4話 火の魔術師は説明したがる。
04
「えー、1年生204名。1組、48名。1番藍華!」
「はいっ」
出席番号順に生徒の名前が点呼されていく。最初は女子生徒から呼ばれて、その次に男子生徒のようだ。
少し暇があり、ボーッとする。
「18番、天響!」
「はいっ!」
元気のいい返事だな、と感心する。
と、ここで思ったこと。春が呼ばれるところを聞くの忘れていた、と。
まぁいいか、と俺は自分の出番を待った。
「男子1番。京也!」
「はい!」
声の音量的には、まあまあだったかなと思う。
1年生は1クラス1列に並んでいる。ちなみに、順番は決まっていない。なんてフリーダムなんだ、と感じたがまあいいだろう。
天響はちらりとこちらを見て、クスッと小さくほほ笑んだ。
その姿を見て、なんだか俺も頬が緩んだ。
「えー、以上1年生。着席!」
俺らは一斉にーーまあ少しばらつきもあるがーー座った。
長い長い入学式は、ここからがスタートと言ったところだろう。
長いので、多少省く。
ちなみに、ここからは校長の無駄話。俺は、辺りを見回した。
204名全員が丁寧に座っているため、なんだか気持ちが悪い。
それに女子男子でまとまっているため、余計に統一感がある。
この養成学校の制服は、男子が黒色、女子が白色という特徴がある。
男子は白いカッターシャツを下に着用し、その上から白い紋章やデザインのラインが入ったブレザーを纏う。下のスラックスは白色である。
女子は白いカッターシャツを着用し、その下に黒いスカートを着用する。
先ほど説明したように、この学校は規則が緩い。
そのため、スカートの長さは極端に短くてもいいらしい。
男子はブレザーを纏うが、女子は白か黒の短いジャケットタイプのブレザーを纏う。ちなみに、デザインは男女共通。
黒と白で統一されたこの生徒集団は、かなり目にいいものとは言えないだろう。
そうやって一人でいろいろ考えていると、なぜかあっという間に入学式が終了しようとしていた。終了時間まで、残り約5分。
ここで、担任の先生発表が行われるようだ。
「1組。魔術・魔法特級クラス担任、エル。
2組。技術・科学特級クラス担任、魔理沙。
3組。魔術・魔法普通クラス担任、愛梨。
4組。技術・科学普通クラス担任、未麗。
5組。4大術学複合壱クラス担任、琳。以上」
1組の担任は、なぜカタカナ名前なのかと疑ってしまうような
生粋の日本人という容姿だった。古風漂う女性と言ったところ。
ハーフや帰国子女なのかとも思ったが、どうやら違いそうだ。
2組の担任の名前は、少し失礼だが中二病かと疑ってしまった。
……なぜか疑ってばかりだな、今日は。
あとは、特に小説で言うところの、特筆する必要はない。
まあ、この学校の担任については興味があまりないのが、事実だ。
理由は、担任は朝と下校時にしか会わないと言っても過言ではないからだ。
授業はグループやペアでするのが主流らしい。
教科書はタブレット。先生が教卓に立って授業、ということは滅多にない。
教室にある(普通は収納してあるが)スクリーンで先生が録画しておいた動画を、
授業時に再生するという簡素な授業だ。
まあ、説明するより授業を見た方が早いが。
「これで入学式を終了致します。起立、礼!」
入学式が終わったため、少し俺の方の力も抜けた。
今日の1大イベントは終了した。