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プロローグ 懐かしい世界
光がゆっくり流れていく。
赤く膨らんだ星の外殻が剥がれ落ち、灰のように散る。
氷に覆われた惑星の輪が崩れ、粉塵が帯を描く。
漂う光点が寄り合い、離れ、また散っていく。
遠ざかる銀河の渦が、静かに背後へ滑り落ちる。
視界は揺れながら進む。
黒い空の中で、ただ杭のような影がひとつ、またひとつと残される。
振り返ることなく、闇の奥へ列を作る。
数は数えきれない。
止まる気配はない。
やがて視界の端に一点の青が収まる。
光の粒が集まり、渦を巻き、雲をまとった球体である。
大地はひび割れ、山脈が走り、海が光を反射する。
緑の塊が大地を埋め尽くす。
視界はさらに降り、樹冠の上をなぞる。
枝が折れ、葉が擦れ、影が走る。
風が通り抜け、森が揺れる。
懐かしい友と戯れるように。