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最強の殺し屋の非日常生活  作者: ぬっこ
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一日目 最強の殺し屋

3月の終旬、都内の小さなビルで夜、男の叫び声が響き渡る。

 そして、血まみれの死体の中黒いスーツと美しい白銀の髪をした青年がウキウキでビルから去ろうとしていた。


「溜まった仕事を終わらせるのに1年もかかったけどこれで俺も高校生!楽しみだな〜」


 と、独り言を放ち、彼はビルを去った。




 都内から少し離れたところにある名門校、私立叡明高校(しりつえいめいこうこう)

 ここには、計1200もの生徒が通う高校である。

 4月の新学期、桜が舞う学校への道に綺麗な黒い髪をなびかせて登校する美少女と呼ぶにふさわしい女子高生が歩いていた。


 彼女の可愛さに過ぎ行く男子生徒達はおろか女子生徒達までもが見惚れるような容姿をしていた。


「おっはよ〜みーなちん」


 そんな美少女に後ろから声をかける女子生徒。


「あ、(りん)ちゃん。おはよ」


 凛ちゃんと呼ばれた女子高生、松本凛は美少女、水八瀬麗奈(みなはせれいな)の友達である。


「いや〜さっすがみなちん。学校一の美少女、天使?アイドルは違うね〜」

「からかうのやめて」


 むっと頬を膨らませた麗奈に笑いながらごめんごめんと謝る凛。

 そうして話してるうちに彼女らの新しいクラスについた。


 教室に入ると教室に入る前までガヤガヤとしていたのに一気に静まった。

 それは美少女である麗奈が入ってきたことにより教室のみんなが彼女に見惚れてしまったからである。


「流石だね?」


 麗奈は深くため息をついたあと自分の座席を確認して座った。

 そして始業式のチャイムが鳴る。チャイムが鳴ると教室の生徒たちは廊下に出て出席番号順に並び体育館に向かった。


 ここから校長先生の長い話を聞くとなると嫌気がさす。そんな少し鬱な気持ちで体育館に向かい指定の位置に座る。

 春なのに少し冷える体育館で全校生徒が集まり礼をして校長先生の話が始まる。


 周りを見るとチラホラ眠そうな生徒がいる。そして1人の生徒が寝かけたタイミングで校長先生が「最後に」という言葉を言って少し目が覚めた。


「皆さんにはこの春から転入してくる生徒を紹介します。ではどうぞ」


 と呼ばれ壇上の脇から出てきたのは白銀の髪が特徴の男子だった。


 これが集会かぁ…これが制服かぁ…これが普通の男子高校生なのか…!


 白銀の髪の男子生徒がマイクの前に立つと校長先生が「自己紹介どうぞ」と言う。

 そして、白銀の髪の男子生徒の自己紹介が始まった。


「初めまして!俺の…あ違う。僕の名前は殺人殺愛(さつとあやめ)!漢字は殺人ってかいてさつとって読んで殺すの殺に愛するの愛ってかいてあやめって読みます!物騒な名前だけどよろしく!」


 エコーのかかった自己紹介が体育館内に響き渡る。

 そして音が消えた後、ひとつの拍手を中心に周りが呼応するように拍手をする。


「彼の白髪は地毛らしいので教師陣はそこに触れないように、それと彼は家庭の事情で学校には行けてません。これが初めての学校ですのでクラスの方よろしく。あーそれと彼のクラスは2-3です。堕嶋(だじま)先生よろしく」


 と呼ばれ紹介されたのはとても気だるそうな教師で目の周りには隈が出来てた。


「うーい」


 とだるそうに応えると、校長先生は殺人を壇上の脇にやった。それから数分くらいで始業式が終わり、各々教室に戻った。


「いや〜唐突の転入生でビビったわ〜」


 凛がケラケラと笑いながら言う。それに相槌を打つ水八瀬の表情が少し強ばっていた。


「どったの、みなちん」

「あ、いやなんでもない」


 パッとすぐ明るい表情に戻して両手で手を振り、なんでもないようにした。

 若干怪しげだったのか少し訝しむように見るがあまり聞かないように凛は話題を変えた。

 少しすると担任である堕嶋が教室に入ってきた。後ろには転入生の殺人が着いてきてた。


「あ〜このくらすの担任持った堕嶋でーす。ほんで今日は顔合わせくらいだからもう帰って…」

 

 と何かを思い出したのか言葉を途中で切った。


「あ〜、こいつにこの学校の案内やってくれるやつ〜」


 随分と転入生に対してまるで親戚かのような距離感で話す堕嶋に若干戸惑いを隠せない生徒達。

 そんな中1人の生徒が手を挙げた。


「私やります」


 と、挙手をしたのはこの学校の美少女こと水八瀬だ。


「おー、じゃ頼むわ。あ、ほかもう帰っていいよ〜…あ、委員会決めといて〜。あとよろ」


 と言う言葉を残し去っていった堕嶋に誰もが同じことを思った。


 お前うちらの担任だよな?!


 だが、誰も突っ込むこともなくその教師は去っていった。


「…委員会どうする?」

「どうするって言っても…」

「っつーかなんの委員会あるんだっけ」


 教室がざわつき始めた。その中で殺人は教壇の机の上にある紙を取った。


「あ、ここに委員会書いてある」

「お、まじ?」


 殺人は1回頷くと座ってる生徒たちを背に委員会をズラっと書き並べた。


「字綺麗〜」

「これで全部」

「おーありがとー」


 それから、殺人は自席であろう席に向い席に荷物を置き座ったところで、委員会決めが担任抜きで始まった。

 だが、なんとグダることも無くスムーズに決まったのだった。


「じゃあこれでOKね」


 結果、学級委員は水八瀬と爽やかな男子生徒の柳優太(やなぎゆうた)に決まりその2人で円滑に進めて行った。

 柳が手を鳴らして「解散!」って言うと各々準備をした。


 殺人も学校案内が終わったあとスムーズに帰れるよう準備をしていたら、そこには学級委員の柳が来た。


「よろしく殺人くん」

「よろしく、柳優太くん」

「優太でいいよ」


 と少し可笑しそうに笑う柳。そこにもう1人の男子生徒が来た。


「よう、転入生」

「?あー初めまして」


 その男子生徒は殺人より若干高い180位の男子生徒で髪は短めだった。


「俺の名前は竹島虎徹(たけしまこてつ)野球部だ。よろしく」

 

 虎徹は殺人に手を差し伸べた。殺人もそれに応えるように手を差し伸べ握手した。

 

「?お前なんか部活やってたか」

「いや?やってないけど…どうしたんだ?」

「いや…やっぱいいや」

「そうか、えっと…」

「竹島でいいよ」

「そっか、竹島」


 じゃあなと手を振って竹島と柳は帰って行った。すると後ろから水八瀬が肩を軽く叩こうとした。

 殺人はすっと後ろを振り向いた。


「あー、殺人…くん?学校案内するね」

「ん、よろしく。水八瀬さんだっけ?」

「そうだよ〜。覚えててくれて嬉しいなあ」


 えへへとはにかむ水八瀬。それから水八瀬の学校案内が始まった。

 食堂、音楽室、教室、職員室等などの場所を案内された。

 全ての場所が案内された頃には1時間は経過していた。


「いやー長かったね〜」

「確かに、学校はこんな広いんだ」

「…殺人くんは学校行ったことないの?」

「うん。ちょっと家庭の事情でね」


 笑顔を浮かべる殺人。だが、その笑顔の奥には若干の苦しい感情があるのを察し、水八瀬は手を叩いた。


「じゃあ!私が1番好きな場所に連れて行ってあげる」


 と言い、殺人達がやってきたのは学校の屋上だ。


「学校の…屋上」

「そう、ここすごく景色がいいんだ〜」


 黒い髪をなびかせて微笑む水八瀬。そんな彼女はとても絵になりそうなほど綺麗だった。


「あ、今ちょっと見惚れてた?」


 にやにやと笑みを浮かびながら殺人に聞く水八瀬。それに対して恥じることも無く、殺人は「うん」と答える。


 かなりストレートな回答だったので少したじろいだがすぐに平常心を保つ。


「ここいい場所だよね」

「確かに」

「ここは静かでほんとに私のお気に入りなんだ〜」

「静かなのは少し寂しいと思うけどな」

「そう?だってこんな静かなら…」


 水八瀬は懐からサプレッサー付きのオートマチックのハンドガンを瞬時に出して躊躇いもなく撃った。

 だが、目の前に殺人の姿はなかった。


「静かなら殺すのに向いてる…って言うことだね」

「くっ…!」


 自分の背後に立った殺人から瞬時に離れて、すぐに次の弾を撃った。が、何発打っても当たらなかった。

 遂には弾切れになってしまった。


「その様子、弾切れだね」

「こっ…この化け物…!」


 少し殺人の体が止まった。そのチャンスを逃すまいと瞬時に懐に閉まっていたアーミーナイフを取りだし首の動脈を目掛け後ろから斬りかかった。

 だが、それすらも避けられ伸ばした手を掴まれ両手を抑えられ地面に倒された。


 勝てない…!これが…最強の殺し屋…『悪魔』…!


 死を覚悟した水八瀬だが、殺人は倒した状態で何もしてこなかった。


「…どうしたのよ、殺しなさいよ」

「…いや、殺さないよ」

「…は?」


 何が何だか分からない水八瀬は困惑の表情をうかべる。

 何しろ、殺し屋の世界は殺るか殺られるかなのだから。殺しに失敗した水八瀬は殺人に殺られて当然。

 だが、殺人は殺らないと言った。


「どういうことよ、この世界は殺るか殺られるかよ。なんで…!」

「俺は…このたった2年間の高校生活を普通にする条件にあたり、一切の殺しはしないって条件付きで普通の高校生になれたんだ。だから、殺さない」

「普通…の…」

「そう、ごくごく普通の男子高校生。おかしな話だよな」


 ヘラっと笑う殺人はどこか悲しい感情を抱いていた。


「伝説、最強と謳われた殺し屋が2年間普通の男子高校生として過ごしたいだなんて…」

「そ、そんなこと…ない!」


 強めに否定した水八瀬に少し殺人は驚きの表情を浮かべた。


「誰だって…夢はある、それが例え最強の殺し屋だろうがなんだろうが。その夢は…人の夢は、全部…全部素敵なものなんだ。だから、おかしいことなんて、ない」


 彼女の真剣で光ある目はとても強かった。その強さはきっと、どんなことにも負けない強さだ。

 殺人は少し笑った。


「な、なによ。なんかおかしい?」

「いや、強いなぁって」

「…馬鹿にしてる?」

「してないよ」


 そして、拘束していた彼女の腕を離し殺人は立ち上がった。

 そして、殺人は都市部の方に目を向けた。


「…水八瀬さん。実はもうひとつ…普通の高校生になるにあたっての条件があるんだ」


 そう言い、水八瀬が不要とみなしそこら辺に投げたサプレッサー付きのオートマチックのハンドガンを手に取った。


「条件…?」


 少し訝しんだ表情で殺人を見る水八瀬。


「そう…もうひとつの条件は…」


 殺人は手に取ったハンドガンに新しい弾丸を補填して都市部の方に向けた。


「この高校の生徒、誰1人死なせないこと」


 と言い終わると同時に殺人は銃を撃った。

 撃った直後に高い金属どうしがぶつかり合う音がした。


「な、なんの…音…?」

「わかるだろ?君は任務に失敗したんだ。今君は狙われていた。だから、君に向けて撃たれたスナイパーライフルの弾の軌道を変えた」

「…は?」


 意味がわからなかった。スナイパーライフルの弾の軌道をハンドガンの弾がずらせるのもそうだが、そんな人間離れの芸当が目の前で行われていたことに対してとても信じ難かった。


「簡単だよ。どこに撃ってくるかはある程度予測は着くからその軌道に上手い具合に当てたら簡単にずらせる」

「え、は、」

「さてと」


 混乱している水八瀬をおいて、殺人はワイヤレスイヤホンを耳につけた。


「…学校からおよそ5km先のオレンジ色のビルだ。…あぁ、恐らく改造狙撃銃だろう。きっと、やつは下っ端だ。やつの上を暴き出して殲滅しろ」


 ピっと通話を切った殺人におどおどしながら問いかけた。


「あ、あの…今のって…」

「あぁ、学校を護るにあたって俺一人じゃ厳しいだろうということで直属の部隊をつけた」

「そ、そう…」


 座り込んでる水八瀬に手を差し伸べた。


「立てる?」

「恥ずかしいことにすこし腰を抜かしてる」


 と、恥ずかしそうに顔を赤くして差し伸べられた手に手を伸ばして立たせてもらった。


「じゃあ、これからよろしく水八瀬さん」


 と、満面の笑みで言われ、少しそっぽを向いて「よ、よろしく」と、小さな声で水八瀬は返した。

 

「どうしたの?」


 と、顔を覗こうとする殺人から直ぐに離れる。


「な、なんでもない!その、助けてくれて…ありがとう。じゃあ!また明日!」


 と言い屋上の扉を勢いよく閉めた。

 殺人は何がなにかよく分からなく呆然とたっていた。

初めに、この作品を読んで頂きありがとうございます(_ _)私はこの作品が初めての投稿なので少し緊張です(´•ᴗ•;ก)皆さんに面白い、キュンキュンすると思って貰えるよう尽力を尽くすので何卒この作品共よろしくお願い致しますm(*_ _)m

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