二百三十一日目
ミールが淡い笑みと共に、自分のお腹を撫でる。はい。ついに待望の第一卵がミールへと託されました。そう、妊娠である。妊娠って言うのかこれ。まあいいか。
あれから程なくして、お互いの了承の下、托卵が行われた。正に生命の神秘。卵を産み付ける様はとてもエロかったです。はい。どうも若い卵は柔らかいみたいですな。
ミールたちは20cmほどなので、卵のサイズはBB弾と同じくらいだろうか。直接見れた訳では無いので、あくまで予想。特に痛みも無かった様でなにより。
といか逆だったらしい。危ない意味で、かなり来るものがあるとの事だ。これから親となる気持ちや、憧れの相手を受け入れると言う多幸感などが折り重なって、真っ白になったとか。
送り側も同じような感じだったらしい。
まあ命を紡ぐよう生命は出来てる訳で。痛かったら誰も子供を作らんよね。
イリはと言うと、これまた張り切って魔物を狩るようになった。あとは蜜の原料の調査や樹液調査とか。警戒も今まで以上にしっかりとやっている様子。俺はと言うと、沢山食べて、いっぱい蜜を作れるようになってほしいと懇願されている。なので最近は飽食気味。ブクブクと太りそうだ。
妊娠期間がどれくらいかは分からない。時期が来れば反応があるだろう。しかし元の里のやり方が殆ど役に立たないのがなぁ。元の里ではウン君座りで排卵してるらしいが、卵のサイズによっては厳しくないかね。
と言うことで元の世界と同じような体勢で臨んでもらう予定だ。何度か体験してもらって、具合などを確かめて貰っている。
上手く行けばイリ経由で里へも伝わるだろう。
人間の侵攻があってから、大きな動きは無い。どうも色茸、警告色を表すやつね。あれの意味を理解した様子。黄色で危険領域だと言う扱いになっているらしい。一個小隊、約6名ほどだろうか。そんなパーティなら青色のエリア、外縁部であれば活動しても何もしない。しかし黄色付近へ近付くと、幻惑茸がお出迎え。更に奥へ行くと、オレンジに。そこからは麻痺茸、眠り茸、爆裂茸、クサレ茸、トリモチ茸など殺しにかかるキノコたちがお出迎えする事になる。
これらキノコたちはその領域に住む魔物たちには反応しない。ちょっかいを出すと勝手に反撃する形になるが、これは仕方ない。もともとキノコが持つ特性だからな。動けなくしてそのまま分解するって訳だ。
ああ、一時期、木の上を飛んで領域を犯そうとした奴らが居たが、ぬめり茸の粘液で滑ってトリモチに塗れて死にかけてた。外縁部のトリモチ茸は無害にしてあるが、内側に行くと原生のトリモチ茸がタップリと生えているので注意して欲しいところだ。原生キノコたちは本気でヤバいので。
魔物を捕えるために進化した種。ハンパないのよ。菌魔法で改造する必要すらない。俺の菌魔法でも生やす補助をするくらいしかできない。つまり強化は出来ない。
まあ掛け合わせて別種を作るくらいならなんとか出来るが、変なキノコを作ると世界がヤバイ。となる可能性もあるので控え気味。逆に致死性を減らした種を作ることは結構している。それが外縁部の警備キノコたちだ。
そうそう。城壁都市のギルドは復旧できなかったらしく取り潰されて新しく作られた。別の場所にだが。妖精を回収しようとしたらしいが、無駄に終わった。また例の如く花妖精を得るために画策しているみたいだが、花妖精ってそこらに分布してるのかね。
『森1つに大概は里が1つありますね。芋蜜の作成技法はかなり伝わっていると思いますよ。話を聞いて逆に伝わった所へ学びに来ている者も居るそうです。』
ほうほう。そうすれば更に妖精を襲えなくなるな。いい傾向だ。
『はい。すでに伝わった里では蜜の作成が始まっているそうです。また芋の育て方もある程度判って来たそうです。マーラ様が撒いた種は大きな実りとなりつつあります。』
種なんてないけどな!
あるとしたら胞子か。ってか胞子あるんだろうか。今のところそんな感じは無いな。
『もしマーラ様の御子を授かれるなら、すぐにでも授かりたいのですが・・・。』
ありがたいが、今はイリとの子をしっかりと育ててください。はい。あ、蜜飲みますか?
さて街道沿いに伸ばしていった菌糸が新たな街や村へ到達。その数5!
多い。そんなに対応できんわ!
妖精が居たとして助けてもいいんだが、遠すぎて回収出来んしなぁ。元居たであろう里を探して近くまで輸送するか?
でも理性を失った妖精を返しても、扱いに困るだろうし。あーそうか。簡易キノコを作って匿ってみるか。
回収はいずれするとして、一時的に隠すくらいは出来るだろうし。簡易と言ってもココと同じような治療行為も可能だ。
いい場所を探しつつ町に居る妖精の調査をするとしますかね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2つの村には居なかった。3つの街のうち、もっとも大きな街に2名が囚われて居る事が判明。おおう、物々しい警備体制だ。地盤沈下対策も行われているご様子。つまり地下ではない。最上階の一室が利用されているらしい。
無駄な努力、お疲れ様です!
退避場所としていい場所も見つけた。小さな洞窟の奥だ。ちょっとした空間になっており、天井に穴が開いている。そこから優しい光が差し込むようになっている。正にパワースポット的な空間。岩の隙間からは綺麗な湧き水が流れ出る。
その光の差し込む位置に鎮座するのは俺の分体。中型子実体だ。簡易的な機能しか持たない。その近辺に居た精母は獲得済み。この精母から生成される精気の色が違う。住む場所によって異なるみたいだ。後で回収するとしよう。
今回の奪還作戦だが、強制ボッシュートをさせて貰う事にする。退路管は施工済み。退避場所へと一気に連れていけるようにしてある。イリ達と治療中の彼女たちから潤沢な魔力を得る事が出来るので、施工速度は速い。
まず妖精たちが囚われて居る檻が置いてある位置の直下、階層ごとの全ての床、天井を菌糸を使って腐らせていく。表面は変化がないが、中はボロボロだ。
地下から檻、50cm四方ほどのサイズだが。これを丸々飲み込めるサイズの退路管を作成。準備完了。レディィィ・・・ゴゥ!
床を突き破って飛び出す白いヌメヌメとした巨大ワームのような生き物。俺の退路管だ。直上に居た冒険者、ギルドマスターをケツからぶっ飛ばして一気に檻のある部屋まで突き進む。床ごと檻を丸のみしてそのまま地面へと引きずり込む。
その際、粘液をまき散らす事を忘れない。
地下へと引き込んだ後、穴を追って来れないように消化液を振り撒きながらしばし退避。早々追えない位置まで来ると、あとは檻を溶かして花妖精を救出すれば終わりだ。ミッションコンプリートォ!
あとは退路を土で塞ぎつつ退路管を回収していく。これは少し時間がかかるな。妖精っ子たちは順調に移動中。あと1時間もすれば退避ポイントへ到着するだろう。
そんな作業を行いつつ当のギルドを監視。ケツを抑えてのたうち回るオッサンが二名。内一名はギルドマスターだ。ピンポイントで狙ったから相当堪えたはずだ。
突然の事で固まっていた監視者4名がやっとこ再起動。穴を降りて追おうとしているが、最後の穴、つまり一階の地面に開いた穴からジュウジュウと溶ける音がしているため、追撃できずにいる様子。
ギルド会館からは続々と職員、冒険者が退避中。いきなりワームが出てきたらそりゃビビるわな。次回はどうやって奪取しようかね。同じ方法だと対策取られる可能性もあるしなぁ。
さて次の街へと菌糸を伸ばしますか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
確保した花妖精は簡易キノコへ格納。治療を開始している。相当長期間にわたって囚われて居た様だ。手足が変な風に曲がってしまっている。時間をかけて矯正しなおすしかあるまい。
やはり毒キノコ・ザ・ワールド化するべきなんだろうか。




