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第24話 どうか私も二人のお仲間に入れてください!

「んっ……、と、こんな感じなんだけど、ルーミンわかった?」


「あのー……ソルさん、これ、本当にできるようになるんですか?」


 ルーミンはさっきまで私の中にあって、濡れて糸を引く自分の指を見ながら聞いてきた。


「母さんはできてたよ。でも、最初からは無理だから、今のうちから練習しときなさいって」


 私もやり始めたばかりだから、いまいちコツが……難しい。


「お二人は毎日練習されているのですか?」


「無理。二、三日おき」


 結構疲れるから、毎日はなかなか厳しいんだ。


「ルーミンは無理しなくてもいいよ」


 まだ、体が出来上がってないからね。


「いえ、次も頑張ります。気持ちよかったので……」


 はは、気にいっちゃったんだ。


「えっと、それじゃルーミン、片付けるの手伝ってくれるかな」


 寝間着に着替えた私とルーミンは、お湯を運んできた桶と体を拭いた布を洗うために井戸まで向かう。


「雨やんでるよ」


 中庭から空を見上げると、雲が無くなった空に満天の星空が見えていた。明日はいい天気になりそうだ。


「えへへー」


 声が気になって横を見ると、桶を持ったルーミンが私のおさがりの寝間着に鼻を付けている。


「ど、どうしたの?」


 もしかして匂うとか……


「ソルさんの匂いがします」


「く、臭かった?」


「とんでもない! いい匂いです。なんだか落ち着きます」


 そ、そうなんだ。


 通路から外に出た私たちは、台所の勝手口の横に置いてあるかめから水をすくい、桶と体を拭いた布を洗っていく。


「それで洗い終わったら、桶はここに置くんだ」


「ここですね。わかりました」


 よし、そろそろきりだそうかな。


「あのね、ルーミン。もしだよ……もし、違う世界の男の子にもなれるとしたらどうする?」


 ルーミンはたぶん海渡だ。だって、竹下とユーリルのように二人からは同じような匂いがしたから。ただ、海渡とルーミンが同じ人格だとしても、ルーミンが海渡と繋がるのを嫌がったのなら、今すぐ繋げるわけにはいかない。


「違う世界ですか……えーと、そこにはソルさんはいますか?」


「えっ、私? うん、男の子になっているけど、ちゃんといるよ」


「いるんですね。よかった。そうだ、他には誰がいますか?」


「俺がいる」


 中庭との通路から聞きなれた声が聞こえた。


「……ユーリル、どうしてここに?」


「トイレに出たら二人の声が聞こえてさ」


「ユーリルさんもですか……なら止めとこうかな」


「お、おい!」


「ふふ、ウソです。その世界にお二人がいるのなら安心です。私も連れて行ってください」


「どうして、私たちなら安心なの?」


「私が住んでいたのはここの隣村のバーシから南に進んで、山に続く街道の入り口のところにあるビントという小さな村です。そこは山の端っこのところで、土地が少ないから家畜もあまり飼えなくて、ほんのちょっとの畑にできる作物で暮らしています。そんなところなのにお父さんは、ほんとのほんとに下手くそでたくさん子供を作っちゃって……あ、もちろん私たちを可愛がってくれるし、兄弟はみんな大好きなんですが、ただ食べるのが大変で……」


「お母さんは薬を飲んでなかったの?」


「村に薬師がいないんです。それに、隊商が持ってくる薬は高くてうちでは……」


 隊商は危険を承知で村々を回っているから、扱っている商品はどうしても高くなってしまう。でもそういう時は、妊娠しづらい時期を選んだり極力中に出さないようにしたりするんだけど、それでもできるときはできる。まあ、ルーミンがあれだけ下手くそというくらいだから、お父さんの要因が大きいのかもしれない。


「それで?」


「あ、はい。男の兄弟は木こりの手伝いとかで手間賃をもらえるんですけど、女の私は力仕事は向いていないし、羊も少ないので織物の仕事もほとんどなくて……私がいなくなればみんな楽になるなってずっと思っていたんです」


「だ、ダメだよそんなこと考えたら!」


「ふふ、でもそんなときは必ず私の夢に三人の人影が現れて励ましてくれるんです。諦めるな。絶対助けるからって」


 三人?


「そうしたら本当にセムトさんがやってきて、私を連れ出してくれました。旅の途中にお話を聞いてみたら、ソルさんからのお願いで人を集めているって。そしてお聞きしたソルさんの容姿が、私の夢に出てくる女神さまと一緒だったんです!」


 め、女神様!?


「だから、ソルさんの言うことには従います。どうか私も二人のお仲間に入れてください!」


 その夜はニコニコ顔のルーミンと、なぜかコペルも私もと言い出したので両手に二人の体温を感じながら眠りについた。

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