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雪降る世界の入り口へ  作者: 夜霧雪華
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第三話

第三話です。

更新が大変遅くなりました。すみません。

感想ありがとうございます。

────「ユキ?」



 私は思わずそう呼んだ。

 幼い頃と見た目で同じところは、銀色に輝く耳と、数は変わっているがしっぽ。それと、私が首に巻いてあげた水色のマフラーだけだった。それだけでは幼い頃に一度だけ会ったユキが目の前の少年と同一人物だということは普通わからないだろうが、私にはひと目ではっきりとわかった。


「シオン。」

 ユキだと思われる少年は私を見つめてぽつりと呟き、少しだけ微笑んだ。

「本当に来たんだね。」

 私はそれに同じように微笑みを返す。

「ユキ?ユキなの?」

 そう聞くと小さく頷き、ユキはこう言った。

「明日もまたおいで。連れて行ってあげる。」

連れて行くって、どこに?

私がそうたずねようとした瞬間、ユキの姿は雪に紛れて見えなくなった。



 気が付くと、私は神社の境内にぽつんとひとりで立っていた。今のは、なんだったのだろう。掃除をしに来たのを忘れて、私は家に戻ったのだった。




 その後、いつも通り簡単な夕餉を作り、1人でそれを食べる。お風呂入って寝巻きに着替えると私は布団の中にもぐった。高校とは疲れるものだな。私の瞼はすぐに重くなり、いつの間に眠っていた。



────不思議な夢を見た。

ここは、どこ?

 夜だった。そして、和風な創りの街並みや、小さな林の木々の風景が流れるように移り変わってゆく。私はふと、景色が流れているのではなく、私が走っているのだということに気が付いた。それも、この世のものとは思えない程のスピードだった。別段私は運動が得意というわけではないので、何故こんなにも速く走っていられるのかわからなかった。走り抜けた先には何があるのかわからないまま、私は必死で走り続けた。走らなければいけなかった。もうすぐ、行き止まりのようだ。先の方はあまり見えないけれどそのことだけはわかった。

 私が走った先には、何があるの?





 目が覚めた。見ていた夢は覚えている。でも走った先に何があるのかはわからなかった。しかし私は夢について将来の暗示だとか予知夢だとかそういうものを考える方では無いので、気になりはしたが特に気にしなかった。制服に着替え、ぱぱっと朝餉を食べると、家を出た。昨日降って積もった雪がうっすらと残っていた。足で踏むと、ほんの少しシャッという軽快な音を立てた。もっとも、これから学校へ、しかも授業開始日の今日はそんな軽快な気分にはなれなかったのだが。

 そんなことを考えているうちに、私は見た夢のことなどすっかり忘れて雪の声だけを聞きながら歩いていった。

よろしければブクマ、評価などお願いします。

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