8話 火の魔術師と必要な物。
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「ま、あとでそういうのはする。とりあえず、入学にあたって必要なものを紹介する。これは、絶対に買えっていうのをな」
先生はそう言うと、はじめにヘッドフォンとイヤフォンについてのページを開いた。とても字が小さく、見にくい。ヘッドフォンとイヤフォンの画像つきだ。
人差し指と親指で、徐々に広げるように両指を動かすと、そのページが拡大されて見やすくなる。
画面には、黒色のヘッドフォンと同色のヘッドフォンの画像が貼り付けられている。ずいぶんと柄も模様もなく、シンプル。
「もちろん、術学師養成学校ではこれは必須ツールのようなものだ。この学校オリジナルデザインのものもあるから、チェックしておいて。
色は、ここに表示してある通り。
黒、赤、青、黄、桃、緑、黄緑、オレンジ、茶、金、銀、紫、グレー、白。
ちなみに先生はこの学校のOBだが、赤のイヤフォンだったぞー。
みんなは、ヘッドフォンでもイヤフォンでもいいぞ
明後日までに頼まないと、皆と遅れるからなー」
ヘッドフォンにはオーバーヘッド型、耳かけ型、カナル型、ネックバンド型がある。
まあ、俺は何でもいい。使えるなら何でもいい。
ただ、どちらかというとヘッドフォンの方が自分の好みだ。
形はオーバーヘッドが向いているであろう。まあ、あまりかっこつけた風に
見られたくはないし、形より色重視だ。
そして、色は白。本当は白より黒の方が男らしいと言えるのだが、まあそこらへんは気にしないで欲しい。
「デザインは、タブレットに術学養成高等学校説明ガイダンスアプリが予めダウンロードされていると思う。それを見て欲しい。
で、次は教科書について。ま、そんなものはないけど。
授業はタブレットで行うから、しっかり必要な教科書をダウンロードしておくんだぞ。じゃないと、教室から追い出すからな?
ダウンロードは、さっきのアプリから。家に帰ったら即するように。明日から授業が開始される。実技は来週から」
そう、授業はタブレットのみ。
先生は、授業というものをしない。
先生は予め授業を録画しておいて、それを時間にスクリーンに流す。
それだけだと出席日数や態度が分からないのでは、と疑問を抱く人もいるであろう。だが、問題はない。この教室も含めて、どの教室もカメラがついているかだ。 いつでも監視されている。
「で、最後に。実技の授業は戦闘服を用いる。
制服ではなかなか動けないし、自分の好きなデザインじゃないしな。
うちの学校は、オーダーメードだ。
値段はどんなものでも変わりないから、安心しろ。だけど、だからといってゴッテゴテな飾りとかはつけるなよー。自分の成績が危なくなるぞ」
戦闘服か。何にしようかと、俺は悩んだ。
もちろん黒色がいい。
触り心地が良く、軽量タイプとなると難しいのだろうか。
まあ、格好悪くなければそれでいいだろう。
「戦闘服かー。どんな風にしよっかなあ。うふふ、楽しみ!」
「おー、私もそう思うよ!
燃える様な赤色がいいかなー、それとも可愛いピンクがいいかなー。それともさわやかな水色かなー?」
女子陣はとても楽しそうだ。
それにしても、後ろのガールは声が大きい。少し抑えてほしいものだ。
まあ、そんなにぎやかなことも悪くない。
俺は、後の説明を適当に聞いていた。