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異きのこる  作者: 紅天狗
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四周期

チートガールズの送還は問題なく執り行われた。あれから1周期と少し。庇護下の各種族からまきあげた力を総動員して元の世界へと送り返した。一応、こちらに戻ってきたい事があるかも知れないので、目印的な物も合わせて持って帰って貰っている。


また呼び出すならそれほど力は要らないので、問題ないだろう。猫耳っ娘とエルフっ娘も着いて行ったが、特にエルフっ娘は寿命的な意味で戻って来るんだろうな。あと元の世界の人と子は出来ないので独り身確定。


魔素的なモノが無いとマズいかもしれないので、それらを含む食べ物、まあ俺の蜜玉なんだが、かなり持って行って貰った。魔導チートによる異空間収納は無効で使えるか分からないので、手持ちでも持って行って貰っている。


元の世界への長期旅行だと思って楽しんできてほしい所だ。



と思っていると、すぐさま目印に反応があった。4人全員の目印が反応しているので、全員呼び戻す。戻って来た升娘達から詳しい話を聞いたところ、元の世界では時間の流れが違っているらしく、升娘たちが転移した日付からうん十年の開きがあったらしい。


しかも戻った先が転移事件があったその場所だったらしく、追悼集会の様な物が開かれていた最中だったそうだ。ちなみに撫子が有名な大企業のお嬢様だったそうで転移した際に大問題になったらしい。そのため集会が行われるような事態になったみたいだが。

そこにいきなり光が溢れ出し、4人が登場。ばっちりと報道カメラなどにも一部始終を撮影され、全国トップニュースに。


やれテレビの取材やら、親、親戚からの質問攻めやら、エルフっ娘と猫耳っ娘キターとネットでは連日のお祭り騒ぎ。しかも転移の話を聞くためにといいつつ、連れて行った娘二人を拉致ろうとする国やらが大量発生。


幸いな事に、取得した技能はそのまま持越し出来たそうでなんとか耐えれていたが、某国の諜報機関が本格的に動き出し、親戚などにも影響が出そうになった事を察知。もはやこれまでと洗いざらいその事を世界に向けて発信。その国の中枢を破壊し尽した結果、居られなくなり戻って来た次第だそうだ。


転移のタイミングが悪すぎる。転移元も転移の残滓を追ったので元の場所に戻った訳だが、これは仕方ない。銀河や太陽系、地球もものすごい速度で移動している訳で、それをトレースして転移させるなど至難の業だろう。想像するのも容易い。


自分たちが戻った事で回りへ迷惑がかかる。二人の両親も心労がたたり、すでに墓の下に入ってしまっていた事もあり、元の世界にはもはや居場所なし、と言うことでこちらに戻って来たと言う訳だ。


升娘たちの兄弟や両親から見て孫に当たる人たちは居たが、両親が亡くなっていた事に大きな心の傷を受けた二人。その憔悴具合は酷いものだった様で、向うで両親の後を追いそうな雰囲気だったそうだ。二人のチミっ娘たちは必死に二人を慰め、自分たちが助かった事への感謝の気持ちも含めて語る事でなんとか持ち直した。


そんなこんなで互いに家族愛が芽生え、本当の意味での家族となったご様子。互いに寄り添い、今は悠悠自適な暮らしを楽しんでいる。しかし俺は知っている。深い悲しみから浮上した反動からか、家族愛は天元突破。結果、ニャンニャンな関係になっている事を。


まあ、チミっ娘たちもそんな関係を望んでいる節があったみたいだし問題ないだろう。今はまだいいが、数年もすれば同性間での子作りに関して相談されそうな気がする。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



おっと忘れる所だった。紫はあれから再び生えてきた。見た目は大きく変わり、いわゆるアルラウネ系の半草半人な出で立ちへと変化した。上位種進化だな。どうもイリを何度も捕食していた事が影響したのではないかと推察している。


頭の部分が花になっており、そこに大きな口を空けている。内部は蜜で満たされ、よく蝶系統の魔物たちが群がる姿を見る事が出来る。傍から見れば可憐な少女の周りを蝶が舞うと言う素晴らしい絵なのだが、そんな蝶たちはバクバクと食べられて行く。


少しグロイが、元が食虫植物系の魔物だからなぁ。


デカく育ってしまった俺とは比較できないほど小さな存在となってしまったが、今でも俺を慕ってくれている。単に餌目的と言う気もしないでもないが、可愛いのでヨシ。



人族たちも戦争ばかりで疲弊してしまい、落ち着きつつある。人族を観察していると欲深い系譜があるように思える。それも今回の大陸を巻き込んだ大戦でかなり数を減らした様だ。


このまま善良な人族が残り、皆がまったりと暮らせる世界になって欲しい。


俺は大地の調停者たる存在になり、これから膨大な年月をかけて、この地を見守る事になるだろう。

この地に住まう者たちが、どのように暮らし、どのように進み、そしてどうなっていくのか。


触手を蠢かせつつ見守って行きたいと思う。

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