今日も
――この灯りは、送り出しているのだろうか。
それとも、迎え入れてくれるのだろうか。
ガタン、ゴトン、と電車が揺れる。
窓から見える薄い水色になった空は、ポツポツと見える灯りを見にくくさせていた。
空白がチラホラ見える座席に座って目を閉じてる人もいる。
携帯を見てる人たちは、無表情のお面を付けてるみたいだ。
周りを見渡してる人なんか、私しかいない。
この人たちはどこへ向かうのだろうか?
家かな?
学校かな?
仕事かな?
まあ、どこでもいいけど。
でも、もし。
この人たちが今見てる視線の先が、楽しい場所であったら。
やり込んでいるゲームや攻略動画だったり。
読んでいる小説やマンガだったり。
今度行くところのお出かけ情報だったり。
きっと、誰もが誰かの『楽しい』のために日々働いているんだろう。
動画やゲームを見れるように、撮影したり企画してる人たちが動きやすいように。
小説やマンガを読めるよう、作家さんを見つけたりスムーズにサイトを見れるように。
休みの日に楽しめるよう、行きたいところを見つけたり当日遊べるように健康で元気で居られるように。
きっと、私も見た事もない『誰か』に支えられて毎日を過ごしているんだろう。
――働く理由って、見た事ない誰かのためなんじゃないかな。
なんて、ぼんやり目の前を長めながら考える。
電車のアナウンスが響く。
駅についたみたいだ。
立ち上がってドアに近づいた。
目を閉じてる人もいるけど、動き始める人もいた。
ゆっくり立ってドアに近づいたり、携帯をポッケにいれたり。
ドアの前に立って、空くのを待つ。
――それなら、もうちょっとだけ私も頑張ってみようかな。
ドアが開いて、今日も1歩踏み出した。
見た事のない、誰かのために。
初投稿です。
読んでくださりありがとうございます!
誤字脱字、不明な文章などあったらすみません。。