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魔術師はやがて白魔法師になる。  作者: はづき
第1章  術学師養成学校
4/20

3話 火の魔術師と幼馴染。

03



 着席予定時間の5分前には、大体の人は席についていた。

 辺りをぐるりと見回すと、仲良く談笑している生徒もいれば、緊張した表情で座っている生徒も多々いる。

 そして気づいたこと。

 席についていない人がいる。

 さらに、その席の主は座っていないだけではないのだ。

 そう、教室にいない。欠席だろうか、と首をひねった。


 まあ、気にしないでおこう。

 そう考え、俺はある人の存在を確認した。



「あ、来ていたのか。久しぶりだな、春」

「京也君! おはよう! いい朝だねー」



 廊下側の席。前から4番目の席に、彼女は座っていた。

 俺の姿を見つけて、少し話したいと思ったのか、席を立つ。

 こちら側に来た春に合わせ、俺も席を立つ。



「同じクラスだったんだねー。なんか嬉しいな。

 これからも、末永く宜しくね!」

「おう。ところで、今日はその髪型なんだな」



 春のいつもと違った髪形を見て、指摘する。

 通常は長い髪をポニーテールに結っているのだが、今日は違う。

 そのサラサラな髪を、惜しげもなく空気に晒している。腰辺りまである長い髪を結っていない。ストレートロング、と言うのだろう。よく分からないが。

 その髪の右サイドには、綺麗な紫色の花髪飾りが添えられている。すごくアクセントとなって綺麗だ。



「あ、えーっと……気づいてくれたんだ」

「ああ。当たり前だよ。その髪型のほうが、似合っている」

「ありがとう。あ、もうそろそろ座らないと! じゃあまたね」

「またな」



 時計電子パネルは、俺達が3分話していたことを告げた。

 席に座る。

 春は、俺の幼馴染だ。

 お淑やかさと女性ならではの快活さがある、と言ったところか。

 3年前から連絡のみの関係だったので、久しぶりに会って話したいことが多い。

 春は黒い髪をすごく伸ばしていた。いや、連絡で写真を送っていたりもしていたが、髪をおろしていたところを見たのは初めてだ。写真の中では髪を必ず結っていた。

 

 まあ、この養成学校も規則は甘い。

 なんせ、実力さえあればいい。規則は最低限の事を守ればいい、そういうことだ。なんてフリーダムなんだ、と今更ながら思う。

 そのため、春はせっかくだからと髪をおろしたのかも知れない。



「もう入学式かぁー」



 隣で書籍を読み終えて、うーんと背伸びを彼女はした。

 天響は緊張を感じさせない、あっけらかんとした笑みで言った。



「そうだな。緊張はしてないのか?」

「うん、まあね。この学校はお兄ちゃんも通っていたから、よく話は聞いてきたんだよね。あんまり緊張しなくていいぞー、って言っていたからさ。試験も終わったし、気楽にーってね!」

「そ、そうか」



 本当に、彼女は緊張していないようだ。

 そして、移動時間を知らせるチャイムが鳴った。

 生徒たちが一気に立ち上がり、それぞれ講堂へ向かう。

 そして、俺も早速向かおうとすると呼び止められた。



「京也、一緒に行きましょう!」

「京也くーん! 一緒行こー」



 ほぼ同時に天響と春が声をかけてきたのだ。

 それに驚いたのは俺だけではなかったよう。2人も、

相手の顔を見合わせ、疑問に思っていた。

 そこで俺は、とりあえず説明した。



「こっちが幼馴染の春。そして、俺の友達の天響。

 まあ、お互い仲良く……して欲しい」

「ああ、なんだ。てっきり彼女さんと思ったよー。

 幼馴染の春です! よろしくお願いします」

「私も彼女さんかと。友達の天響です。こちらこそ」



 なぜ、お互い彼女と思っていたのかと疑問が浮上したが、まあ仲良くしてくれるみたいだしいいか。



「3人で行こう。いいよな?」

「うん!」

「ええ、もちろん」



 そして俺らは、仲良く(?)講堂へと向かった。


 

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