7話 火の魔術師、困る。
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先生はスクリーンをタッチして、様々なファイルを開いていく。
生徒たちは、それを黙って見ているだけだった。
しばらく、と言っても1分ほどだが、先生は一息ついて説明を始めた。
「えー、まず説明するのはこの学校についてだ。まあみんなも知っていることが多いと思う。だけど、よく聞いておいてほしい。
この学校は1つの学年に5クラスある。ここは特級クラス。つまり、お前らは難関な試練に受かった1年に1回の魔術・魔法の卵だ。それを自覚しておいてほしい。
まあそれはさておき。4大術学を基盤とした術学師になりたいのなら、それなりの志や忍耐力がないといけない。なんにせよ、戦い合うのも術学師だからな。
そこで、3年間ペアを組むようにしている。隣の席の人だ。対人戦闘能力の勉強が一番多いからな。ちなみに、魔術師と魔法師のペアになっている」
なんだか、すごく真面目に話しているなあと他人事に感じていたところ、衝撃の事実が俺の脳に襲いかかってきた。
先生は今、何と言った? ペアを組むといった。
先生は何年間ペアを組むといった? 3年という最初から最後まで。
先生は誰とペアを組むといった? 隣の席の人と。
では、ここで質問。
先生はどのような組み合わせになっているといった?
隣の席の人は、魔術師か、魔法師か。
では答えを、模範解答を教えよう。
正解は、こうだ。
「天響は、魔法師か?」
「うん、そうだよ」
嘘だろ。
この学校に入学して、初めにできた友達が、俺の大嫌いな魔法師だと!?
……この上なく、絶望的なショックを受けた。
「ごめん、天響……俺、もう無理だ」
「えっ、ちょっとどうしたの!?」
「実は、魔法師苦手なんだ……」
魔法師が苦手。
そう、重ね重ね嫌なのだ。
近寄りたくない、関わりたくない。そうずっと思っていた。
なのに、友達が魔法師だと?
「あー、まあ不満はあるだろうがよろしく。
んで、基本、授業は配布してあるタブレットを使う。必ずポッケに入れとくんだぞ。そして、授業はグループで行う。
実技以外の筆記授業、または実技で対人戦闘以外の授業の場合だ。そしてグループは、4人組。今から発表するから、よーく聞け」
グループ。
そんなのメンバーが誰か分かっている。
俺は、窓側の前から1番目に座っている。
そして、後ろはあの超元気そうな快活少女がいる。
つまり必然的にこいつと同じ。
「えー、次。グループ5。京也、天響、悠斗、杏樹」
そして、その考えは裏切らなかった。
ただ、男子が1人いるとは心強い。
俺は後ろをくるりと振り返り、2人の姿を確認した。
「お、お前が京也か。俺は悠斗だ。雷の魔術を心得ているぜ」
「私は杏樹! 京也って言うのかー。あと、天響っていい名前だねぇ!
2人とも、宜しくねっ! あ、あと私は悪の魔法専門だよっ」
悠斗の方は、安心できそうだが……この快活ガールが危うい。しかも、悪の魔法とは。
ちなみに、悪とはいえ、悪い魔法ではない。何というか、人を困らせることが
簡単にできるということだ。つまり、雷を落とすことが出来たり、毒を植え付けることだってできる。それに、これらの事は容易にできる。ここまで聞くと、すごく無敵のように感じるが、そうではない。
悪の魔法の欠点は、魔法がそう連続で使えないということだ。
つまり、体力がすごく必要になるため、長時間の使用はかなりきつい。
だが、戦闘中は計算してうまく利用することができれば、すごく有利になる。そう言った点で、すごく注目されているとも言えるだろう。
「あと、さっきの2人組のペアは寮生活が明日から始めるけど、ルームメイト的なものにもなるから、今のうちに仲良くしておけよー」
ルームメイト的な、じゃなくてルームメイトだろ……
なんだか、すごく大変そうな気がする。
ちらりと天響の方を見ると、先ほどより表情が暗い。
俺は、罪悪感に包まれそうになったが、何とか意識を取り戻す。
まだ、許すことはできない。
親を殺された俺の気持ちは、天響には解らないのだから。