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異きのこる  作者: 紅天狗
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百日目

あれからすぐ、花妖精の里へデンプン蜜の作り方を伝えた。芋蜜と名付けられた模様。長は感謝していたとの事。

蜜が足りず冬を越す事が難しい者たちへ芋蜜を与え、足りなければまた作る事を伝えたとイリは言っていた。里の皆は冬を越せるとの事だ。ヨシヨシ。


どうやら今は冬期の真っただ中らしい。一周期、元の世界で言えば一年は400日。100日ごとに季節が変わっていく。つまり俺が転生し意識を持ったのは秋期の真っただ中だった訳だな。キノコの生える季節ですな。

今は魔物を狩ってもらい、また芋蜜の作り方を色々と試して貰っている。より品質の良い蜜を作る方法をイリとミールが模索している状態だ。おれも適当に思いついた方法を伝えている。

出来るだけ不純物を取り除いた方がいいとか。基本的な事だけだが。


後は芋を育てる方法も調べておく様に伝えた。どこに良く生えているのか、周りの木の種類や日の当たり具合などを見て置いて貰う。あとは同じような条件の場所に種芋を植える事で育つか確認すればいいだろう。いつぐらいに植えるのがいいのだろうか。春が妥当か。その辺りもおいおいと見極めて行けばいいだろう。


どうも花妖精は蜜を集める、花畑を維持するだけで精一杯だったようで、技術の発展が殆ど無い。言うなれば原始的な生活を強いられていた。しかし芋蜜の作成方法が確立したことで、時間に余裕が出来た。

つまりこれから新たな文化、技術が生まれて行く事だろう。人間にもいずれ対抗できるようになっていくはずだ。


さあ、人間たちはどう出るかね。もう時間は無いぞ。

里の長は芋蜜の技術を身に着けた者を別の里に送り出す方針を打ち出している。なので今は芋蜜作りに精を出しているらしい。

とは言っても、寒いので一部の人員で行っているだけの様だが。


『布の葉に芋汁を通せば殆ど実の残り粕が取り除ける様ですね。これを何度か行えば、綺麗なデンプンが残るかもしれません。』


『本当ね、これはいいわ。ミール、最高よ!』


『んんっ・・・はい、お姉さま・・・しかし殆どはマーラ様のご意見を元に調べているだけです。』


『そうね、マーラって何者なのかしら。あんなに色々と知っているキノコって・・・普通に考えるとありえないんだけど。』


俺の出自に疑問を持っている模様。俺は菌糸を通して幅広く世界を見る事が出来る。よって色々と知っている。と言う適当な話をでっち上げて伝えて見る。


『はー・・・なるほどねぇ。』


なんか納得したらしい。ミールはあれから体調は改善。いまやスッキリとしたスタイルへと戻ってた。栄養・・・俺の作る蜜と精蜜だが、これを摂取しているためか、グングンと魔力の総量を引き延ばしている。また慎ましい胸元は今のところ変化は無い。


ここ最近は、イリと一緒に狩りという名のデートを楽しんでいる様で。くそっ・・・俺は寂しく一人で木の洞に居るしか無いと言うのに。


『あなたを一人にはしないわ。これからもずっと一緒よ。』


『はい、この身はマーラ様に助けて頂いた身。この命尽きるまで共にありましょう。』


美妖精二人ゲットだぜ!

ちなみにあれから第二マッサージをミールへも施術済みだ。なんか変な信仰心の様な物が芽生えている様で、魔力の素を捧げる儀式的なモノとして捉えている気配がある。なまじ頭がいいので変な暴走をしないことを願う限りだ。


お、菌糸を使った監視網に人間がかかった模様。あれからギルドは諦めることなくミールを探している。俺は菌魔法を使って周囲1kmほどに適度に子実体を作り、監視している。人間が来れば俺の中へイリ達を囲い、やり過ごす。探査魔法がどれほどの距離を見つける事ができるか分からないからな。


イリ達二人から得た魔力、狩って来てもらった肉を糧として監視網の拡張を継続。また子実体を利用した虫などの小型の生物の捕食も順次行っている。ただ大量に取ってしまうと生態系を崩す可能性があるので、維持費の捻出程度に抑えている所だ。


次の移動先にはすでに菌糸を伸ばしてある。移動してすぐに菌糸網へ接続できるよう準備済みだ。また街に残した菌糸網への再接続に向けて菌糸を延長中だ。かなり距離があるため難航している。まあ菌糸数本を伸ばしているだけなので消費はそれほどではない。

しばらくすればギルドおよび街を監視下へと収める事が出来るだろう。


『しかしすごいわね。近付いてくる人間を調べれるなんて。あなたが味方で本当に良かったわ。』


あ、人間が大型の魔物に見つかって襲われている。なんとか対抗出来ている様だが、魔物の声に誘われてその他魔物が接近中。これはダメかも知れんね。

今居る場所は、以前よりも山奥だ。周りには強い魔物が徘徊している。人間が進むには厳しい領域だろう。街からどう急いでも数日は森の中で寝泊まりをしなければならない。またオレは魔物による人間襲撃を行うよう仕向けている。

用意した子実体から旨そうな匂いを漂わせる事で魔物を人間へと誘引する方法だ。


これはかなりの効果がある様で、高レベルの冒険者たちもひっきりなしに襲ってくる魔物に耐えかねて撤退して行く。

ふむ。このまま腰を落ち着けるのも良いのかもしれない。この地を基礎として菌魔法による防衛網を構築。あとはゆっくりと勢力を増やしていけばいい。


なんとかなりそうだ。

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