6話 火の魔術師と快活超元気そうガール。
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「ごめんなさーい、遅れちったよー」
先生が電子パネル型スクリーンを使用して、入学にあたっての説明をしようとした時に、教室の自動ドアが開いた。
自動ドアはもちろん、少々の機械音しかしないため、今のような静かな雰囲気でなければ音は聞こえなかったはずだ。
遅刻どころではない、大遅刻だ。そう言いたくなるのは誰もがそうだろう。
だが、彼女だけは違った。
「おー、よー来たなぁ。遅いけど、まあ良いよ。さ、説明するから席つきなさーい。生徒の自己紹介はあとでやるからねー」
教師なのに怒らないのか。注意もしないのか、と少し驚愕した。
この先生と生徒の間には何か関係があるのかもしれない。
それにしても、ずいぶん軽いな。
彼女の姿を確認する。
身長は少し高い。全体的にほっそりとした、スマートな体型。だが、女性らしいラインはきちんと標準以上だ。
目はすごくぱっちりとしていて、その目が快活さを与えた。
髪型はショートカットが似合いそうだが、少し違った。
ミディアムロングと言うのだろうか。横髪を垂らし、肩より少し下の長さの髪を
後ろに結っている。とてもすっきりとしていて、彼女らしいなと感じた。
また、声は凛とした声だと思う。よく通った、少し大きめの声で、ハキハキしている。
そして、彼女が席に着いた、その席とは。
「お、君が私のご近所さんかい?」
「あ、ああ。京也だ。よろしく」
「じゃあ京也君、これからよろしく!」
……空席だった、後ろの席だった。
それに何か話しかけられたぞ。急に下の名前で呼ばれることになってしまった。
何だろう、ここの学校の女生徒は皆フレンドリーだな。
「はーい、では説明をするぞ。よーく聞け」
俺はとりあえず、快活超元気そうガールの存在を頭から、脳から消した。