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彼は彼女を忘れられない  作者: 瞳湖
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デ、デートですか?

デ、デートですか?


 凛々は思い返せば男性とデートをしたことも付き合ったこともなかった。

高校生の時に母が倒れてから家のことや母のことが最優先で自分の恋愛どころではなかった。

専門学校の時に別の科の男子に告白されたことがあったがそんな理由でお断りをしたし、働き出してからは病院に来るのは年輩の方が多くて孫や息子とお見合いしてみないかと何度か言われたが一人でいることに慣れそんな気が起きなかったから朔とのデートが初めてだった。

(なんだろう?無性にドキドキする)

まるで高校生のようだと思いながら三十路も過ぎたおばさんが何を浮かれてドキドキしてるのだと我が身を諌めようとしたがどうにもならない。

おばさんだと言いながら少しでも良く見られたくて可愛いワンピースを選んでしまった。

普段なら着ないようなワンピースを勇気を出して買ってるあたり私も大概だ。

駅前のロータリーにある乙女像で待ち合わせをしているので急いで向かうと、約束までまだ15分あるのにもう彼は来ていて携帯を見ながら立っていた。

その佇まいの華麗なこと、モデルか!と突っ込みたくなるほどで見惚ると思っているのは私だけではなく周りを取り巻く女性が結構いる。

その中で自信があるのか、怖いもの無しなのか二人組が彼に声を掛けた。

「ねぇ、一緒にお茶しない?」

「しない」

断られると思ってなかったのか唖然とした顔で

「ウソッ、断った?なんでよ」

「俺がココにいるのは何故だと思う?考えたら分かるでしょう、待ち合わせだって」

「待ち合わせだとしても私たちが誘ってるのよ?普通断る?」

あまりに冷たい視線と態度にたじろぎながら向かう二人組の強さはある意味凄いけどね。

「君らに興味はないからもう声掛けないで」

憤慨して立ち去る二人組を見送って彼を見ていたら顔を上げた彼と目が合った。

なんて顔で私を見るの?その顔だけで貴方が私をどんなに想ってくれてるか一目瞭然で照れ臭くて俯いてしまった。

「凛々!早く来てくれたんだね」

「う、うん、待たせてごめんね」

「俺が早く来過ぎただけだから」

「きょっ、今日は何処へ行くの?」

車で連れて来られたのは郊外の大型ショッピングモールで先ずは映画を観ると言う。

演目は好きなのを選んでと甘々の顔で言われて、思わずベタベタの恋愛ものを避け子どもがいっぱいのアニメを避けて家族ものを選んだ。

仲良し家族に紆余曲折あって主人公の女性が異世界に飛ばされるファンタジーだったので、驚いてしまったが元の世界に戻れないと知った主人公が異世界で助けてくれた男性と家族を築く物語。

なんだファンタジーかと思いつつ観ていたが、いつの間にか母を亡くして一人で生きて来た自分と重なる主人公にハマって何時も隣で助けてくれる男性が更に朔と重なって気付いたら号泣していた。

(私は思っている以上に朔に頼り始めているんだな)

泣き過ぎてボーッとする頭でそんなことを考えていた。


 その後、要らないと言ったのに

「俺がしたいの、お願い」

って言われてワンピースやらインナーやらパジャマまでなんやかんや買われてしまった。

「金曜日にお泊まりの時いるでしょう」

ってお泊まりは決定事項なの?

驚いている私の手を引いて食事に誘う朔のなんて嬉しそうな笑顔、そんなの病院で見たことないね。

食事をしながら金曜日のメニューを決めて、その場で必要な材料を伝えた。

自炊をあまりしない朔の為にチンすれば食べられるものも幾つか作っておこうとその材料も頼んでおいた。

次はどうするのかと車に乗り込んだところで病院からの緊急連絡が入り朔は病院に向かわなければならなくなった。

「凛々ごめんなさい」

「ううん、大丈夫だよ、長良先生を待つ患者さんのところに急いであげて」

と車から降りようとしたら病院までの道沿いの駅まで送ると言って聞かないので甘える事にしたのだった。

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