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異きのこる  作者: 紅天狗
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百七十四日目

城壁都市へと菌糸が到達。なかなか時間がかかったもんだ。とりあえず端から順に街を監視下へと置いていく。うーむここは人族至上主義的な所っぽいな。獣人は総じてみすぼらしい恰好をしている。殆どがスラムに住むか、首輪付き。つまり奴隷だな。


なんかもう、この世界の人族は滅びた方がいいのかもしれない。ちなみにここもウン君塗れだった。好きでウン君に近付きたくないので、基本壁などにキノコを生やす。


順次監視領域を増やしていると、奴隷商館らしき所に複数の妖精を発見。花妖精とちと違うか。容姿をイリへと伝えたところ、水妖精かもしれないとの事。ああ、水が張ってあるな。主に愛玩用だそうだ。花妖精のように高い魔力を持っている訳では無く、力も弱い。

あれだな、花妖精の原種に近い種なのだろう。

そして冒険者ギルド。流石にデカい都市だけあってギルドもデカい。中を掌握していくと、複数の妖精が囚われて居る。ミールと同じ手法だ。5名の妖精。すで目が死んでいる。理性は感じられない。ただ蜜を食らい、有用な液を垂れ流す道具となっている。


『一度理性を失った妖精は戻る事は無いわ。でも、人間に囚われたまま生かされるなんて屈辱は耐えられない。お願いマーラ、助けてあげて。』


とは言っても、ミールが奪われた情報は把握されているらしく、冒険者らしき人員に監視されている。また籠も強固になっており、もはや檻だ。溶かせるとは思うが、時間がかかるだろう。


話を聞いたイリとミールに諦めの色が見える。ま、絡め手を使えばなんとかなるかもね。とりあえず色々と考えて見るので時間が欲しいと伝えると、笑顔が戻る。


菌糸を広げて行くと、魔力が流れる道のようなものが部屋の壁に張り巡らされている事が分かった。花妖精たちは通せないようなサイズに整然と並んでいる。どうも線が切れたとたんに警報が鳴るような仕掛けがあるのだろう。さて、どうしたものか。


うーん・・・もう面倒臭いな。この部屋は地下にある。ふふん、いい策を思いついた。

準備に時間が必要と言う事を伝える。イリとミールには事前に城壁都市の近くに移動してもらう事にする。


しばらく飯を食わなくても大丈夫なように、多めに魔物を狩ってもらう。俺の体も大きくなった事で、口腔内で魔物肉を保存できるようになった事が大きい。菌魔法で腐らず長期保存。熟成して旨くなると言うおまけつきだ。



一応、向うで隠れれるように簡易キノコ部屋を作成してある。場所は子キノコを広く分布させているので判るだろう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



準備は順調に進行中。三日もあれば完了する事を伝え、イリ達には決行前日に移動を開始してもらう。イリ達にとって100kmなどすぐだ。1日あればお釣りがくる。


作業を進めつつ、ご近所の街を監視してみると、どうやら新しいギルドマスターが赴任してきた様だ。今度はヒョロヒョロのヒゲオヤジ。基本緑色の服を纏っている。意地の悪そうな顔をしており、案の定、秘書とのお楽しみを開始。

なんなのコイツら。発情しすぎだろ。


秘書とのお楽しみ最中なのに冒険者へと指示を出すヒョロヒゲ。なにか雲行きが怪しい。大隊を組んで妖精奪取を行うつもりなんだろうか。しばらく監視が必要かな。このクソ忙しいときに面倒臭い。


対策は考えてあるが、大きな行動を行って目立ちたくないんだが・・・どうしたものか。


ひとまず時間稼ぎとしてキノコナエールを使う事にしよう。これはビンビンナールとは異なり、不能状態にする薬だ。決して毒では無い。ひとしきりお楽しみが終わった。顔がキモい。


秘書は表情無く去っていく。どうも弱みを掴まれているようだが・・・俺、この世界の言葉が全くわからないのよね。なに言ってるかさっぱりわからん。


机の裏にひっそりと準備しておいた子キノコを使い、キノコナエールを噴霧。よし、当たった。あとは様子見しよう。


ギルドの会議室へと意識を割り振ると、どうやら地図を見合わせて何か計画を立てているらしい。うーむ、描かれている範囲は俺の菌糸網とほぼ一致するな。やはり撃退情報から領域を割り出されているらしい。歪な形の円が年輪のように描かれいる。

これは俺の拡張範囲と合致しているように見える。


うーむ、やはりばれているか。本格的に対応が必要か。


俺は菌糸網の範囲内にあるキノコの精査を開始する。お目当てのキノコがあるといいんだが。

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