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プロローグ

新たに書き始めてみた小説です。これからよろしくお願いします。

アルディア王国────この大陸に存在する人間の国の中では一、二位を争う程に大きな国。また本来ならば自分の生まれた村や集落から出てくる事が少ない亜人種(デミヒューマン)が人間と交わる国でもある。何故そのような国になったのか、それは後々話すとしよう。

今はそれよりもこの国の東にある小さな森、そこにこの物語の中心の人物となる者がいる。森の中心、鬱蒼とした木々が円形に作り出した広場。そこに何の変哲もない二階建ての家が建てられている。


そう、見た目(・・・)だけは何の変哲もないのだ。


「ぜぇ、ぜぇ……な、何で……こん、なに……長く、なって、るんだ、よぉ……」


綺麗に掃除され、埃一つ落ちていない廊下。唯一落ち度があるとすれば、それは今ここを歩いている青色の髪をショートカットにした少女が口にした通り────呆れる程に長い事だ。何故このような事になっているのか、その為にはこの家の主を紹介しないといけない故、一先ず置いておこう。

左右の壁には多くのドアが並び、それぞれに『トイレ』『図書館』『研究室』『風呂場』と書かれたプレートが飾ってある。中には『○○○○(18禁的な何か)』と書かれているプレートもあるが、部屋の中に関してはご想像にお任せしたい。


「はぁっ、はぁっ……やっと……着いた……」


もはやゴールがないと例えてもいい程に長い廊下を少女はついに歩き切った。少女の目の前、つまりは廊下の一番奥にあるのは様々な装飾が施された扉。少女は息を整え、軽くその扉を叩いた。


「ゼロ様ぁ、そろそろ起きてくれませんかぁ?」


扉の先にいるであろう人物の名前に『様』を付けた事から分かるかもしれないが、少女はその人物と主従関係である。着ている服は、一般的によく見られるメイド服よりも黒を多めに取り入れた物。しかしそのような格好であれば召使いと判断するにはさほど問題ない。


「…………あと一時間だけ寝かせてくれ……」

「それ、さっきも聞きましたよ……朝ごはんも昼ごはんも食べてもらえないんじゃ、作ったボクが馬鹿みたいじゃないですかぁっ」


部屋の中から聞こえた主の『睡眠を延長させてほしい』という言葉に少女はむすっとした態度で答える。しかしその言葉に返ってくる声はない。少女ははぁっと溜め息をつくと、扉にそっと触れた。


「もうっ……い、いい加減開けますよ?」


少女は扉を恐る恐る開く。その先に見えるのは少女にとってはいつも通りの光景であった。

山のように積まれた魔術書、脱ぎ散らかされた服やズボンに下着、瓶の中からこぼれて床に広がる液体、何度も描かれた魔法陣で黒く塗り潰された机。


汚い。その一言しか思い浮かばない程にこの部屋は散らかっていた。


「あー、もー……またこんなに散らかして……掃除するボクの身にもなってくださいよぉっ」


少女は壁よりに作られたベットに目を向ける。そこにはもっこりと膨れた布団がある。もそもそと動き、中に主がいるという事は少女には分かりきった事だ。


「ゼロ様ぁ……遊んでないで、早くボクが作った昼ごはんを食べ……て……?」


少女はベットから布団を剥ぎ取る。そしてそこにいる主に自分の作った昼食を食べてもらうよう声を掛け────固まった。

それと同時に布団に隠れていた物を見て考える。この目の前にいる物体は何なのか、と。ベットにいるのが主だと思って布団を剥がしてみれば、実際にいたのは主とは似ても似つかない謎の生物だった。

ウニョウニョと奇妙に動き、全体にヌルヌルとした液体を纏った細長い生物が数匹。目も鼻も耳らしき器官もないはずなのに、それらは少女を見つけたような反応をすると、一気に飛び出し──────


「へっ……ひゃぁぁぁああああっ!!?」


ドタン、バタンと廊下に響き渡る音。それを聞いているのはただ一人、家の屋根でいつの間にか寝ている青年だけである。少女とは違い、長く伸ばされた銀髪とフード付きローブが特徴的な彼は聞こえてくる物音に対し、呑気に欠伸を一つした。


「ちゃーんと俺からの命令を守らないとそうなるんだよって事を教えてやらないとな。まったく、上に立つ人ってのはいつも大変だ」


















今より5年前に大陸の北、人間はおろか亜人種(デミヒューマン)すら住む事の出来ない厳しい環境が広がる渓谷。そこに全ての魔物を統べる魔王ヴァルトラが現れた。世界の全てを支配しようと企むヴァルトラの圧倒的な力に人々は絶望の日々を過ごす事しか出来なかった。

しかしそれから月日が経ったある日のこと。魔王を倒す為に立ち上がった者がいた。『魔王が現れる事は、対になる者も現れる事を意味する』────遥か昔に記された予言の通り、魔王と対になる存在、勇者がアルディア王国に召喚されたのだ。

勇者は己の力を過信せず、仲間を集めた。自分よりも力の強い剣士を、自分よりも知恵のある魔術師を、仲間を癒してくれる僧侶を。

四人は各国と協力し合い、魔王の侵略をことごとく打ち破っていった。そして勢力の弱まった隙を突き、魔王が君臨する城へと突入し────見事、魔王を打ち倒したのである。


勇者 鈴原零士(すずはられいじ)

剣士 ハクリン・イソラ

魔術師 ゼロ・ヨルティア

僧侶 ミーティア・ラフィス


勇者、そして共に戦った三人の仲間の名は、永遠に語り継がれるだろう────

本日中にもう一話、投稿します。

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