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雪降る世界の入り口へ  作者: 夜霧雪華
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プロローグ

初めて書いたものです。

プロローグ



 私が幼い頃。何歳だったかなんて覚えていない程の時だが、ひとつ、鮮明に残っている記憶がある。


───雪の降る真っ白な日だった。

 私がいつもの如く隣の神社に遊びに行き、いつもの如く鳥居をくぐる。空は暗くなり始めていた。いつもと違ったのは、鳥居をくぐった瞬間、寒かった空気が少しだけ暖かさを持ち、周りの景色が変わったことだ。自分が今くぐってきた鳥居の方を見ると、神社と隣のはずの自宅が見えず、どこもかしこも真っ白な雪景色だったことだ。ここだけ異世界になっているような、そんな感覚がした。


 真っ白な景色の中でひとつ、紅いものを見つけた。近寄って見ると、銀色に輝く小狐が一匹、怪我をして血を流していた。私は幼いながらに、持っていたハンカチを駆使してできる限りの手当をした。そうしなければならないような気がした。うっすらと目を開いた小狐の瞳が、じっと私を見つめた。少し、笑ってくれたような気がした。このまま放っておくのは心配なので、神社の賽銭箱の近く、屋根のあるところに小狐を運んだ。私はこの小狐に名前をつけてあげよう、と思った。雪の降る場所で出会ったから、ユキと名付けることにした。

「あなたのなまえはユキ。わたしのなまえはしおん。よろしくね。」


  空はすっかり暗くなっていた。おばあちゃんが心配するから戻らなければ。私は自分のしていた綺麗な濃い水色の長いマフラーをするりとはずし、ユキの身体に巻き付けた。

「これであったかい。おばあちゃんがしんぱいするから、かえらなくちゃいけない。またくるね!」

 この異世界のような空間からどうやって帰るかなんてわからないが、この頃の私はそんなことは気にせず、そのまま鳥居をくぐった。


  次の日、朝早くに神社へ向かった。雪はもうやんでいた。鳥居をくぐったが、昨日のような感覚はなかった。賽銭箱の近くまで走っていくと、もうそこにユキの姿は無かった。しかし、そこに薄紅色の綺麗な紐が落ちていた。なんだかユキがお礼をしてくれているみたいで、私はその紐を拾った。私はおばあちゃんに貰った鈴に結んで、首から提げられるようにした。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

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