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彼は彼女を忘れられない  作者: 瞳湖
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高飛車な女医

高飛車な女医


 金曜日の昼休み、瞳さんともう一人の同僚の橋爪美香とご飯に行こうとしたら鹿子木先生に呼び止められた。

「ちょっと貴女」

名前を呼ばないから三人ともが振り返ると

「あんた達はいいのよ、用があるのはあんたよあんた」

と不躾に私を指差して言うので

「鹿子木先生、私はあんたと言う名前ではありません、この間ご挨拶させて頂きましたが覚えてはおられませんか?高瀬です」

「受付如きの名前を覚えても仕方ないでしょう?得にもならないんだから、あんたで結構よ」

凛々は正面を鹿子木に向け言い放った。

「で、アンタは私に何の用?私はアンタに何の用もないけど」

「なっ!失礼ね、受付の分際で私をアンタ呼ばわりするなんて」

「ねっ?先生だって嫌でしょう、鹿子木という名前があるのにアンタなんて言われたら、私も同じです、高瀬という名前があるんですから」

鹿子木はプルプル震えて拳を握る。

そこに安河先生が割って入った。

「鹿子木先生貴女が悪いよ、彼女たちはうちの大切な職員だ、彼女たちがいなければ事務仕事はまわらない、何故下に見るか私は貴女の性根を疑うよ」

怒りに打ち震える鹿子木先生はそれでも安河先生に歯向かうことは出来ず

「失礼しました、高瀬さんまた後でお話しさせてもらうわ」

と言うとそそくさとその場を後にした。

「安河先生ありがとうございました」

「ごめんね、どうにも考え違いの医者がいたもんだ、後からまた何か言ってくるようだけどなんかあったら教えて」

「はい」

瞳さんと美香さんが寄ってきて

「とんでもないのに目をつけられたね、何あれ?でも良く言い返した!アンタって鹿子木先生を呼んだ時ビックリしたよ」

「理不尽なこと言われると反論したくなってしまうんです、私のダメなところなんですけど」

「そんなことない!言われ損なんてパワハラ、モラハラが問題になる最近であの先生がおかしいんだから、困ったら安河先生に相談しよう」

そう話して昼食へ向かった。

 

 朔は金曜日だけの非常勤だったけれど鹿子木先生はうちで後期研修することになったようで週の始めにあの人から声を掛けられてモチベーションが下がりかけた。

「た、か、せ、さんちょっといい?」

「おはようございます、鹿子木先生何ですか?」

「貴女が長良先生の運命の人って本当なの?」

「はっ?」

「なによ、違うの?」

「お付き合いはさせて頂いてますが…」

「なるほど、貴女嫌な女ね、長良先生に纏わりついてどういうつもりなの?」

「どういうつもりとは?」

「本気でバカなの?長良先生はね、貴女のような平々凡々とした女が横に立てる男性じゃないのよ」

「ではどんな方なら立てるのですか?」

ふんっと鼻を鳴らして腰に手を当てた鹿子木は

「あの若さで天才的な心臓外科医として先を約束されていて、長良医療総合病院の次男といえどお兄様の漣さんの右腕として前途洋々の先生を支えて共に隣を歩ける女性、まぁ私のような女医とかね、貴女にどんな手助けが出来るのよ、身の程を知りなさい」

「朔が貴女に支えて欲しいと言いましたか?」

「言われなくても分かるのよ、私くらいになるとね」

「思い込みですか?そんな想像の話は先生の中だけにしておいて下さい」

「思い込みって失礼ね、ちょっと考えたら分かることよ、貴女では釣り合わないのよ!!」

「そこまで!鹿子木先生」

声の方を見ると安河院長先生が厳しい顔をして立っていた。

「君は何をしている?朔への付き纏いやストーカー紛いの行動は改めるのではなかったのかね?その約束で後期研修を受け入れたはずだがね?うちも長良も約束を違えてこんなことをする貴女に後期研修を受けさせない、他所へ行ってくれるかな」

「そんな院長先生……高瀬さんが偉そうに長良先生とのことを言って歩いてるから注意していただけです」

「その上、嘘までつくとは医者以前の問題だ、高瀬さんは朔が望んだ相手だ、釣り合うも釣り合わないもないのだよ」

さぁ来なさいと鹿子木の腕を捕まえて行ってしまった。

「朔やその周りの人達に執着しない、更に傲慢、威圧的な態度はいずれ患者さんにも出るから直せなければうちで後期研修はさせないと一筆入れていたんだが、凛々さん悪かったね」

振り返ると安河先生(若先生)が教えてくれた。


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