はうっすらと開いて空気を入れ替えれるようにしておく。二酸化炭素中毒で死ぬかもしれないしな。定期的に伸縮させれば換気もできるはず。口内からゆっくりとした呼吸音が聞こえて来る。どうやら眠った様だ。相当疲れていたらしい。


しばらくすると、藪が揺れる。それも複数。揺れ方から相当大きい。イノシシ以上。熊以下。様子を観察していると、大きな二足歩行する生物。服を着て、鎧、剣などを携えている。人間だ。

見た目は前世の人間と殆ど変らないが、異世界よろしくカラフルな髪の色をしている。


少し耳が尖っている様だが、エルフって訳では無いだろう。


なにやら周囲を必死に探している。長いローブを羽織った人間が、杖を前に掲げブツブツと言葉を紡いでいく。魔法を使おうとしているのか。ぼんやりと杖が輝き、しばらくすると大きくため息を吐いた。顔を左右に振っている所を見ると、探し物が見つからなかったのだろう。


リーダーらしい筋肉マッスルなオッサンが魔術師に掴みかかる。しかし杖を軽く振るうとオッサンが吹っ飛んで木に当たった。怒りの余り顔を赤黒くしたオッサン。地面に拳を振り下ろすと大きな音が響く。


子分らしき若い男たちが周囲を更に探している。10分ほどしてからだろうか。リーダーのもとに集まり、話をしている。

うん、もうわかってるが、どうやらこのオッサン達はこの子を追って来たんだろうな。

妖精なんて高値で取引されるのは異世界の基本だし。


危なかった。魔術師の使ったのは多分探査魔法。ただし俺には魔素吸収の技能がある。予想だが、探査魔法を吸収したおかげで、口内に(かこ)った彼女を察知されることなくやり過ごせたのだろう。


再度時間をかけて探査魔法を行った。どうやら更に遠くの方まで調べれる様子。そして険しい顔をしたと思うとリーダー達と話し合う。リーダーの顔が赤から青に変わった。なにか不味い事が起こったらしい。


号令をかけると一気に来た方向へと去って行った。何があったのかわからないが、なんとか隠し通せたみたいだな。

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