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悔い

作者: 心夢冬奈

この作品は読む人によって意見が分かれます。中には不快に感じる方もいるかもしれません。予め理解の上読んでください。

ある町に一人の男の子が生まれました

身体の小さな男の子


男の子は幼稚園に入園して初めて同世代の子供たちと出会いました。赤ちゃんの頃から興味あるものや気に入った物でずっと遊んでいるようなそんな子でした。もちろん初めて意識した同世代の子供たちにも興味が絶えません。しかし、相手はそうではない様で、男の子には目もくれず他の子達と仲良く遊んでいます。男の子はそんな子達が気に入りませんでした。


決して男の子と遊ぶ子がいなかったわけではありません。男の子と話をしてくれる子も一緒に遊んでくれる子も確かにいたのです。でも、男の子が一番の仲良しではありませんでした。


男の子はそんな子達が気に入らなかったのです。


男の子は次第に、世間一般で「悪い」とされることをするようになりました。女の子に嫌がらせをしました。自分よりも大人しい男の子を泣かせました。時には返り討ちにされることもありましたが、男の子は懲りずに繰り返し続けました。


男の子は小学校に入って少年になりました。


善悪の違いが分かるようになってきた少年の悪行は減りました。しかし少年が今までやってきた行いが無くなるわけもなく、率先して少年に関わろうとする子達は少なくなりました。入学式の日、親同士が仲のいい幼馴染とその兄、幼馴染の友達と写真を撮りました。でも、子供たちが仲のいいわけではありません。きっと嫌々だったことでしょう。


しばらくの月日が流れました。同い年の少女達は一次成長で少年よりも大きくなりました。他の少年達も大きくなりました。しかし少年は小さなままです。今度は少年の番でした。


毎日のように少年は傷つきます。優しい少女たちも、少年だけは助けません。それは今までの報いだったのでしょう。少年も最初の方は抵抗しました。向かってくる少年たちは力の誇示の為に素手で殴りかかってきましたが、臆病で自らが傷つくことを酷く恐れていた少年は、道具を使うことに躊躇いがありませんでした。多対一、負けたのはこっち、しかし大きな怪我をしたのは相手。

大人たちは少年を叱りつけました。


それから少年は怯えて暮らしました。殴られても抵抗せず、殴られないように愛想を振りまく。そんな生き方が染みついていきました。


また月日は流れます。少年が怯えて暮らすようになってからどれ程の日にちが経ったか分からないある下校時、二人の少年が少女を囲って虐めています。それを遠くから見ていた少年。二人の少年の内の一人が少女を突き飛ばしました。顔からこけた少女が顔を上げると、虐めていた二人の少年は驚いて逃げていきます。面倒ごとを避けたかった少年は脇道に反れて少女を通り越してから帰路に戻ろうと思いました。実際にそうして少女を通り越してから帰路に戻った少年。後方を見ると少女はまだ座り込んだまま、立つ気配はありません。その道は児童の登下校のルートということもあって通る車は少ないのですが、0というわけではなく狭い道、少女が座り込んでいる横を車が通っています。流石に放っておくのもどうかと思った少年は引き返して少女の前に立ちました。少年の存在に気づいた少女が顔を上げます。涙で赤くした目よりも更に際立つ赤。少女の額からは血が伝っていました。少年は青ざめて硬直しましたが、数分で何とか立ち直ってハンカチを少女に渡します。それから少女に大丈夫かと尋ねるも首を横に振るばかりで立ち上がる気配もありません。少年は助けを求めて大人を呼びました。


翌日、怪我をした少女とその親、怪我をさせた少年と親が話をしました。目撃者として少年も同席しています。怪我をさせた少年の親は謝るばかり、怪我をした少女の親は言います。「女の子に怪我をさせて、傷が残ったらどうするんだ」と。怪我をさせた少年は悪びれる様子もなく黙秘、同席者の少年だけがその言葉を受けて心を痛めました。


それからしばらくして、怪我をした少女は転校していきました。入学式の日に一緒に写真を撮った少女、それがきっかけで気になり、仲良くしたいと思えた少女。少年は二度と出会うことが出来ず、その出来事を思い出す度に後悔するばかりです。

少年は最後に何を思ったのでしょう。また、少年はどうすればよかったのでしょうか。私も思うことはありますがそれは人それぞれでしょう。しかし一つ言えるのは、後悔は出来てもやり直すことは出来ないということでしょう。それはほんの些細な事、日常的な事から人生の岐路での事など大小さまざまです。私も後悔しないような選択を出来るように心がけていますが、後悔するのは未来の自分。未来が訪れるまで後悔するかどうかさえ分からない。だからこそその時最善の行動をしていきたいですね。

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